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商品説明
平戸藩主となった安永から天保へ至る六〇余年、田沼意次、松平定信、水野忠邦らの治世を実見し文武に秀で、勝海舟を育てた男がみた幕政の転機。「地方」と「中央」を見据えた外様大名の生き方に学ぶ。【「BOOK」データベースの商品解説】
平戸藩主となった安永から天保に至る60余年、田沼意次、松平定信、水野忠邦らの治世を実見。江戸幕政の大転機を生き抜き、「甲子夜話」「剣談」を著した文武両道の外様大名の一代記。『月刊ジェイ・ノベル』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
童門 冬二
- 略歴
- 〈童門冬二〉1927年東京生まれ。東京都庁にて知事秘書、広報室長、企画調整局長、政策室長などの要職を歴任。退職後、作家活動に入る。著書に「小説小栗上野介」「名将に学ぶ人間学」など。
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紙の本
華のお江戸の老ジャーナリストか、権力志向の欲惚け爺さんか?
2021/04/05 08:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
六十歳を過ぎて随筆集『甲子夜話』を書き綴った松浦静山を、本書はテレビ時代劇に登場しそうな訳あり爺さんか物知りのご隠居さん風に描く。話し相手となるのは、無役小普請組御家人の勝小吉(夢酔)、勝鱗太郎(のちの海舟)親子だ。出来すぎの感があるものの、面白すぎる設定だ。
静山は肥前平戸藩継嗣の妾腹の子らしい。実父の急逝で祖父母を養父母として成長し、祖父から十五歳で藩主の座を譲られた。妾腹の子と聞くと、継母と折り合いが悪く無頼生活に馴染んだ火付盗賊改方御頭の長谷川平蔵が先ず浮かぶ。三十歳過ぎまで厄介者に甘んじた十四男坊が実兄の死で彦根藩主を継ぎ、のちに大老にまで出世する井伊直弼もまた、妾腹だ。
著者童門冬二は、主人公静山を外様大名ながら幕閣入りの<志>を抱いたとする。猟官工作に明け暮れた往事を悔恨するから、根は純朴そうだ。私にはむしろ純朴すぎて「青雲の志」という欲望の“残滓”を捨てられず、雅号の静謐な心境に徹しきれない静山の性情が哀れに映る。
国際貿易の繁栄に平戸を導いた名族の自負と、地方(藩)行政の成功事例を中央政府(幕府)での治政に活かしたいとの若き情熱は、確かにどんな役目に就いても好いように儒学、軍学、蘭学と広範な修学の原動力となった。領国経営で培われた海防意識は、個人的な“文武両道”を組織的な強化(教化)に繋げ、熱心に藩の財政改革や学制改革に取り組ませた。
「青雲の志」による情報収集や図書蒐集が、様々な逸話や噂話、逸事、事件を載せる『甲子夜話』執筆に活きた。宿願の国政参与が果たせずとも、時世の傍観者として聞書きの手慰みに満足し老境を楽しめる静山だったならば、華のお江戸の老ジャーナリストと呼んで差し支えないのだが…。
皮肉にも八十翁の静山を著者は、最後まで権威に阿り権力者に摺り寄った欲惚け爺さんとも、真に政治の非情苛烈な権謀術数に巻き込まれずに済んだ幸運な風流大名のご隠居とも取れる描き方をしている。
「安全な立場で、ポストだけを欲しがっている」(権勢を真剣に掴み獲る意志も努力もせずに見送っている)自分に気付かされたのだ。「君子危うきに近寄らず」の「恕の精神」(思い遣りの心)が強すぎたが、「それはよいことなのだ」と。
紙の本
松浦静山夜話語り
2020/12/21 21:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
童門冬二氏が著者です。 松浦静山は余り知らない人物でしたが剣の嗜みがある有ると言うことで購読しました。
少しは人となりが理解出来ました。