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- 税込価格:29,920円(272pt)
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商品説明
古俗と聖性の土地から都市へ、性と出産、関係の失墜、狂気の進行…。崩壊の発端を細密に描いた初期長篇3部作の第2巻「栖」、人間の関係の迷路をめぐって生の闇を暴く短篇集「椋鳥」を収録。角田光代による解説も掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
栖 | 5−178 | |
---|---|---|
栖 | ||
肌 |
著者紹介
古井 由吉
- 略歴
- 1937年東京生まれ。東京大学独文科修士課程修了。71年「杳子」で芥川賞受賞。83年「槿」で谷崎潤一郎賞を、87年「中山坂」で川端康成文学賞を、90年「仮往生伝試文」で読売文学賞を受賞。
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紙の本
「栖」は芥川賞を獲得した精神を病んだ女性を描いた「杳子」の延長線上にあるともいえる作品
2021/12/17 22:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
古井由吉という人はもっと誰もが知っている作家として評価されるべきだと私は思っているのだが、読書好きの人でないとこの人の名前はあまりというか全く知られていいないように思う、残念だ。「栖」は芥川賞を獲得した精神を病んだ女性を描いた「杳子」の延長線上にあるともいえる作品だ、佐枝は自意識過剰で誇大妄想がある危うい女だと思っていたが、やはり最後は壊れてしまった、その佐枝を見守る岩崎は初めは薄情そうに私には思えて、そのうち、佐枝を棄ててしまうのだろうと思っていたが、どうしてどうして最後まで佐枝とこどもを守ろうと頑張る、何か岩崎まで精神病になってしまいそうな様子だが。そして「椋鳥」は8篇の短編からなっているのだが、槇島という男とその娘(彼とは血がつながっていない)が強烈な印象を残す「親坂」と、なんだか奇妙な男、鳥山が登場する「牛男」が特によかった
紙の本
森羅万象を無慈悲に切断するメスの純白のきらめき
2012/12/30 10:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
本巻に収められたのは一九七九年刊行の「栖」と八〇年の「椋鳥」の長編二作である。長編というてもそのおのおのが六から八つの短編小説から成り立っていて、ある意味ではそれぞれが独立した小説世界を構築していると評してもよろしい。
結ばれた数珠の一つひとつに男と女の激烈な戦いともたれあいが透けて見えて、また似たような男女が繰り広げる似たような悶着が繰り拡げられているとなりの透明な数珠に繋がってゆく。
鎌のような月が冴えわたる真夜中に繰り広げられる四畳半の密室に閉塞した男女の交合といさかい。なまぐさい口臭や肉と生理のおぞましい叛乱の気配が夜のしじまに漂うのだが、朝になればなんの残骸も痕跡も留まることはない。これは荒涼とした都会に生きるのぞみのない男女のいつかどこかで見たような、もしかすると若き日の私たち自身の姿だ。
されどこのような地獄の蝮のごときからみあいの意味について君は深刻に考える必要はない。これらの文章は所詮は読んで楽しく面白い単なる読み切り小説なのだから。
それにしてもここで古井由吉が駆使している日本語の切れ味の鋭さよ。私は思わず尻の穴から忍び入って大腸の無数のポリープを無慈悲に切断するメスの純白のきらめきを思った。
古井由吉撰集パタリと閉じて思う男の妄想の凄まじさ 蝶人