紙の本
何度失敗しても学ばない人は学ばない
2009/08/12 13:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
東大工学部生産技術専攻の著者。
実は成功事例よりも、失敗から学ぶことのほうが、
知識が頭に刷り込まれることを発見します。
その名も「失敗学」。
機械のエンジニアに関する事故や事件を分析すると
41のパターンに集約できるそうです。
それぞれの失敗の事例を見ながら、
失敗の回避方法、成功への道筋を解説します。
例は、電車事故や工場の生産ラインなど
専門的な知識や興味が必要とされるものもあるのですが、
どんな企業にも発生しうる、コミュニケーション不足や
安全装置解除、企画変更の不作為など
身近な例もあり、なるほどと納得できます。
失敗の対処方法として、責任者の交代が必要となる
というのは、現場ならではの実感でしょう。
失敗をすると人間は思考停止になり、意欲も落ちます。
そんな時は、すぐにトップを変えないと組織が機能しません。
失敗の対処も遅れる、という悪循環に陥ります。
責任者の交代というのは大きな意味があるのですね。
そして成功への思考に「昇降運動」を挙げているのもユニーク。
失敗例を見て、ほかの事例に結びつける、
あるいは全く別の方向から探るなど、考えさせられました。
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成功よりも,失敗から多く学ぶべき点はあります.思考の昇降運動は非常に有益だと思います.[KW]"予測"⇒"回避"⇒"逆転"
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たしかに、これを読むと失敗を予測できそうな気がする。失敗を種類わけして、何が原因で堂対処していけばよいかを、物理・技術的な失敗例を通して解明。これを人間の失敗そのものにあてはめていくのは、非常に面白く、また的を射ているように感じた。ただ、技術的説明が多いので★4つ。
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失敗の類似性に気づくか否かが大事。☆機械の失敗は「腐食、磨耗、疲労」に集約できる。☆要求機能⇔設計解。☆リスク=予想損失X発生確率。☆思考の昇降運動。
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諭に借りて読んだ。
タイトルから、失敗に関する一般論的な内容かと思っていたけれど、実際は主に工学分野における企業及び個人、学生の失敗などが題材であった。しかし工学について何の知識のない私でも、最後まで読むことができたのはときおりはさまれる著者の失敗談や、大きくニュース等で取り上げられた事故が具体例として使われていたのが理由だと思う。著者によると、ほとんど全ての失敗は過去の失敗と共通するものであり、人類初の失敗は類まれである。したがって過去の失敗を他山の石とすることで、失敗は予測、防止できる。他産業の工場での事故の記事を新聞で読んで、自分の工場で事故の対策をすぐに実施した工場長の例が印象的であった。
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アナロジーにはなぜ快感があるのか‐『失敗は予測できる』
http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20090704/1246666981
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実際に起こった事故を例に出しながら検証している点はおもしろいが、導き出される結論が一般的すぎるというか退屈というか。
失敗というのは過去の失敗の類似であり、学習せんといかんなというのは事実。
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[ 内容 ]
人間、生きている限り、自分の周りに失敗はツキモノである。
失敗は、多くの人が命を落とす大事故に至る失敗から、たとえば酩酊して財布を落とす失敗、入社試験に落ちるような日常的な失敗まで、挙げればキリがない。
しかし、ある失敗は別の場所で起きた失敗と何らかの類似性がある。
本書は、過去に起きた豊富な失敗例を挙げながら、類似性に気づきさえすれば失敗は予測できることを示す。
また、失敗を予測するだけでなく、失敗を回避する方法、もし失敗してしまったときの対処法なども考える。
さらに、昨今の日本社会の急激な変化に伴い、今まであまり公にされることがなかった、企画・開発時に起きる「隠れた失敗」にも目を向ける。
[ 目次 ]
第1章 失敗は予測できる(安全の基準 失敗は似ている 失敗から連想する 失敗の原因 組織の失敗シナリオ)
第2章 失敗は回避できる(失敗回避の落とし穴 打開策 失敗の事前対策 失敗後の後始末 二重事故を防ぐ 失敗のワクチン)
第3章 失敗から逆転する(失敗から成功へ 成功にもしくみがある 設計の思考過程 思いを言葉にする エイヤーッの失敗 別の答えを見つける)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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失敗に陥る人間の思考のメカニズムが色々乗っており考えるネタとしてかなり重宝する内容でした。他国でも色々ニュースで取りざたされていますが、安全は金でなかなか表現しずらため、コスト削減で燃える相手に安全対策を入れる説得をするのはかなり骨。こういった際の対抗理論用としても使えるなと。
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様々な事例が記載されていて面白かったが、抽象化・理論体系化して幅広く使えるようにするには?なところもあった。
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第1章は、新入社員全員に目を通させておきたい内容。
だんだん尻すぼみ。
”失敗のシナリオはいくつかのパターンに類型化でき、それによって「失敗は予測できる」ことを説明していこう。”
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「失敗学」を幅広い読者向けに平易に書いた新書。
実際の事故等を例に挙げながら、失敗の要因、回避する為の対策を解説している。
特に失敗のシナリオが41個に集約できるという点に興味を持った。
もう少し専門的な本でその内容を学んでみたいと思う。
私自身がエンジニアなので、こんなパターンで失敗した・・・
などと楽しく読めた。
ただ、一般的に理解されやすいかは少し疑問である。
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2011年3月9日のブログから。
http://jqut.blog98.fc2.com/blog-entry-1173.html
「失敗は予測できる」という本を読みました。
結構、話題になった本だと思います。著者の中尾政之氏はエンジニア的な観点から、徹底的に過去の失敗を分析されています。そうすると失敗の要因は見事に類型化されて、世の中にはもはや新しい失敗など起こり得ない、逆にいえば失敗はすべて予測できる……、と断言されていますが、本書を読んでみるとなるほどそのとおりかもしれないと感じてきます。
本書の中で、技術的な要因による失敗に加え、組織的な要因による失敗についても分析がされています。
「組織の失敗シナリオ」としては、以下の5つが抽出されるそうです。
①コミュニケーション不足
②安全装置の解除
③企画変更の不作為
④倫理問題
⑤企画不良
「③企画変更の不作為」とは、一度決めた方針があきらかにおかしいと誰もが思い始めてもストップをかけることができずに突っ走ってしまい失敗を拡大することです。「⑤企画不良」は企画自体に問題があるということです。「②安全装置の解除」は安全装置を十分に準備しながらもそれを活用しないケースです。現場の効率重視の姿勢や従業員のモラルダウンがこれを招きます。コンプライアンス指針を守らないというのもこれに入るかもしれません。
それにしても最大の要素はやっぱり「①コミュニケーション不足」でしょう。②~⑤のシナリオもこの①との合併症のケースがかなりあるのではないでしょうか。人が2人以上で仕事をする場合、必ずこの危険性があります。
さらに著者はこのシナリオ「①コミュニケーション不足」にもいくつかの典型的なパターンがあると分析をされています。
①他人依存・同意体質……誰かがやるだろうは誰もやらないと同じ
②自信過剰・ワンマン……その道のプロである私の判断が正しい、すべてはオレが決める
③情報遅延・誤判断………現状がわからずに遠隔操作していた
④齟齬多発…………………伝えなければならない人が多かった
⑤干渉発生…………………効率的に仕事をしたつもりが干渉していた
これらはいずれも少人数のフラットな組織で顔をつけあわせて仕事をしていれば回避できるものでしょう。これが組織の難しいところです。
本書ではこれらのことが豊富な事例とともに紹介されます。事例の多くは、私たちがニュースで聞いた覚えのある事件です。その意味では納得感をもって読み進めることができる良書だといえます。
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失敗をどう回避するか?
→失敗が起きる前に作動する第三構成要素をあらかじめ構造の中に埋め込んでおくことが大切
特殊な課題で具体的な解が見つからない場合、似たような状況下における有効な知識、一般解を探して自分に当てはまる設計解、特殊解を導き出さなければならない
そのために抽象化、上位概念に昇る
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人間は失敗する。しかし「失敗した」で終わるのであればまた同じことを繰り返すであろう。しかし本書では失敗を原因や構造で分けその本質を指摘し、また本来失敗とは言われていなかった隠れた失敗をも挙げ、それらの失敗から学ぶ点を挙げている。人間はこれまで多大な犠牲を出しているにもかかわらず同じような失敗をくり返している。特に最近は企業や組織に対する責任論がある一人のトップ層などに責任を取らせてそれで終了という流れもよく見る。本来はその失敗から次は起こさせないというセーフネットの設立や制度の補充が必要なのに結局意識喚起だけで数年に同じような事故がまた起きるということも珍しくない。失敗の経験をうまく活用できる社会についてすごく興味を持った。