紙の本
むしろ「金融の歴史」といったほうがぴったりくる本
2016/09/12 19:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は“Coined: The Rich Life of Money and How Its History Has Shaped Us”お金での豊かな生活とその歴史がいかに私たち=人類をかたちづくったか、ということが書かれています。ミトコンドリア云々という生物学に始まり、価値の象徴として貨幣そのものを評価する見方:ハードマネーvs単なる計算単位としてのみ評価する見方:ソフトマネーであるとか、経済を市場経済と贈与経済に分類して、その具体例として日本のお歳暮やお中元、義理チョコの話も出てきます。むしろ硬貨や紙幣の写真は1枚も出てきません。それを知ったうえで本書を手に取られると、得るものがあるでしょう。
電子書籍
貨幣の本質を追及して欲しかった
2016/06/21 15:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sylvain - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史をさかのぼって貨幣の歴史を記述しているのであるが、何しろ冗長である。何々博士と何処に同行したとか、そういった記述は不要ではないのか。
著者が個人的に強い興味を持ち研究したことは分かるが、私には取材メモのように感じられた。
技術が確実に変化する時代の中で、貨幣の本質に迫ってほしかった。
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貨幣の「新」世界史 カビール・セガール著 生物・脳などの研究から考察
2016/6/5付日本経済新聞 朝刊
本書の原題であるCoinedは「貨幣の起源」または「貨幣の創造」とでも訳すべきか。著者は企業戦略を担当する実務家だが、本書執筆のきっかけは2008年の世界金融危機だった。危機の根本的な原因を知りたいと勉強を始めたところ、次第に金融システムの歴史や貨幣の起源などの文献を読みあさるようになったという。経済史、生物学、心理学、脳科学、人類学、宗教、芸術などあらゆる分野にわたる最近の研究を駆使して「貨幣の世界史」を語ろうとしている。
人類は協力すれば生き残れるチャンスが増えることを学び、その後、生き残るという生物学的な目標を達成するための象徴的かつ社会的な道具として貨幣を創造した。商品貨幣から硬貨や紙幣へと姿を変えながら、貨幣は次第に価値の「象徴」としての意味を持ち始める。貨幣の表面に描かれるようになった芸術的なシンボルは「人類の生み出した文明や文化の歴史について貴重な情報を教えてくれる一方、いまや国家の価値を象徴する手段として採用されている」という。
「お金は私たちを絶えず形作っているが、逆に私たちのほうも、お金を形作っていけることをシンボルは思い出させてくれる」という主張は正論だ。
著者は、最近発展しつつある神経経済学における実験によって、本人は自覚しなくても、報酬が期待されるとき人間の脳は具体的な行動を促すことが明らかになったと指摘する。その一方、お金の使い方が社会規範、文化的儀式、社会的信念などにも影響されることを見落としてはいない。日本における中元や歳暮などのような「贈与経済」の例に触れ、お金のやりとりが独特のギブ・アンド・テークの社会的習慣から生み出された可能性を示唆していて興味深い。
宗教との関係では、キリスト教もイスラム教も仏教も、お金が「多いほどよい」という経済的論理を退け、「足るを知る」という精神的論理を強調しているという。著者はその点に納得しながらも、「使い方さえ間違えなければ、お金は誰もが共有できる手段となり、人類の繁栄を促してくれる。矛盾するようだが、お金は他人と共有するために稼ぐものなのかもしれない」と一縷(いちる)の望みを託している。
本書にマイクロクレジットで有名なグラミン銀行創設者、ムハマド・ユヌス氏が序文を寄せているのはその点に共鳴したからだろう。実務家でこれだけの本が書ける人を探すのは難しいので、好意的に評価したい。
原題=COINED
(小坂恵理訳、早川書房・2100円)
▼著者は米ダートマス大などで学ぶ。現在は電子決済サービス企業ファースト・データの企業戦略担当。
《評》京都大学教授
根井 雅弘
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宗教がこぞって説く、富は少ないほど良い、足るを知れ の真意とは?
利益よりも損失の方を2倍近く重視する、これはいたって正常だ、
脳を研究する経済学者、神経経済学
脳が金融に関する意思決定を行うプロセスを学際的に研究する、
アメリカ造幣局が100ドル歯茎を1枚、コストは数セント、他の国がそれを手に入れるためには100ドル相当現品やサービスが必要、
イエス、山上の垂訓、キリスト教徒として生きるためのテンプレート、あなた方は、2人の主人、神と富とに使仕える事はできない、
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こんなに「買う価値のある本」に出会うのは久しぶり。素晴らしく地味な作業の積み重ねと、あらゆる視点からの考察が所狭しと羅列されている。
お金に関わる方とそうでない方両方にオススメしたい本。
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もう1週間経過しましたが、先日行われた英国でのEU脱退を問う国民投票がありました。当日(2016.6.24)オフィスで仕事していましたが、同僚からの中間結果を聞いて、事前情報との相違に驚きました。あっという間に確定情報となり、その前後から為替がものすごい勢いで動き出して、円がドルに対して1日で4円程度動いたのを記憶しています。貨幣の価値というのは、ニュース一つでこのように大きく変わるのだと実感できた貴重な一日でした。
この本には貨幣という観点から見た世界史が、カビール氏によって解説されています。貨幣の本質とは「債務」を明確にしたもの、というのは簡潔かつ明確な文言でした。これを満たすのであれば、貨幣が今後どのように変わっても慌てることがないかも知れませんね。
先週は短期間の上海出張でした。中国人との同僚と食事をしたとき、この2年間で、中国では現金はおろか、クレジットカードを使うことも少なくなってきたとのこと、殆どが「スマホアプリ」で事足りるようです。レストラン、コンビニだけでなく、露店での支払いも可能だとか。日本との違い(遅れ)に少々戸惑いながら帰国してきました。そのような私にとってこの本はとてもタイムリーなものでした。
以下は気になったポイントです。
・人類が大昔に誕生してから、現在の私達は800世代目に当たる、最初の600世代以上は洞窟で暮らし、活字になった文字を見るようになったのは、最後のほんの数世代である(p36)
・貨幣は、エネルギーの代用品として進化した可能性がある、塩は単なる岩塩から、食べ物を保存する手段へとなり、さらには、食べ物の調達量を増やすために必須のアイテムとなった(p47)
・もしも私達の最古の先祖に道具を創造する能力が備わっていたとすれば、別の道具である「言語」も持っていたとも考えられる(p61)
・食料を保存してから調理できるようになると、それをきっかけに先祖たちの胃袋は小さくなったと考えられる。他の霊長類を比較して、人間の胃袋は60%程度(p61)
・大勢の人たちが不動産購入をするのは、名目金利が低くなり、ローンを払う方が有利と推測するから。実際には、実質金利を考慮すべき(p84)
・ベネディクトによれば「お返し」には二つのタイプがある、一つは義務、これは自分が受けた恩を完全には返せない、もうひとつは義理で、これは受けた恩と同程度の恩を返す。義理には、仲間・親族など世間に対する義理と、自分に対する義理(体面・評判・名声を守る)がある(p126)
・結婚式、葬式は二度あってはならないので、贈り物のリボンは「結び切り」というユニークな方法(p127)
・一部の貸付金は、1年を360日とみなす60進法が採用されている、古代ギリシアでは10進法、古代ローマでは12進法に基づいて計算された、そのためギリシアでは利息が元本の10分の1=10%、ローマでは12分の1=8%が設定された(p132)
・イギリスでは1869年にようやく議会で、債務者救済法が制定され、債務による収監は禁止さ���た。イギリスからアメリカに渡った人達の多くは債務者で、債権者から逃げるのが目的であった。(p135)
・紀元前560-547年の古代リディアでは、金銀の交換レートは、金1グラムにつき、銀13.8グラム(p158)
・ラテン語の夜明けを意味する auroraは、金を意味する aurumと同義語で、元素周期表では Auと表現される。(p174)
・世界には170種類以上の通貨が存在するが、通貨取引の85%には米ドルが関わっている。貿易財の価格は、アメリカが取引に参加していなくても、ドルで設定される(p183)
・農民やポピュリスト党員などの債務者は、銀と金による複本位制を提唱した、貨幣供給量が増えるので。債権者は、貨幣の価値が高まるので、金本位制を望んだ(p211)
・欧州数カ国が戦時中に金本位制から離れたのは、戦費を調達するための紙幣を印刷できるため、終わると戦前の成功の再現を目指して、金本位制が復活する。しかし、これは他の金貨との交換ができない(金の延べ棒としかできない)偽りの金本位制であった、アメリカは古典的金本位制を残して、ドルは金と交換された(p212)
・1933年にアメリカは、全ての金貨、金塊、金証券(宝飾品等な一部例外)を、1オンス=20.67ドルで政府に差し出すように命じて懲役刑もあった。1934年に制定された金準備法で、1ドル=35ドルとして、ドル切り下げをした(p215)
・アメリカの動きに対抗して日本は円の変動相場制を採用すると、7%の円高となった。これに10%の追徴税を加えると、アメリカで販売される日本製品の価格は、17%も跳ね上がった(p219)
・イワカアワーには6つの通貨単位があり、1アワー=10ドル、13万ドル以上のアワーが流通している。最も注目すべきは、アワーでの融資には利息が付かないこと、利息を支払うために借金を重ねる必要がない(p241)
・世界の金融機関が破たんしても、5つのアイデアのどれかが採用されるだろう。金属貨幣への回帰、現金利用の増加、物々交換、公共財としての活用、仮想通貨(p249)
・決済関連企業が何百と立ち上げられたが、生き残って多くの消費者から受け入れられたのは、ペイパルだけだろう(p251)
・ビジネスを動かすという点では、評判も、また一種の通貨である(p265)
・映画、インセプションでは、時間が支配的な通貨になっている。年齢が25歳に達すると時計はゼロに向かって動き出し、ゼロになった時点で死を迎える。他人と時間の取引もできる。富裕層は貧困層を犠牲にして時間を蓄積する(p268)
・紀元前1500年に編纂された、古代ヒンドゥー教の聖典ヴェーダによれば、人生には、ブルシャルタ(追い求めるべき目的)が4つある。1)ダルマ(義務)、2)アルタ(富)、3)カーマ(喜び)、そして、最終的な目的である、モークシャ(解脱)である。アルタは、外面的成功や世俗的な富の蓄積で、お金・イメージ・地位を指す、モークシャは、これらの事柄を放棄する意味が込められている、精神的な富である(p308)
・ブルシャルタは、人生の4つの段階に呼応している、1)プラマチャリア(学生)、2)グリハサ(世帯主)、3)ヴァーナブラスタ(隠者)、4)サンニャーシ(世捨て人)、前半2つでは、アルタを追求すべきだが、後半はモークシャを追求すべき(p309)
・デラウェアが合衆国憲法を最初に批准した州である(p322)
・人間にとっての貨幣の起源は、物々交換ではなく、債務であったと指摘した上で、価値の象徴として貨幣そのものを評価する見方がある一方で、単なる計量単位としてのみ評価する見方もある。前者が硬貨などのハードマネー、後者が、紙幣などのソフトマネー(p358)
2016年7月3日作成
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情報量がおおく教科書みたいだったが、面白かった。筆者の経歴や、調べるポイント、妥協しないところなど尊敬できる。
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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-12217407579.html
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人間は食べものや住みかなど、生き残りに必要なアイテムを獲得するために色々なものを交換する。お金はその手段のひとつとして発明されたが、あらゆる生物の例に漏れず、人類にとって最大の目的は生き残りである。だから、ほかの生物に依存しながら日々健康の維持に努める。(p.39)
かつてガラパゴス諸島を訪れたチャールズ・ダーウィンは、自然淘汰があらゆる生物種を結びつける共通の絆だということを認識した。そして同じ場所で、自然界には交換行為が遍在しており、すべての生物は生き残るために依存し合っているという事実を私はレイチェルから学んだのである。
(中略)協調行動は進化にとって有利にはたらくことを認識した人間は、協力を促すために言語や手斧などの道具を発明した。そして、交換や協力を円滑に進め、生き残りのチャンスを高めるため、新しい道具を継続的に想像していく。貨幣の形状が何千年もかけて変化していったのは、交換が効率よく便利に行われるように改良されたからだ。(p.65)
お金の起源をめぐる論争には終わりがないが、何が貨幣として流通していたかという点については全員の意見がほぼ一致している。価値と耐久性を備えた金属が、食糧に代わる原始貨幣としての地位を手に入れたのだ。そしてこれはメソポタミアの都市国家だけでなく、ナイル川流域の村にも当てはまった。(p.152)
もっとも明快なのは経済学者ミルトン・フリードマンの説明だろう。「緑色の紙切れに価値があるのは、価値があると誰もが信じるからだ」という。
ソフトマネーはなぜ創造されたか。
・利便性(金塊や金貨よりも扱いやすい)、抽象性(表象的思考能力を発達させたおかげで、価値の源泉を目で見たり手で触れたりする必要がなくなった)、普遍性(ソフトマネーを発行する機関が万国共通の金融制度を支える形態が標準になった)、権力(政治や経済に関する目標達成のために貨幣供給量を容易に変更し、望みどおりの社会を形成していく)。(p.186)
iPadを使っているとき、iPadは消えてなくなる。
あなたは本を読みウェブサイトを閲覧し、
ウェブサイトに触れているあいだ
テクノロジーに就て考えない。
モバイル決済サービスのスクウェアも同じだ。
テクノロジーは見えないところに消え去り、
購入したばかりのカプチーノを味わうことに専念したいと思う。
(ジャック・ドーシー6章表紙)
ほとんどすべてのものがお金によって評価される世界で、信仰は避難所のような存在になり得る。世界中で洪水のように氾濫するお金を、精神的なダムのように押しとどめてくれる。宗教や芸術などの人文科学においては、富の蓄積へのこだわりが少なく、いかに生きるべきかが重視される。思いやりや寛大さや自己充足感が、人間としての判断基準になっている。それゆえ古代の宗教の文献や精神的指導者の教えを振り返ってみれば、お金の氾濫する世界で生きるための方法について役に立つ指針を得られるだろう。(p.312)
ところで、世の中にはお金という物体そのものに興味を抱く人たちもいる。貨幣の表面に刻まれている芸術は、私たちが共有する過去について物語っているからだ。貨幣に刻印されたり印刷されたりしているシンボルは、単なる公正価格の表示ではない。過去の様々な社会や文化、さらには人間が築き上げてきた現代文明全体のなかで、評価されてきたものの実態を明らかにしてくれる。そこで私は世界各地に足を運ぶことにした。そしてあちこちで出会った人たちから、お金をもっとじっくり観察し、価値の象徴としての役割に目を向けることの大切さを教えられた。(pp.312-313)
アメリカのコインは、視覚的な美しさを介して民主主義の普及を目指す大胆な試みであり、未だにそのプロセスは続いている。コインは芸術の一形態であり、しかも鑑賞する機会がすべてのアメリカ人に常に提供されている。多くの国民が触れることのできる唯一の彫刻品と言ってもよい。コインは政府公認の由緒ある美術品であり、あらゆる時代のアメリカ市民から支持されるように工夫されている。その事実が理解されれば、美的考察の対象としての価値も認識されるだろう。(p.320)
私たちがお金をどのような角度から眺めるにせよ、お金のほうでも私たちを見返している。しかし、お金は私たちを待ってくれるわけではない。常に変化や移動を繰り返し、私たちの生活の様々な部分に入り込んでくる。しかも私たちは、往々にしてその事実に気づかない。お金についてじっくりと考えるようになってはじめて、その歴史が人間を形創ってきたことを理解できるようになる。(p.350)
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オススメできる。この本を通して、1)お金について考えるべき観点を多く得られる、2)歴史を通してお金というものを全体的に見る事ができる。それによって、お金とは一体何なのか、人間にとってそれが何を意味しているのか、深く考えるキッカケになる。今我々が接しているお金の形が全てではなく、絶えず変化している。これからのお金というものを考える礎になると思う。
ただし、一部説明が不足している(あるいはコンテキストが必要とされており難しい)部分はある。正確に理解しながら読み進めるには時間がかかるかもしれない。また、何か明快な「答え」を探しているのであれば、それは自分で考える必要があるだろう。
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人類が誕生してから我々は800世代目にあたる。
火を使って肉食ができるようになって胃袋は小さくなった。食料を保存できるようになった。
認知バイアス(ヒューリスティック)によって合理的行動仮説は崩される。利用可能性ヒューリスティック、スキルの錯覚、損失回避、貨幣錯覚。
イギリスからアメリカに渡った人の大半は債務者で、債権者から逃れるために船に乗った。
金属主義者=ハードマネー。物々交換によって貨幣が生まれた。
表券主義者=ソフトマネー。債務や信用供与の手段として生まれた。金の裏付けがない。
ヤップ島のフエ。遠くの石灰岩の島から切り出してきたもの。海に沈んでも貨幣として流通した。
古代の原子貨幣は、銀と小麦。
古代エジプトでは労働者が受け取ったのはビールとパン。
リディアの富の源泉は貨幣=シニョリッジを考案した=貨幣の改鋳によって差額を得る。
ドラクマは古代ギリシャにさかのぼる通貨。
カエサルはガリアから金を大量に略奪し、ローマの経済は繁栄した。ネロも同じ。ハードマネーの改鋳は景気を回復させる手段。ルーズベルトのニューディール政策も同じ。
ソフトマネーは利便性が高く抽象性、普遍性がある。
ソフトマネーはインフレを起こす。ゲーテのファウストの悪魔は将来の金の発掘を担保に紙幣の発行を提案する。その結果インフレになる。
中国もドラゴンマネー。貸金庫の証書や受領書が流通した。
フビライの紙幣は、銀による裏付けがあった。折に触れて銀と交換したが、やがて紙幣が大量発行されて信頼性が失われた。
初期のソフトマネーは、悪魔との契約を交わしていて、最終的には支出を膨らませてインフレになる。
フランスのジョンロー。銀行を設立しミシシッピー会社の株を売った=バブルの始まり。やがてはじける。
ベンジャミンフランクリン=土地担保による紙幣の発行を提案した。
リンカーンは戦費調達のため期限付きのグリーンバックスを発行した。しかしハードマネーの裏付けがあるソフトマネーが流通し始めた。
戦争によって、各国は一時的に金本位制を離脱する。戦争が終わると金本位制が復活するが、金為替本位制という修正されたシステム=金の延べ棒としか交換できない=紙幣が金より多くても大丈夫=インフレが発生した。
ニクソンショックによって、世界のマネーがソフト化。10%の外国製品に対する追徴税、金との交換停止。アメリカの株式市場は活況だった。
中央銀行制度はスウェーデンで始まった。
銀行に払い出されたお金は信用創造を産んで乗数効果があるが保険会社から買われた資産は乗数効果は働かない。
1970年代のスタグフレーションは、ニクソンショックによるハードマネーからソフトマネーへの移行が引き金となったのではないか。
アメリカの地下経済は2兆ドル規模。
地域通貨、物々交換、ビズエクスチェンジ。
一部地域ではすでに地域通貨がある。ニューヨーク州イサカのイサカアワー���パークシェアーズ、イコールドル、スイスのWIRなど。
トーマスグレコ「貨幣の終焉と文明の未来」
ビットコインは不安定性に注目すると価値貯蔵手段としての機能を果たせない。ビットコインは金と同様のデフレ効果がある。
ビットコインはプロトコル=これを使ってデジタルなアイテムはすべてコピーされることなく移動できる。
車のキーが携帯電話に入っていれば、車の所有権は携帯電話上を移動できる。
ベラミー「顧みれば」=SF小説。
クレジットカード、モバイル決済、モバイルコマース。
レビューの投稿さえも通貨の代わりになる。
老後の創造写真を見せると貯蓄に励むようになる。
どの宗教も少ないほど良い=足るを知る、を強調している。
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数ヶ月前にビットコインが暴落した時に貨幣について興味が湧いたので、読んだ。筆者が貨幣について調べたありとあらゆることが書いてある。
大変勉強になった気がするが、いかんせん色々な教科書をたくさん抜き書きしてる感じで、いささか退屈なで読み進めるのが辛い時もあった。けど、当初の目的はかなり達成されたので、総じて良い本だと思います。
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?『貨幣の「新」世界史』。お金がどこからきたのか、どのように進化して、人とどのように関わってきたのか、そしてこれからどのようになっていくのか。ということを俯瞰しつつ、新しい研究の結果も踏まえて再解釈を試みる、という、良書だった。貨幣史の本も、併せて読みたい。?
?ハンムラビ法典からビットコインまで、と副題がついてるけど、ビットコインをがっつりと扱っているわけではなくて、あくまでお金(と価値)の普遍的な考察の一部として出てくる。なので、お金について考えたあと、ビットコインについてさらに知りたかったら、さらにほかの本を読むとより楽しいと思う。?
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経済学(が何かそもそもわかっていない)とかお金系の手のヤツはとんと苦手な分野なのだけど、「ハンムラビ法典からビットコインまで」だの「世界史」だのというフェロモンに吸い寄せられてしまった。
生物が生きるためにはエネルギーが必要だ。エネルギーを即座に使わないといけないようではリスクが高いので、エネルギーは蓄えられるようになっていく。脂肪だったり、リスがどんぐりを埋めておくことだったり。
それがお金の原点ではないか、なんていわれると、急にお金が好きになってしまう。
どの宗教も、金は手放せ、少ないほどよい、と語る。いつかそのうち、そうだねえ、と余裕をもって同意したい。いや、あんまりそういう意味の「金」にとらわれない幅広い話だ。目からうろこ。