「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
モップの魔女は呪文を知ってる 本格ミステリー (JOY NOVELS 「女性清掃人探偵キリコ」シリーズ)
著者 近藤 史恵 (著)
深夜のスポーツクラブでひとり残ったスタッフの行動は—。希少種の猫を入手するため、バイトをかけもちする女子大生が—。小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた“魔女”の正体...
モップの魔女は呪文を知ってる 本格ミステリー (JOY NOVELS 「女性清掃人探偵キリコ」シリーズ)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
深夜のスポーツクラブでひとり残ったスタッフの行動は—。希少種の猫を入手するため、バイトをかけもちする女子大生が—。小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた“魔女”の正体は—?妹を殺害してしまったアクセサリー通販会社社長は進退きわまって—。謎を洗いたてて事件をリフレッシュ!女清掃人探偵掃査中。【「BOOK」データベースの商品解説】
深夜のスポーツクラブで一人残ったスタッフの行動とは。小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた“魔女”の正体とは。職場の皆さん、心の荷物いっぱいじゃありません? 女清掃人探偵が謎を洗いたてて事件をリフレッシュ!【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
水の中の悪意 | 7-60 | |
---|---|---|
愛しの王女様 | 61-113 | |
第二病棟の魔女 | 115-226 |
著者紹介
近藤 史恵
- 略歴
- 〈近藤史恵〉1969年大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。「凍える島」で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。主な著書に「桜姫」「ふたつめの月」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
ヘタレた人物は男女を問わず嫌いで、この本にもそんな人が一杯。でも、「愛しの王女様」一篇があるだけで、この本はミステリ史に残ります
2007/09/06 20:11
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2003年に同じ出版社から出た『天使はモップを持って』の続編です。といっても、私の頭の中には主人公が掃除婦だったことは残ってはいるものの、あとは全く白紙状態。ですから、長女の「なんで旦那さん、でてこないんだろうね」という言葉にも、れれれ?と返すだけで、完全に愚か者扱いをされてしまいました。
だからといって、この話を楽しめなかったか、といえばそういうことは全くありません。主人公を取り巻く男女関係が足を引っ張るミステリというのは意外に多いものです。私は前作について
「だからと言って、例えば人との付き合いができないとか、自閉症気味であるとか、失恋の痛手を癒しているとか、そういう気配はまったくない。大介にでれでれすることもなければ、ただただ優しいだけの女の子でもない。推理はするけれど、例えばその経過を伏せて人を驚かせる、といったケレンを見せるところもない。あるいみ、ちょっと真面目な普通の女の子なのだ。」
と書いていて、ま、今回は若干、エキセントリックな部分が強調された感じがするものの、とっつき易さは変わりありません。カバー装画は、『天使』の時と同じ飯田貴子、この勢いのある強いタッチ、嫌いじゃありません。ブック・デザインは人見祐之(P.D.Studio)です。
帯の言葉は
謎を洗いたてて事件をリフレッシュ!
女清掃人探偵
掃査中
捜査中、じゃあなくて「掃」査中、っていうのが洒落ていますが、これは近藤史恵が考えたとは思えません。彼女の場合は、ともかく作風が地味。お洒落、とか軽妙、っていうところからはほど遠い。無論、ガチガチ、っていうわけじゃあないんですけどね。だって、キリコの存在なんて、ただただお堅い推理作家には思いつきそうにないものだし・・・
ついでにカバー後ろの案内文は
職場の皆さん、
心の荷物
いっぱいじゃ
ありません?
深夜のスポーツクラブでひとり残ったスタッフの行動は――。
希少種の猫を入手するため、バイトをかけもちする女子大生が――。
小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた“魔女”の正体は――?
妹を殺害してしまったアクセサリー通販会社社長は進退きわまって――。
となっていて、これは、そのまま収録作品各編の内容ですので、紹介はここまで。一応、各編については初出を書いておきましょう。
モップの魔女は呪文を知ってる/館内案内
・水の中の悪意 (月刊「J-novel」06年6月号)
・愛しの王女様 (月刊「J-novel」06年12月号)
・第二病棟の魔女 (週刊「アスキー」06年1月24日号~4月11日号)
・コーヒーを一杯 (書き下ろし)
個人的には、「愛しの王女様」に唸りました。この手のお話の中でも傑出しているんじゃないでしょうか。で、いかにも近藤のお話に登場するウジウジした人間だ、と思うのが「第二病棟の魔女」に出てくる新人看護士・只野で、こう、言うべきことを言わずにいる、っていうのが特に看護婦としては失格じゃないか、なんて思いますよ。まして子供に対する愛が少しも感じられないし。
ただ、「第二病棟の魔女」の、夜間、病院を清掃する主人公の動機がなんとなく不自然な気がします。愛する人を喪った悲しみは分るんですが、行動と結びつけるのが難しい。最後の書き下しも、ちょっと仕掛けに無理があるかな、と思います。ただし、それ以上ではありませんし、ともかく「愛しの王女様」一篇があるだけで、この本は燦然と輝く、と言ってもいいでしょう。
同時期に出た『ふたつめの月』では、主人公の逡巡振りが不自然を通り越した感じでしたが、こちらは気にはなっても、いいところが目立ちます。ある意味、完璧であるよりも、欠点をもちながら補って余りある長所のある作品、というのが傑作の条件かもしれません。大学生になった長女も「愛しの王女様」には脱帽していました。