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商品説明
亡き人を思うとき、街角でふとその面影を見るとき、私たちは、かけがえのないものを受け取っている。3・11、脳死移植、自然と科学、美の本質というテーマを横断し、「絶望のその先」を思索する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森岡 正博
- 略歴
- 〈森岡正博〉1958年生まれ。哲学者。大阪府立大学現代システム科学域教授。人間学・現代倫理学などを担当。著書に「無痛文明論」「生命学をひらく」「感じない男」など。
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紙の本
珠玉のエッセイ集。
2012/03/06 22:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災以降、個人的には、何を表現するにしても、わたしたちはまず大震災を前提とした地点に立たなければならないような気がしている。それを明言するかしないかはおいておいて。
著者も冒頭「私たちと生き続けていくいのち」「永遠なき世界」などでそれを行い、死者はわたしたちとの関係が完全に絶たれるわけではないという、特定の宗教的な見地に立ったものではない、しかしある種の宗教的な深みのある言葉をつづっていく。(帯でも紹介される。)
それから、脳死や、オーディオや、草食系男子、体育、捕鯨、悟りなど、非常に多岐にわたる題材について考え、語っていく。哲学は日常の表層にこそひそむものであるという一つの証明でもあると思う。
著者は「いわゆる無宗教」とは異なり、もっときちんとした意味での無宗教を生きている。にも拘わらずと言うか、だからこそと言うべきか、さまざまな宗教に対する造詣は深く、また、知識人の一部にありがちな宗教をばかにしたような態度は取らないし、宗教的な重要語を手前勝手な解釈で用いることもない。
宗教に限らず、脳死や芸術などについて、とても重要な内容をさらっと言い切る部分も多い。「えっ?」と驚きながら読むが、どうやら、知らないから軽く触れるのではなく、知り尽くしているから「さらり」と触れて終わりにしているようで、華麗に禁欲的である。
「あとがき」まで含めると全60篇。生と死や、芸術、哲学や宗教など、日常のもろもろを考える珠玉のエッセイ集。超おすすめ。