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紙の本
クレイジーヘヴン (JOY NOVELS)
著者 垣根 涼介 (著)
坂脇恭一は27歳のありふれたサラリーマンだが、孤独な胸の内に自己破壊にも似た狂気を常に隠し持っていた。彼とひょんなことから出会う23歳の元OL・田所圭子は、冴えない中年ヤ...
クレイジーヘヴン (JOY NOVELS)
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商品説明
坂脇恭一は27歳のありふれたサラリーマンだが、孤独な胸の内に自己破壊にも似た狂気を常に隠し持っていた。彼とひょんなことから出会う23歳の元OL・田所圭子は、冴えない中年ヤクザと同棲して美人局をしている。恭一がこの中年ヤクザを殺してしまったことから、彼らの住む世界の歯車は徐々に狂いはじめた…。虚無と絶望が交差する日常から、人はいかに自己を解放できるのか—。「ワイルド・ソウル」の著者が放つアナーキークライム・フィクション。【「BOOK」データベースの商品解説】
サラリーマンの坂脇恭一は、孤独な胸の内に狂気を隠し持っていた。彼とひょんなことから出会う田所圭子は、中年ヤクザと同棲して美人局をしている。恭一がこのヤクザを殺してしまったことから、彼らの歯車は狂い始め…。〔2004年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
垣根 涼介
- 略歴
- 〈垣根涼介〉1966年長崎県生まれ。筑波大学卒。「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞・読者賞を受賞。「ワイルド・ソウル」で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞受賞。
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紙の本
美意識と暴力と冷静さ
2007/01/20 08:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
おそらく20代の若者に、めちゃくちゃ共感を持って支持される小説ではないでしょうか。彼らの心理状態をとてもよく書き記しています。
自分の美意識があり、それからはずれた人間はすべて「ダサい」。夢などはなく、自分の生活を守ることに関しては、冷静な判断をする。頭もそこそこよく、見た目もいい。自分でも「カッコいい」ことには関心があり、それなりにお金も使う。そしてなぜか、心が明るく、優しい。けれど暴力を否定はしない。時には殴り合いの喧嘩もする。
主人公の坂脇恭一は車上荒らしにあいます。盗られたのは現金6万と、クレジットカード3枚、免許書、保険書、社員証すべて。それらを盗んだ中国人二人組をつきとめ、完全に打ちのめします。
恭一は27歳。ごく普通の旅行代理店に勤めるサラリーマンです。会社でも協調性があり、仕事はできます。尊敬する上司も先輩もいます。
彼は、ヤクザの美人局をしている20代前半の圭子と知り合い、やがて事件に巻き込まれていきます。
彼は暴力性や、冷静さを通り越した冷徹さを秘めています。ストーリーが進むにつれて、それらが表出されていきます。
小説を読んでいる間は、この恭一が不思議な人物に思えたのですが、現在の若者像なのかもしれません。
さて、もちろんストーリーも充分に堪能できます。この多面的な恭一がヤクザと絡まっていきますが、さすがストーリーテラー。一気に読ませます。