紙の本
著者にも読者にも時間は過ぎる
2016/05/18 18:14
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投稿者:タンポポ旦那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「地球はプレインヨーグルト」以来、親しんできた梶尾真治ではあるが、数年ぶりに刊行された「エマノン」を読んで食傷気味になり、近年はすっかり御無沙汰していた。
しかし本著は久し振りの時間テーマ、“クロノス物”といことで手にした。
やはりこの分野、ジャック・フィニイやロバート・ネイサンにも通じる、梶尾真治の独壇場という感じで面白く読めた。
ただ、少年の視点は変わらず梶尾真治の感性ながら、中・老年の視点が加わったことで、著者と同時代的に過ごしてきた自分にとっても、著者にとっても、時は無常に過ぎていると、妙に納得した作品でもあった。
紙の本
キャラメルボックスでの舞台化熱望
2016/04/08 01:13
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投稿者:westtribe - この投稿者のレビュー一覧を見る
カジシンの本領発揮、なタイムトラベルラブストーリー。
主人公もヒロインも自覚なき時間旅行をしている、という点が新しい。
メインのヒロイン杏奈よりも、影のヒロイン梓の人生に思いを馳せてしまった。
本人が幸せならそれいいのだけど、あまりに切ない。
ていうか、なんでこんな男を好きになったのか^^;
それが理屈では説明できない何かなのか。
物語のカギを握るタイムマシンの名前は、
カジシンファンなら特別な響きを持つ「クロノス」。
これは、人物だけじゃなくアイテム・機械にも、
スター・システムを導入したということでしょうか?
全体を通じて、気持よくカジシン節に浸らせてもらった。
あえて注文をつけるとすれば、
終盤、ストーリーをたたむべく急いだ展開になりがちなこと。
これ、「ジェノサイダー」時代からのクセのような気がします。
紙数の関係もあるとは思いますが、
読者が自然なスピードで余韻に浸れるのが理想。
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数奇な運命の少女杏奈。
杏奈にどうしようもなく惹かれる幼い少年健志。
幼さゆえに純粋な健志の想いが杏奈の運命を動かしていく。
そんな健志を見る梓の心は切なかった。
健志の心は杏奈でいっぱいで、梓には一瞥も与えようとはしないから。残酷なまでに正直な。
時の流れも残酷。
あがいてもあがいても、解決策が見えないまま時だけが過ぎていく。
浩志、そうでないかと思ってたとおりだった。
あれでよかった、んだよね。
ちょっと切ないけど、きっと。
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3月22日に発売というので、毎日色々な書店を探したのですが、すぐ売り切れてしまうのかなかなか手に入りませんでした。それで、もう我慢できずAmazonの力を頼ることに。
初恋の想いをずっと持ち続ける人生なんてとても素晴らしいと思いますね。相当巡り合わせがうまくいかないと言うよりも、相当運に恵まれないと実現しないなあと思いつつ、自分の過去と照らし合わせながら読み進めました。前半は、随所に出る仕掛けを認識しつつ、もどかしさを感じるのも非常に心地良いものでした。しかし、後半はつじつま合わせの展開、やや強引な解決手法(成功に向けてのストーリー性)となり、少々テンションが落ちました。
期待が少し過大だったのかもしれません。ということで、星3つにしてしまってすいません。進化したクロノスよりは未完成のクロノスのほうが断然好きなので、先生にはこれからもいろいろな不完全さを持つクロノスに対する人間の挑戦を愛を込めて描き続けて欲しいと思います。
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カジシンの本領発揮、なタイムトラベルラブストーリー。
主人公もヒロインも自覚なき時間旅行をしている、という点が新しい。
メインのヒロイン杏奈よりも、影のヒロイン梓の人生に思いを馳せてしまった。
本人が幸せならそれいいのだけど、あまりに切ない。
ていうか、なんでこんな男を好きになったのか^^;
それが理屈では説明できない何かなのか。
物語のカギを握るタイムマシンの名前は、
カジシンファンなら特別な響きを持つ「クロノス」。
これは、人物だけじゃなくアイテム・機械にも、
スター・システムを導入したということでしょうか?
全体を通じて、気持よくカジシン節に浸らせてもらった。
あえて注文をつけるとすれば、
終盤、ストーリーをたたむべく急いだ展開になりがちなこと。
これ、「ジェノサイダー」時代からのクセのような気がします。
紙数の関係もあるとは思いますが、
読者が自然なスピードで余韻に浸れるのが理想。
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梶尾真治さんの新作「杏奈は春待岬に」、2016.3発行です。「つばき、時跳び」の新しいヴァージョンでしょうか・・・。桜の咲いている数日の時期だけ春待岬に存在するさくら姫こと杏奈をめぐる物語です。時空を超えたラブストーリーです。ラストへの導き方に私としてはやや不満が残りますが、梶尾さんらしいといえば梶尾さんらしい作品だと思います(^-^)
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祖父・祖母のいる天草の海辺の町で、小学生の健志は春休みを過ごす。祖父の家からは、町の人々が春待岬と呼ぶ美しい桜並木が見える。健志は春待岬にある洋館で美しい年上の少女に出会い、それが彼の人生を変えてしまう。美しい少女は毎年、桜の時季だけこの洋館で暮らしていることを知った。未来からクロノスというタイムマシンでやってきた少女は、マシンの故障により時空間を彷徨う運命のなかにいた。健志はマシンを修理して彼女を救い一緒に暮らそうとするが、その願いは果たされぬまま無情に時間は流れ、健志は老人になってしまうが・・・
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途中までの物語はとても素敵でした
ただ、三分の二以降
何か息切れしてしまった感を
覚えてしまいました。
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主人公以外の存在に対する扱いが酷い。それだけ主人公のヒロインに寄せる想いが純粋だといいたいのだろうか。
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少年の恋物語だと思っていたのですが(確かに長い恋物語ではあるが)、ちょっと違いますね。
恋する少年は強い。
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【ネタバレ】久々のタイムトラベル・ラブロマンス。タイムトラベルについてはちょっと理解できなかったし、ラブロマンスとしては余りに切なすぎてやりきれません。
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桜の咲く時期にだけ現れる少女杏奈を一途に思い続ける健志。隣にいるのが自分ではなくなっても、ただ杏奈のためだけを思う・・・。確かに、究極の恋物語。切ない。
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図書館の福袋本。
切ない・感涙などと福袋には書いてあったのですが、読んで涙を流すことはありませんでした。
恋愛小説が苦手だからでしょうか、小学生の頃の初恋に、捕らわれ続ける男(健志・浩志)も、女(梓)も、理解しがたいものがありました。
特に、主人公の健志の、親や祖父母に対する感情が、杏奈との関係に、どう利用できるかという事のみにあるようで、読んでいて不快でした。
祖父の店を継ごうとしたのも、杏奈の近くに居たいが為。
祖父が亡くなって、店の切り盛りをするのかと思いきや、手伝いはするものの、祖母にまかせて勝手気まま。
祖母も亡くなり、父も亡くなり・・・
店を閉めても、母の元に戻って暮らすのではなく、春待岬の屋敷で暮らし杏奈の帰りを待ち続ける。
杏奈以外の人に対する無情さを見ていると、感涙などどうやっても起きない。
なぜ未来からタイムトラベルしなければならなかったのか。
クロノスの故障を知ってからの高塚と秋彦など。
SF要素が、もっと詳しく盛り込まれていたら、もう少し楽しめたかも知れません。
杏奈に会えた日々と、会えない間の無気力な日々の繰り返しを読むだけで、たいした盛り上がりも無く、正直読むのが苦痛でした。
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カジシンらしいと言えばらしいのだが、終盤のあまりの辻褄合わせ的なご都合主義は物語として如何なものかと思った。
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「つばき、時跳び」の元のタイトルが「つばきは百椿庵に」だったというので、似た雰囲気の物語を想像して読み始めたのだが、生涯をかけた初恋をした、初恋に一生を捧げた男の、あまりに一途な姿には、春と桜と海(岬)という風景とは真逆の影の空気を感じさせられる。
さて、杏奈のことばかりが語られ、家族やまわりの人物との関係はまるで背景かのように味気なくしか触れられれず、特に梓との関係、梓の思いが男に(読者にも)明確に伝わってこないのは、時の間に閉じ込められた少女を待ち続け、流れ続ける時の中で時を止めてしまった男
にとっては、周りの人間との時間の流れに差ができて、
梓に限らず、自分を取り囲む人や世界は、まるで早送りのように流れ去って行ってしまっていた、のではないのか。
そういった想像も踏まえると、ある重大で皮肉な秘密が隠されていて、男が時を止めてしまっているようで、時の速度差、老い、限りある人生という現実も容赦なくのしかかっていた男にとって、ラストはある意味での約束の成就、つまりは自分の人生からの一つの解放、であったのではないか。
時の流れるスピードが異なる男女の姿は「美亜に贈る真珠」も思い起こさせる。あと「ジェニーの肖像」も。
クロノスをジョウントできる(ようになる)人物が登場するのはちょっとしたご愛敬か。