電子書籍
物語の中に没入
2022/07/19 00:37
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投稿者:ハル - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔は本をよく読んでいたのに、大人になったら全然読まなくなりました。
文庫になっていない本を購入したのも、本当に何年かぶり。
こんな長い本読めるかなぁと思ったけど、
気づいたら物語の中に没入していて、最後には泣いていました。
主人公と同年代で、境遇も似ていて、戦争経験者のじいちゃんもいたし、共感できる部分も多かったからもしれません。
今のこの時に、この本を読めて良かったです。
紙の本
人が生まれ、生きていることの使命とは
2022/06/17 18:06
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きな本です。
ふるさとが息苦しく東京へ脱出したみのり。
大学生活をボランティアのサークルで充実した四年間を過ごし、社会人になっても世界中をボランティアツアーで有意義な時間を過ごしていた。
そんなみのりの物語と並行して、戦争で片脚を失った祖父の手記があり、なんとも不穏な空気を感じる。
ただ誰かのためにと思う気持ち、かわいそうだと思う気持ち、自分は正しいと思う気持ち、何が正しくて、何が悪いことで、読み進めるうちに混乱している自分がいる。
何かに出会ったときに、自分もやってみようか、参加だけしてみようか、先入観を持たないで世界を見ることが出来る人でありたいと思う。
紙の本
使命感は才能
2022/04/18 22:32
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会で起きることに驚くような悲劇がつきものなのか、世界中に悲しむべき人の生き方がある。体験したことが壮絶であればあるほど、人はそう簡単にそれを語らない。それに向かい声をかけ聞き出そうとしてしてしまう。世界を知ることは自分の未来を知る事でもあるので、それにより生じるなにかをしようとする使命感は、その人にだけにもたらされた才能なのかもしれない。身体的に損なわれていることを数えるのではなく、残されたものを最大限に生かすべきなのだろう。
紙の本
それは天からの賜り物。
2022/06/27 20:35
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タラント、それは才能や天からの賜り物を表す言葉。
主人公のみのりは四国から東京の大学へと進学した。東京の大学でなければ学べないからとかではない。単に故郷から出てみたかった。
自分が何を欲し、何を為すべきか解らぬまま、大学で出会った友とボランティアのサークルに入る。
ボランティアは偽善ではないのか、自己満足ではないのか、そんな問いはいつでもつきまとうだろう。
世界の紛争地や開発途上の地、また国内の被災地。みのりはそんな地に行き、無力さを知る。
無口な祖父は左足がない。多くを語らず、孫なのにみのりは祖父について何も知らない。
ちょっと長かったかな?
でもテーマはよく伝わってきた!
紙の本
タラントとは
2022/03/19 20:30
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
タラントとは才能、賜物といった意味だそうですが、その意味について考えさせられました。戦時中の祖父の話、現在と過去のみのりの話、不登校になった甥の話と代わる代わる進んでいく中で、主人公みのりの気持ちに共感できる部分も多くとても続きが気になりました。戦争で片足を失った祖父の走る姿、祖父と交流のあったパラアスリートの若い女性の走る姿がまざまざと目に浮かび、心に焼き付けられました。
電子書籍
やや長過ぎ
2022/05/12 20:41
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう少し、短くても良いように思いました。戦争で、片足になった祖父が、パラリンピックに出場決定……は、いいんだけれど……祖父はー。それと不登校の少年と……。後半は、読むのに疲れてしまって……
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タラントとは読んで深い意味を知って下さい。みのりの大学進学、ボランティアサークルの居場所を見つけた学生時代そして難民キャンプの体験が心痛みました。甥の陸の存在祖父清美の戦争体験の痛ましさ悲しみもあり感動さえ覚えました。パラアスリート涼花と祖父清美の関係もミステリアスに描かれていて謎を呼びました。あなたも読んで興奮して下さい。感動して下さい。
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前情報なしに角田さんの本だからと手に取ったら分厚さにびっくり笑。表紙から想像もつかないようなテーマの壮大さにもびっくり。
ほんといい話読んだな。過去と現代、そして祖父の時代のあれこれと、3つくらいの大きなテーマが入り乱れるんだけど、さすがだなと思うのがどれもきちんと終結されてること、散らかっていない。
祖父の話のあれこれが見えた時かなり感動しちゃった。誰も知らないあの時代。
使命感とか、そういう何のために今自分は的なテーマって大学生の時くらいからふと何度も思う永遠のテーマな気がする。
使命感なんて言葉ではなく、楽しいからやりたいからで、な、ムーミンの言葉も、その後のムーミンの行く末とかも、本当にもどかしさでいっぱいになる一冊だったな。
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片足の祖父、不登校になった甥、?正義感?で過ちを犯したみのり。諦めた人生の、その先へ――小さな手に使命が灯る慟哭の傑作長篇。
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序盤はなかなかハマらず、スローペースで読み進めていたけど、中盤あたりからグイグイきて一気に進めた。
なかなか重いテーマがいくつも重なって満腹感ハンパない。
陸くんの不登校の理由、コワイね。自分のちょっとした言動が、周りを巻き込んで大きくなってしまった恐怖。
ラストのおじいちゃんの話で、おお、そーでしたか!と、まとまった!!
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最初の方はなかなか読み進められなかったけど、中盤くらいから面白くなってきて、読むのが止まらなかった。
様々な要素の話が出てくるが、
ボランティアや途上国支援に対する違和感や葛藤、
才能や使命感(タラント)に満ち溢れた行動力のある友達が、どんどん遠くへ行ってしまう感じ、劣等感、
主人公のなんにもやる気がなくなってしまう気持ちなどが細かく書かれていて、わかるなと思った。
特に好きな箇所は、中盤に出てくる主人公が経験した海外での話。
西加奈子さんの「サラバ!」を読んだ時もエジプトでの話が好きだったけど、日本人視点での海外での体験記みたいな話がとても興味深いし、ショックを受けたり、なぜショックを受けるのかを主人公が考えたりするところがとても面白かった。
他にもそういう要素のある本があったら読みたい。
あと、各章の最後に必ず出てくる、おじいちゃんの回想記も読むのが毎回楽しみになっていた。戦争、戦後の話で壮絶なパートだけど、どうしても読んでしまうという感じ。
最後まで読んで、もしかしてこのパートは、甥っ子の陸くんが書いたものだったのかな?と思った。
最後の方で、誰しもが何かしらのタラントを持っているって主人公が気づくところで、私も大それたタラントはないけど、こうやって色んな本を熱中して読んでいるのもタラントなんだなぁと少し嬉しく思えた。
最初の方で挫折しかけたけど、全部読めて本当に良かったなと思う本。
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2019年、みのりの姉の息子・陸が、学校に行かないということで、深刻ではないけれども、ついでという形で、実家に帰ってきた。陸は、学校に行かない代わりに祖父・清美の世話をしていた。清美は片足がなく、車椅子生活をしていた。そんな時、みのりが清美のシャツを拾い上げた時、清美宛の手紙を見つける。そこには「涼花」という名前が。家族に「涼花」は居ず、誰なのか?みのりは気になっていた。また、ふとスマホでネットニュースを見ていくと、ある一つの記事に目に留まった。それは、日本人ジャーナリストがメキシコを横断する中米の人達の記事だった。ジャーナリストの名は、学生時代の同級生だった。蘇る学生時代の出来事、祖父の過去など様々な出来事が交錯する。
題名の「タラント」とは、聖書にも出てくる言葉で、才能や賜物を意味します。(読売新聞の記事より)
人の善意とは何なのか?自分の価値観によって影響する周囲の反応に色々と考えさせられました。
約450ページというボリュームのある量もさることながら、慈善活動や戦争、パラアスリート、サバイバーズギルトなど考えさせられるキーワードが多くあって、こちらもボリュームがありました。
物語の構成としては、主にみのりの学生時代や社会人時代が描かれています。時折、ある青年が味わう戦争の描写が描かれているのですが、青年が誰なのか最初の段階ではわかりません。(後々、匂わす形で明らかになります。)
一つの記事から思い出される学生時代に体験した慈善活動。ネパールで訪問したのをきっかけに、みのりは積極的に行動します。現在のパートから醸し出す雰囲気とは程遠い存在なので、みのりが今に至るまで、どのような人生を歩んできたのかが読みどころかと思います。
一見、良いことをしている行動が、もしかしたら違っているのかもしれません。読み進めるたびに自分の価値観って何だろう?と突きつけられました。
それは学校に行けない東南アジアの子供達にインタビューする場面です。将来何になりたい?という質問に先生と答えます。最初は立派だなとは思ったものの、よくよく考えてみると、それぐらいしか「職業」が無いんだという事実に複雑な思いがありました。
子供達の環境と日本人との環境は大きく違います。それによて生じる価値観の違い。
それだけでなく、なぜ子供達はいつも笑顔なのか?など自分の見えなかった真実を知るたびに心がぐらつきました。
そして、みのりは善意であるが故にある過ちを犯します。そのシーンがまぁ気の毒といいましょうか、無知であるが故の悲劇に胸を締め付けられました。
その他にも、サバイバーズギルトといった事にも触れられていて、とにかく心を掻き乱されるシーンが多くありながらも、繊細に扱っているので、その辺りは角田さんの本領発揮だなと思いました。
みのりの体験記も読みどころですが、現在パートでは、パラアスリートも注目です。こちらは祖父が大きく関係するのですが、どのように絡んでいくのか。祖父の知られざる過去といったちょっとミステリアスな感じもあって、面白かったです。
人��に迷った時、なかなか一人では行動できません。でも、あるふとしたきっかけから、スタートを切れるかもしれません。この物語では、多くの登場人物が何かしらの理由で、立ち止まっています。それぞれが、どのようにしてスタートしていくのか?色んな考えが渦巻いていて、なかなか一歩踏み出しづらいのでは?とも思いましたが、人生何が起きるかわかりません。
すぐに答えを出さなくてもいいから、自分のペースで「これから」を生きようと感じました。
長々と書いてしまいましたが、まだまだ書きたいことは多くあります。それだけ色んな考えさせられる要素が詰まっていて、読み応えのある作品でした。
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何というタイミングで、この本が手元に届いたんだろう。
物語は、1999年と2019年が、交互に進行していく。
大学時代のボランティア活動、そこから発展して国際活動。私には未経験のことばかり。
何かに突き動かされるように、目を向けていたことから、あるきっかけで、目を閉じてしまう、見ないようにしてしまう主人公。
東京パラリンピック2020も、3.11も、新型コロナウイルスも、現実をなぞるように、語られる。
終盤は、本当に辛いことが起きる。
それでも少しずつ気持ちを前に向けることができるようになって、良かった。
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若いみのりが何処かに行きたい、最も広い
世界で何かを見て心や身体が踊る様な
感覚を味わいたいと思う気持ちは
誰もが一度は味わう気持ちだろう。
戦争に行って義足になった祖父の清美も
戦争さへ無ければ今の若者と同じ人生の煌めき
を信じていただろう。
人にはそれぞれそのひとの身の丈に合った
人生があり、一日一日が小さなタラント
となって積み重なり先の見えない人生の
遥かな道を其々が小さな灯りとなり
いつしか大きな光となって希望という名の
光になるのだ。
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良かったのですが、「タラント」のことを「〇〇したらんと(〇〇してあげないと)」と頭の中で”誤変換”してしまって、芯が「しゅっ!」としないまま読み終えてしまいました。すみません。