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著者紹介
松本 賢吾
- 略歴
- 〈松本賢吾〉1940年千葉県生まれ。警察官・屋台引き・墓石職人など十数種類の職業遍歴を経て「墓碑銘に接吻を」でデビュー。著書に「屑」「トラップ−罠」「窮鼠」「慚愧の淵に眠れ」「打鐘」など。
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紙の本
横浜黄金町を舞台にした男達の戦争
2003/07/06 22:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横浜黄金町に生まれ育った水沼清治.頭は悪くても,とにかく突き進む男.ヤクザではないが,大岡川のそばにある『リバーサイドホテル』(実は古いただの旅館を井上陽水の歌にちなんだだけ)を拠り所に,仲間達とともに,悪いやつらを葬り去り,金をもらうことで生きてきた.しかし,清治達が伸びてきた関西ヤクザ蛭川組の一人を殺したことから,本格的な戦いとなる.そして,…
ただそれだけのたわいのない話ではあるが,横浜中心部の歴史とともに,横浜を描いた物語としても読める.もっと詳しくてもいいとは思う.1億円の強奪の件は,本筋と関係ない.
仲間達がなかなかユニークな顔ぶれ.旅館経営者の母さん,軍師の五郎,板前の力三,姐御のサリイ,プロレス出身のムサシ,それに,近くの玄田医院の院長と婦長.さらに,清治達の見方でもある悪徳刑事柿沢.ただし,彼らと一体となって戦うべき地元やくざの山尾組が弱すぎる.最後に,組長は意地を見せる.このメンバたちの活躍をもっと読みたかった気がする.
紙の本
著者メッセージ
2003/06/18 08:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松本賢吾 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自著を説明するのは難しい。宣伝となればなおさらで、万策尽きて本文を引用して、この本に込めた作者の意図を汲んでいただくことにする。
「あたしらは埒外(らちがい)に棲む二割の人種さね」
これは母さんの持論で、人間社会はどんな時代でも二割は枠からはみだす人間がいるという。ヤクザ、盗人、売春婦、ホームレスなど、犯罪者を含む社会の枠からはみだした人間が、人口の二割を占めるのが必然だというのだ。
「その二割を撲滅しても、残った八割の中から二割の人間がはみだす。それが人間なんだよ。世間もそれを認めちゃえばいいのさ。どうせ二割、大したことはできやしないんだからさ。本当に恐ろしい悪は正義の名で行われるものなんだよ。戦争がそうじゃないか。いつも正義を唱えてやらかすんだ」
もうお察しでしょうが、そういう話なんです。作者自身が二割側の人間を自認していますから、はみだし者の我田引水、自己弁護、開き直りのオンパレードですが、地を這う視線でなければ見えない人情の機微だけは表現したいと奮闘しました。
そのための取材には躰を張り、魔窟と呼ばれた敗戦後の隠微な雰囲気を未だに残した黄金町界隈の路地に深く楽しく潜入して、危ない妄想を思う存分膨らませて書き上げたのがこの作品です。
どうか、全国にごまんといらっしゃる松本賢吾の本を未読の方々に、試しに一度、この本を手にとっていただきたいと切に願っています。