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上巻で、ムンバイに確固たる生活の基盤を築いたかに見えた主人公に、この中巻では大きな危機が降りかかる。
それは、無実の罪による投獄であり、大事な人の喪失である(これは、カバーのあら筋に書いてあります)。
過酷な獄中生活とそれからの脱出は、「モンテ・クリスト伯」をちょっと思い起こした。
再生したかと思えた主人公に、自己崩壊の危機が訪れる。
自分を陥れた人物は誰か?
底に潜む陰謀は何なのか?
この中巻でも若干の解決が提示されているが、まだまだ秘められた謎が下巻で明らかになるようだ。
ミステリー仕立ての様相も加わり、これから主人公がどのような運命をたどるのか、興味は尽きない。
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永く読書を続けていれば、
時として途轍もない作品と出会う、
今回の「シャンタラム」の様な。
文庫本上・中・下巻 3 冊で 1,900 ページ弱の大作。
人の息遣いや熱を本当に感じられる緻密で圧倒的な描写。
内省的、哲学的ディスカッションに吸引され、
思索の迷宮に誘い込まれる。
縦横無尽なストーリー展開に、
只々魅せられ読書の至福を味わう。
巻末の養老孟司の解説は先に読んじゃダメ。
彼ですら例の「あらすじの羅列」をしている事に幻滅した。
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凄まじい。あまりにも荒唐無稽なお話のように思えるのだけれど、
この波乱万丈に満ちた男の人生を描いた作品は、確かに作者の自伝的小説なんだ。
またたく間にスラムの人々の命を奪っていくコレラ。線虫やシラミだらけの刑務所。
想像を絶するような世界で、どこまでもタフに生きる生命力に溢れた人々。
「ここはインドなんだ。ここは心の国なんだよ。」
というヴィクラムの言葉が心に残りました。
さて、下巻はどんな展開が待っているのか・・・ドキドキしながら進みます。
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元バックパッカーの友人に薦められて読み始めました。
上・中・下で1500ページ以上。
文庫版でも一冊1000円位するので三冊で3000円します。
とにかくすごいボリュームです。
オーストラリアの刑務所から脱獄し、
インドのボンベイに流れ着いた主人公リンの冒険譚。
ボンベイの街と人々に一気に魅せられたリンが体験する
驚異的なインド。
暮らすことの喜びと苦しみ。
愛する人との出会いと別れ。
戦争と犯罪。
そして自由と責任の葛藤。
それらのテーマが圧倒的なボリュームと、
詳細なディティールと臨場感で綴られていきます。
この本の魅力はたくさんあり過ぎるけど、
自分的にはインド人の持つ底抜けの明るさと、正直さ。
人生を楽しむ姿勢に感銘を受けた。
本だけで無く実際に行ってみたいという気持ちが沸き起こってきます。
こんな物語が書けるのも筆者の半自伝だからだそうだ。
筆者の経歴もすごい。
オーストラリアでヘロイン中毒になり、
金欲しさに武装強盗を働き、脱走。
ボンベイに渡り、スラム住民のために無資格無料診療所を開設。
その後ボンベイマフィアと行動を共にし、
アフガンゲリラにも従軍。
タレント事務所設立、ロックバンド結成、旅行代理店経営、
薬物密輸で再逮捕。刑期を務め上げた後に本作を発表。
どこまでが本作で描かれているかは言わないけど、
リンそのまんまやんてね。
読むだけで世界が開かれること請け合いの本書は
かなりオススメです。
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全三巻中の二巻目。簡単に要約をしてしまえば、コレラに冒されたスラムを救い、刑務所に入れられて、出獄後ギャングになったお話だ。しかし、おそらく全部筆者が体験したことで、その描写がとてもリアルだ。要約してしまえば、まったく面白くなくなってしまう。
にしても、普段生きる中で、こんなにも哲学的に物事を考えることができるのか。もっと深く考えなくては。
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『シャンタラム』の2冊目。今回は、スラムで起こったコレラの対処に際して獅子奮迅の活躍を魅せるところからスタート。前回の終わりにカーデルバイの息子・タリクを預かることになっていたが、そのくだりは丸々カットされており、ちょっと残念であった。いきなりタリクを返す3カ月後になっているとは・・・。
そして、次の展開はリンが何者かの陰謀により投獄されてしまうことに。そこでの生活描写が生々しく少し読んでいて気持ちが悪くなった。筆者の獄中の体験がもとになっているからかだろうか。。。
出所した後は、ボンベイ・マフィアの一員となり、不正両替やパスポート偽造の手口を学び稼いでいくことになる。そのおかげで収入にも恵まれることになるが、しだいに心が失われていくことになってしまう。さらに、スラムから離れたことや、恋人カーラとの距離が広まっていくこと、「レオポルド」の常連客たちとの死別や別れ・裏切り、義兄弟が殺害されるなどといったことにより、再び薬物漬けの生活に戻っていくことになってしまう。
作中で語られていた、正しい動機から、悪い行動が生み出される、というのはまさにその通りだと思い、よく行ってしまう過ちの一つだと思う。
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2012年、最高の一作となる予感の凄い作品。これは面白い。主人公はインドに降り立ったオーストラリア人。脱獄の果てにインドに辿り着き、そこでの邂逅やら異文化との衝突やらを経て、自分の人生を見つめ直す。その過程を描いただけの作品なのだが、これが抜群に面白かった。
先ずインドの描写。汚く猥雑な国、というイメージしか無いが、厳しく暖かく、そして心がある。それを表現する歌と踊りがある。そんな素晴らしい一面を鮮やかに描いている。何とも泥臭く、魅力的な国だと認識が改められる。そんなインドを描く道具が多種多様の人との出会い。キャラが立っており、彼/彼女がどう思うか、読んでいる側が思い描ける程に緻密でリアル。そして人の心の移り変わりさえも全く違和感が無く響いてくる。主人公の過去やインドでも出来事は何一つ日常的なものは無いが、それでも違和感が無い。むしろ自分に降りかかっているかのよう錯覚から抜けられなくなる出来栄え。作者の筆力と訳者の上手さに下を巻く。
しかし何と言っても本作の魅力はその詩的な表現の数々。登場人物が皆、気の利いたセリフを言う。とても日常的ではないのだが、いちいち心に沈み込んでくるセリフ群。これまで読んだ本の中でメモをした回数は最大級。覚えておきたくなるセリフや言い回しばかりで、どんどん読書スピードが落ちる。
この世界から抜け出したくない、という思いばかりが募る大名作。お勧めです!!
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貧しく、疲れ、不安に苛まれていても、彼らはインド人だった。インド人なら誰もがこう言うだろう―愛はインドで作り出されたものではないかもしれないが、まちがいなくこの地で完成されたものだ、と。(P97)
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すごい小説。
人生の大切なことが詰まっている。
とにもかくにも下巻へGO!
“「リン、男はいい女を見つけなきゃならない。そして、いい女が見つかったら、彼女の愛を勝ち取らなきゃならない。彼女にくそ尊敬されるようになって、信頼を裏切らないようにしなきゃならない。そして、自分と相手が生きているかぎり、そうありつづける。ふたりとも死んじまうまで。それが人生のすべてじゃないか。それがこの世でくそ一番大切なことじゃないか。それが男というものだ。男はいい女の愛を勝ち取り、その女に尊敬され、信頼されつづけて初めて、本物の男になる。そうなれるまでは男じゃない。」”
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突然の監獄、カーデルからの救い、カーラへの愛、そしてブラバカル、マウリツィオの…。
静かでそして激しいボンベイでの生活であるが、カーデルの提案により下巻ではついに国外での活動が始まる。
読み進むにつれてぐいぐいと引き込まれていく展開には、息をのむばかり。
下巻はそして結末はどうなるのか。非常に気になる物語だ。
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上巻よりもストーリーにスピード感があり、夢中になって読む。
しかし相変わらず主人公に魅力がない。
「愛」や「高潔」など、言葉では色々言うけれど
主人公の言動を見る限り
それは言い訳のように聞こえてしまう。
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考えてみれば上巻から既に激動の展開だった気がしなくもないけど、中巻での激流に比べればあんなもんは序の口と言わずばなるまい。次のページで何が起こるのか全くわからないジェットコースター読書。出来る事は文字の奔流に身を任せるばかりなり。
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それにしても波乱万丈。
次から次へと色々なことが起こり、巻き込まれる主人公。
ついに刑務所に入れられてしまいましたが、
そのあまりのリアルな描写にちょっと引いたというか、、。
お話は次から次へと色々なことが起こるし、
面白いんだけれども、若干飽きたというか飽食気味というか、、。
なんだろう、何か惹きこまされる、何かがちょっと足りない。
主人公に共感できない、というところなのかなぁ。
なんだろ。
とにかくもう、、結末が知りたいです(笑)
いやでもそれにしても。
彼らの死については、ちょっとびっくりした。
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500ページ以上ある上巻も全く飽きることなく読み進めた。中巻ものっけから素晴らしい内容。権力とは何か?生きる意味は?「なぜ我々はここにいるのかそしてどこへ向かうのか?」ゴーギャンの問いにさえ答えようとする凄すぎる本である。
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中巻も息もつかせない怒涛の展開。スラムに発生したコレラとの戦い、陰謀による刑務所への投獄、マフィアへの加入、ヘロイン中毒。さらに、ここまで登場してきた中の重要人物の死。これが、一人の人間に本当に起こった出来事とは信じられない。だけど、本当でなければ、こんなリアルな描写はできないだろう。ますますチャンドラーのようにタフな男の話になってきた。