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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.11
- 出版社: 実業之日本社
- サイズ:20cm/230p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-408-10678-X
紙の本
甦った日本経済のゆくえ
著者 長谷川 慶太郎 (著)
世界一の「知的財産国家」日本はさらに成長する! 激動する世界情勢の背景に何があるのか、また、そのような情勢を踏まえて、ようやく最悪期を脱して甦った日本経済が今後どうなるの...
甦った日本経済のゆくえ
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商品説明
世界一の「知的財産国家」日本はさらに成長する! 激動する世界情勢の背景に何があるのか、また、そのような情勢を踏まえて、ようやく最悪期を脱して甦った日本経済が今後どうなるのか。長谷川慶太郎が全力を挙げて解明する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長谷川 慶太郎
- 略歴
- 〈長谷川慶太郎〉1927年京都生まれ。大阪大学工学部卒業。新聞記者、証券アナリストなどを経て、国際エコノミスト。日本個人投資家協会理事長。「世界が日本を見倣う日」で石橋湛山賞受賞。
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紙の本
電機業界の再編は日本人の未来を左右する
2007/03/31 00:57
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本経済は、いわゆる失われた10年を経て、ようやく本格的回復期に入った。著者は、今後も日本の技術力に対する世界の依存度は高まる一方である。よって、日本は繁栄期に入ったという。確かに、日本の技術力は部品技術や加工技術を含めれば世界一といってよい。それは米国特許出願数上位10社の内、5社が松下など日本企業であること、および遂に国際特許収支が黒字化したことにも如実に表われている。
しかし、安穏とばかりはしていられない。日本は、莫大な借金を抱える。しかし、それは貿易黒字や特許黒字、海外投資黒字に支えられている。つまり、日本全体で見た場合、米国と異なり収支が全体としてプラスである。しかも、借金の担保となるべき金融資産は家計と企業を合算して何と2600兆円。更に政府資産は520兆円程度。併せて3200兆円。しかも、これは今後確実に伸びる。土地と株の値上がりは間違いないからである。現に、06年度は170兆円も増加している。これは、世界の4割くらいはある(正確には分からない)。
ただ、確かに貿易は黒字で、しかも技術は最高だが、その中核である電機業界は非常に危険な位置にいる。あまりにも時価総額が低い。例えば、日立なんかは売上高は10兆円でシーメンスと並ぶのに、純益は数分の一、時価総額は3分の1くらい。松下とGEなどを比べても同じ。
要するに、利益率が最悪である。原因は、企業がコングロマリット化し、1つの企業で家電から半導体まで何でも手がけるから、結局戦力が分散しているところにある。世界第2の市場といえど、消費性向の弱いこの日本で10社が犇めき合っていては世界に勝てない。普通、他の国ならあっという間につぶれて終わりである。しかし、日本はあまりにも技術が優秀すぎて、結局つぶれないできた。現に一社もつぶれていない。三洋だって電池は素晴らしい。
このままでは日立が投資ファンドに飲み込まれ、総崩れになる。業界再編しかない。過去何度も囁かれているが、総崩れになってからでは遅い。鉄鋼も銀行もそれで生き残った。しかし、半導体は対応が遅れ、もはや世界一の座は霞の向こうに消えた。いち早く結集していれば、日本は未だに半導体王国であったことは微塵の疑いもない。
著者の言うようなバラ色の未来も、まずは電機業界の復活に掛かっていると思う。そのためには、電機10社が2社にまとまるのがベストだろう。ホールディングス設立後、事業の重複分野ごとに会社分割によって整理していく。こうすれば、圧倒的競争力を持つ日本企業が誕生し、日本の勝利は確実になる。
業界再編は以前から囁かれてはいた。しかし、実現はしなかった。だが、もうここ数年が再編の最後のチャンスではないか。これ以上遅れると、技術優位も消失し(その兆候を指摘する向きもある)、あるいは外資主導の再編となり、結果電機産業は共倒れだろう。そうなれば、本書が指摘するあらゆる予測もまた露と消えてなくなるか少なくとも1つの巨大な不安要素となる。
自動車は世界の時価総額ランキング123位をそれぞれトヨタホンダ日産がしめており、GMなどトヨタの遥か雲の下に留まる。これは、日本企業だって利益をだせば市場は評価するということ。逆にいえば、電機産業にはまだ何十兆円の伸びしろ部分があるということに他ならない。業界再編がなれば、日本に怖いものは無い。
米国の住宅需要が止まり利上げによる熱さましが不要になった以上、米国は利下げに入ると思われる。日銀としては利上げに入るので、結局今年はどう見ても円高の年である。そして円高は日本にマイナスではない。
だから、著者の強調する日本バラ色の未来というのは基本的に間違いではない。だが、常に問題を忘れず、奢らず、特にバブル期や設備投資、技術移転の大間違いを犯した日本企業の今後の研鑽はやはり不可欠の条件のような気がする。