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商品説明
「僕はここに噓を書かなかったから」 文学の道の模索、病との闘い、妻との不和、幼子への思い。終戦まもない1945年9月1日から47年7月31日まで、断続的にきわめて克明に綴られた、作家・福永武彦誕生の記録。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
福永 武彦
- 略歴
- 〈福永武彦〉1918〜79年。福岡県生まれ。東大仏文科卒。学習院大学で教鞭を執る傍ら作品を発表。「ゴーギャンの世界」で毎日出版文化賞、「死の島」で日本文学大賞を受賞。ほかの著書に「草の花」など。
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著者/著名人のレビュー
敗戦後、過酷な現実に...
ジュンク堂
敗戦後、過酷な現実に目を背ける事なく、
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今こんな作家がいるだろうか。
書店員レビュー
美しい姉妹に愛されな...
MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さん
美しい姉妹に愛されながらも自死を選ぶ主人公を描いた中編「廃市」や、
求めても得られない愛の孤独を描いた「草の花」など、
いずれも“愛と孤独と死”を作品の主題とした作家の「戦後日記」。
この作品は、敗戦後、疎開先の帯広に妻子を残して、
文学で身を立てるべく東京へと向かった若き日の作家の内面が克明につづられている。
再発した結核のために繰り返す闘病生活や、詩人である妻との不和といった困難な状況下でも、
翻訳をこなしながら同人誌を作り、小説のプロットを考えるなど、
自分の信じた道を疑わずに邁進する表現者としての強さにとにかく圧倒される。
この作品を読むと、孤高の表現者だったが為、自身の孤独を作品の中に昇華できたのだと思えてくる。
圧巻である。
文芸 菊地
紙の本
若き芸術家の愛と苦悩と孤独と
2011/12/24 13:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
「廃市」「海市」「死の島」の作者、というよりも池澤夏樹の父である福永武彦の若き日の日記である。
1945年、46年、47年のほぼ3年間におよぶ日記を読んでみると、敗戦直後の生活苦、病苦、芸術苦、世界苦、とりわけ恋愛苦によってこの文学青年が強烈なダメージを蒙り、それがのちの彼の芸術に決定的な影響を、というより傷を残したということがよく分かる。
福永武彦の運命を決定づけたのは若き日に小説も書いていた「マチネ・ポエティック」の同人であった詩人・原條あき子で、この青年の生涯最大の危機をあるときは永遠の毒婦の如く加速させ、またあるときは永遠の童女のごとく回避させた運命的なヒロインが息子夏樹をこの世に誕生させたのだが、この夫婦の対峙関係はどこか島尾敏雄とその妻ミホのそれを思わせる。
1947年の日記は二人の実存がぎりぎりのところで軋み合う有様を、息苦しい緊迫感と臨場感とともに伝え、ある意味では下手な小説以上の迫力であるが、著者が自画自賛する内容を持つ「1949年日記」が発見されたと言うが、その上梓の日が一日千秋の思いで待たれるのである。