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紙の本
さらば脳ブーム (新潮新書)
著者 川島 隆太 (著)
大ヒットゲームのアイコンとなったことで「脳トレの川島教授」は一人歩きを始めた。街中に顔があふれ、研究者たちの批判が始まり…。「基礎科学研究の社会還元」とは何か。「脳ブーム...
さらば脳ブーム (新潮新書)
さらば脳ブーム
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商品説明
大ヒットゲームのアイコンとなったことで「脳トレの川島教授」は一人歩きを始めた。街中に顔があふれ、研究者たちの批判が始まり…。「基礎科学研究の社会還元」とは何か。「脳ブーム」の功罪とは。渦中の当事者が沈黙を破る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
川島 隆太
- 略歴
- 〈川島隆太〉1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒。同大学教授。医学博士。ニンテンドーDS「脳トレ」シリーズ監修者。専門は脳機能イメージング研究。
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紙の本
ありがとう、ありがとう、川島教授
2010/12/15 20:52
16人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人的に、川島教授にはたいへん感謝している。
旦那が脳出血で倒れたあと、リハビリで使ったのが「脳を鍛える大人のドリル」だった。おかげさまで、完全失語で、一生車椅子と言われた旦那は、今自分で歩き、日常会話も支障なくできるようになった。
この本は、川島教授が「脳を鍛える大人のドリル」を出版するにいたった経過と、それに続くDSソフトの発売、そして起こった脳ブームのなかで、教授が感じたこと考えたことが赤裸々に書かれている。
とはいえ、とってもあっさり書かれているので、むしろそのあたりの教授の自制心の高さに感動するのであった。
研究者としての矜持と、プライド。
そして、全く土俵の違うところからの攻撃や、マスコミの歪曲に対しても、それはそれで仕方ないけど、と現象を受け入れつつ言うべきことは言っている強さ。
お茶目で、無邪気な川島教授の姿が、垣間見えて素敵でした。
実際、脳トレをしたことによって、運動機能が改善された症例もあったそうだ。実験データーとしてとってないからか、教授は脳トレで活気がでてきたからであろうと書いておられるが、脳トレで脳の血流量が増えることでの改善だと私は思います。
と、最初の医療現場の冷淡さも書かれていたが…。
ドリルのおかげで、びっくりするぐらい読む力がついた旦那で、担当の医師がびっくりして「なにかやってるか」と聞くので、これをやってるとドリルを見せた。
が、その後病院としてそれを取り入れた話はきかない。
まぁ、病院としては臨床実証ができてないことは取り入れられないのだろう。それは理解する。
なので、結局のところ自分を守るのは、自分自身なのである。自分の日頃の地道な学習意欲が、自分を助けるのだなぁと、改めて感じたのであった。
にしても、DSでの利益を受け取らないとしたとき、家族を含めて色々いわれたそうだ。
あのニュースを見たとき、家族の言い分があるだろうと思ったら、やっぱりそうだったんですねww
紙の本
全世界で累計3300万本という爆発的ヒットとなった任天堂の「脳トレ」を開発した川島隆太教授による「脳ブーム」顛末記
2011/08/16 18:18
14人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
彼の講演を聞いたことがあるが、彼は基本的に学者であり、今も東北大学加齢医学研究所で教授を務める研究者である。彼の話は基本的に真面目で、論理的である。彼が本書でも非難しているように、学者でも何でもないくせに「脳科学者」を気取る、あの茂木健一郎のような「芸脳人」とは似ても似つかぬ輩とは全く違う、重厚で学術的な話をする人である。彼の話ぶりに好感を抱き本書を買ったわけだが、いや、こっちが想像していた以上に、彼は任天堂ソフトの世界的ヒットと、その成功で獲得した莫大な富に起因する嫉妬と誹謗中傷の嵐に巻き込まれ、かなりのストレスを感じたようなのだ。本書の半分以上は(あくまで私の感覚だが)、こういう「あらぬ誹謗中傷を川島教授に投げかけた卑怯で不誠実な輩たち」への反論であり、反撃に費やされている、そんな印象を受ける内容となっている。まな板に乗せられたのは、大阪大学教授藤田一郎、理化学研究所の加藤忠史(これに関連してか、「学会などの場に行くと、他者の新しい、かつ耳目を集めている仕事をこっぴどく批判して、自分はその仕事をした研究者よりも立場が上なのだよと主張したがる研究者は、関西に多い」とまで川島さんは毒づいている。分かる気がする)。
川島さんがはっきりと「インチキ」と名指しした茂木健一郎に比べ、同じ「芸脳人」ながら川島さんは養老孟司と立花隆については、基礎科学と一般社会とをつなぐ「通訳者」として、その業績を高く評価している。もっとも養老については同じ学者として気軽に声をかけたのに、かなり無礼で尊大な対応をされたようで、「まあ率直にいって、あまり良い印象を持てなかったのは事実である」と、ここでも川島氏は養老に毒づいている。
こうした「毒づき」のオンパレードながら、やはり感動的なのは「公文」と共同で開発した教材を、福岡県にあるアルツハイマーなどを患っている痴呆老人向け施設「永寿園」で臨床に使った結果起きた「劇的な効果」に関する記述の部分である。この部分は川島先生の講演の際も映像で見ることが出来たが、まさに「劇的な効果」といっても言い過ぎでないくらい、ほとんど人格が消失しかかっていた痴呆老人が数カ月後、笑顔を取り戻し、正に生き生きと「再生」しているのである。こんなことが薬も使わずにできるのか。今でも私には信じることが出来ない気持ちが半分はある。
川島教授が偉いなと思うのは、彼は彼が任天堂との間の契約で稼いだ利益の全額を東北大学に寄付し、自分の懐には一銭もいれていないところである。その金で彼の研究所はビルを二棟も建てたと言うからスゴイ!
俗に「出過ぎた杭は打たれない」という。確かこの言葉は青色発光ダイオードを見つけたことで舞い上がり増長した中村修司の言葉だったように記憶するが、川島先生は「出過ぎた杭も打たれる」と書いてある。その打たれ方は、本当に半端では無かったようで、本書の最後の最後まで、無責任な「脳トレ批判」を展開した連中への怨嗟の声で満ち満ちている。その怨念は、本書の締めくくり方に良く表れている。「これから5年後、2015年にも、「脳を鍛える」「脳トレ」という言葉が死語でなかったら、私の蒔いた種は社会に根付き、社会と共存できたということだろう。その時は、脳トレ批判をした連中に向かって、大きな声で『ざまあみろ!私の勝ちじゃ!』と叫ぶことにしよう」。川島さんのストレスが1日も早く解消される日が来ることを願わずにはいられない。頑張れ!川島隆太!!
紙の本
研究者による社会貢献
2011/02/05 06:03
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
象牙の塔にこもって基礎研究に専念するのか、研究成果をいくばくかでも社会実装(科学技術振興機構が使い始めた造語らしい。p74)するのか。川島教授は、この両輪を均等に回すことを使命として研究を続けている。そのことをきちんと主張するため、本書を書かれたようだ。エピソードを中心としたエッセーであるが、興味深く読ませてもらった。
たとえば、任天堂からの収入(ロイヤリティ?)の管理はすべて東北大学に任せ、その収入で加齢医学研究所に二つの新しいビルが建ったそうである(p110)。このへんの配慮が川島教授の志の高さである。研究者が目指すものは金銭ではない。研究の動機は、研究対象に対する純粋な興味、そして税金でそれをやらせてもらっていることに対する感謝と社会貢献であるべきだ。そのことを肝に銘じ、実践することを心がけて研究を続けている姿がうかがわれる。科学者すべてがこうであってほしいものである。
紙の本
積もり積もった苦労話から怨念も噴出する「脳トレ」の誕生裏話。「煽り煽られのせられた・・」とは?
2011/01/31 17:33
8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「脳トレ」の代名詞のようになった「川島教授」。その教授が、ブームとなったゲームやそれに先行した「ドリル」の作られる過程の話を著したのであるから面白くないはずはない。「社会実装(基礎研究の成果を実際に社会で使えるようにすること)」の具体例としての苦労話だけではなく、問題点もまとめられているのでこれから「研究者であるが社会貢献をなにかしなくては」と思っている人にもとても参考になるともいえるだろう。著者自身も「はじめに」で「社会活動が予想を超えた成功を収めた時に、いったい何が起こるのかを知るモデルケースとして、本書を読んでいただけると幸いである。」と書いている。
どんなことでもそうだろうが、新しいことをやると沢山の苦労がある。読むといろいろな苦い思いがあったんだろうなと想像するに難くない。確かに基礎科学と社会の共存の難しさの実例がここには書かれている。
しかし、鬱屈して書きたくなった気持ちはわかるが実名でここまではばらしすぎてませんか、と心配にもなった。まあ、ここまではっきりおっしゃると気持ちよいともいえるのだが、研究者の実名が記されているのに「費用がかからないので国では・・」と言ったという財務官僚は「関係者に御迷惑がかかるので」と実名が隠されている(P76)など、どうも徹底していない感じもする。
脳トレバッシングとしてよく言われるという「きちんとした検証がない」という意見に対しては「基礎研究として開発したつもりじゃないのに・・P116」だそうである。この「つもりじゃないのに」に問題点が明確に出ている気がする。
どうなんだろう。「東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修」と所属の研究所まで明記して出したということは当然「その研究機関で確認された」と認識されると考えておかなくてはいけないのではないだろうか。著者は少しずつ結果を証明するデータも集めているということなので、必要性は(というか「ないよりはあったほうがいい」かもしれないが)認めておられると思う。「企画者」として、研究者だけでなく企業の側も「名前だけ借りる」ような軽い気持ちではなく、即した研究データの方も集める予算をきちんと入れて進めて欲しい。もちろん、それをきちんと考えている会社も沢山あるはずである。
「社会実装」という場面では、予想もつかない展開は沢山あるだろう。「そんなつもりじゃ・・」となった時どう対処するのか、にも注目していなくてはいけないだろう。「脳トレ」の効果の科学的検証については、著者の今後の研究の範囲の中で少しずつでも検証し、また「社会実装」をしていただくことを望みたい。
著者としては、意見は言ったけれど走り出されてしまったという部分もあっただろう。最後の章「さらば脳ブーム」では、著者は『私が煽り煽られのせられた「脳トレ」ブームは・・P189』と書いている。
そうか。著者はブームにのせられたのかもしれない。・・・でも煽ってもいたんだ。