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紙の本
いっぺんさん 傑作ホラー&ファンタジー (JOY NOVELS)
著者 朱川 湊人 (著)
一度だけ何でも願いを叶えてくれる神様を探しに山へ向った少年は本当に神様を見つけることができるのか—驚きと感動の名作「いっぺんさん」はじめ、少年と鳥使いの老人の交流を描く「...
いっぺんさん 傑作ホラー&ファンタジー (JOY NOVELS)
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商品説明
一度だけ何でも願いを叶えてくれる神様を探しに山へ向った少年は本当に神様を見つけることができるのか—驚きと感動の名作「いっぺんさん」はじめ、少年と鳥使いの老人の交流を描く「小さなふしぎ」、田舎に帰った作家が海岸で出会った女の因縁話「磯幽霊」など、ノスタルジーと恐怖が融合した朱川ワールド傑作集。ノベルス版のために書き下ろされた、「磯幽霊」の後日譚「磯幽霊・それから」を特別収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
一度だけ何でも願いを叶えてくれる神様を探しに山へ向った少年は本当に神様を見つけることができるのか−。表題作はじめ、書下ろし短編など全9話を収録した、ノスタルジーと恐怖が融合した朱川ワールド作品集。〔2007年刊の増補〕【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
いっぺんさん | 7−37 | |
---|---|---|
コドモノクニ | 39−65 | |
小さなふしぎ | 67−96 |
著者紹介
朱川 湊人
- 略歴
- 〈朱川湊人〉1963年大阪府生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞、「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞、「花まんま」で直木賞を受賞。
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紙の本
面白うてやがて哀しきいっぺんさん
2009/08/01 23:27
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野棘かな - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間潰しに入った書店でみつけた「いっぺんさん」
「あー朱川さんの本だ」と手にとりしばし眺めて、翌日BK1で注文しました(笑)
おまけに宅配便(TODAY)にしていただいたので、夜にはもう手元にあったというすばやい行動でした。
いっぺんさん、コドモノクニ、小さなふしぎ、逆井水、蛇霊憑き、山から来るもの、磯幽霊、磯幽霊・それから、八十八姫
ノスタルジーと恐怖が融合した朱川ワールド全9作品が収録された「いっぺんさん」
ーコドモノクニは、チョット昔ノ、オハナシデス。
冬から始まる「ゆきおんな」
お母さんを求める気持ちが和子の心に幻をみせたのでしょうか。
春「いっすんぼうし」
失敗を悔やみ隠れてしまいたいと思うあまりにまるで壁男みたいに、隙間に体が入って小さくなってしまった隆志。
夏「くらげのおつかい」
夏休みの終わりに、仲良くしてくれた海をもう一度見たいと海岸に行き、見つけた変な生き物をかまったばかりに捕りこまれてしまった純一。
秋「かぐやひめ」
お父さんより、お母さんを選んでしまったけれど、やはりお父さんと弟暮らしたいと戻ってみたものの自分の居場所は無くなったと思い込んだ真理江は誘われるまま知らない男の車にふらふらを乗り込んだ。
ーソシテ子ドモタチハ、ダレモ、モウ二度ト戻ッテハ来マセンデシタ。
「磯幽霊」と「磯幽霊・それから」は著者が体験したらしい実話。
これには、二重、三重に重なり合う怖さを感じ、死んでもなおイヤリングをさがし続ける磯幽霊にではなく、生きている人間の心の闇の深さに戸惑う。
朱川さんの世界が私の心に無数の触手を伸ばしてくる。
触手にさわると、どこか懐かしく切ない感情と同時に、子どもの頃に感じていた恐怖の数々がよみがえる。
そして、私は、アンビバレンスな感情に混乱し、途方に暮れる。
恐怖の闇が、現代の子どもたちにさらにバージョンアップして襲いかかってきていると思うと、不条理な世の中に改めて苛立つ。
子どもの頃の私は、闇の中にいるかもしれないお化けや幽霊を怖がっていたのではなかった。
闇の中に、子とりという人攫いや気持ちの悪い男の姿を映しだして怖がっていたのだから。
朱川さんという作家は、器用な方だと思う。
自分スタイルを持っているのだけれど、文体に多様性がある。
話の主人公となる人物が女性であるか、男性であるか、女子が、男子かで、書き分けているのか、話の内容によって文体をきめているのか。
静の話にしたいからそうするのか、動の話にしたいからこうなるのか、微妙に変化するスタイルにはルールがあるのか、朱川さんの中にあるその流れは謎だ。
一度だけ何でも願いを叶えてくれる神様を探しに山へ向かった少年は本当に神様を見つけることができるのか・・・
裏表紙に書かれていた「願いは必ず叶う。ただし、いっぺんだけなぁ」という言葉にはあれこれと思いをめぐらせ心弾んだ。
まだいっぺんさんに、お願いごとをしたことがないから、私もいっぺん叶えてほしいからだ。
面白うてやがて哀しき「いっぺんさん」は感動の名作だと私も思った。