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紙の本
天使はモップを持って 本格ミステリー (Joy novels 「女性清掃人探偵キリコ」シリーズ)
著者 近藤 史恵 (著)
会社内で些細だが悪意ある事件が発生。若くてセンスある女性清掃作業員・キリコがオフィスを騒がす様々な謎をたちまちクリーンにする。本格ミステリー全8編を収録。【「TRC MA...
天使はモップを持って 本格ミステリー (Joy novels 「女性清掃人探偵キリコ」シリーズ)
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商品説明
会社内で些細だが悪意ある事件が発生。若くてセンスある女性清掃作業員・キリコがオフィスを騒がす様々な謎をたちまちクリーンにする。本格ミステリー全8編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
近藤 史恵
- 略歴
- 〈近藤史恵〉1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文学部文芸学科卒業。93年「凍える島」で第4回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。著書に「ねむりねずみ」「ガーデン」「散りしかたみに」など。
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紙の本
A:こういう本と、時々出会えるから。
2003/07/11 17:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、好青年がキュートな女の子に
耳を引っ張られて引き回される恋愛コメディです。
また、日常の謎系ミステリでもあります。
探偵は、ビル清掃のプロ。それも10代の女の子。
たった一人で、ビルを丸ごと磨き上げる達人は、
人間模様を手がかりに、オフィスの謎を解き明かします。
『日常の謎+恋愛コメディ』というジャンルの
一つの完成形。それが本書です。
一見使い古された材料や手法も、そこに近藤さんの
世界観が加わることで燦然と輝きを放ちます。
それを支えるのは、高い筆力。
各章とも毎回短い枚数で語り切っている点からも
近藤さんの腕の確かさがうかがえます。
そして、この独特の読み心地が生まれました。
・優しい余韻が心に残る「ダイエット狂想曲」
・悶絶必至な勘違いキャラが醜い「シンデレラ」
・絶品な仕上がりの「史上最悪のヒーロー(最終章)」
そんな短編に手を引かれて一気に読み終えた本書は、
近藤作品を決定的に好きにさせてくれました。
だから今なら、こんな質問にも確信をもって答えられます。
Q:どうして本なんか読むの?
紙の本
人間関係もクリーンにしてくれるキリコちゃんに拍手!
2003/04/09 23:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山村まひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
先に読まないといけない図書館本があるのに…あるのに…どうにも気になって「ちょこっとだけ」と思って手にとったのが運のツキ。一気にラストまで
(^^;)。
**********************************
オフィスの清掃員と言えば「おばちゃん」と相場が決まっているようなものですが、新入社員の大介くんが働くオフィスの清掃員は、なんと十代の女の子!
綺麗に日焼けした肌、身体にぴったりフィットしたTシャツにミニスカートを身につけ、赤茶色にブリーチした髪をポニーテールにして、耳にはいくつものピアスをぶら下げた、誰が見てもミスマッチなキリコちゃん。
でも、掃除の腕はピカイチ。オフィス内を常にクリーンに保つべく、今日も誇りをもって、軽やかなフットワークでレッツゴー!
机の上から紛失した書類の謎、派遣社員の奇妙な振る舞い、ロッカールームの泥棒、切り裂かれたぬいぐるみの謎、保険外交員の謎の墜落死、などオフィスのさまざまな騒動を、清掃員ならではの立場と情報網を利用して、キリコちゃんが解き明かして行く、連作ミステリー。
**********************************
謎を解いて犯人を指摘するだけでなく、なぜ事件は起こったのか、犯行の動機も含めて推理し、これからどうすることがみんなにとってより良い結果をもたらすのか…というところまで考えて「心の清掃作業」までやってくれちゃうキリコちゃん。
キリコちゃんに徐々に惹かれてゆく大介くんなのですが、第7話では二枚目社員のライバルまで現われます。
「2人の行く末」を暗示させて終わった7話までは「週刊小説」に掲載されたもので、このあとに書き下ろしが加えられていて、これがまた素敵な最終話に仕上がっています。
「日常の謎」系のミステリが好きな方には、お薦めの1冊。
紙の本
私が推理するに、この本、最後で強引に纏めたような気がする。でも、それが決して嫌ではない。ま、ちょっとムードが甘いかな
2005/04/15 20:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
近藤史恵は1969年生まれ。カバー装画は飯田貴子、初出は「週刊小説」、「史上最悪のヒーロー」が書き下ろし。
オペレータールームに配属された新入社員研修を終えたばかりの梶本大介。その社内では、次々と奇妙な事件が発生する。ある日、僕の机の上から書類が消えた、それが再び起きて「オペレータールームの怪」。キリコの掃除を手伝っていた時、コピー機の上に置いていたカエルのぬいぐるみが勝手に動いた。彼が見ていたのは保険外交員の墜落死「ピクルスが見ていた」。結婚式の引き出物が、誰かの手によって注文を取り消されていた。そんな時手を差し伸べてくれたのはマルチ商法を勧誘するこ社員「心のしまい場所」。
大介が恰幅のいい日比野さんから告げられたのは、妹が派遣社員でやってくるということだった。ダイエットに励む女性社員の前で彼女が突然、昏倒して「ダイエット狂想曲」。キリコが突然いなくなった。一気に職場が汚くなった。そしてロッカールームから物が盗まれるようになって「ロッカールームのひよこ」。部長が娘さんの誕生日のプレゼントにと特別注文したピンク色のパンダのぬいぐるみが切り裂かれた「桃色のパンダ」。なぜか、綺麗に掃除されたはずのトイレが毎朝、黒い液体で汚され始めて「シンデレラ」。キリコが職場を去った。それは僕の結婚と関係があるのかもしれない、そんな時、他のビルで働くキリコを見かけた気がして「史上最悪のヒーロー」。あとがき。
近藤史恵を見直したのは『桜姫』だった。こういう小説を書くんだ、と感心した。で、それが今回も、そのまま当てはまってしまう。こんなに軽妙な作品も書くんだ、それは嬉しい驚きだった。とりあえず、キリコの設定がいい。年齢不詳、ただし見た目は20歳前、17か18歳と書いてある。ポニーテールとミニスカート、黒のごつい安全靴で颯爽と夜のビルを一人清掃する。
手際、というのがスピードを意味するならば、キリコは決して手際がいい清掃作業員ではない。しかし、結果が手際というならば、彼女は完璧な清掃員だろう。仕事中の人の邪魔をせず、決まった時間内に、それこそ机の下まで埃がないように、トイレの鏡に曇り一つないように仕上げる。しかも、その仕事が好きで誇りをもっている。
だからと言って、例えば人との付き合いができないとか、自閉症気味であるとか、失恋の痛手を癒しているとか、そういう気配はまったくない。大介にでれでれすることもなければ、ただただ優しいだけの女の子でもない。推理はするけれど、例えばその経過を伏せて人を驚かせる、といったケレンを見せるところもない。あるいみ、ちょっと真面目な普通の女の子なのだ。
私は著者が自分と同年齢の登場人物に肩入れするのが嫌いなのだけれど、読者としては大甘で自分に近い人が好き。だから、この本では美人で子持ちのキャリアの富永さんがお気に入り。大介が最初に好きになるのが富永先輩というところで、オヌシ メガタカイ 女は30代だよ、小林くんなどと呟いてしまった。
で、私の推理をひとつ。近藤は、最後の一篇を最初から年頭において、この連作を書いたのではないのでは、と思う。この作品集を纏めるにあたって、全体のボリュームを考えて追加したのではないか。ただし、ありきたりの作品では面白くない、ひとつ仕掛けをしてやろう、そういう気持ちがあったのではないだろうか。ちょとわざとらしいかな、と思うところはあるけれど、決して悪くはない。