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紙の本
キャンセルされた街の案内 (新潮文庫)
著者 吉田 修一 (著)
新人社員くんの何気ない仕草が不思議に気になる、先輩女子今井さんの心の揺れ動き(「日々の春」)。同棲女性に軽んじられながら、連れ子の守りを楕性で続ける工員青年に降った小さな...
キャンセルされた街の案内 (新潮文庫)
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商品説明
新人社員くんの何気ない仕草が不思議に気になる、先輩女子今井さんの心の揺れ動き(「日々の春」)。同棲女性に軽んじられながら、連れ子の守りを楕性で続ける工員青年に降った小さな出来事(「乳歯」)。故郷・長崎から転がり込んだ無職の兄が弟の心に蘇らせる、うち捨てられた離島の光景(表題作)など―、流れては消える人生の一瞬を鮮やかに切りとった、10の忘れられない物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
故郷・長崎から無職の兄が弟の家に転がり込んできた。兄は、打ち捨てられた離島の光景を、弟の心に蘇らせる…。表題作をはじめ、「日々の春」「乳歯」など、人生の一瞬を鮮やかに切りとった10の物語を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
日々の春 | 7−21 | |
---|---|---|
零下五度 | 23−37 | |
台風一過 | 39−53 |
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交錯する人々の心の中
2012/06/04 23:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽかぽか - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「ベルリン天使の詩」は、行きかう人々の心の声を神様が聞く物語だったけれど、この短編集もそんな風に、色々な職業や年齢の人たちの何気ない日々や心の声を聞いているような気分になる。家出少年、写真家の学生、OL、日雇労働者などなど・・・。
短編集なのでひとりひとりの細かな個性を感じるところまで人物描写を味わうことはできないものの、ある人の心の声を読んでいる途中で、別な人物とすれ違い、今度はその人の心の声が聞こえてきて。それぞれの世界はどこかで繋がっていたり、同じ物を違う角度で眺めていたりといった面白さを味わえる。
それぞれの人の生活は特に大きな出来事が起きる訳ではなく、誰もがそうであるように日々が淡々と過ぎていくが、それでもやはりそれぞれ異なる感覚で、異なる人生を送っていて・・・その雰囲気がヨーロッパのミニシアターっぽくて、それで「ベルリン天使の詩」が浮かんだのかもしれない。
個人的には三話目「台風一過」の、登場人物の眺めている景色の色合いや、細かな音が聞こえてくるような繊細な表現が好み。大きな感動こそないけれど、読んだ後に静かに残る、少しけだるい感じを帯びた余韻がじんわりと心地良かった。