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紙の本
銀幕の銀座 懐かしの風景とスターたち (中公新書)
著者 川本 三郎 (著)
川が流れ、日劇ダンシング・チームが踊り、森永製菓の地球儀型ネオンが輝く。映画の中には古き良き銀座が残されている−。銀座を舞台にした映画と銀幕を彩るスターたちを語る。『銀座...
銀幕の銀座 懐かしの風景とスターたち (中公新書)
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商品説明
川が流れ、日劇ダンシング・チームが踊り、森永製菓の地球儀型ネオンが輝く。映画の中には古き良き銀座が残されている−。銀座を舞台にした映画と銀幕を彩るスターたちを語る。『銀座百点』連載を加筆修正し書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
川本 三郎
- 略歴
- 〈川本三郎〉1944年東京生まれ。東京大学法学部卒業。評論家。「大正幻影」でサントリー学芸賞、「林芙美子の昭和」で毎日出版文化賞、桑原武夫学芸賞を受賞。
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紙の本
ギンギラギンにさりげなく
2011/12/27 08:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生になって初めて東京に出てきた。住んだのは、世田谷の池尻。そこに学生寮があった。
渋谷からバスでの行き来だったが、渋谷の街にはまったわけでもない。所詮は大阪の田舎町の出身。見るものすべてに圧倒された。さしずめ夏目漱石の『三四郎』の気分である。
それでも初めて銀座に行ったのは、東京に来て一か月くらいだったろうか。
高校生の頃、あこがれていた女の子が東京に引っ越していて、彼女と一年ぶりに会うことになったのが銀座だった。
待ち合わせ場所は和光の時計台の下。渋谷のハチ公前と同じくらいわかりやすい場所だった。
ところが、記憶にあるのはそこまでで、食事をしたのは覚えているが、そこが銀座のどこであったか思い出せない。というか、銀座のお店の名前など、『三四郎』状態の学生などにはわかるはずもない。
銀座そのものが、しらんぷりしていたのかもしれない。
もう、35年以上昔の話だ。
この本は映画評論家川本三郎さんが日本映画に描かれた「銀座」を紹介したエッセイ集である。
昭和11年の『東京ラプソディ』から昭和42年の『二人の銀座』まで、計36本の映画が紹介されている。
参考図として載っている昭和20年代の銀座の地図を見ると、銀座というのは四方を川で囲まれていることに気づく。銀座の柳は今や懐かしの風景だが、川沿いにできた街ならではの柳であったのだろう。
映画を観ることで銀座の消えてしまった風景を再確認できるというのは、映画というのが単に娯楽だけではなく、未来から見た場合文化史ともいえる側面を持っていることである。
映画を観ることで、都市の変遷を実感できる。
紹介されている36本の映画のなかで、記憶にあるのが昭和29年封切られた『ゴジラ』である。
日本に上陸したゴジラが夜の銀座で大暴れするシーンは有名だ。
「昭和二十九年の銀座は、戦後の混乱期を脱し光の町になっている」。それを壊してまわるのだから、戦争の記憶の残る観客にはさぞかし強いインパクトを与えたにちがいない。
街を壊すのはゴジラや戦争だけではない。東京では関東大震災という大きな崩壊があった。しかし、強い街は必ず再生される。銀座がそうであるように。
この本を読みながら、東日本大震災で被災された町のことを思った。そこで生きようと思う人がいるかぎり、町は再生する。
そして、いつか、うしなわれた町も記憶の町としてよみがえることを、この本は教えてくれる。