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- カテゴリ:一般
- 発売日:2012/02/29
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/233p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-306472-5
読割 50
紙の本
なつかしいひと
著者 平松 洋子 (著)
初めて出会ったなつかしいひと。わかれた男の恋しい傷痕。夜匂う花、口中にただよう味。日常をゆるがせる不在感を鮮烈に描くエッセイ67篇。【「BOOK」データベースの商品解説】...
なつかしいひと
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商品説明
初めて出会ったなつかしいひと。わかれた男の恋しい傷痕。夜匂う花、口中にただよう味。日常をゆるがせる不在感を鮮烈に描くエッセイ67篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
初めて出会ったなつかしいひと。わかれた男の恋しい傷痕。夜匂う花、口中にただよう味…。伊丹十三、沢村貞子、有吉佐和子ほかの作家をなつかしみ、日常をゆるがせる不在感を鮮烈に描く。追慕の情あふれる全67篇。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
平松 洋子
- 略歴
- 〈平松洋子〉東京女子大学文理学部社会学科卒業。エッセイスト。「買えない味」でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。ほかの著書に「焼き餃子と名画座」など。
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紙の本
おいしい文章
2012/04/27 09:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
料理の味を文章で表現できる人はうらやましい。
味覚が十分に肥えていないと無理だし、文章にする力もなければなるまい。
料理とは食してその優劣が決するものだが、それを文章にするとなるとどれくらいの形容詞を出馬させても読者の食欲まで迫るかどうかは怪しい。
少なくとも料理に関しては、おもわず唾を飲み込むほどの香り、歯ごたえ、味覚、見た目が文章に感じられないといけない。
平松洋子さんはフードエッセイストとしても一級の文章力をもっている人だ。この人が食し、そして文章にした食べ物のおいしいことといったら。
そして、それは食に関することだけでなく、実は文章も一級品だというのが、このエッセイ集を読むとよくわかる。
つまりは、食に対しても、文章に対しても、貪欲なのだろう。あるいは、生きるということについても。
このエッセイ集は、生活エッセイとも呼べる作品が収められている。
生活エッセイであるから、食に関することだけでなく住まいも着るものも、季節も日常も、思い出も現在(いま)も、すべて含まれている。
例えば、「霜柱を踏む」という、わずか2ページのエッセイ。久しぶりに見つけた霜柱を踏むその瞬間。
以下、平松さんの文章からの引用。「ざくり。足の裏で霜が崩れる音が響く。ざくざく。真冬が鳴る」。
このおいしそうな文章ったら、ない。
「ざくり」、「ざくざく」という音の響きが足に伝わる感触まで伝えてくるではないか。おそらくこれは冬の野菜、白菜を料理する音にも似ている。
ざくり、ざくざく。
そうか、食には音も欠かせないのだ。肉が焼ける音、醤油がはじける音、包丁を刻む音、水が流れる音、氷が砕ける音。
そのいずれもが、過去を現在(いま)を、季節を連れてくる。
平松さんの文章はそういった食に鍛えられ、今や一級の文章家になったといえるだろう。
とにかく彼女の文章は、それが日常の一コマを著したものであれ、おいしくてたまらない。
紙の本
翻弄され、魅了される平松洋子さんの文章
2012/12/12 18:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平松洋子さんのエッセイ、読むたびに彼女の文章に惚れ込んでしまいます。
毎週日曜日の新聞連載も楽しみで楽しみで、まずはさらっと読んで、それからじっくり読んで、たまに音読したりして…。
そうこうするうちに、今日はなにがなんでも平松洋子さんがしじゅう作り続けているというシンプル卵蒸しを作らねば…という気持ちがむくむく湧いてくる。
これって一体なんなんでしょ。
さて、「なつかしいひと」の話をしましょう。
まずは表紙の写真がなんともいい!木村伊兵衛さんの「浅草」です。この一枚でもうぐぐっときています。
あの冬の匂い、(が漂ってくるんです。)
雨音にもっていかれる、(んですよ。)
日暮れの稽古、(あの日のことです。)
競馬新聞の中身、(たいそう気になりますよね。)
乾いた水中花、(あなたは不思議そうに眺めていました。)
夜を支配する声、(あなたも聞こえてくるでしょう。)
川沿いの古いビルで、(何が起こったのか、もちろんあなたは知ってますよね。)
とまらなくなるので、やめておきますが、目次だけでも何かをせずにはいられません。かっこ内の言葉は私が勝手に続けてみました。
とにかくどこからでもいいので、このエッセイを読んでみてください。ほんとうにオススメです。
「それまで会ったこともないのにわけもわからずなつかしいと思い、ほかに言葉を見つけようとしても、やっぱりなつかしさとしか名づけようのない情調を醸しているひと。そんなひとに出逢ったとき、甘やかな感情の波に押し流されてみたい、足もとの砂がさらわれるにまかせて翻弄されてみたい、危なげな衝動に魅了される。」(「絵空事」)
まさに私は平松洋子さんの文章に翻弄され、魅了されています。しみじみ。