紙の本
感じる作品
2017/10/15 23:48
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投稿者:Luncheoner - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついに、商品説明が...。「わけのわからなさがやがて圧倒的な読書の快楽を導く、さまざまな媒体で書かれた全六篇+αを収録」わけがわからないと書かれてしまった。
その通り。考えていたらいつまでたっても読み進められないのが円城塔の作品。この作品も例に漏れず、まあなんか、雰囲気を味わって。
個人的には、「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」が好き。ひょっとしたらこの短編集の中で一番読みやすいのかもしれない。卒業の章あたりがヒント。
後藤さんのこと。その次あたりに簡単。四色刷りなのがヒントだった。
墓標天球。これはBoy's Surfaceとは違って、表の意味が文中に開設されていて安心した。
そんな感じで、ある程度は理解できる、Boy's Surfaceよりはまだ簡単な短編集。ただし、そこで完全に理解しようとしても、無理なものは無理なので、そこは割り切ることが大事。わりかし面白く仕上がっていた。
紙の本
よくわからないところがいいです!
2017/12/12 21:19
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投稿者:リョウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
頭の1ページでその世界観に圧倒されます。何を言ってるのか、何を意味しているのか、考えれば考えるほど頭がごっちゃになります。が、この理解できない、浮遊している感じがまた心地よいです。そして、読み終わった後の謎の達成感もまたひとしおです。
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投稿者:鳴海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀河帝国の衝撃。意味の分からなさ。分かろうとすら思えない。
紙の本
人を選ぶ小説です
2015/09/18 01:05
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
円城作品になれている人にとって本作は、いつも通りのクオリティで安心すると思います。しかし、初めて円城作品に触れる方は本作の難解さに驚くかもしれません。
・後藤さんのこと
・さかしま
・考速
・The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire
・ガベージコレクション
・墓標天球
どの作品も前衛的ですが、「後藤さんのこと」は比較的に分かりやすく面白いので、まずは表題作でその魅力を見極めてみてください。また、付録も収録作の一つです。
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ほんとうに久しぶりの円城作品。
何作読んでも難解で理解が追い付かないのは一向に変わらず。
でも途中で投げ出したりすることなく毎度読み切れるのは、文体ゆえかわからないものをわかりたいという欲求ゆえか。
とはいえ中でも「墓標天球」は比較的読みやすかった。
登場人物の時間軸が錯綜している点、整理が難しいが、でもそこが面白愉しく読めた理由でもある。
表題作「後藤さんのこと」や「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」では、読者側のシニフィアンとシニフィエの既成の対応関係を崩される。
「後藤さん」は、ひとであってひとではなく、有形であって無形でもありえる。
「銀河帝国」は、帝国であって帝国ではなく、以下同文。
また、それによって、小説の「タイトル」と「中身」との間の既成で暗黙の対応関係も崩れている。
多様にメタ的で好き。
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単行本でも読んだけれど文庫になったので再読。
普段の生活で使っている脳と別の場所を動かす感覚で気持ち良い。コリがほぐれる感じ。脳トレ。あたまの体操。
墓標天球がやはり情緒的で良い。キュンとする。
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3/10 読了。
私と彼と彼女と、そのあいだに横たわる時間と宇宙のこと。
「ガベージ・コレクション」と「墓標天球」で書かれる3人(?)の関係性は、『Self-Reference ENGINE』のリチャード/ジェイムス/リタの関係にどこか似通っている。
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表題作の「後藤さんのこと」も面白いけど、「墓標天球」がなかなか好きです。ついていくのが難しかった作品もいくつか。
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再読。<想像力の文学>から刊行されている中で、一番<想像力>という言葉が似合う。
個人的にはすごく好きだが、正直万人に勧めるかといえば否。そんな円城塔作品の中でも実験的な”文章”ではないか。
表題作「後藤さんのこと」では文字の”色”を使って表現し、「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」では箇条書き。そして付録の「INDEX」。
意味不明でも、本そのものの制度を震え上がらせるように、想像力を掻き立ててくれる。
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まず表紙。単行本の時はもうすこし「おじさん」(失礼!)と勝手の考えていたので、「後藤さんってもっと若かったんだ」と思ってしまった。
表紙画は漫画家の市川春子氏。彼女の不思議な作風は、なるほど円城塔氏につながるものがあるかも知れない。起用されるのも納得かも。
今回市川氏が描いた「後藤さん」は複数の後藤さんが登場するのだが、よく見ると身体のどこかで他の「後藤さん」とつながっている。うまい具合に「後藤さん」の世界観が表現されている。
「後藤さんのこと」
癖になる。病みつきになる。でもこういう「後藤さん」って、あちこちの職場や学校や家庭にいそうな気がする。宇宙の果てにまでいてもおかしくない。
「さかしま」
のっけから人を喰ったような文章に笑ってしまう。現代景気低迷期の派遣社員も、ウルに流刑にされる人たちも、「使い捨て部品」なのかなと思ってしまう。当局は送り込むだけ送り込んで「脱出してもいいけど確率は低いし、こっちのしったこっちゃない」と言っているのですから。かつて物理学の研究室にいた著者自身の自虐ネタか。文章自体は面白い。
「考速」
もう、最強に好き。「私の好きな円城塔作品BEST3」に確実に入れる。
この言語ゲームの心地よさ、楽しさといったら何度読んでもたまらない。
これを思いつく円城氏はやっぱり賢いのだ。
「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」
「Twitter」や「ネタ帳」に書いていたものを寄せ集めたかのような世界。それぞれの文からに滲み出るユーモアや皮肉は円城氏ならでは。
最後に幼帝が自分同士を殺して銀河帝国は終わる。後藤さんと同じ。円城氏はどうしてこれがお気に入りなんだろう。
途中では『59:「こんなものを書いていて楽しいですか」「ああ、楽しいね」』の楽屋ネタ。
読者はこんなもの読んでいて楽しいですか。ああ、楽しいね。
「ガベージコレクション」
ガベージコレクションとは、プログラムが動的に確保したメモリ域のうち、不要になった領域を自動的に解放する機能(参考ウィキペディアhttp://ez.cm/XMHnie )
これを物語に仕立ててしまったのか。
串刺し蛇、チェス、女性、時間を遡ること。色々なモチーフが出てくるが、理数的要素に疎い私には、難しく、それでも文章が突き進む快感を認めざるを得ない。
「墓標天球」
なんとなく高校でやった関数を思い出した。
長野まゆみ的世界を感じる。物理化学、数学、哲学からラノベ、少女漫画まで網羅する円城氏の世界が美しく表現された作品。
優しく残る読後感にしばらく浸っていたくなる。
単行本の時は帯だった「INDEX」が文庫版では後ろのページに付いている。切り取ってホチキスで合わせると親指の頭くらいの可愛い豆本になる。
実はこれが『6編+α』の『α』なのである。
こういう仕掛けをしてくれるところが嬉しい。
以下、「後藤さんのこと」収録作品と他作品との類似点(と勝手に私が思っているもの)
佐倉は、何故、夏に秋が、秋に冬が続くと考えるのか、と問いかける。この先には秋が登場する気配は全くもって見えないのに。芽吹きに冬は敵するのに。(「考速」104p)
⇒「Four Seasons」
スピノザによる神の存在証明は、平面の上に重ならずに記すことができないのだと、佐倉が言う。だからそれは、平面の上に記される連続した流れから抽出されることが決して無い。その故に文字に寸断され、文字の合間に文字が割り込む余地を与える。(「考速」114p)⇒「良い夜を持っている」
97:暗闇の中に目覚めた銀河帝国幼帝は、部屋の向こう側の椅子に座る人影を見る。
98:「またお前か」「またお前さ」
99:心あるものは聞くが良い。かくて向き合う幼帝二人、かたみに銃爪を引き絞り合い、而して銀河帝国は滅亡せり。(「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」
141p)⇒「後藤さんのこと」
鏡の前の僕が本物でも、鏡に写った僕が本物でも、どちらがどちらも本物でも、現実に何の関連もなく、考え方の違いしかない。鏡の中の僕が刺されて、鏡の前の僕が倒れる。鏡の前の僕が刺されて、鏡の中の僕が倒れる。どちらも全く同じこと。(「墓標天球」229p)⇒「後藤さんのこと」
階段の外には、あらゆる色。つまり白。透明に澄み通る、不可視の白。向こう側の先にあるもの。見えないせいで、向こうのものを見せる色。青と赤と緑が渦巻き、調子を乱し色を生じる。僕たちの輪郭が、白色光を分解して七色に滲む。地の面は光の構図に見舞われている。光の色をした水が溢れて、球体を天球の下に沈める。見えないほどに澄み切った、角度だけが姿を見るためのよすがとなる、それと僕らが既に溺れている透明の水。(「墓標天球」230p)⇒「後藤さんのこと」
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円城塔は間違いなく頭おかしいとおもうw
そのぶっ壊れっぷり、意味不明っぷりが最高ですね!!
表題作の『後藤さんのこと』とかヤバイです。
なにが凄いのか表現できないけどとにかく凄いです。
無駄な四色刷りとか後藤さんってなんだよみたいな・・・。
光の性質のパロディとか、17頭のラクダを三人でわける兄弟の話のパロディとかサイコーですねw
理系人間が読むと面白いけど、純文系な人間が読むとどう思うのかちょっと疑問ではあります。
読書において理解することは必要ないのかもしれない。
意味不明でも十分すっきりして、満足することができるのだからw
円城塔はたまに無性に読みたくなる作家ですね。
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表題作の「後藤さんのこと」がめちゃくちゃ面白かった。それ以外は難解すぎて付いていけませんでした。ただ、読んでいる間に妙な高揚感を味わうことができる。詩を読んでいるときに近いかも。(あ、「考速」は内容も理解できて、良かった。)
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後藤さんはもしかしたら、光の速度で、宇宙に充満しているのかもしれないと思いました。後藤さんの時間は止まっている。
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"これは見るからに展開であり、事実一つの展開であると佐倉は言う。如何なる演繹を採用しようと、それが演繹である限りにおいて、原理的に展開を阻むものはないのである。矛盾であろうと。矛盾が定められるその時までは。無意味であろうと。飽き果てられるその時までは。全く好きにそれぞれ勝手に、今各々の頭の中で展開される展開を展開せよと佐倉は言う。続けてみせよ。無尽に続けられるものならば、そうすると良い。"
円城塔『後藤さんのこと』「考速」
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変幻自在で遍在する「後藤さん」が無性におかしかった。
・・・が、正直作者のたくらみがどこまで理解できたかは心もとない。
一意には読めない文字列や、縦横に組み合わせた図形のような文字の集まりが印象的な「考速」も、言葉や意味とは何かと考えさせられた。
読み応えがあったのは最後の「墓標天球」。