科学の扉をノックする

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ダ・ヴィンチ２００８年８月号
「今月のプラチナ本」

２００８年８月３日（日）読了。

２００８−７０。

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作家小川洋子と七人の科学者との対談集。天文、鉱物、遺伝子など、一見遠ざかりそうな話題も小川さんにかかれば、実に人間くさく書かれている。それにしても、科学の奥の深さは何ともすごい！さまざまなエピソードもあり、まさに「科学の扉をノックする」とタイトルどおり、科学の世界に触れるのも楽しい気がしてくる。宇宙から遺伝子の神秘まで、壮大かつ繊細な学問である。最後のトレーニングコーチの話を入れるところが小川さんらしい。それも大好きな某球団です。

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全く科学に興味のない人向けだろうか。
ある程度興味や知識のある人は、最初から会いに行った科学者の著作を読めば良いので、小川洋子の妄想（研究所はこんなところにあって、こんな雰囲気で…）以外に読むべきところがない。

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小川洋子の手にかかると、得体のしれない粘菌だって、大地に身を潜める鉱物だって、
すべてに愛着が湧いてしまうから不思議。
とても易しく解りやすく説明されているのだろうけど、やっぱり科学は果てしなく遠い存在でもある。
目に見えないもの、手に届かないものを追究するってスゴイことだ。

それでも、鉱物のお話と遺体科学のお話が好き。
ほうれん草の畑を歩く時は、静かに眠るゾウのことを浮かべてしまいそうだ。

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「一方向に流れていると言いながら、時計やカレンダーのような人間が便宜上作った道具を使わなければ、その流れを直接実感することはできない。」

小川洋子さんと６人のスペシャリストたちとのインタビュー集。
宇宙だったり、鉱物だったり、遺伝子だったり、超微小世界だったり、粘菌だったり、遺体だったり、阪神だったり（笑）
どれも、この人なりの切り込み方で話をしていて、ホンワリとしてきてしまう内容でした。
でもねでもね！どうかお願い、文系の人たちだって凄いひといっぱいいるんだから、話を聴きに行ってほしいなぁ、と思うのでありました。
個人的には、宇宙の人と遺体の人が興味深かった！サムシング・グレートも！！

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科学は面白い。地道にとんでもないことを研究しているこんな人たちがいると想像するだけでもワクワクしてくる。科学というより研究している人間が面白いとも言える。

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「結局、一度誕生した物質は、無にはならないのです」
　死んだ人も枯れた花も干上がった川も、無にはなり得ない。姿を変えて宇宙を巡り続ける。あの時祖父は、自分がこれから向かうことになる遠い世界を、まさに見つめていたのだ。宇宙を探索することは、自分自身とは何者であるかを探索することにひとしくなる。
(P.33)

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理系科学を小説家の立場で覗くとどの様にみえるのか。実際のインタビューを踏まえたリアルな姿が描かれていて面白く、読み安い。

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苦手な科学への扉を少しだけ開けてくれた小川氏の文才に拍手！
出版社 / 著者からの内容紹介
本当は面白い科学の世界へご一緒に！
小柴昌俊氏推薦。「この本は科学の面白さを伝える著者の小川洋子さんが科学の世界を時には驚きながらこころから楽しんで書いている点ですぐれた科学への入り口になっています。」

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作家小川洋子が科学界の色々な分野の第一人者を訪れ、その研究について取材した事を、自身の感性と言葉で綴っている。
１）渡辺純一と国立天文台にて（彗星研究）
２）堀秀道と鉱物化学研究所にて（鉱物化学研究）
３）村上和雄と山の上ホテルにて（DNA研究）
４）小宮聰（さとし）とスプリングエイトにて（大型放射光実験研究施設）
５）竹内郁夫と竹内低にて（細胞性粘菌研究）
６）遠藤秀紀と国立科学博物館分館にて（遺体科学）
７）続木敏之と甲子園球場にて（トレーニングコーチ）
小川洋子という、「科学が好きではあるが科学には全く素人の作家」が、各方面の最先端技術にふれ、それを文系の感性で受けとめて、その感想、感動などを表している。理系の主題を文系の感覚で扱っているところが、とても面白い。

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とっても面白い本のはずと思って読み始めたのですが、今の私の気持ちに添わなくて一章で本を閉じました。でもまたいつか読みたい。この本はきっと面白い。私にとって固く難しい科学が小川さんと扉を叩くことで優しく温かく愛おしいものになっていく感じがしました。

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著者が毎回その道の専門家に話を聞くシリーズ。当然その分野に関してはまったくの素人でありながら、専門家の話に耳を傾け奥深いエピソードに感動しているのがおもしろい。専門外のことばかりなので、自分にとっても新しい発見が多かった。

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小川洋子氏が興味関心を寄せる科学分野の、それぞれの第一線の現場で活躍する人たちのもとを訪れ、聞いた話の内容をまとめたサイエンスエッセイ。

「難しそうでとっつきにくい・・」敬遠されがちな科学的な専門分野でも、小川さんの「目」を通して見てみれば、不思議と美しく輝いてみえてくるから不思議だ。
小川さんの「普段素通りしてしまいそうな、身近でありふれた出来事にスポットライトをあてる」という観察眼は、熱心な科学者の研究姿勢と近いのかもしれない。

◆宇宙を知ることは自分を知ること／渡部潤一（わたなべ じゅんいち）　特に彗星を中心に太陽系構造の進化を研究テーマとする
◆鉱物は大地の芸術家／堀 秀道（ほり ひでみち）　４種の新鉱物を発見した鉱物科学研究所所長
◆命の源''サムシング・グレート／村上和雄（むらかみ かずお）　高血圧の原因となる酵素「レニン」の遺伝子解読に成功
◆微小な世界を映し出す巨大な目／古宮 聰（こみや さとし）　スプリングエイト（Spring-8）の放射光を使って、様々な物質の分析・研究・開発を行う
◆人間味あふれる愛すべき生物、粘菌（ねんきん）／竹内郁夫（たけうち いくお）　細胞性粘菌の生活サイクルの研究の基礎を確立
◆平等に生命をいとおしむ学問''遺体科学／遠藤秀紀（えんどう ひでき）　動物の遺体を文化の礎として保存する「遺体科学」を提唱する
◆肉体と感覚、この矛盾に挑む／続木敏之（つづき としゆき）　プロ野球・阪神タイガースのトレーニングコーチ

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小川洋子さんが様々な科学者や技術者からお話を聞くという短編（？）集。読みやすい文章と小川さんの素敵な感性もさることながら、科学者さんたちの自然や万物に対する興味、畏敬の念、感謝、感動が面白く、大変読み応えのある本でした。

科学嫌い、興味ないという人でも絶対に楽しめる本だと思う。