紙の本
震える牛
2012/09/19 20:32
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投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭は、窓際刑事のお蔵入り事件の掘り起こしかと思いきや、新潟・仙台を巻き込む広域捜査へ。途中から大手スーパーの拡大ネタに移り、ついには、題名の「震える」が何を意味するかが判る。そして、最後に胸のすく一件落着としないのも、紙の上での創作と流せない、これは、ノンフィクションなのでは?と。久々に読み手を飽きさせないスーパー作家に出会いました。
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二年前の居酒屋強盗殺人事件を捜査する田川だったが・・・
タイトルからして、結構早い段階で事件の裏がわかっちゃうんだよなぁ。
こういう事が実際にあるかもと思えば興味深いが、謎解きとしてはイマイチ。
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帯びの平成版「砂の器」は言い過ぎでそぅが、
よく書けていたと思います。
警察小説によくある、警察組織のドロっとしたとこは書かれてなぃので、
そんな感じが好きな方には、アッサリし過ぎているかもしれなぃ…。
でも…、基本、経済小説の作家さんですからね。
こぅいう切り口で、経済問題を語ってもいいんじゃなぃかと…。
ただ…、設定がイオンを参考にしているけど…、いぃのか~?
イオンに作品のよぅな問題が内在していなぃんなら、名誉毀損もん…。
お話自体は、事件の動機を解き明かしていく展開だったと思ぅけど…、
肝心の動機は、可もなく不可もなく…。
その辺りも、経済小説の作家さんなんだろぅね~。
警察小説の作家さんなら、もっとグッとくる落としどころだったかも…。
今回は、ちと甘めの評価にしときます。
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中野居酒屋殺人事件。中野在住なので、本書に登場する場所がリアルにわかって興味深い。内容的にも一気に読ませてくれる。殺された二人の男性のつながりが次第に明らかになる。途中で犯人はわかるが、謎解きの面白さは最後まで続く。
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現代版『砂の器』には遠く及ばないがまあまあ読ませる本。すべての登場人物の設定の甘さがあるも、まあこんなもんかな。
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オビに「平成版『砂の器』誕生」みたいなことが書いてあったけど、それは言いすぎかと。ただ、この小説がベストセラーになったら、イオングループが何らかの妨害をしてくるかも。ていうか、イオンの中にある本屋では、この本扱えないんじゃないの?
と、そんなことを思わせるパワーはあります。まあまあオススメ。
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未解決の居酒屋強盗殺人事件の継続捜査という
ある意味馴染みが深い刑事小説の物語と、
それとは毛色の異なる経済小説色の強い
オックスマートという巨大流通グループの暗部を追う
ネットメディアのジャーナリストの物語が
並行して進められる形になっている。
最初は何の接点もなさそうで、
どういう意味をもっているのかわからなかった2つの物語を
徐々に、徐々に、クロスさせていきながら
読者を惹きつけていくやり方がものすごく上手い。
テーマ性が強い社会派ミステリーで
平成版砂の器は明らかに言い過ぎですが、星5点です。
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刑事ものの体裁をとっているものの作者の狙いは別にあり、このデフレ時代の安易な価格競争による食品偽装問題や、地元の商店街を駆逐して買い物難民を作り出す大手企業の焼畑商売など、現代日本の問題点を描くことにあるようで、刑事物としての事件の動機や謎ときや、解決に至るまでの地道な刑事の鑑どりなどは、それなりに描いているものの、あくまでも通り一遍で、目的に至るまでのプロセスに過ぎなく、あまりにも都合よく迷宮入りしていた事件が解決するのは安直すぎるのが残念。肝心の動機も薄く、社会的地位がある人物が、自ら、また準備も何もないまま安易な運任せの犯行を犯すとも思えないし、そもそも、殺人のような安直な問題解決をするにしても、愛憎劇ならいざ知らず、動機が薄すぎる。だから、刑事ものの体裁をとった社会派小説と考えた方が良い。
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テーマが拡散していること、犯人が類型的で魅力的でないことなどちょっといまいちかな。とても「砂の器」には及びません。
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身近な食に関する事だけに、誰でも興味も惹かれるし解りやすい。でも食品流通業界だけでなく、あらゆるところで同じような構図が出来上がっている。みんな少しずつ嘘をつき、ごまかし、ねつ造していて、こんな奇妙な世界が出来上がってしまった(大きな嘘をついている人もいる)。けして笑いながら嘘をついている訳ではなく、目に見える範囲の人への情がからんでいるので、かえってその構図を打ち破ることが難しい。
現実はこうなんだ、家族を生活を守るためには仕方ないんだ、という言い訳をやめて、みんなで理想を追い続けなければ、奇妙な世界を変える事はできないんだと思う。
エピローグが泣けました。
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帯のキャッチの”平成の「砂の器」”に偽りなく、、、、というか、「砂の器」同様に執念の捜査に軸足があって、地方経済を蝕む巨大ショッピングセンターや現在の食糧問題は、あくまで事件の背景にすぎず、そうした問題に切り込んだ経済小説寄りの話をもう少し期待した点で、やや肩透かし。警察小説の王道のキャリア、ノンキャリの確執、権力からの大きな圧力による終着点など、どこかで読んだような筋もありきたりだった。でも、面白く読み進められたのは、消えてゆく日本の地方都市の現状を憂い、朴訥に自らの仕事を全うしようとする主人公の田川警部補の姿勢に、”昭和”を感じ共感できるからでしょう。昭和を知らない世代には、ただ古めかしい懐古趣味の文章の羅列と取られると、ちょっと悲しいかな。
文章はテンポよく読みやすく、犯人が割れる(想像がつく)のは早いけど、謎解きも比較的劇的でスカっとした感じ。プロローグの謎が巻末まで判らなかったけど、そのひっぱり方も憎い。最後に単行本化に際して追記されたエピローグが切なくてよかった。でも、タイトルの「震える牛」は、ちょいと失敗では?? 物語の背景となる事件がそのタイトルだけで分かってしまう。勘のいい人は読んでておおよそ想像が付くのだけど、このタイトルで確信を持ってしまい、その時点で種明し以外のなにものでもない。 ついでに”震える”ついて書くなら、携帯着信のことを”背広の中で携帯電話が震えた”と、何度も何度も使っていたのが気になる。作者特有の表現なのか(にしては陳腐)、タイトルになにかひっかけてのことなのか。 あら、比較的面白く読めたと、思ったのにけっこう文句が増えちゃったな。★ひとつ減らすか(苦笑)
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震える身体。タイトルと同じく戦慄の作品。ホラーやサスペンスの様な「本格」な怖さは愉しめるが、この手の話は、愉しめない。心底嫌になる渾身の力作。
ほぼ迷宮入りな事件を扱う部署の職人刑事と全国展開する安売りスーパーマーケット。全く接点が無い二つの点が、交差していく。その過程で暴かれる数々の不正や歪さ。
安さ最優先、オートメーションな小売り、これらが生み出す曲がった企業倫理。恐らく多かれ少なかれ現実にも起こっていることなのだろう。廃棄物を売ったり、表示を誤魔化したり。原発事故のインパクトに気を取られているが、この手の不正行為も身体や将来を充分に蝕む。むしろ地味に水面下で進むだけに質が悪いかもしれない。
丹念な取材が裏にあると思われる圧倒的リアリティが作品に重みを付けて非常に後味が悪い作品(もちろん小説としては大絶賛)。
今だからこそ読むべき作品。お勧めです!!
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地味な未解決事件を担当する田川刑事は、2年前に起きた中野の強盗殺人事件を追うことになる。当初外国人による犯罪と思われたが、丁寧な聞き込み調査を進めるうちに全く構図の違った事件が浮かび上がってくる。
警察小説と企業小説が合わさったような面白さ。現代の流通問題も垣間見えてふんふんと感心しながら一気読み。
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硬質さにグググッときた。
迷宮入り寸前だった事件の再捜査が、日本一の企業の闇を暴く幕開けだった。
神の視点で描かれ、読者は「早く真相に気づけ!」「それとそれが繋がってんだ!」とジリジリし、徐々に明らかになっていく事件の真の姿に驚愕する。
すげぇ…。
現実の社会現象に基づき、真実を詳らかにする事の難しさも描かれていて、これがまた重い。
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もっと企業の内幕から問題をあぶり出している企業小説をイメージしていたのだが、むしろ、事件を丹念に追う刑事を主人公にした警察小説でしたね。
平成版「砂の器」という謳い文句だそうだが、正直、そこまでの作品とは言えないような…。
確かに、実際の事件や企業を想起させるようなネタで、示唆に富む面も非常に多いのだけれど、人物に厚みがない感じが否めず。登場人物のそれぞれの動機も弱すぎて、ちょっと空々しい。
それでも、中盤までは、少々ややこしさが先立って読みにくく平板だったのが後半に入って一気に動きが加速、ようやく面白くなった。
がっくりきそうになる結末も、最後の最後でやや救われた気がするし、書き下ろしで加えられたエピローグにも、ストーリーに厚みを増す効果があったように思う。
物足りなさを感じるのは確かだが、いろんな意味での問題提起の面を買って星4つ。