紙の本
ハードボイルドミステリSF?
2018/01/17 22:07
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投稿者:ティタレンコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
22世紀を舞台にしたハードボイルドミステリ。SFには詳しくないけど、たぶんSF要素は薄め。どちらかというと、ミステリ要素のほうが強いと思う。(たぶん)本作にでてくるあるオーバーテクノロジーは、「魔法」でも交換可能のような気がする。物語の推進力はあるので、時間に余裕のある読書計画を(笑)
紙の本
意外にも読みやすい
2017/12/31 11:34
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウルフの作品の中で一番読みやすかった。何が真実で何が嘘なのか二転三転するミステリの常道を押さえつつ、奇態な設定と奇天烈な主人公のキャラで引っ張る。主人公のしゃべり方に惑わされるんだよなあ。読み終わったあとも、何か重要なとこを読み逃しているような気がしてならん。老人の小便のよう。実際、未回収の伏線があるような気がするが、読み返すには気力が足らん。
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人口が十億人にまで減少した未来の世界のニュー・アメリカ。
亡くなったミステリ作家の複生体(リクローン)は
図書館の書架を住処として
希望者に貸し出されるのを待つ、蔵書ならぬ「蔵者」だった。
ある日、コレットと名乗る女性がやって来て彼を連れ出し、
生前の著書の中に重要な秘密が隠されていると告げた……。
――というディストピアSFミステリ長編だが、
予想外に肩の力を抜いて楽しめた。
文明批判の一種には違いないけれども、
凝った「騙り」の多いこの作家にしては、すっきりしたストーリーで、
入門者にもとっつきやすいかもしれない。
随所で様々な先行作品のイメージを喚起する言葉選びが
なされているのも楽しい。
売れっ子ミステリ作家の若かりし日のコピーで、
顔は晩年のイメージに合わせて改変されているが、
内面はナイーヴな青年のままだし、
目覚めてからずっと図書館で暮らしているため世事に疎い、
賢いけれど非力な男が外に出て奮闘する様が愛おしい。
途中からバカSF風味(!)が入ってくるけれど、それも含めて面白い。
映画化したら、上質なサスペンスが後半でB級ホラーっぽくなって
脱力すること必至と見た(笑)。
ラヴクラフト「ランドルフ・カーターの陳述」をご存じの方は、
Q.“こちら”と“あちら”で携帯電話での通話は可能か
A. ドアが開いていて電波が届けば
といった問答でニヤリと笑うこと請け合い。
ところで、この作品中にも "island" "doctor" "death"の三語が
浮かび上がるのだなぁ。
『デス博士の島その他の物語』を再読したい……。
結末の主人公の選択は……どこの誰とも知れぬ「あなた」に向かって
この物語を綴るためだったのかもしれない、そんな気がする。
それにしても、80歳を過ぎても
こんなに瑞々しい小説を発表できる作家とは!
普通は年を取ると気力・体力が衰えるので、
アイディアが湧いても作品を完成させるのは――特に長編は――
厳しいと思うのだけど、驚嘆の至り、そして、惜しみない拍手を!
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ジーン・ウルフの最新作。
SFというよりもミステリ、中盤以降はハードボイルド的なミステリに変貌する……という衝撃。まさかジーン・ウルフのハードボイルドが読めるとは思ってもみなかった。
それ以外にも様々な仕掛けが仕込まれていて面白い。『難解』と評されることも多いジーン・ウルフだが、本書に関してはかなり取っつきやすいというか、エンタテインメント性を重視した仕上がりになっていると思う。
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SF。ミステリ。サスペンス。ハードボイルド。
主人公が推理作家の複生体(リクローン)というSF設定。この設定を説明する最序盤から既に面白い。
ミステリとしては、推理よりも、とにかく調べて回っていた印象。主人公の落ち着いたキャラクターもあり、ハードボイルド感が強い。
個人的には、ミステリとしてよりも、SF要素が好みだった。
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ミステリの雰囲気で始まり、ハードボイルドになり、さらにSF色が強まって、不思議な読後感でした。作者は同じ設定で新たな作品を書くそうで、楽しみです。
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タイトルと設定に興味を持った。作家の複製体が図書館の蔵者として書架に住んでいるって‼内容はハードボイルドなSFで、とまどった部分も…。
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図書館の書架に住む蔵書=蔵者としての主人公。ていう突飛な設定の割に意外と横道なハードボイルドミステリ。
面白く読めたけど、ジーン・ウルフってもっとぶっ飛んでなかったけか。ミステリとして楽しんじゃった分、あんまり読めてないのかも。
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未来の話で、SF絡みで、けれど不思議と没頭できました。自分の身近な世界のように。正直、設定に無理があるような気もしますが、単純に楽しめました。また、続きがあるのなら読みたいですね。
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図書館で借りた本。
しまった!SFであったか。というのが最初に抱いた感想でした。想像力が乏しいからか、SFは苦手なんです。とはいえ、読み始めてしまったので、最後まで読了。主人公が図書館に蔵書されているヒト。元作家の脳をスキャンして作られたヒトなのだろうか。ある日、この作家を借りたいという女性が訪れ、二週間駆り出されることになった。この女性は父を亡くし、最近兄までも何者かによって殺されてしまったのだという。兄が父の遺品のなかで見つけた本がカギを握ると考え、その本の作者である作家を借り出したのだという。
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おもしろかった。
素敵な表紙に中世ヨーロッパぐらいの探偵ものを予想すると、まさかの未来設定。
図書館に住まう主人公は
デジタル移植でつくられた人間扱いされない、人間。
生きたデータとして、貸し出され、不要となれば廃棄もありうる、と。
いやあ、ほんっとすごい設定。
そしてとある女性に貸し出されたことから、始まる事件。
これはどーゆー展開に?と思いつつ読んでいたら、
なんと屋敷に別の惑星に通じるドアが、とまたまたとんでもない設定が!
あれ、なんかSF系なの?とか一瞬戸惑う。
なんだか先がみえず、どうなってんだー?っとくらくらしてたら、最終的には身内のごたごただっただと~!
っと、いやあ、最後の最後まで飽きさせないなあ。
にしても、結局、実年齢としては彼はいくつなのだろう?
最初っから、元の人間が死んだときの年齢にされるのだったら、クローニングされて、数年ってこともありうるんだよなあ。
なんかぶっとんだ設定なわりに、主人公の語りが、
落ち着いている、とゆーか古めかしい
(いや、それは脳が過去の人のものだかららしいんだが)
ので、ぶっとび感が緩和されてちょうどいい感じで読めた。
よく考えると海外SF系はいつも途中挫折するんで、
最後まで楽しく読めてうれしい。
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図書館の蔵書は借り出されることを待っているか? きみが来るのを待っているんだよなんて童話がありそうだが、では、図書館の蔵者はどうか。
待っているのである、借り出されることを。
舞台は何百年か未来。図書館の書架には小説家や芸術家のクローンが暮らしている。彼らは生前のオリジナルから脳スキャンで採取された記憶がインストールされている、作家の複製なのである。彼らは閲覧されたり、借り出されることを待っている。あまり借り出されないと焼却処分となるからである。
さて、わたしは少し身構えながら本書を読み始める。ジーン・ウルフの小説、何が仕掛けられているかわからないからだ。しかし話はわりとスムーズだ。蔵者である「わたし」、E・A・スミスは『宇宙のスカイラーク』の作者ではなく、ミステリ作家だった。もちろん『火星のプリンセス』の作者でもないが、『火星の殺人』なんて本は書いたことがある。そんな「わたし」のもとにコレット・コールドブルックという美しい女性が来て、「わたし」を10日間借り出していく。
コールドブルック家は謎の多い一家である。コレットの父は投資家で一代にして巨額の富を得ているが、最近亡くなった。自宅には子どもたちを入れさせない秘密の実験室がある。母もすでに亡くなっているが風変わりな人物だったらしい。父が厳重に保管していたのは1冊の紙の本。金庫を開けてその本を取り出したコレットの兄は何者かに殺されてしまう。しかしその本はコレットの手に渡っており、彼女はその本に何か秘密が隠されているのではないかと考えている。そしてその本とは『火星の殺人』なのである。
「わたし」は図らずもコレットに付き添って探偵のような作業を始めることになるが、「わたし」だって自著に何の秘密があるのかはわからない。そこにコレットの兄を殺した者たちの手が迫ってくる。
「わたし」はE・A・スミスの一生分の知識を備えながら、しかしたいへん若く、日がな一日、書架で過ごしていただけの何の経験もない男。しかも真正な人間ではなく、人権もない。コレットが誘拐されてしまうと、「わたし」にはもうなすすべがなく、自分の所蔵館に戻るしかない、というのが、はじめのほうの展開。
さて、登場早々にウルフはコレットに「女は嘘つき」などと語らせており、話者であるスミスのオリジナルが生きていたのは一世紀以上も前で、世間のことも十分にはわかっていない。これは信用ならない依頼人のミステリか、あるいは信用ならない語り手のミステリか。
よく当たる投資家だったら、タイムマシンでも発明したのかなどと予測しながら読むが、『火星の殺人』並みの展開があることは保証する。ま、火星は出てこないが。
ウルフの小説にはいつだって含蓄深い言葉が埋め込まれているのだが、所蔵館へとトラックで連れ戻される途上、「わたし」はトラックの運転手をみくびっていたと思い、こう独りごちる。人が人をみくびるのは主として人が自分自身をみくびっているからだ、と。
原題は『借り出された男』。上記の設定を説明しないとわかりにくいので『書架の探偵』と訳したのはいい。しかし、「��架の探偵」のイメージは安楽椅子探偵である。書架ですべてを推理するのかというと、そうではなく書架から出るところから話は始まる。スミスは行動的である。特に自分を見くびっていたことに気づいてからは。
行動する探偵の一人称の物語とはハードボイルドなのが普通。しかしウルフはそれも裏切る。蔵者はオリジナルらしい喋り方をするように脳に調整がなされていて、「わたし」は、本文の描写によると「大学教授のような堅苦しい喋り方」をするのである。翻訳だとむしろ執事のようだ。それがこの「探偵」に奇妙な味わいを付加する。
オリジナルの生きていた時代から1世紀以上も未来の世界を歩きながら、文明論的な観点にもちょっと触れつつ、SF的な筋立てをへて、しかし最後はしっかりとミステリらしい謎解きになる。
そしてスミスは書架に帰る。書架に帰って次の事件を待つ。続編が予定されているらしいのだよ。高齢のウルフが蔵者にならないかぎり、いずれそれは読めるだろう。
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推理作家のクローンが書棚に置かれていて、たまたまその著作に関して起こった事件の当事者としてそのクローン(書籍)は借り出され事件解決に向けて活躍....
クローンが書架に置かれて借り出されるシステムとかの説明があまりに簡素で、普通の、ごく普通の探偵モノに思えます。
探偵モノとしては、まあ、普通に読めるんですが...
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署名から図書館が舞台の探偵小説かと思っていたが、なんと、探偵が図書館に所蔵されていて、文字通り書架に並んでいた。作家の遺伝子と記憶をもとに作られた複製人間。原題のA Borrowed Manが示すように、駆り出されて、探偵役を務める。設定はSFだが、ミステリとしても、しっかりとした構成になっている。
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亡くなった人のDNAと脳のスキャンで複生体として図書館の書架に住む蔵者が存在する世界。小説家のスミスは、コレットから借りだされた。スミスが書いた本を彼女が手に入れ、どうしても知りたいことがあるという。蔵者だなんて、なんという世界だ。蔵者のスミスが頭をひねり、いや体をかけて、コレットの知りたい謎を解く。