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紙の本
猛牛と呼ばれた男 「東声会」町井久之の戦後史 (新潮文庫)
著者 城内 康伸 (著)
1960年代、構成員1500人を擁する暴力団「東声会」を組織。児玉誉士夫の側近として政財界にパイプを築き、朴正煕韓国大統領の信頼も得て“日韓を股にかけるフィクサー”と呼ば...
猛牛と呼ばれた男 「東声会」町井久之の戦後史 (新潮文庫)
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商品説明
1960年代、構成員1500人を擁する暴力団「東声会」を組織。児玉誉士夫の側近として政財界にパイプを築き、朴正煕韓国大統領の信頼も得て“日韓を股にかけるフィクサー”と呼ばれた町井久之(韓国名、鄭建永)。力道山やプロ野球選手との交流から美術や哲学への秘めた情熱など、未亡人らの証言は、「黒幕のもうひとつの顔」を浮き彫りにした。ある在日韓国人二世の栄華と凋落の記録。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
なぜだろうか哀しみの点在する人生だった。
2012/01/24 00:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uh312 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初、読み始めてしばらくの間、どこか日本人をいらつかせる描写が延々と続く。
実母の不倫・出奔にはじまる半島と東京を往復した幼少期の不遇はともかく、非行少年として戦後の無法地帯で愚連隊を組織し、日本人をバカにしてやりたい放題。
そのまま日本人の美少女を拉致監禁して結婚に同意させるは愛人をつくり、逮捕の連続で東声会を旗揚げし、出自を隠した力道山との交遊から、次第に児玉誉志夫を経由して日韓の総理・大統領をはじめ周囲の大物政治家やKCIAとの結びつきを濃くする在日韓国人の生きざま。
本人は反共組織を志向した配下1500人の東声会も世間からはヤクザそのものであり、韓国の軍事クーデターや政変の荒波で韓国入国(ときとして日本再入国)の許可が取得できない壁。
山口組・田岡組長との兄弟盃といい、単なるヤクザとしての上納金があってはじめて成立する地位であろうし、社会のダニのような行為も当然のように彼の活動範囲に含まれる。
裏の狙いや打算・利権だらけの政略の渦中にあって自分も中心的に甘い汁を吸うし、在日韓国人の地位向上に物心両面ですさまじい支援を行い、東京五輪(開催は日韓国交樹立前!)への
本国からの3000人の応援団の受け入れにもかかわる。在日初の韓国五輪委員就任や国民勲章の授与を経る一方、山口組組長との兄弟盃などを経てその活動は拡大していく。
にもかかわらずその活動は「なぜそんなことまで」という範囲に及び、無数の結節点をつなぎながら「やがて哀しき」というコースを猛進する。できれば一読のみならず、再読をお勧めしたい。
児玉や田中清玄、岸信介・大野伴睦、朴正煕・金鐘泌らといった無数の巨魁に囲まれて生きた在日の人生として、「彼の精神がどのように鍛造されていったのか」に注目して再読すると、予想以上に青年期の思想が終生貫徹されていることに気づく。
単なる右翼やヤクザの評伝とは違う、日本列島で傍若無人に生きてバブルとともに消えた一人の男の背中に一抹の哀愁が見て取れる。
紙の本
日韓現代史の闇を照らし出す一冊
2016/02/27 18:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩漬屋稼業 - この投稿者のレビュー一覧を見る
町井久之は石原莞爾の「東亜連盟」思想の影響下から反共活動に従事。
戦後、日本において民団と総連は代理戦争のような抗争を繰り広げ、数多の流血事件を惹き起こした。
町井はその中にあって暴力で名を高めていく。
そして力道山を通じて児玉誉士夫や大野伴睦の人脈に連なっていく。
「東亜連盟」思想の持ち主であった町井は児玉の右翼思想と共鳴する。
そして児玉たちを通じて日韓癒着の只中に入っていく。
反共団体として出発した東声会は暴力団となり、実業家になりたい町井はやげて組を解散し東亜相互企業を設立。
クラブやレストランを経営した。
しかし組織の内実は暴力団に近かったようだ。
町井自身は暴力一辺倒の人ではなく、在日差別に苦しみ、日韓の架け橋たろうと活動もしていた。
その辺りの苦渋が本書に深みを与えている。
ロッキード事件の捜査過程で児玉が右翼的発言とは裏腹に韓国からカネを引っ張っていたことを知り、袂を分かつ。
事業家としては採算度外視の完全主義が成功を阻んだようだ。
またその事業に韓国から不正融資を受けていたという疑惑もある。
韓国での熾烈な権力闘争。そして韓国利権と結ぶ付く日本側の人脈。
ロッキード事件がそもそもはこの癒着にメスを入れるためのCIAの謀略だとする畠山清行の説を思い出した。