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商品説明
母と娘、母と息子、父と娘、夫と妻、恋人同士、それぞれの関係の微妙な変化—淡くもあり、濃密でもある人とのかかわりを描き、おかしみのなかに切なさがにじむ作品集。【「BOOK」データベースの商品解説】
母と子の関係は唯一のもの。だれもがマザコンなのかもしれない。母と娘、母と息子、父と娘、夫と妻、恋人同士、それぞれの関係の微妙な変化…。淡くもあり濃密でもある人とのかかわりを切なく描く作品集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
空を蹴る | 7−32 | |
---|---|---|
雨をわたる | 33−58 | |
鳥を運ぶ | 59−84 |
著者紹介
角田 光代
- 略歴
- 〈角田光代〉1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「対岸の彼女」で直木賞、「ロック母」で川端康成文学賞、「八日目の蟬」で中央公論文芸賞など受賞多数。
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紙の本
老いたる母親を持った人には、身につまされるお話ばかり。でも、暗い話だからといって、面白くないわけじゃありません。これが文学です
2008/02/18 19:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとも不思議なカバーです。正直、初めて見る。乱暴と言うのとも違うけれど、形には嵌っていない。でも不快ではない。むしろ、センスを感じるんですが、でも表現に困ります。ま、この抽象画というよりは字の寄せ集めといったほうが正しいかもしれない藤色の線の集合に脱帽しておきましょう。そんな装幀は有山達也。
タイトルから、単純なマザコン男を扱った連作だ、と思いますが、あとがきで角田が「ジョン・アップダイク他14人の書き手が母親の死にまつわる文を書いている『母の魂』に触発されて書いた」とあるように、年老いて死を間近にした母親との関係を描いたもので、登場人物も若くはありません。簡単に各話の内容と初出を書いておきます。
・空を蹴る (「すばる」2004年1月号):主人公は「おれ」、無職、金がない40前後の男。母親が認知症で入院したのをいいことに、実家に忍び込み、金目のものを黙って持ち出したりしての遊び金作り。カラオケで騒いでは、勢いで友人に絡んだ。そんな「おれ」に飲み屋で声をかけてきたのがエノモトヒロコ、同い年の中年・・・
・雨をわたる (「すばる」2004年10月号):60過ぎた母が、突然の海外移住を決心し、あっという間にフィリピンに。何事にも文句を言いつづけてきた母が、外国で暮らしていけるのか、心配してフィリピンに様子を見に行った私が見たのは・・・
・鳥を運ぶ (「すばる」2005年1月号):入院した母に頼まれて、母が飼っていた六羽のインコを引き取りにいった私と健一、離婚を思いながら口に出せない私の思いは・・・
・パセリと温泉 (「すばる」2005年9月号):胃癌で入院した母・文子は、入院を契機に痴呆状態に。教頭を勤め退職後、何もしない父親は、全くの無関心。病院から呼び出しがかかった娘の倉西真希子が昔、レストランで母から教えられたのは・・・
・マザコン (「すばる」2006年1月号):38歳の妻・佐由理から「正真正銘のマザコン」と言われる僕は32歳。息子の食事の心配ばかりしていた母は、父の死後、あっさり再婚して・・・
・ふたり暮らし (「すばる」2006年7月号):原口さんは、38歳の私・クーちゃんにとって全世界の男の象徴。母の反対で結婚できなかった相手・・・
・クライ、ベイビイ、クライ (「すばる」2006年10月号):37歳の原田滋は食品会社勤務、2年前、大宮にマンション購入。「シナリオ大賞募集」の候補に残ったと聞かされ、賞金をあてにして会社を辞めたものの・・・
・初恋ツアー (「すばる」2007年1月号):夫を昨年病気で亡くし、元気の無い母を慰めようと企画した北海道旅行。初めての北海道で舞い上がり気味の母が札幌で言い出したのは・・・
・あとがき
どの話も苦い。40前後の人間には身につまされるお話ばかり。「クライ、ベイビイ、クライ」もタイトルから『ダディ、フライ、ダディ』を連想したんですが全く違います。勇気もなんにもなくなっていくような、惨めで寂しいお話。年齢がよく分らなかったのですが、案外若くして痴呆状態になったのかなあ、と思ったのが「パセリと温泉」の母、主人公の年齢からも60代半ばだと思います。
団塊の世代だけではなく、現代の日本人であれば厭でも直面しなければならないことが書かれています。マザコン、ではなく、老いた母がテーマの短篇集です。
紙の本
母と息子と、娘たち
2008/07/09 23:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説っぷりがよかった。
短篇っぷりがよかった。
このよさをなんと言っていいのかわからないけど、
とにかく「ぷり」がいいんです。
小説を、短篇を、確かに読んだなという感じがするんです。
「母」について書かれた短篇。
母は、
とても子供に近いようで、
でもとても遠くて、
とても子供に似ていて、
でも理解できないところもあって、
すごくよく知っているようで、
まだまだぜんぜん知らないところがある。
たとえどんなに信じられないことがあっても、
分らないことがあっても、
分らないままであったとしても、
母と子であることは、
永久にかわりようがない。
普段はわかったふりをしていても、
本当はまだまだ分らない、
母と、息子と、娘たちの間の、
もやもやっとした部分に、
しっかり光があたっている本だと思います。