紙の本
無名というなかれ英雄である
2012/04/11 16:32
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投稿者:arayotto - この投稿者のレビュー一覧を見る
転がったボールに大勢の子どもが一斉に集まる小学生のサッカーのようだ。
原発事故に直面し、免震重要棟内で右往左往する東電社員の姿を、自衛隊統合幕僚幹部がこう例えていました。
事故発生当初から、そして一年後の今でも、東電の変わらぬ当事者意識のなさを象徴するようで、うなずくと同時に、情けなくなってしまいました。
「外事警察」「宣戦布告」「奪還」で知られる麻生幾のルポ「前へ!東日本大震災と戦った無名戦士の記録」の一節です。
3部構成第1章は、目に見えぬ放射線のなか、福島原発放水作業に向かった自衛隊、警察、消防の決死の作業を。
第2章は、キレイな道を作る必要はない。人命救助と捜索部隊のために、まずはとにかく最低限車輌が通る道を確保し、また、その迂回路を探すことに徹した、国土交通省東北地方整備局を。
第3章は、訓練やシミュレーション、対処計画を遙かに超えた現実に、省庁の壁を超えて立ち向かった内閣危機管理センター、自衛隊、地方警察、災害派遣医療チームを。
丹念丁寧な取材に基づき、震災当日から数日数カ月間を臨場感ある筆致で再現したルポです。あの日あの時あの場所で起こったことが凄まじい衝撃で突き刺さってきます。
メディアにはあまり登場しないこうした無名戦士たち(いや、英雄です)の決断と行動には賛辞しか思い浮かびません。ホント頭が下がります。
しかし悲しいことに、こうした栄誉が描かれれば描かれるほど、反面鮮やかに浮き上がってくるのが、冷静さを失った、ただ「声が大きいヒト」たちの醜さです。
早々に総理専用室にひきこもってしまった菅直人、指揮命令系統を無視して怒鳴り散らすだけの海江田経産省大臣、放水作業に向かう決死隊に不鮮明な原発建屋写真だけを渡して「この辺りです」としか言えない東電社員、爆発という現実を受け入れず「確認できていません」と後送りにし、避難を遅らせてしまった官邸、東電、保安院などなど。
ひょっとしてこの国は、無能な少数のリーダーと、有能な多数の無名戦士によって、ようやくなんとか保たれているのでは、と感じざるを得なくなってくるから悲しくなります。
1万5千を超える犠牲はたしかに大きく、防げなかったのか、と今後も問いかけられ続けていくでしょう。
でも、この本で紹介されている英雄たちの不断の決断と行動があったからこそ、1万5千でとどまったとも、言えるのかもしれません。
南海トラフの危険性が高まるなか、必ず起こるであろう次なる災害に対して、適切に迅速に対処するためにも、あの震災を、立ち向かった人々の側面から、今一度振り返ってみることが必要で重要です。
そのためにも多くの日本人が読むべき一冊だと強く感じました。
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まさに記録としての本だと思う。
そのため、記述はとても淡々としている。
それから、いろんなエピソードが列挙されているので、
やや、散漫になっている印象が否めない。
もちろん、これだけの情報を取材するのは並大抵ではないのだろうが。
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哀しかったり、切なかったり、嬉しかったり、感動したりで人は
泣くのだが、あまりにも激しい怒りにかられても涙が流れるん
だなぁと実感した。
未曾有の災害に対して、多くの機関、多くの人たちが史上空前の
作戦に立ち上がった。自衛隊や消防、警察の活躍は様々なメディア
で報道されたので今更言うまでもないだろう。
本書での注目は国土交通省の外局である東北地方整備局の
対応である。
震災発生直後から、今後の人命救助・支援活動の為、緊急車両の
通行に必要な道路の確保に各人が苦闘する。
傘下にある国道事務所・維持事務所、そして災害発生時に協力
体制を敷くことになっている民間企業が一丸となって、余震が続くなか
利用出来る道路の状況確認が行われる。
菅直人、海江田万里がどうしようもないなかで、当時の国交相・
大畠氏の「すべて現場に任せる。国の代表として必要と思われる
ことはすべてやれ」の指示は、やっと国務大臣らしい発言だった。
大規模災害の全容も分からないうちから、対応のあった人たちは
それが任務であるから「前へ」と進んだ。そして、その足を引っ張った
のは日本政府と東京電力ってのは本当に腹立たしいよな。
自衛隊に燃料不足の危機が襲う。通常、燃料元売り会社からは
直接納品されるのに燃料元売り各社が供給を止めた。
「官邸の意向」
元売り会社の幹部から帰って来た答えがこれ。被災地への優先
供給を考えてのことらしいのだが、自衛隊への供給まで止めて
誰が人命救助・災害支援に係わる活動出来るんだよ。素人でも
何が優先順位か分かるってのに。
そして、大たわけ企業の東京電力。機動隊に高圧放水車の貸し出し
を依頼したのはいいが、複雑な操作が必要である為、自社社員では
操作不可能。「やっぱりそっちでやってね」だと。
全電源喪失した福島第一原発に、各電力会社所有の電源車を
パトカー先導で送り込んだら、「高圧電源なので使えません」。
そんなもん、送り込む前に分かるだろう。
こんな企業、もう潰れていいよ。ついでに原子力安全・保安院も
解散しろ。
尚、本書は良書ではあるのだが著者の筆が感情に流されている
部分が多い。事実のみを淡々と記してくれた方が、現場の臨場感は
伝わると思うのだけどね。
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麻生幾さんがドキュメンタリー?っていう意外感満載で読みはじめましたが、仕事柄かなり引き込まれました。特に第二部はご本人にもお話を伺ったので、非常に臨場感がありました。
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自衛隊員、警察官、官僚らが、いかにして震災、原発事故、津波被害に立ち向かったか。考察を付け加えない語り口は賛否両論あるだろうが、知り得た事実を淡々と綴った文章は読みやすく、好感が持てる。
ここに描かれている東京電力の姿は、もちろん取材対象者らの主観がある程度反映されているのだろうが、それを差し引いて考えてもひどい。危機管理能力、当事者能力が欠落している。海江田、菅らも然り。
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新聞やテレビでは報道されていなかった3.11直後の細部が描かれているこの一冊。現場と東京の間での情報の錯綜や混乱。「自分がいく」と決意と覚悟で名乗り出る自衛隊員や機動隊員など前線の方々。既に、はじまりつつあるが、更に詳細な、検証が行われていくのだろう。
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【東日本大震災関連・その26】
(2011.10.05読了)(2011.09.29借入)
東日本大震災に際し、福島第一原発で、原子炉冷却のための初期活動を行った方たち。津波の被災地への道を確保するために活動した人たち。内閣危機管理センターを中心とした活動を行った人たち。以上、3つの記録です。それぞれ100頁ほどにまとめてあります。
全く知らなかったのは、被災地への道を確保するために活動した人たちの記録で、そこをいちばん興味深く読むことができました。
危険な仕事であることはわかっていながら、誰かがやらなければいけない仕事、その誰かが自分でなければならないと思いながらやれる人たち、ありがたいことです。頭が下がります。涙がこぼれます。自分も彼らの恩恵にあずかりました。感謝しております。
章立ては以下の通りです。
第一章、福島第一原発、戦士たちの知られざる戦争
第二章、道路を啓け! 未曾有の津波被害と戦った猛者たち
第三章、省庁の壁を超え、命を救った勇者たち
●自衛隊(10頁)
自衛隊の中で真っ先に福島第一原子力発電所へ出撃したのは、陸上自衛隊「中央即応集団」の指揮下にある「中央特殊武器防護隊」という名の特殊部隊だった。
●東京電力(47頁)
免震重要棟には、二百名以上という社員がいるのに、一つのアクシデントが起きると、全員の関心がそこへ向けられる。その姿は、まるで、小学生にサッカーのようだ、と思った。転がったボールへ、大勢の子供たちが集まってしまう、その姿だ。
つまり、発生した事態を俯瞰して、全体像を見る、チェックする人間が誰もいないのだ。
●3月18日(87頁)
3号機へ放水に向かったハイパーレスキュー隊は、放水ポイントとした場所の放射線量が、約三百ミリシーベルトという驚異的な値を示したため、放水を断念。後退した。
ハイパーレスキュー隊が後退―その報告が届いた東京電力本店二階の対策統合本部では、海江田大臣が声を荒げた。「そんな臆病な指揮官、代えろ!」
「ハイパー隊は下がれ!自衛隊と変われ!自衛隊をもう一度入れろ!」
「これは総理の命令だ!」
●オーダーの根拠は(99頁)
オーダーを繰り出す経産省の対策本部は、その根拠を本当に持っているのだろうか。第一原発の状態をはっきり把握したうえで、科学的な根拠に基づいて言っているのだろうか。
●東北地方整備局(121頁)
東北地方整備局は、国土交通省の外局である。しかし、その管轄下にある、職員、装備品、そして数千億に及ぶ驚異的な予算の指揮権と執行権は実質上、すべて東北地方整備局にあるのだ。
●沿岸部から報告が届かない(129頁)
さっきから、内陸部にある事務所や出張所だけからしか報告が届かないのである。
一方、三陸の湾岸エリアにある事務所からは、報告はない。通信さえできない。
国道事務所や出張所とは、マイクロ無線によって連絡が取れるシステムとなっているはずだった。(津波でやられていた。)
●何もなかった(134頁)
突然、視界が開けた。眼下に釜石港が見えた。
そこには、釜石市街があるはずだった。しかし、なにもなかった。
家屋がほとんどなかった。そこは海だった。
●沿岸部へのル��トを(148頁)
「無駄な動きは致命傷となる。内陸部の被害にいちいち対応すべきじゃない。重要な被災地を見誤る。目標は、太平洋沿岸部の都市だ。あすから、人命救助と救援のためのルートを確保するため、そこへ向かう道を我々は、『啓開』によって開ける!今から、その準備を徹夜で行って欲しい!明日から勝負だ!」
●国道45号(156頁)
信じられない光景が広がっていた。大船渡市内は大津波にのまれていたのである。
「国道45号」が走っているはずの場所は、大量のガレキに埋もれていた。
●沿岸部へのルートを(158頁)
明日の朝、東北全域の国道事務所と出張所から、大量の職員が出発する。それぞれの持ち場から、最も近い国道を突きすすむのだ。そして、どこが通ることができて、どこが通行不可能であるのか、徹底的に調査を行う。もし、通行不可能と判定した場合でも、そこで止まらない。迂回ルートはどこか、それを緊急に調べるのだ。途中で止まることはありえない。
●通信機材、災害対策車、職員(196頁)
徳山は、通信機材や災害対策車を全国から集めて市町村に配置するように指示。大津波で被災した太平洋沿岸部の町役場ではいずれも、通信手段に困窮している。そこで東北地方整備局が保有している衛星通信車を、それら自治体に送り込む手続きを徳山は急がせた。有線が遮断されていても、衛星通信車なら、どこからでもNTT回線と通信が可能だからだ。
次いで、市町村長の幕僚となり得る優秀な職員を、リエゾンという名目で送るように命じたのだった。
●人命救助(263頁)
大震災から三日後の3月14日、午前7時現在において、陸上自衛隊は、7358名もの人命救助を行った。また、海上自衛隊は510名、航空自衛隊も2059名の命を救った。
☆麻生幾の本(既読)
「宣戦布告(上)」麻生幾著、講談社、1998.03.06
「宣戦布告(下)」麻生幾著、講談社、1998.03.06
(2011年10月12日・記)
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2011/10/10-10/10
新聞やテレビではほんの一部しか報道されなかった記録がここにある。「東電 保安院」の歯がゆい対応報道の影に、「自衛隊 警視庁機動隊 東京消防庁 国交省東北地方整備局 内閣危機管理センター 災害派遣医療チーム 福島県警」に代表されるサムライ魂は確実に存在していた。
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【53冊目】今、乱発気味に出版されている震災関係の本を読んでみるかと思い立ち、買った本。副題からも分かるように、震災で活躍した自衛隊・国交省東北地方整備局。警視庁機動隊・DMAT(災害派遣医療チーム)の活躍を描いたノンフィクション。
(good)内容が薄いから読みやすい。//報道以外の活字で震災情報に触れると、日々流れ込んでくる震災情報を落ち着いて整理できるようになる。少なくとも、一定の視座を得られる。//絶句したのは、重機でガレキをどけて道を開こうとした人が発した一言。「ガレキの中には…人がたくさん…」地震発生直後の被災地の惨状を物語る。
(bad)内容が薄い。哲学的な考察を含んでいないから。まぁ、だから読みやすい。//第一章はあまり面白いと思えなかった。なんでか分からないけれど。自衛隊の組織に詳しかったら、もう少し興味深く読めたのかも。まぁ、勉強にはなったな。筆者が悪いのかもしれないけれど。複雑な状況描写を消化しきれていないというのは、外事警察の時と同じ印象。
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自衛官、警察官、東北地建職員らを取り上げた表題通りの内容。
それにしても海江田、菅のお粗末さ、というより犯罪的行為。
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大震災で、命がけで働いた自衛隊、消防隊、警官、東北地方整備局及びDMATの活動記録。
情報がない、資材がない、人がいない、確固たる命令もない、逆に放射能の恐怖がある中で、現場にいる人びとが、いかに究極の判断を迫られ、対応していったか?
死ぬかもしれないという状況に部下を送るリーダーの苦悩。
今、首都圏では、表面上は落ち着いているように見えるのは、初期対応を命がけでやってくれた無数の無名の方々がいたからだと思う。
それにしても、指示を出すべきリーダーが、感情的になったり、情報を抱え込んだり、権限を超えて命令を出すなんて…ここが日本の不幸であるが、現場力がまだあったことが、日本の希望です。
津波の記念碑と同様に、伝えていくことが必要。まだ、何も終わっていないとの気持ちを持ち続けることが必要。
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読みました! 電車で読みましたが、何度か胸の奥からぐっとこみあげてくる感触を受けました。 大震災という状況の中、それぞれが個々人のプロフェッショナルを活かして、「俺はこれを今せねばならない!」と頭ではなく心で判断した人々。 特に、2章の地元の土建屋さんらが「俺たちの出番だ、好きに使ってくれ!」と積極的な支援に名乗りでるところなんて、もう涙です。(これができなかった自分への歯がゆさにも跳ね返りますが・・)
こんなに東電って恐ろしい会社なのか?という純粋な疑問もありますが、それは専門家の分析に任せるとして、ただただ、まっすぐに前へ!という魂の本。 心高ぶります!!
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この本は警視庁機動隊、ハイパーレスキュー隊、災害派遣医療チーム(DMAT)…未曾有の危機に命をかけて対峙した、名もなき戦士たちの知られざる記録です。僕が本当に知りたかったことはこういうことです。
いまだ被害の全貌は明らかになっていない東北・関東大震災および福島第一原発の原発事故ですが、そんな未曾有の大災害に立ち向かった自衛隊。消防士のハイパーレスキュー隊。災害派遣医療チーム(DMAT)。警視庁機動隊…。彼らに焦点を当てた災害の記録でございます。
はっきり言います。僕が本来知りたかったことはこういうことです。この本は全部で三章の構成になっているんですけれど、そのどれもが熱い人間ドラマというべきものでした。
第一章の「福島第一原発、戦士たちの知られざる戦争」では中央の
「俺の命令は総理の命令だ!」
という某大臣のムチャ振りとも言える指示の嵐と、東京電力の(ここに書かれている限りでは)本当に他人事とも言える態度を、自衛隊や、ハイパーレスキュー隊に対する対応をどうにかかいくぐりながら、致死量ともいえる放射線を出し続ける原子炉に向かって、東京電力側から詳しい場所を指示されることもないまま、任務をこなしていく自衛隊員やレスキュー隊員の姿は心を打ちました。
第二章の「道路を啓け! 未曾有の津波災害とたかった猛者たち」では物資を輸送するにも膨大な瓦礫で道が寸断されており、重機を使って、瓦礫を取り除き、道を切り開いていこうとする民間会社や、東北の現地に派遣されている国土交通省の官僚の姿が描かれており、途中で、瓦礫を押しのける際に
「ただの瓦礫じゃないんです…。」
と現場の人間が言ってきた際。それが被災した方々の遺体がまだ残っている瓦礫だということで、自衛隊の方々と文字通り「人海戦術」で道を切り開いていく姿というのが僕の心の中に残っています。
そして第三章の「省庁の壁を越え、命を救った勇者たち」では国家の中枢をつかさどる人間たち―局長クラスの幹部たちが一堂に集まり、地下室にそれこそ、不眠不休で事に当たっていたという事実を読んでいると、胸に熱いものを感じずにはいられませんでした。現地の人間が速やかに避難できるように、原発事故で燃えつつけている原子炉の火を止めるために方々に手を尽くして、現場に行った機動隊の方も全力で任務に服していたということがかかれており、いつか、ここに書かれてあることがドラマかなり映画化されて、江湖に知れることを強く望みます。
まだまだ、予断は許されませんし、今もなお、現場で命がけで任務に当たっている方々に敬意を表しつつ、彼らのような「無名戦士たち」が少しでも報われることを僕は願って止みません。
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本書は、東日本大震災直後に活躍した自衛隊・消防・警察、道路整備に従事する公務員達、内閣危機管理センターの官僚達の活動内容を描いた感動的な活動の記録である。
その内容の時々刻々危機が進行する事態に対処する活動は、迫力に満ち、緊迫感にあふれ、まさに英雄的な叙事詩のようにも思えた。実にすばらしい男達であると同じ日本人として誇りにも思い、一気に読んでしまった。
しかし、本書のプロジェクトXのようなドラマ仕立てのような感動物語はちょっと書きすぎではないだろうかとも感じた。これだけの具体的な進行を本にするには、膨大な取材を積み重ねているだろうことは間違いがないし、現地の男達が、犠牲をものともせずに「突っ込んだ」ことも本書で記載しているとおりだと思うが、事実を本書のような感動ドラマにしてしまうことは、東日本大震災への教訓と言う観点からは、認識をゆがめるのではないだろうかと危惧を憶えた。
本書では、海江田万里経済産業大臣と東京電力幹部を徹底して敵役のように描いている点も、違和感を感じた。ドラマならば、活躍する無名戦士を際立たせるために、だらしなく、決断力がなく、かえって事態を悪化させる幹部を出演させることがよくあるが、本書のような幹部の取り上げ方では、冷静で客観的な事態の把握を妨げるのではないだろうかと思った。
東京電力にしろ、政府中枢にしろ、未曾有の混乱にあったことは疑いがない。感情的な非難よりも、冷徹な視線と評価が検証にはふさわしいと思った。
福島原発の事故に関しては、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」より2011年12月26日に中間報告書が提出されている。同委員会のウェブサイトからダウンロードできるが、報告書本文だけでA4 507㌻という膨大なものである。こちらも是非読んでみたいと思った。
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圧倒的な不安。刻一刻と悪化する原子力発電所。自分自身、当時ニュース等々で刻々と報道される原発の状況に震えた。しかし現実は想像を絶する戦慄的な状況だったとは。当時情報が遮断されていたのは良かったのか悪かったのか。実際に進行している状況を知らされていたら日本はどうなっていたのか。考えるだに恐ろしい。危機的状況をよく脱したものだと思う。視点がやや偏りがちではあるが、当時の状況を読み進むにつけ背筋が凍る臨場感だった。特に原発の部分は恐怖だった。