紙の本
鬼と少女の千年記
2013/02/16 01:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:1103 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人鬼になってしまった少女「たみ」を救うべく、時空を超える鬼の話。
「たみ」が様々な人間に生まれ変わっていき、
「たみ」が負ってしまった業を、赤鬼が浄化していく。。。
生まれ変わった「たみ」と、過去を遡って見ることのできる赤鬼の
各時代における短編としても楽しめるし、
「たみ」の負ってしまった悲しすぎる業を追う長編としても十分面白い。
ちょっと泣きたい人にオススメです。
ラストは必ず心揺さぶられるはずです!
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小鬼の純愛。
人前で読んではいけない。涙必須。
子供たちにも読ませたいなと思った。
黒鬼のキャラもなかなかいいんだ。
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西條奈加先生、新横浜三省堂書店(@sinyok_sanseido)さまに、感謝。
なんかもう、発想が全然違ってびっくり。
そして、全然誰も救われてない、報われてないのに明るくてほわっと気持ちいい結末にまたびっくり。
なにこれ、なにこれなにこれ。
不思議なお話でした。
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友だちになった小鬼から過去世を見せられた少女は、心に“鬼の芽”を生じさせてしまう。小鬼は彼女を、宿業から解き放つため、千年にわたる旅を始める。
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「三粒の豆」 「鬼姫さま」 「忘れの呪文」 「隻腕の鬼」 「小鬼と民」 「千年の罪」 「最後の鬼の芽」
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心に鬼の芽を宿している人に近づき、小鬼が過去世を見せて、鬼の芽が芽吹く前に心のしこりを取り除いていくという連作短編集である。ところどころに出てくる「民」とは誰のことだろう、という疑問は、「千年の罪」で明かされ、小鬼の振る舞いのわけに納得するのである。命がけで長い長い淡い恋心の物語でもあり、切なくあたたかな心地にもさせられる。小鬼の千年と、民のこれからの千年をじっと見守りたくなるような一冊である。
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そっか、「千年」の「鬼」というタイトルはこんな悲しいお話を根底に持っていたからなのか…。 清浄な森の中にしか住めず、人の過去を見せてくれる小鬼が三匹・・・。
その過去によって救われる人間の物語と、段々に弱って行く小鬼たちという二つの流れが興深く、さくっと一気に読めました。
ただ、実はメインとなる、「千年」というキーワード。うんうん、そうだったのか、と思いつつ、なんかちょっと芯となるには弱いかな、なんて。
人の心に発生する「鬼の芽」の扱いも面白いものではあったけど、邪悪な心を持つゆえに芽が出てしまう、というわけではないのだ、という設定が、少々、説明過多とも思えたし、可哀想な方向に持っていこうとしている意図が気になった・・・なんて、ゴメンなさい、偉そうだけど。
好きな作家さんなので、もっと面白くなったはず!と欲張りになってしまった読者でありました。
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長い贖罪の後、最後にほんの少しの希望が残っている・・・。という印象の作品でした。
時系列がバラバラなため、一度読んでからもう一度読むことで二度楽しめた。
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哀しいけれど、希望のある本です。
悪鬼とは、人が鬼になったもの。鬼の芽をその身に宿した少女・民は、人鬼と化してしまう。
だが、民と一緒に弟探しをしていた小鬼は、自分の命を削っても、民を救おうとする…。
人は誰でも鬼になってしまう要素を抱えているんですね。
哀しいけれど、小鬼と民のまっすぐな思いに、じんとしました。
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「本とも」にシリーズで掲載されていた作品を加筆修正したもの。
七編からなる物語の前半四話では、時代は変われど、憎しみや苦しみなどの不幸ゆえに鬼の芽を持ち始めた人間が登場。
その人鬼になりかかった人間に対して、過去の世を見せられる力を持つ三匹(三人?)の子鬼と時代を跳梁する力を持つ黒鬼が絡んで、鬼になるのを踏みとどまらせる話が続く。
後半の三編にわたり、彼らがなぜ鬼の芽を持つ人間を探し求めているのか、千年に渡る黒鬼と子鬼の因縁が明かされる。そもそもの始まりから、長い時代を超えた苦難の旅とその行く末が語られていく。
まあ、なるほどとしか思えない感想。人が鬼になる因縁はその心にあり。西條流の天国、地獄の解釈はやや仏教的だが、独特のもの。
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物語としては王道的な意味で★4、容量としては物足りないので★3で3.5という気分。きみの魂のために、千年かけて罪を濯ぐ。
黒鬼の手癖の悪さがクセになる。
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人は、己の犯した罪を恥じ、それに耐えかねると 鬼の芽を生じさせる。その芽がはじけると、人は「人鬼」となってしまう。「人鬼」になると手当たり次第に 人を殺し続け 二度と正気には戻れないまま死んでしまう。
森に住む小鬼は、人間の少女 民に出会い、一緒に行方不明になった弟を探すが、見つからない。鬼の過去見の術を使って過去を見せてたことによって、民は自分の罪を恥じ「鬼の芽」を生じさせ、その芽がはじけ「人鬼」となってしまう。「人鬼」と化して死んだ民は、千年の間、生まれ変わるたびにだれかの身に「鬼の芽」を生じさせてしまう。そんな民のために、小鬼は自分の身を削り その「鬼の芽」を摘み続ける。
いろんな時代に出会う人間は、憎しみや悲しみなどの不幸を抱え「鬼の芽」を持ち始める、その芽がはじけるのを踏みとどまらせるための小鬼の話。
優しくもの悲しいファンタジー
この世界観と小鬼の優しさが好きです。
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人と鬼との関わりが温かく描かれている。胸が痛くなる話もあるが、決しておとぎ話としては終わらせないリアルな世界がそこには在る。
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小鬼は時を超えて追い続ける。少女の笑顔をもう一度見るために。
短編が7つのようでもある。1話1話はそれぞれ、心に黒い澱を抱えてしまった人の物語である。だがその短編をつなぐ一本の糸がある。それは千年の時を渡る「思い」である。
1匹の小鬼が、あるとき、1人の少女に出会う。
小鬼は少女と楽しい時を過ごす。しかし小鬼は、それと知らずに、少女の心の澱を露わにしてしまう。その結果、少女は過酷な運命の手に囚われる。
小鬼の一途さ。少女のいじらしさ。
2人を見守り、手助けする黒鬼は、邪慳なようでいて、よい「兄貴分」である。
天上界と人との関わり、過去を見せる過去見の術など、舞台装置もなかなか楽しい。
挿絵のかわいらしさも作品によくあっている。
総じて、温かい涙に浸れる佳作だろう。
以下は野暮かもしれない。が、個人的には瑕疵に感じられた。
・大元の事件は大変痛ましいが、実感を持って読めるかというとなかなか難しい。現代人も抱える悩みであれば、より説得力が増したような気がする。
・それぞれの話の時代設定が曖昧で、最終話を除いてどの話がどの時代なのかよくわからない。それもあって、千年の時の流れを感じにくい。ファンタジックでそこがよいのかもしれないが、ややぼやけた印象も受ける。
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百年法の次は千年鬼w。
人の無垢な心にいつの間にか棲み付く罪の意識が
いつしか鬼の芽となる。
切ない話ばかりなのに
読後感は哀しいばかりではないのは
それでもなお想う気持ちに希望を感じるからか。
【図書館・初読・8/9読了】
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人にやさしくしてもらったお礼に。その人の一番見たい過去を見させてくれる三人の子鬼。それぞれに、いろいろな思いを抱いている人たちが、その原因となった過去を知る事で現世の不安や怒りを吐き出す事ができる。その時吐き出した塊が鬼の芽で、子鬼たちは鬼の芽を集める事が仕事。
鬼に出会った事で、心優しくなれるというハートヲーミングな、時代物のファンタジー。短編集です。
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表紙がかわいい~~~!
色合いがやさしくてあったくて楽しそう。
しかも千年鬼、タイトル、かっこい~。
どストライクだ~っと思って手に取る。
西條さん好きだし。
で、読み終わって、涙。
せつない~~~~!!
うう、小鬼も民もせつなすぎる~~~~!
鬼の芽ってなんなんじゃ~。
2人はなんにも悪くないのに~。
無垢な者が知らず犯した罪が鬼の芽となり、やがて破裂し人鬼となる。
哀しい、哀しい、摂理だ。
でもそれを小鬼は打ち砕いた。割れ砕かれた、鬼の角。
どうか、どうか千年の後、民と小鬼が笑って再会できますように。
そう祈らずにはいられない。
で、結局彼らは皆民の生まれ変わりだった、とゆーことだったのね。
どーして彼らが鬼の芽を集めているのか、結構後の方に分かったので、
読み終わって、ぐるりと一周まわって納得した感じ。
ひとつひとつのお話は、みんないい話。
鬼姫の話は結構弟が話すまで全く予想してない展開だった。
なるほど、そーゆーことか、と。
最後の姫のセリフがなんか、いい。
で、話の前に歌の文句のような文が数行あるんだが、
これがまた雰囲気があって素敵だ。
そうそうブリーチのコミックの最初のページにいっつも素敵な詩のような
文があるんだか、あーゆー感じ。メッチャ好きです。
さて、黒鬼の望みがかなえられる日はくるのか?
意外といい奴で、小鬼のために望みを変えてくるかと思いきや、
そこはなかった、な。
まあ、らしい、といえばらしい。
隻腕の鬼の話は結構衝撃的で、
その覚悟に頭が下がる。
諦めてはだめなんだ、諦めたら鬼の芽に流されてしまう。
でも鬼の芽はきっと誰の心にもあるものだ。
それを一生芽吹かせずに生きられるか、
人鬼となるか。
なにも角を生やし人を殺すだけが人鬼ではないだろう。
誰かを踏みつけ、傷つけ心を殺す鬼が、それを楽しいと思ってしまうような
鬼の心がきっと誰の中にもある。
千年、誰かを想うこと。
そんなことが本当に、できるだろうか?