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紙の本
鷺と雪 (文春文庫 ベッキーさんシリーズ)
著者 北村 薫 (著)
昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」ほか、華族主人の失踪の謎を解く「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探...
鷺と雪 (文春文庫 ベッキーさんシリーズ)
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商品説明
昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」ほか、華族主人の失踪の謎を解く「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探る「獅子と地下鉄」の三篇を収録した、昭和初期の上流階級を描くミステリ“ベッキーさん”シリーズ最終巻。第141回直木賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【直木賞(141(2009上半期))】【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
不在の父 | 7−89 | |
---|---|---|
獅子と地下鉄 | 91−166 | |
鷺と雪 | 167−271 |
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著者/著名人のレビュー
昭和初期のお嬢様英子とお付きの運転手ベッキーさんシリーズの完結編
ジュンク堂
昭和初期のお嬢様英子とお付きの運転手ベッキーさんシリーズの完結編。
華やかな上流階級の世界の描写から昭和11年2月の幕切れまで、
ミステリー的楽しみだけでなく、時代に巻き込まれていく主人公たちを思うと切なくなります。
書店員レビュー
直木賞受賞作です。 ...
ジュンク堂書店吉祥寺店さん
直木賞受賞作です。
昭和初期を舞台の日常の謎ミステリなのですが、軽い読み物にはなっておらず、優れた時代背景描写はさすが北村薫!と思わされます。ミステリとしては他のシリーズに比べると少々正直物足りないなと感じてしまったのですが・・・ラストで唸らされました。
シリーズ物の三作目にあたるので、未読の方は一作目の「街の灯」を読まれることをお勧めします。
文庫担当
紙の本
三部作、見事な完結
2012/02/10 01:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さとる - この投稿者のレビュー一覧を見る
両家の子女である英子が、お付の運転手ベッキーさんとのやり取りを通じて身の回りの謎の真相に気付いたり、世の中のことを知っていくことで成長していく物語三部作がついに完結。
作中の時間はゆるゆると、しかし確実に進んでいき、二作目で確実に迫りくる動乱の時代の影を落としていた。そしてシリーズラストで決定的な一件へとつながりを見せるわけだが、その衝撃に言葉を失った。
そういう時代がきていることはわかっていた。それでもまさか、あのような形で英子にもたらされるとは。
しかし、著者はそのラストシーンの元となる一文こそが初めにあったのだという。
辿り着くべきところに辿り着いた物語なのだろう。
そして、そこに辿り着くまでに英子が得た経験は、恐らくこのラストの先へと彼女の道を繋げていくのだろうと読者側は信じることが出来る。
北村薫氏の文章は、普段読み散らかしている文章はなんだったのかと思ってしまうほど端整でいてそしてしなやか。日本語の美しさと深さを感じる。
英子の物語も、またそうなのだろうと思う。
良い作品と出会えた。
紙の本
この大団円のためにすべてがある。北村薫の傑作「鷺と雪」。
2011/11/22 16:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
北村薫が直木賞を取ったこの「鷺と雪」はいわゆる「ベッキーさんシ
リーズ」の第3作で最終章だ。僕は1、2作目を文庫で読んでいたのだ
が、その受賞が不思議だった。いや、このシリーズはすごくおもしろい。
しかし、3作目で何で?という気がする。まぁ、北村さんは直木賞ぐら
いとっくの昔にもらっていい作家なのだが。さて、問題の「鷺と雪」、
文庫になったので早速読んだ。なぁ〜〜るほど!納得。これは直木賞だ
わ。「鷺と雪」の大団円から1、2作目を振り返ってみれば、このシリ
ーズが昭和初期の上流家庭を舞台にし、主人公が良家のお嬢様という設
定の訳がよくわかる。このラストのためにすべてはあったのだ。ううむ、
北村薫、やっぱりこの人はスゴい!!!
こういう人びとの話、伯爵だとか男爵だとかが出て来る話に拒絶反応
を示す人もいるだろう。僕もそれがなかったわけではない。とはいえ、
物語はおもしろく、男まさりで正体不明の女性運転手ベッキーさんの魅
力と彼女の謎解きの見事さで決してあきることはなかった。2作目では
彼女の正体も明らかになる。そして、この3作目。3つの話が収められ
ているのだが、1話2話ともベッキーさんはそれほど活躍はしない。た
だ、不穏な空気が強く漂い始める。そして、ラストの3話目。たわいの
ない写真のいたずらの話、と思いきや、最後の最後で見事な切り返しを
見せる。ベッキーさんと軍人である勝久との魂と魂の会話、ベッキーか
ら令嬢英子へのメッセージ、そして、奇跡の電話(これについては解説
をぜひ読んでください)、最後の一行にたどり着くまでの展開が本当に
本当に素晴らしい。これはぜひ、1作目の「街の灯」からじっくりと読
んでもらいたい。この圧倒的なラストに向けて。
紙の本
直木賞受賞作だが、シリーズ全体で受賞したと思いたい。
2017/12/24 20:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「街の灯」「玻璃の天」「鷺と雪」の三部作である。
それぞれ三篇ずつ短編が収まり、全体で九編の連作である。
ミステリー要素だけに限れば、それぞれの短編が独立しているので
どこからでも読める。
しかしこれは、ミステリーという箱に入った「わたしとベッキーさん」の
物語なのである。受賞作だけ読んだのでは、シリーズの持つ世界に
入れず、実にもったいない。
ちなみに、わたしは受賞の時から文庫本発売まで待っていたので、
先行の二冊は二年弱積読をしていたことになる。
我が家の本棚の長老であっただけに、感慨もひとしおである。
「街の灯」は、あいさつ代わりの短編集だ。
昭和初期が舞台でお嬢様である「わたし」の登場で幕を開ける。
最初の短編は「虚栄の市」。上流階級の日常を振り出しに、
何かを暗示する内容だ。シリーズの世界観を表してもいる。
「玻璃の天」は、中盤の支えとなる物語が多い。
そして深く心に突き刺す短編が入っている。
華やかな上流階級に呼応するように、軍国主義の陰が
ちらつき始める。いくつか印象的なフレーズがあるが、
ネタバレになりにくいものを引用する。
> --- 神っていうのは、限りなく無力で、哀れなんだろうな。
> だからこそ、その悲しみを知る目で、人を見つめる。
> --- そういう目で見つめられるから、人は救いを
> 感じられるんじゃないかな」
斬新な考え方だ。わたしは神は全知全能と聞いてきた。
尊敬対象としてはそれでいいのだが、両刃の剣のように、
神にすべてを依存する心を生みだすのかもしれない。
依存は本来あるべき姿とは違うはずだ。
神は心を救ってくれるもの。
ムラ文化の助け合いで育った日本人には、北村薫さんの書く
定義の方が、すっきりと心に染み入る気がする。
個人主義の国の人たちと、農耕民族であるわたしたちとは、
理解できる表現が違っていてもおかしくない。
目指す結果は同じはず。そんな文化の違いを感じて感嘆した。
ところで、この表現は北村薫さんオリジナルなのか、
興味が湧くところである。
「鷺と雪」は、シリーズのしめくくりだ。
最後の解説にもあったが、やはり最終の短編というゴールがあって
書き出しているらしい。ミステリー作家らしい、プロット重視の
組み立て方だ。
上流階級を舞台としているだけに、少しとっつきにくいが、
格調高い文章ともいえる。特にシリーズ後半から、意図的に
庶民の感覚が投げ込まれ、独特の対比をみせる。
何にせよ、せっかく読むのなら三冊積んでからスタートすることを
お勧めする。
紙の本
ベッキーさんシリーズも完結。
2020/08/09 22:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
深窓の令嬢・花村英子と彼女のお抱え女性運転手「ベッキーさん」シリーズの完結編。昭和10年の春の頃から翌11年の2月まで、英子の女学校最終学年の日々の話であるが、さらに上の学校に進学をする彼女のまなざしは外に向かい、ココロざわめく。
それは、大正時代から続く短いのどかな時代が昭和に入って少しずつ気づかないような速度で、きな臭い方向へと動き始めたことゆえでもあるし、さらに、英子自身の成長とともに見えてきた、国の貧しさもかすかな理由となっているのかもしれない。いつものように、殺人事件などは起こらないけれど、謎をとおして「時代の流れ」にしっかりとリンクしてゆく様が、いつものように清々しい。加えて、名門女学校の最高学年になった英子たちの修学旅行が興味深かかった。
紙の本
電子にならないかな
2020/09/25 12:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:apple2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初の1巻、2巻目くらいまでは楽しく読んでいました。
世間知らずで無邪気なお嬢様に、影のように添う文武両道の麗人ベッキーさん。
日本史はからっきし、なもので伏線にも気づかずに。
最後に2.26事件に結び付き、何とも言えない不完全燃焼さの残る読了感でした。
誰も幸せにならない……第二次世界大戦へと続く暗い時代を思わせる終わり方でした。
それなのにふと、また読みたくなる作品なのです。手元にないので、電子にならないかなぁ。