紙の本
もっと狂気を、もっと愛を、哀しみをそして可笑しさが読みたかった。
2012/01/18 01:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品を読むのは『殺人鬼フジコの衝動』に次いで二度目。
『殺人鬼フジコの衝動』でも思ったのだけれど、
サクサク読めてしまう。
テーマは決して明るいものではなく、
どちらかというと狂気じみているのに、だ。
これは、褒め言葉ではない。
でも貶しているわけでもない。
ただただ不思議なのだ。
本書は連作短編小説の体を成している。
第一話のラストで、ある人物が放った
「ていうか、あんた誰?」
のひとことの衝撃で
次々とページをめくった。
しかし…後半に行くにつれ
各短編の交錯具合がバタバタ登場して、
まるでコメディのように感じてしまった。
これは『殺人鬼フジコの衝動』でも同じだったっけ。
群像劇…のようではあるけれど、
もっとなんとか出来たような気がする。
リーダビリティは抜群なのだろうけれど、
テーマがテーマだけに、
もっと深淵まで見せてくれてもよかったのではないだろうか。
もっともっと、狂気の果てにあるものを見たかった。
ちなみにタイトルの『ふたり狂い』は、
「フォリアドゥ(folie a deux)」のこと。
確かに邦訳は「ふたり狂い」で正しいのだけれど、
その語感から、
「わたしにはあなたしかいないの」といった
愛と狂気と哀しさの間にあるものを
(勝手に)想像してしまっていたので、
余計に物足りなく感じてしまったのかもしれない。
とかいいながら、真梨作品はまだまだ読むつもりなのだけれど。
「もっと」を要求するということは、
それだけ気になっているっていうことだもの。
『ふたり狂い』収録作品
・エストマニア
・クレーマー
・カリギュラ
・ゴールデンアップル
・ホットリーディング
・デジャヴ
・ギャングストーキング
・フォリ・ア・ドゥ
紙の本
面白いけどよく分からない部分も。
2018/07/08 13:42
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルと表紙の雰囲気と失礼ながら初めて知った作者名の響きから
何故か勝手に「ドロドロ恋愛ものか?苦手だなー」と
思いながら開きました(どんな思い込みだ!ごめんなさい真梨先生!)
(家族の本棚にあったのを手に取ったもので、自分で選んでないもので無知)
そしたらどうやら苦手どころか大好物のミステリっぽいぞ?とやっと気付き
そこからはどんどん繋がる描写が面白くて一気に最後まで読めました。
ただ期待していたよりはラストは尻すぼみな感じはあります。せっかく表題作なのに。
「ふたり」が誰と誰か、も見方によって違うような。それが狙い?
でもこの人の別の作品も読んでみたいなと思いました。
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「殺人鬼フジコの衝動」でこの作者さんに
ぐいぐいと惹きこまれ、
2冊目を試してみようと手に取った本です。
相変わらずの心理描写と独特なプロットで
こちらも攪乱力と吸引力は強いけれど、
読み終わった後のなんとも言えない後味は
個人的に「殺人鬼フジコ~」のほうが強いと思いました。
最後の、やられた!感もあれほどではなかったです。
ただ、じわじわと読者の脳内を侵食していくような
気付けば自分も感応されているような感覚があって
これを読んで実際に影響されちゃう人っているんじゃないかな・・・(笑)
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殺人鬼フジコの衝動、を読んで、別のも読みたくなり、読了。
面白い、湊かなえみたい。
誰の発言が狂ってないのかわかった時、怖くなった。
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孤虫症より殺人鬼フジコ、それ以上にこの作品が楽しめた。
最初の話は、ストーカーにおびえる女流作家の話。
よくあるストーカー話が実は、というぞくっとしたエンディング。
そこに出てくる編集者が、証人が、また別の短編の主人公になるというように、
きれいにあやなすストーリーになり、最後にすべてがつながってゆく。
ただ、悲惨なほどにイケテナイのが、その順番。
あたしなら3話を最初に持ってくるけどなー。
タナカサンのキャラがしっかり暴露されているので1話を読んだ後に読んだ3話が。。
楽しさ半減。
他の組立ては満足だったのですが。
また、この作品に限らずこの人の話は、救いようのない人しか出てこないのが特徴。
誰にも感情移入が出来ずまったく感情が休まらないので、
短編で登場人物が増えると、加速度的にぎすぎすして気分が悪くなる。
というわけでどれだけ出来がよくとも、人には勧めにくいのでした。
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【女性誌〈フレンジー〉の人気連載小説「あなたの愛へ」。
その同姓同名の主人公が自分だと思い込んだ川上孝一は、思い余って著者の榛名ミサキを刺してしまう。
それに端を発して起こる、デパ地下総菜売り場での異物混入事件、ネットでの企業中傷事件、そして郊外マンションでの連続殺人。
だが、その背後には謎の女マイコの存在があった……。
現代人のささやかな狂気と、
連鎖する因縁の果てに明かされる驚愕すべき真実とは?】
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日常に潜む狂気を描いた短編集
短編集ではあるけど、どれも話が繋がってたり同じ登場人物が出てきたりするので「あぁ!あの人がこんなことに・・・」というのがあって面白かったです
いたって普通だった人が壊れていく様がうまく描写されていて良いです
もしくは普通に見えていた人が実は・・・
実際自分の身にも降りかかりそうな話もあり、ゾッとさせられます
時系列が結構飛んだりするのでその辺をちゃんと整理したり、登場人物や、結構些細なことなどもちゃんと覚えておかないと面白さが減ると思います
『あなたの愛へ』
読んでみたいです
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惣菜店『北海道屋』と人気連載小説『あなたの愛へ』を中心に展開される物語
「エロトマニア」(熱情精神病・恋愛妄想)
北海道屋のバイトが『あなたの愛へ』に自分が描かれていると勘違いして作者を刺す
「クレーマー」(不当な苦情を訴えるユーザー)
北海道屋店長が隣店で起きた”指入りコロッケ”事件の影響でクレーマーを殺す
「カリギュラ」(禁止されるとやってみたくなる心理状態)
『あなたの愛へ』の編集者が友人の元カレに殺される
「ゴールデンアップル」(集団催眠または集団ヒステリーによる記憶錯誤)
北海道屋が”指入りコロッケ”を販売していたと誤情報を流した女性が逮捕される
「ホットリーディング」(事前に調べた内容をリーディングしたとダマすこと)
TV局員(上記女性の夫)がエセ霊媒師との番組作りで不審な夫婦の真実を知る
「デジャヴュ」(既視体験)
5年前『あなたの愛へ』の編集者が住んでいたマンションで起きた殺人事件の謎
「ギャングストーキング」(集団ストーキングで相手を貶めること)
5年前の殺人事件の真実が明らかになる
「フォリ・ア・ドゥ」
(正常な人まで妄想を共有してしまうこと。感応精神病、あるいは二人狂い)
『あなたの愛へ』の作者が逮捕され、更なる悲劇が訪れる
<感想>
すべては勘違いや二人狂いによって起こった悲劇であるっていう
今作も著者の作品の一貫したテーマだった。
中盤以降『連作短編集』の構成から外れてしまったのがちょっと残念。
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もぉ完全にハマった真梨幸子作品。
なんつったってここ数日間で3冊読み、更にアタマが欲しているんだから手に負えない(^^;)。
こちらは連作短篇集なのだけど、各エピソードが絶妙にリンクしているのがポイント。
アレが起こったと思ったらコレにつながり、ココから更に別の事件に繋がる。
ありがちな事は間違い無いのだけど、ここに恐ろしい程の不快感が伴っているモンだから、
2篇以上読んでしまったらもう止まらない(^^;)。何度も言うが、この中毒性は凄い。
「告白」で湊かなえを知った時もそうだったのだけど、僕はこの手のイヤミス、
いや、不快感サスペンスに結構目が無いのかも(^^;)。
真梨幸子、残る刊行物はちょいプレミア物件も含めあと3冊しか無い(^^;)。
光の速さで読破しちゃいそうだなぁ、残りも。
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疲れる。
短編でミスリードを誘うものが多く、疲れた。
話としては、ゴールデンアップルが好き。
全体的に前半が面白かった。
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何度もページを戻って時系列を確認。
私好みの文体。
殺人鬼フジコの衝動は、ただただ後味の悪さに衝撃を受けたけど…。
この後味の悪さはまた違う。
後味悪いけど、もう一口…と言う感じ。
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「正常と狂気の境目で狂気のほうに傾きつつある人」たちの連作短編集。
誰にでも起こりうるような話。
一つ一つは独立した話で全体が繋がっているのだが、かなり凝っててよくわからない。
解説がほしかった。
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みんなどこかで狂ってる。
私が狂気に惹かれるのは、狂ってしまえる人がうらやましくって仕方がないんだと、この本を読んで気づいた。
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短編でサクサクと読めるが、途中からあれれ?
途中で繋がったりしてまた前に戻って、そういうことなの?
と考えたり。
確かに狂ってる。常識では考えられないのに、さらっと読めるところがすごい。
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エロトマニア、カリギュラ効果、ゴールデンアップル伝説、フォリ・ア・ドゥ、ここまで最高の題材を用意できてなぜこんなものしか書けないのか。
話の繋ぎ目が雑、連作短編にしてあるにも関わらずキャラクターに深みがない、まるで思いつきの様な展開。
後味の悪い、気持ち悪い小説家の代表と言われているが、特にそうでもない。起承転結の転だけを繰り返せばいいと思わないで欲しい。
作者は男性ではないのかと疑うぐらい、女性の真に陰湿な部分、汚い面を描ききれていない。上澄みをすくっているだけだ。
タイトル、題材はともにすばらしい。別の作家にアイデアそのまで書いて頂きたい。