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裁判員の女神 2 知らずに人を裁くのですか? (マンサンコミックス)
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紙の本
普遍的なキャラクター設定、現実離れした裁判員裁判?
2009/09/26 07:43
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ダブルディ - この投稿者のレビュー一覧を見る
強姦・殺人事件の裁判員裁判を描いたこの本作品2巻が、
発売されたのと同時期に、現実の裁判員裁判において、
性犯罪を扱ったものが行なわれた。
だからといって、“漫画が、現実を予期していた。”
などということは、断じてない。
1巻の書評にも書いたことであるが、この2巻で扱われている
強姦・殺人事件も現実の世界で起きているであろう事件であり、
現実離れはしていない。
また、本作品の連載されているのが、週刊の男性漫画誌
『週刊漫画サンデー』(読者年齢たぶん高め)であり、
どうしてもこういう事件が扱われる。
確かに、漫画と現実において、無理やり共通点を指摘できる
かもしれない。だが、それは、現実的な内容を描いた漫画だから
という以外は、全くの偶然である。
本作品2巻においては、6人の裁判員のうち
2人の存在を際立たせている。
1人は、25歳の典型的なヤクザである。
裁判員選任手続きにおける態度もなっていない。
こういう人間が、裁判員になるかもしれないという
ことを描くのに有効であった。
だが、そのことを示すだけの存在ではない。
それどころか、裁判が進行するにつれて、それ以上の
役割を果たすことになる。
当初、この男は、補充裁判員で、座っているだけで、
お金がもらえると高を括っている。
だが、裁判員の1人の不測の事態により、裁判員になる。
最初のうちは、あまりやる気がなく、後述する新聞記者の
口車に乗せられたりして、被告人は死刑が相応しいと
思っている。
それが、裁判所において、被告人の母親に会ったり、
本作品の主人公である“裁判員の女神”勇樹美知子の
話を聞いたりするうちに、考えが変化していく。
このヤクザの男の、前半やる気がなかった者が、
後半やる気満々になっていくといういい意味で
普遍的な展開が、効果的であった。
存在が際立っているもう1人の裁判員は、
先に少し触れた新聞記者の男性。
新聞記者として、これまで多くの事件を取材してきて、
常々日本の裁判は、刑が甘いと思っている。
そこで、自分の参加することになった裁判員裁判をきっかけに、
その状況に風穴を開けようと画策して、件のヤクザの男に接近したりする。
この新聞記者に、裁判員裁判の特徴をさりげなく
不自然でないセリフで言わせるところが上手い。
新聞記者というエリートということで、ヤクザの男と
対照的な立場で、お互いの存在を引き立て合っていた。
この本作品の2巻において、主人公の“裁判員の女神”
勇樹美知子の犯罪被害者であるという過去を詳細に明かしたのは、
いいタイミングであった。
さらに、強姦・殺人事件の裁判員裁判において、裁判員6人をあえて
全員男性にすることによって、勇樹美知子と被害者の妹をしっかり
描いたところも実に見事な手法であった。