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商品説明
「コンヤハ カレー デス」事故死した夫のポケベルに、メッセージを送り続ける妻。何のために? 誰のために…。真の被害者は…罪深き行為とは…。事故と事件の狭間に揺れる様々な思惑を描いた警察小説。『週刊小説』等掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
横山 秀夫
- 略歴
- 〈横山秀夫〉東京生まれ。上毛新聞社で12年間の記者生活の後、フリーライターに。1998年「陰の季節」で松本清張賞を、2000年「動機」で日本推理作家協会賞短篇部門賞を受賞。著書に「顔」など。
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紙の本
『半落ち』『顔』が騒がれたおかげで割をくったけれど、三作のなかでは個人的には私はこの作品がベストだと思う。そして『クライマーズ・ハイ』がある、とまでは言わないけれど
2003/10/11 21:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『半落ち』が絶賛され、今は『クライマーズハイ』が評判の横山の短編集。初出は、一編を除いて週刊小説。
全て三ツ鐘警察署を舞台にした小説だけれど、連作かというと、警察署以外には登場人物や事件に全く連続性がないので、独立した短編集と考えたほうがいいのかもしれない。三ツ鐘警察署は、読んでいて「あれどこかで見たような」と感じる程度の、記号化した警察署名。佐野洋の小説によく出てくるY署とでも思えば間違いない。
事故で夫を失った人妻は、警察官が昔、憧れていた女性だった。彼女が亡き夫のポケベルに送り続けるメッセージの謎「深追い」。自分に想いを寄せているらしい事務係からの海への誘い。それを断る鑑識課員の苦い夏「又聞き」。既届盗犯等検挙推進月間で、県下各署が窃盗犯の検挙数を競う年一回の刑事コンクール。警察官たちの熱い競争「引き継ぎ」。
退職する巡査長の再就職先を探すのに必死の警務係長。彼に同期の出世頭から、本部に戻せるかもしれないぞとの連絡が「訳あり」。検挙された不良グループを絞り上げようとしている矢先に起きた殺人事件、不良のもらした一言が刑事魂に火をつけた「締め出し」。中高一貫教育を行う名門校に、小学校でイジメにあってきたわが子を入れたいと思う次長の苦悩「仕返し」。落し物のカードを届けたことで知り合った老人は、花とともに暮らすことを楽しみにするお金持ちだった「人ごと」。
今までの、どちらかというと繊細、精緻な警察小説ではなく、技ありというよりは一本勝ち、といった剛直な印象の作品が集まった。といって、雑だとかそういうものではない。相変わらず、組織や昇進の問題や、キャリア、警察官の老後の生活まで、扱われるテーマは多岐にわたる。
駄作がなくて、どれも良いけれど、青春の苦悩と自立を描いて、本当の人間の優しさを教えてくれる「又聞き」のラストは、「訳あり」の結末同様、何ともいえない爽やかさがある。上昇することだけが、人間の生きる道ではないと思う、そう思わなければやっていけない警察組織のあり方が、よく伝わる。
世の中の評価は、横山初の長編『半落ち』に集まった観があるけれど、個人的には同時期に出た『顔』、あるいは旧作だけれど清張賞の『陰の季節』、推理作家協会賞『動機』、そして今回の作品のほうが、完成度が高く、全体に破綻がない。また連作という点では、同じ主人公が部署を変えていくなかで様々な事件に出会う『顔』に新味がある。長編としては『クライマーズ・ハイ』だろう。読者もだが、マスコミも含め少々『半落ち』に甘かったのでは、そう思う。
紙の本
地方都市の警察署「三ツ鐘署」を舞台にした事故,事件の短編集7編.
2003/02/09 21:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方都市の警察署「三ツ鐘署」を舞台に,さまざまな事故,事件が起きる.主人公はすべて異なるが,ここの勤める警察官である.主人公は,交通課の事故係である巡査部長,22歳の鑑識係員,盗犯係の主任刑事,警務(企業の総務に相当するらしい)の係長,25歳の少年係巡査,署の次長,会計課の課長(警察官とは呼ばないらしい)とバラエティ豊か.当たり前だが,みなそれぞれ,いろいろな仕事をしている.複数の話にでてくる人間はいない.
それにしてもこういう話が次々と考えられるもの.人と人との感情の機微にかかわる話が次々と語られる.
表題作の『深追い』は,事故死した人間のポケベルに妻から夜の献立がメッセージとして送られてくる.返しそびれた刑事がもっていることを知っているらしい.それが刑事の勘違いを生むのだが,…
警察官の暮らしも詳細に語られる.職住接近の同じ官舎での暮らしは,子供たちの関係も含めて,かなりきついものであろう.実際に,そのことが関連する事件も語られる.「上が家のなかでできる趣味を奨励している」というのはありそうな話だが,実際はどうなのだろうか…