紙の本
いいですねえ、昔懐かしい意腕貫、でも、今はパソコンばやりだから、鉛筆で袖も汚れない、消えていくかも、腕貫・・・
2005/10/04 19:42
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
さてさて問題児、西澤保彦くんの登場ですね。長女なんかは、恩田陸もこの人も、ちょっと違うかな、なんて言ってますが、私は西澤保彦、好きなんですね。まず、本格推理の組み立てがしっかりしているんですけれど、それをそう感じさせない工夫っていうのがどの作品にもあります。
様々な世代の人物を登場させますが、だれも一癖も二癖もあって、それでいてリアルなんですね。無論、そんな奴、いないよ、っていうのは分った上で、この話ならばこんな人間もありかな、なんて思わせる説得力というか、力、魅力といいますか、技があるわけです。で、問題児、っていうのはこの人が登場人物につける名前のことで、ともかく読めません。難しい漢字のときもありますけれどやさしい漢字が奇妙に組み合わさる時もあって。その名前を挙げながら簡単な内容紹介。
本来ならあるはずもない場所に突然設けられた櫃洗市一般苦情係の市民サーヴィス課臨時出張所。そこにいるのは年齢不詳、痩身で銀縁眼鏡をかけ、両腕の肘まで黒い腕貫を嵌めた男。戸惑いながら大学生の蘇甲純也が相談したのは、同じ大学にいる間室良太郎の死に関することだった「腕貫探偵登場」。
病院の待合室に突如出現した市民サーヴィス課臨時出張所、大学生の筑摩地葉子が訊ねたのは、本来なら幸せの絶頂にいるはずの母の不調「恋よりほかに死するものなし」、夜のアーケード街に現れた臨時出張所、門叶雄馬がのろけるのは完利穂乃加との復縁ばなし「化かし合い、愛し合い」、雑居ビルの玄関先に設けられた市民窓口、武笠寿憲が相談するのは自分の家で見つけた学生証の束「喪失の扉」。
警察の受付の隣に出現した市民サーヴィス課、水谷川と氷見の二人の刑事が打ち明けたのは作家である兎毛成伸江の不思議な行動「すべてひとりで死ぬ女」、会社ビルのエントランスのできた長い行列、檀田臨夢が並んだ末に相談したのは螺良光一郎と目鯉部怜太という二人の破廉恥漢にかんすることだった「スクランブル・カンパニィ」、ホテルのロビーの片隅に設けられた市民サーヴィス課臨時出張所、今回の相談内容はある画家の個展会場での不思議「明日を覗く窓」。
何となくユーモラスなんですね。人は死んでいるんですね。いろいろな人が色々な状況で。でも死臭が漂わないのは、西澤の人徳というよりは、腕貫探偵の存在があるから?そうですね、この探偵というのが、如何にも市の職員ていうのが効いているのかも知れませんね。でも、例えば「すべてひとりで死ぬ女」なんて、死そのものが完全に無味無臭っていうか、悲劇の痕跡すらないんですね。実際には殺人事件なのに。
で、連作の作り方が、やはり上手なんですね。読んでいて、あれ、もしかして、そう思わせるところがいいんですね。で、話全体の流れも、色々より道はするんですけれど、いい感じで流れて、読んで良かったな、って思わせます。読物としてはあまりに予定調和的なんでしょうが、それでも、それが駄目にならない。いいですよ、しかも美女も出てきますしね。それが決して嫌味でない美女で。
暖色はいいですが、何となく不気味な装画は、やまもとちかひと、装丁は、最近活躍が目に付く坂川栄治+田中久子(坂川事務所)。続編はない終わり方をしていますが、もう一度会いたい市役所員です。なかなかこういった地方公務員に出会うことがないのですが、ウソと分っていてもリアルさを感じる。まさに西澤のハンドパワーです。
投稿元:
レビューを見る
西澤さんのご本ということで図書館で借りてみました。
短編集ということもあり、長編好きなわたしには少し物足りない感じでした。
それぞれのつながりもほとんどないし、残念ですが主役にも惹かれるものがなく。
日常のミステリーはどうも苦手です。
投稿元:
レビューを見る
こんな市民サービスが、ほしい!
というか、付っきりで取材したいです
ぎょうれつっぷりにも、なっとくです
投稿元:
レビューを見る
・面白かった…!てっきり市役所の相談室に次々相談者がくるのかと。出張所という文字を見逃していたらしい(笑)・「すべてひとりで死ぬ女」と「スクランブル・カンパニィ」「明日を覗く窓」が好き。やっぱ安楽椅子もの書かせたら素晴らしいな。・相談所が必要な人にだけ見える(物理的には存在しても、大半の人は気に留めないという意味で見えていない)、という意味で、ちょっとHOLICっぽい。
投稿元:
レビューを見る
安楽椅子もの推理小説です。それも市役所職員が探偵役。それも出張サービスをする無愛想な辣腕というと設定だけでも面白そうです。実際面白いですし。
しかし何かと苗字になる漢字が読みにくくてかないません。
それに、結局この探偵は何者なんでしょう………
投稿元:
レビューを見る
どんなに眼と鼻の先に置かれていても、心身ともに健やかな者の視界には絶対に入ってこないというものが世の中にはある。市民サーヴィス課臨時出張所。コントの様な腕貫をした謎の公務員が鮮やかに謎を解決する!前半の話は、ちょっと救いない感じだったんですけど、後半はいい感じでした。腕貫探偵、相談のって〜!
投稿元:
レビューを見る
西澤さんは超能力者・大学生・酔っ払い等等どんな人を探偵にしても面白い作品を書くからすごいなぁ。
今回の探偵は市役所のお役人さんです。お役所仕事で律儀に事件解決!面白かったです。(桐切)
投稿元:
レビューを見る
殺人?詐欺?行方不明?悩める市民の相談事を解決するのは腕貫をはめた出張所の職員。ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集。
腕貫をはめた地味なその役人は櫃洗市市民サーヴィス課臨時出張所一般苦情係の窓口担当。この出張所、実は神出鬼没で、大学構内や病院の待合室、警察署内など、あちこちに出現する。マネキン人形のように無表情な男は丸いフレームの銀縁メガネ、白いシャツ、黒っぽいネクタイ、無造作に切り揃えられた脂っけのない髪という素っ気ない、いかにも小役人なのだが、その窓口へと、トラブルを抱えた相談者はふらふらと引き寄せられる。殺人? 詐欺? 行方不明? さまざまな悩みを、聞くだけで見事に解決してしまうのがこの腕貫男なのだ。明晰な推理力をもつユニークな安楽椅子探偵が活躍する、ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集。
投稿元:
レビューを見る
腕貫。
昔はよくしている人がいたけれど、シャツの袖が書類で汚れないように腕に装着する布。
それを付けた、いかにもお役所の職員といった感じの男が神出鬼没に出張所を設置して、市民の悩みをズバっと解決する。
最近探偵ものを読むと疑問に思うことがある。
なんで事件にこれほどまでに興味を抱いているのだろう、
なんでこんな含みをもった言い方をするんだろう、
なんでわかっているのに早期解決を目指さないのだろう。
その点、腕貫探偵は相談をただなんのリアクションもなく相談を聞いて、本当に必要な質問だけをして、簡潔に要点を述べ、問題を解決に導く。
その回答は簡にして要を得ている。
なんで勝手にいろんな所に、椅子と机を用意して出張所を開いているのか?
腕貫探偵の人柄はどんな人なのだろうか?
そう言った読者の興味に一切答えることなく、さらりとストーリーが展開して、変な後味を残すことなく爽やかに終わる。
投稿元:
レビューを見る
大体において探偵役ってのは、存在感が大きすぎるものなんだけど、この作品における探偵は限りなく無個性に近い。むしろ、無個性に徹したことで逆に存在感が出るという感じ。
設定がなかなか不思議な分、謎とその解決法はシンプルかつストレート。
ロジカルかどうかは疑問符も残るが、説得力があるため、解決を見ると納得させられる。
個人的には、本当に些細なアドバイスから謎が解かれる「腕貫探偵登場」が一番好きだ。
投稿元:
レビューを見る
日常生活の中のちょっとした謎を解くという点では私の好みだったけど、この本は失敗だったかも。
まず登場人物の苗字がやたらと凝ってて(?)ルビがないと読めませんでした。揃いも揃ってみなさんマイナーな苗字ですね。一体どこの地方の方々なのでしょうか。
それと、探偵役の「腕貫男」が最後まで消化不良で終わってしまった感じ。
期待していただけに、残念。
投稿元:
レビューを見る
ミステリ……なのか?
必ずしも最後まで探偵によって謎が解明されるわけじゃないけど、謎の市職員イイです。
短編の主人公がほかの短編にも顔を出していたり、
ハッピーエンドからストンと落ちるミステリ、ホラーぽいのまでいろいろあってお徳。
「スクランブル・カンパニィ」の淳子さんと檀田くん好きだ。
投稿元:
レビューを見る
タイトルを「わんがんたんてい」と読んだのは私だけではないはず。まぁ、隅の老人とかと同じ感じかな。そうなると最後は…
投稿元:
レビューを見る
安楽椅子探偵ものだー。しかもこの「探偵」、なかなかいいキャラ。神出鬼没の市役所職員って。お役所仕事っぽい部分があるのも、なんか笑えるよなあ。とはいえ本当に市役所がこんなサービスやってくれればいいなあ(笑)。ぜひとも続編を期待したい作品。
好きなのは「喪失の扉」。なかなかに怖くて後味もよろしくない作品なのだけれど、やはりこういう話が好きみたいですね私。
投稿元:
レビューを見る
日常のナゾにフォーカスしたシンプルな連作。面白かった。残念なのは凝った登場人物の名前。途中読み方が分からなくて気になったりして、せっかくのシンプルさがもったいない。