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  • カテゴリ:一般
  • 取扱開始日:2012/05/22
  • 出版社: 中央公論新社
  • サイズ:20cm/524p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-12-004347-5

紙の本

母の遺産 新聞小説

著者 水村 美苗 (著)

家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、...

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母の遺産 新聞小説

税込 1,980 18pt

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商品説明

家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない。ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?親の介護、姉妹の確執…離婚を迷う女は一人旅へ。『本格小説』『日本語が亡びるとき』の著者が、自身の体験を交えて描く待望の最新長篇。【「BOOK」データベースの商品解説】

【大佛次郎賞(第39回)】若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない…。親の介護、姉妹の確執。離婚を迷う女は一人旅へ。著者自身の体験を交えて描く長篇小説。『読売新聞』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

水村 美苗

略歴
〈水村美苗〉東京都生まれ。イェール大学大学院で仏文学を専攻。創作の傍らプリンストン大学などで日本近代文学を教える。「本格小説」で読売文学賞、「日本語が亡びるとき」で小林秀雄賞を受賞。

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評価内訳

紙の本

家族の絆にここまで厳しくメスをいれ、しかも優しいまなざしが一貫してある。老人が読むべき第一級の純文学だ。ところでいま、やさしく暖かい「絆」という言葉が万人の心を癒す呪文のように浸透しつつある。「絆」は絶対不可侵の価値観のように、「絆を深めよう」と一人歩きし始めた。「深めよう」とスローガン化された「絆」。それはあまりにも浪漫的に過ぎる「絆」である。

2012/05/01 11:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

『母の遺産 新聞小説』は家族の物語であるが、絆という言葉は使われていない。だがある意味で「絆」を描いている。絆とは家族・友人あるいは地域社会の構成員などを離れがたくつなぎとめているものであるが、それは美しいもの、癒されるもの、やさしいもの、ロマンティックなものとは限らないのだ。「絆(ハン)」には馬の足にからめてしばるひも、人を束縛する義理・人情、しばって自由に行動できなくするなどの意味がある。要は、ロマンティックな「絆」の根源には、個性を剥奪し個を不幸に陥れる「束縛」があるからである。
水村美苗はこの作品で特に母の娘へ過大な期待と娘のその束縛からの離反、両者の葛藤を冷酷とまで思える細密描写で描き出している。しかし、やがて作者の隠された意図がベールを一枚一枚剥いでいくように見えてくる。隠されたものは、「愛」という西洋風の言葉よりも、むしろ「絆」の二面性を包含する、日本古来の「縁(えにし)」という語感がピタリとおさまる真実なのだ。
「家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない。ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」
わたしは糖尿病で長患いをした父を送り、いま、妻の献身に救われながら94歳の母を老人ホームに預けている。「頑張って長生きして欲しい」と本人にも他人にも言っている。だが、そのような美しい小説風よりも、この「いつになったら死んでくれるの」のほうが、ずっしりとした重みをもって迫ってくるのだ。

『母の遺産 新聞小説』は、女であり、妻であり、あるいは母である女性たち三代にわたるそれぞれの「女の一生」ともいえるスケールなので、波乱万丈の展開があるように錯覚させるところがあるのだが、実はどこにでもありえそうな家族のもつれあいを描いていることに気づかされる。「どこにでもありえそうな」と感じるのはおそらくわたしがこれまで生きてきた時の流れをたどり、自分の知る家族というものを見つめなおすときに、登場人物それぞれを等身大にリアルにとらえることができるからなのだ。平易な文章でもって奥深いところにある家族関係の真実を語っているのだ。いたるところにわたしの経験した事実があり、痛いほど共感する家族間の気持ちの揺らぎが語られる。
読後、わたしが何を感じたのかを整理して言い表すことができないほど、この作品は家族にある光と影、重要ないろいろななにかを語っている。
三人称が使われるが語り手は現代に生きる50台半ばの主婦・美津紀。わたしよりは10歳ほど若い世代とはいえ、たとえば彼女が明治期の祖母を語るのは著者・水村美苗の視線であり、著者は61歳とわたしと同時代の人と言えよう。年代ものの人が己の来し方を振り返りつつ本音で語る人生論に若い人が夢や希望を託するのは間違いである。年代ものの人にとって、過去は消えないものの、ただ過ぎ行くものであり、未来を展望できる猶予はない。年寄は、思い通りにならなかったことなどすべてを飲み込んで、忘れられない過ぎ去った人生をただ感傷するだけなのだ。そこには若い人にむける気負ったお説教はない。だから世に無責任で向き合っている同年代の読者であれば、無防備に共感を深いところまで覚えることができるのだと思う。それが家族というものだ………と。
美津紀は新たな出発を決意することになるが、それは50台半ばという、まだどこかに残っている若さと経済力ゆえであろう。

美津紀が20歳代のパリ留学で今の夫にのぼせ上がるのだが、50台半ばになった今夫の浮気が露見する。そして当時を回顧するところでジャンソンを引き合いにする。
記憶にとどめておきたい文辞はたくさんあったが特にここは印象的だった。
「シャンソンの歌詞が『人生の知恵』の宝庫なのは、人の知るところである。今の世の流行り歌は、若者を相手に、ひたすら若者の世界を歌う。流行り歌に瞬時に大群で飛びつく若者こそ、歌という商品の消費の王者だから、当然である。それにひきかえ、一時代前のシャンソンは、若さに一歩距離を置き、若さとはどういうものか、そして、いくら抗おうとその若さがすぐ消えてしまうものであるのを教える。その悲哀こそが人生の妙であると教え、人生を謳いあげる。すでに人生を生きた人のための歌であった。すくなくとも美津紀にはそう思えた。年を重ねるほどその思いは強くなった。若い時、『娘っこ』はのぼせ上がる。」
シャンソンといまどきの若者音楽の違いは言うまでもなく、老いと若さを鮮やかに対比している。若さでのぼせ上がった自分を揶揄しながら、決してその軽率を後悔していない。シャンソンとは何かを語る人のように達観した心境で、自分の過ちを「人生の妙」として見つめている。それは自分を許し、夫を許すことにつながるのだが、老いつつある女性がやがて訪れる死を淡々として迎えるためのたくましい心の構えであろう。
この作品はわれわれの世代が面白く読んで、感慨を共有することができる珠玉の通俗小説である。いかにも女性らしい感性で、あるときはキラキラとあるときは残酷に、少女の、恋する女の、オバサンの微妙な心理が描かれているから、これは夫婦で読みたい本である。お互いに身につまされる共通の話題が満載だから、しばしの間だけでも、かつての円滑だったコミュニケーションが復活すること間違いなし。これに刺激を受けて「新たな出発」に踏みだそうとする奥さんであるならば、それがわたしの奥さんでないならば、わたしは惜しみなく拍手をおくりたい。

「尾崎紅葉の『金色夜叉』から百余年、もし日本に新聞小説というものさえなければ、母も、私たちも、生を受けることはなかった。」
飾り帯のこのコピーはなぞめいていて魅力的である。
「時は百十年以上前の、明治三十年。『讀賣新聞』で尾崎紅葉の『金色夜叉』が始まった。連載が始まるや否や日本中の女の紅涙を絞り、興奮の坩堝に投げ入れた。祖母の人生は『金色夜叉』ですっかり狂ってしまったが、あの新聞小説は祖母のような悲劇をあちこちで生み出したのではないか。新聞小説といえば『金色夜叉』。『金色夜叉』がそのように日本近代文学史に名を残すようになったのは、このメロドラマティック極まりない作品が当時新聞小説以外に小説を読むこと以外に小説を読むこともなかった女たちに与えた影響の大きさゆえである。」
夢、憧れ、ロマンスには現実の残酷さを気づかせないものがある。鴫沢宮を自分自身と同一視した祖母。祖母の子である母の生きかたはボヴァリー夫人そのものであった。その子・美津紀もまた現実とはどこか開きのある夢を見ていたのだ。美津紀はそれに気がついた。

水村美苗の知的たくらみはさらに広大な問題提起を投げかけている。日本近代文学の成立プロセスにも言及する。さらに明治という時代はなんであったのかのかと、著者は豊かな知見でとらえ、現代人へのメッセージを込めるのだ。深い感銘を受ける「純文学」の傑作である。

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紙の本

うらやましい

2012/06/21 20:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

今の私にぴったりだと思いました。私は兄妹の関係ですが,両親の関心はすべて兄に注がれ,兄の学資のために,私は進路も断念させられました。希望を持って望んだ夫との生活も,舅姑との同居で,忍耐と孤独の日々となり,仕事に逃げました。10年間,姑舅実父の介護と仕事のストレスで,鬱病となり,主人公と同じような薬を服用しています。そして,主人公と同じように仕事を退職しました。今は舅と実母を抱えています。小説の通り,歪んだ母娘関係で,「ママ,何故早く死んでくれないの」という気持ちは,痛いほど分かります。自分の気持ちを代弁してくれているようで,すっきりしました。最後,離婚を決意して一人暮らしをはじめたところ,小説とはいえうらやましいです。私と同じ境遇の人はたくさんいるんだと,救われました。

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紙の本

終末医療の渦中にいる自身の未来の姿をふと思ってしまうリアリティ

2012/06/10 15:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

水村美苗『母の遺産』は、その副題の「新聞小説」に、かなりの意味がある。著者の最初の小説を別とすれば、『私小説』『本格小説』と、これまでの小説はいずれも小説の一種のジャンルというべき名称をタイトルとしていて、今回の作品も、それに連なるものと考えてよいからである。
 『母の遺産』は読売新聞に連載された「新聞小説」だが、『私小説』が著者自身とその周辺を描いたもの、『本格小説』がドラマティックな骨格をもったものだとすれば、連載を続けて読みやすい、あるいは連載の途中でも興味をもたせる、といった日本的なエンターテインメント性のある小説である。老いた母親の介護、そして長年連れ添った夫の浮気という題材自体も、一般的な関心の範囲内にあるといえる。
 同時にのちに、「新聞小説」とは主人公の祖母がそれを読み、そのために主人公の大変な介護の対象となる母親がこの世に生じることになった尾崎紅葉の新聞小説『金色夜叉』を指してもいることが明らかになる。複合的な意味合いが「新聞小説」にあることがこれで分かった。(図書館の本を読んだので、帯文がそのことにふれていたのは後で知った。)

 最近は日本の小説をあまり読んでいないのだが、興に乗って二日間で500ページ以上の本書を読んでしまった。面白いことは認めざるをえない。
 以下に記すのは、ストーリー上、少し気になった部分であるが、未読の人は予備知識のないほうがいいかもしれない。主人公、美津紀はわがままな老女の母親が転倒骨折し、その介護にあけくれるが(その大変な過程が本作の中心をなす)、ふとしたことで夫に別の女がいることを知ってしまう。入院した母親の面倒に忙しいなか、大学教授の彼はベトナムに「サバティカル」で旅立つ。忙しさと夫への不信のせいで、美津紀は母親が病気で亡くなっても、そのことを知らせないままにしておく。また以前、夫の浮気は二度ほどあったのだが、そのときより相手が若そうな今回の浮気(というより、それ以上のもの)を知ったことも夫には黙っている。
 ところで主人公は夫のパスワードを知っていたため、ベトナムにいる二人のeメールのやりとりを読んでしまうのだが、そのなかで女が計算高いことを知る。
 《女は哲夫の年収、貯金や株の総額、マンションのローンの残高、さらには美津紀のおおよその年収まで知っていた。〔略〕そして、別居の話もまだ出ていないのに、話し合いだけで済む協議離婚なるものを成立させるため、美津紀に分けるべき財産を計算してきていた。》
 ここで本書のタイトルとなる「母の遺産」が生きるのだが、すでに入院中に老人ホームに移るため土地が売却された母親の財産のことを、相手の女は知らないらしい。《あますことなく平山家の懐を把握している女だが、千歳船橋の土地の話は知らされていないようだった。》
 ストーリー上、問題となるのは、たとえ夫が相手の女に、妻に入る財産のことを黙っていたとしても、そうしたことを計算高い女が考慮しないことの不自然さである。細かな金銭を気にしない女か、それとも主人公の母の遺産さえも考える女か、どちらかでなければならないような気がする。またベトナムで二人が同居しているならeメールの必要もないのでは、とも思う。かくてこの小説は、「母の遺産」にストーリー上、抜き差しならぬ重みをもたせつつ、そのためにかストーリー上の齟齬がさらされる、そんな小説になってしまった。とはいえ、あくまで主人公の視点から描かれる小説であるため、矛盾が矛盾としてやぶれるほどではないと言い添えておきたい。また「母の遺産」にも複合的な意味合いがありそうだ。

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