紙の本
身近なものの一歩先を曇りなく見て知る自由
2020/12/01 14:32
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「お金と便利」はヒトを楽にはさせるけど幸せにはしない。そんなことを考えながら読みました。
「反」資本主義という単語は聞いたことがあるけど、「脱」資本主義となると、実は新しい。そこに、ちょっとそこに興味を惹かれます。
硬めのタイトルですが、内容的には、暮らしに身近な単語がそこにちりばめられていて、読みにくさはひとつもない。その身近なコトバの元に繰り広がるのは、皮肉にも、さまざま私が知らなかった負の事実。それらが、詳細なデータとともに赤裸々に描かれていて、かなり驚愕することにもなります。本書は、「世界を曇りなく知る」ためのひとつのテキストであるとも思う。
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先進国に住む我々にとっては、経済流通の中の大量販売・大量消費の部分しかおおよそのところみえてこない。しかしながら、その前行程、後行程を支えている途上国を抜きには、経済の一連の流れというものを正確につかむことはできない。
本書においては、そこに関するいくつかをピックアップし展開している。加えて、目次をみて関心あるところから読み進めていける手軽さも持ち合わせている。
テーマを見て、一見すると過激な内容のものかと疑う場面も想定されるが、筆者の見解はあとがきで述べているように、「とりあえず理想とする方向に向かってみて、その先のことはその都度考えればいいという立場だ。なぜなら、どういう社会にすべきかは、それぞれの場所によって違う答があるはずだから。」という部分に集約されていると言える。
本を読むに当たっては、本の中身が大事なことは間違いないのだが、こと本書に限って言えば、あとがきを読むだけで筆者の言わんとしていることがしっかりと伝わるものになっている。
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ひとつひとつの話題がコンパクトにまとまってるし、全体を俯瞰して見ていくと、相関関係がわかるような。終盤、少しだけトーンが変わって、農園作りの話。ピースマークはいかがなものかと思ったけど、夜明けの時間帯っぽいぼんやり度がまた、よかった。
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引っ越しの時に業者に頼まずに友人に謝礼を払って手伝ってもらう、外食せずに好きな食材で弁当を作る、遊園地で遊ぶのをやめて公園で自然を感じて遊ぶ、CDを買わずに友人から借りる、というようなことを辞めて逆を目指すとGDP(=豊かさの数値)が増える。ってこれってどうよ? 人とのつながりを楽しむほどにGDPが減り、日本が貧しくなって行く? 経済成長を優先してできあがった今の貧しい先進国が、手を差し伸べるふりをして、新興国を巻き込み、経済的に貧しい人を陥れている現状を見直そう、ということが詳細なデータとともに書かれている。
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2012.9.24 図書館
僕らが普段口にしている食べ物や、着てる服、ライフスタイルなんか全て自分で選んでるわけではなくて、グローバル企業によって操作され、選ばされてるんだ。それで本当に餌にされてるのは僕ら消費者ではなくて、途上国の生産者なんだ。そうとわからないように巧みに2段構えになってる。グローバル経済がかつての奴隷制と同じ仕組みだということ。よく考えて生きて行かねばならない。
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「グローバル経済」が金科玉条のように言われて久しいけれど、それは本当に人間を幸せにしているのでしょうか。答えははっきりしてきました。「一部の人間は確かに幸せになるが、大部分の人間は生活を破壊され、貧しくなる」のが現状です。「グローバル経済」は世界の富を均等に分ける方向には機能しないようです。逆に一部の国家、あるいは一部の人間に富が集中し、その格差は開いていく一方です。本書では現代の経済がいかに資源を浪費し、無駄なものをつくることでGDPを水増しし、発展途上国から収奪しているかを多くの事例を挙げて解説しています。自分自身、広告に携わることでその片棒を担いできたこと、あるいは消費者として多くの資源を浪費してきたことを思うと非常に心苦しく思います。私たち個人が具体的に出来ることはなんでしょうか。過剰消費を抑える、自然に触れて「循環するシステム」への理解を深める、選挙やデモで「アンチグローバリズム」を表明する…。少しずつですが、そういった事で世の中を変えていくことが出来るのではないでしょうか。福島の原発事故で私たちが学んだことは「そんなことを言ったら経済が成り立たない」というロジックは完全に間違っているということです。「経済」というものは経世済民〜民の暮らしを救うためにあるもので、その逆ではないのです。経済を守るために人間が犠牲になっている、この社会を変えることは私たちに残されたフロンティアであると信じたいと思います。
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「自分が常々こんなことを思い巡らしているのは、実は地球のためではなく、自分が楽になるからだ。」という一文があったから、全体を流れるトーンに共感できた。
新自由主義など、よくわからなかったことが、丁寧な説明で、前よりは少しわかるようになった気がする。
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『完全自殺マニュアル』の著者。
資本主義の瑕疵を指摘するための、呪詛のような本。
綿花、自販、自動車、マクドナルド、洋服、ゴミ、電力などなど…。
すごく、いろんなところに申し訳ない気持ちになる。
自然界のことも考えて生きよう、と言うが、今これから自然に生きることの、なんとむずかしいことか。
テーマが広すぎて、あまりひとつひとつに深く掘り下げられてはいないけど、こういうことがあるんだ、と改めて気付かされる。
必要に駆られてモノをつくるのではなく、設けるために大量にモノをつくって、飽きさせて、というサイクルが恐ろしいものに感じられた。
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完全自殺マニュアルの著者( @wtsurumi )による経済実例書。
わざわざ地球のどこかを犠牲にしながら、むだに浪費している。この仕組みを作ることにより、どっかの誰かが得してる。地球も犠牲にしながら。そんな暮らし方を考えて、改めませか?って本。
まずは知ることから。
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ひとつひとつの話題が読みやすく、現代社会が抱える問題がよくわかる。
きちんと読み手のことを考えてやさしく解説しているところは
好感を持てる。
ただ、このタイトルは人を選ぶし、
端々で著者の活動や主張が描かれるところは
賛否がわかれるんじゃないだろうか。
文中で『いのちの食べかた』を話題に出すなら、
この映画のように現代の矛盾や生活している上で見えないこと(見えにくくなっていること)を
主張を織り交ぜずに淡々と綴るだけでもインパクトがあったかもしれない。
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オレは鶴見済(ワタルさん)が大好きで、特に『檻の中のダンス』の頃は、オレもあちこちのレイヴで踊ってたし、反原発デモでも、たぶん同じように盛り上がってた。
だから、同じ時代に同じ場所にいる人、というカンジがする。
特に『檻の中のダンス』は本の表紙もデザイン良くて、六本木の本屋でジャケ買いした。ワタルさんのサイン入りだったし。
そんな、鶴見済が、まさか、こーゆー本を書くようになるとは・・・予測できなかった。しばらく、消えてたし。おクスリのやり過ぎで体調悪いのかなあって心配してた。でも、帰ってきてくれた。
オレの、政治的ツイートのアカウントでは、フォローまでしていただいて感謝。ワタルさんから返信してもらったし、彼のツイートには注目してる。
オレはナイキが好きだから、ナイキ批判はなかなか理解できないけれど。
でも今、日本では、時計が逆向きに回り、独裁政権の時代に逆戻りして、心底ウンザリしてる。
選挙のときに、有権者が選ぶことができない、見せかけの選挙の時代に逆行して、もう絶望した。
だから、オルタナティヴ(代替案、代替手段、習慣にとらわれない、非体制の、1990年代のカウンターカルチャー、カウンターカルチャー的なもの)がものすごく欲しい。
オルタナティヴな試みは、すでに世界中で行われていて、原発反対デモのときはすげー盛り上がったし、アラブの春や、ウォール・ストリート占領みたいなことを、オレたちだって、もっとやりたいし、やるべきだ。
昔のマルクス主義や宗教的カルトの教条主義なんかじゃなくて、もっと自由に考えて自由に行動できるような、現実に政治や社会を変革できるような、自分自身も盛り上がれるような、そういうきっかけになる本だ。
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パーマカルチャーがなんとかいう講座へ、リック・タナカさんの「降りていくための処方箋」などが載った『We』175号を背負っていったときに知りあったのが、長屋の傍房の管理人さんだった。なんどか傍房へあそびにいき、お茶を飲み飲み編み物をしたり。
この本は、管理人さんから借りていた。「暮らしを持ち寄る集会所」になればと傍房をひらき、"物やエネルギーの消費に頼るばかりではない暮らし"をかんがえてこられたのだろう管理人さんのことや、自分の暮らしのことをいろいろと思いながら読んだ。
たぶん、よく言われるのだろう、「おわりに」でこう書いてある。
▼「脱資本主義」などと言うと、「社会主義にするのか」「カネを使わないのか」「昔に戻るのか」などと極端な反論が飛んできそうだが、どれも違う。少なくとも自分は、とりあえず理想とする方向に向かってみて、その先のことはその都度考えればいいという立場だ。なぜなら、どういう社会にすべきかは、それぞれの場所によって違う答があるはずだから。(p.214)
著者は、"経済の仕組み"について疑問を持ち、調べ始めたころから、「極力カネに依存しない生活をしてみたことがある」(p.212)という。そうして、なるべく買わないようになり、貸し借りや物々交換をすることも多くなり、「何につけても、何を買うか考えるのではなく、どこまで自分でできるのか、すでにあるものがどう使えるのかを考えるようになった」(p.212)そうだ。
▼カネを使わないほうが楽に生きられる、とは言えない。むしろ一般的には、何でも買って済ませたほうが楽だとされている。けれどもこうしたほうが、何と言うか、生きることに興味が湧いてくる。(p.213)
「GDPは豊かさを示さない」(p.135-)、「貧困とは配分の誤り」(p.157-)のところは特に、あーそうやなーと思った。経済学では、GDPが増えること=イイこととされていて、GDPが増えることが経済成長だというのだが、それはホンマにイイことなのか?
GDPという指標は、カネを使うほど大きくなる。たとえば、
・弁当を作っていくよりも、お金を払ってランチを食べれば
・引越しの手伝いを友人に頼むよりも、業者に頼めば
・水道水を飲まずに、ボトル入りの水を買えば
・公園で遊ばずに、遊園地へ行けば
・服を繕わず、捨てて新しく買えば
・自転車をやめて、タクシーに乗れば
…GDPは増える。
▼我々がカネを使わずに、自分自身で、家庭のなかで、友人と、あるいは隣近所といった共同体でやっていたことを、カネを払って誰かにやってもらうほど、それよりもたくさんのカネを使うほどGDPは増える。DIYや自給自足や共有や相互扶助を進めることは(それどころか単なる節約までもが!)、GDPを減らし経済を縮小させるのだ。(pp.136-137)
いろんなものが商品化され、カネを介したつながりに変えられていった。そうして経済は"成長"してきた。言い方を変えれば、「カネ依存」になることが、経済成長であり、GDPを増やすことなのだ。
貧しい人にお金がゆきわたらないのは、景気が悪いからだ、経済成長が足りないからだ���パイ全体を大きくすれば、配分が増えるのだというのだが、それよりも、パイの分け方を変えればいいんでしょ?配分がそもそもおかしいでしょ?と著者は突っ込む。
▼パイ全体を大きくすれば、確かに小さな一片は、多少は大きくなる。そして大きいほうの一片は、もっと巨大になる。これが「全体を大きくする」説を唱える側の狙いなのだ。(pp.158-159)
いろいろと、いかにこの社会は「経済の奴隷」養成システムのようになってるかを書いてあって、それなりに頷けるところもあるのだが、この本に書いてなくて、私が知りたいと思ったのは「教育費のこの高さはなんだ」ということと、そこのところを配分を変えるとかなんとかするには、ということ。
住居費も高いし、暮らすことにもやたらお金がかかるけど、教育費が高すぎるのも「稼ぐ仕事をやめるわけには…」と多くの人を縛ってると思う。なんとかならんものかと、ほんまに思う。
この本は、章の合間に「反抗のしかた」というコラムをはさみ、こんなふうに物申すことができる、こんなやり方があると紹介している。そのコラムの5番目で「宮下公園ナイキ化反対運動」のことをあらためて読み、図書館や公共施設の"民営化"も同じやなあと思った。
▼宮下公園のナイキ化は、もちろん「民営化」に他ならない。確かに公園の所有権までは売られていないが、所有権を移さずに私企業が設計や資金調達、運営などを担当する民営化が、今世界では主流なのだ。民営化とは"privatization"の訳語であり、つまり元は企業による「私物化」を指す言葉だ。民営化は新自由主義の基本政策で、「北」でも「南」でも、鉄道や病院などの公共のものや、水や種子などの共有のもの(コモンズ)がどんどん企業のものになり、カネの原理に飲み込まれてしまっている。(p.166)
「民営化」することで"コスト"を削減するというのも、なんだか当然の常識のようになってきつつあるのを感じるが、たとえばこの訳語が「私物化」だったとしたら、こんなにも普及しただろうか?
『We』175号の特集は「暮らしを自分の手に取り戻す」だった。お金をささやかに稼ぎつつ、ヘトヘトになったりせずに、みんながええように暮らしていける道は?と考える。
前に読んだ、平川克美の『経済成長という病』なんかをまた読みたくなった(この本のことはいつだったかの『We』で書いた気がするが、どの号だったか思い出せず)。
(3/20了)
※参考
「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」
http://minnanokouenn.blogspot.jp/
「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」とは?
http://minnanokouenn.blogspot.jp/2008/07/blog-post_14.html
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副題「グローバル経済が蝕む暮らし」~Ⅰ身近にあるグローバル化の被害1服と綿花とアラル海2原発の輸出と重工業界の支配3ゴミの輸出と交わせる戦略(反抗のコラム1デモ~普遍的な不満の表現手段~)4コーヒーと南北問題の歴史5スポーツ・ビジネスと搾取工場6ジーンズと西洋の文化的侵略(反コ2サパティスタ民族解放軍~グローバリゼーションへの反乱~)Ⅱ経済に使える国・日本1アルミ缶とインドネシア2自動車を増やす陰謀3日本人はなぜパンを食べるのか?(反コ3世界社会フォーラムと自律スペース~「今とは別の世界」の実践~)4自動販売機はなぜ増えたのか?5アメリカが増やしたタバコの輸入6マクドナルドの何がよくないのか?(反コ4ラテンアメリカ革命~巨大な自律経済圏~)Ⅲ初心者のための“批判的”経済入門1誰にでもわかる資本主義の定義2GDPと自由貿易とカネへの依存3金融危機と自由主義経済の歴史4通貨危機とバブル経済の仕組み5「南」の債務問題と貧困の原因(反コ5宮下公園ナイキ化反対運動~自分たちの場所を作る~)Ⅳ自然界とのつながり1人間界の外側2大豆と消えゆく農業3水を買わせる仕組み4霊長類とビタミンC5自然界の循環と死と再生(反コ6新しい農業~増えてきた素人の農民~)~思い出したのはピースボートという船が動かなくなって抗議のためにデモをする年配の者を冷ややかに見ていた若者という構図を喋っていた古市という若手社会学者の話。何だか嫌な奴だと思ったが。今時の若者のように現状を肯定的に見るのも嫌だけど,文句ばかりの奴も嫌だ。じゃあ,どうするのってことで,どうしようもないし,反抗のコラムみたいにやると反日,在日?悪者扱いだ。権力に阿るネット右翼って立場として楽だろうなぁ…生理的に嫌な者は在日,反日家にしてこき下ろせば良いんで…バカみたいだけど
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完全自殺マニュアル・人格改造マニュアルの鶴見済さんの著書。
著者が市場経済の肥大化を批判しつつゆるいつながりを大切にするオルタナティブな生き方を実践する作家になっていたことに驚いた。
(もともと東大卒のサブカル系ノンフィクション作家という十分にオルタナティブな生き方をしている人ではあったけれど。)
本書は反資本主義本書の立場で語られる。
そのため、市場による分配は権力による分配より圧倒的に優れているというスタンスの自分からすると「本当にこれを無くせばうまくいくのか?」と疑問符がつくエピソードは多い。
だが、ソ連の計画経済のもとでのアラル海の縮小やアパレルメーカーのスウェットショップなど、ここで語られる問題は積極的に見ようとしなければ見えないものばかりだ。
むしろ、市場を通した分配の利益を信奉する現代人からすると、意図的に無視し、問題視する人の方を偽善者・陰謀論者とみなしがちである。
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資本主義というのは儲けることが優先なので、自然環境や未来を担保に一部の人間が富を独占することになってしまっている。このシステムを多くの国が採用したことで今、環境や人々の周りで起こっている問題をあぶり出した内容。
この手の本はいくつか読みましたが、それでも始めて知った問題もいくつかありました。こうした問題がなぜ起こったのかという過程については詳しいのですが、だからどうすればいいのか?というところまではあまり深く踏み込んでおらず、著者が個人的に取り組んでいることを述べた程度。
同じような資本主義に対する疑問を呈した本ならば平川克美の『グローバリズムという病』『消費をやめる』などの方が面白いかも。