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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/03/04
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/445p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-771761-7
紙の本
燕は戻ってこない
著者 桐野 夏生 (著)
【第57回 吉川英治文学賞受賞作】【第64回 毎日芸術賞受賞作】この身体こそ、文明の最後の利器。29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。子宮・自由・尊厳を赤の他人に差...
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商品説明
【第57回 吉川英治文学賞受賞作】
【第64回 毎日芸術賞受賞作】
この身体こそ、文明の最後の利器。
29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。
子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。
北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。
『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。
頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。
こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。
――朝井リョウ(作家)
女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。
ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。
――小島慶子(エッセイスト)
新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。
被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。
――斎藤幸平(経済思想家)
読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。
それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。
――村田沙耶香(作家)
【著者略歴】
桐野夏生(きりの・なつお)
1951年金沢市生まれ。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。2015年には紫綬褒章を受章、21年には早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞。『バラカ』『日没』『インドラネット』『砂に埋もれる犬』など著書多数。【本の内容】
著者紹介
桐野 夏生
- 略歴
- 桐野夏生(きりの・なつお)
1951年金沢市生まれ。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。2015年には紫綬褒章を受章、21年には早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞。『バラカ』『日没』『インドラネット』『砂に埋もれる犬』など著書多数。
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紙の本
人間の尊厳とは
2022/03/21 08:18
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
生殖医療を軸に、人間の尊厳、この社会に確かに存在している構造的な暴力(経済的格差、男女の非対称性、都会と地方の落差、持てる者と持てない者の埋めがたい溝・・・)を浮き彫りにしていくディストピア小説。地方の片田舎出身で非正規で働くリキ、手に職はあるが子に恵まれず苦悩の中にある悠子ら物語の主軸となる女性たちの心の揺れに共感しつつ、脇を固める一見非常識に見える登場人物の発言が、いちいち真っ当で引き戻される。
桐野作品はたいてい読んでいるが、今回も期待を裏切らない秀作。毒は比較的少なめだが、これだけ大部な一冊ながら、ページをめくる手を止めさせないのは、すごい。
何が正しいのか、結局答えは分からないが、桐野さんは最後にほんの少し希望を残している。
読みやすいのに、読後に、重く心身に響き渡る印象的な一冊。
紙の本
燕はどこに翔ぶ?
2022/06/13 17:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三十歳を目前に控えたヒロインは、地方から都会に出てきて、派遣社員として働く。契約期間はもうじき終わる、節約ばかりの生活に先々の不安が募る。
卵子のドナーの登録でまとまったお金が手に入るらしいと申し込んだ先で、代理母の話が持ち掛けられる。
年齢的に不妊治療を諦める妻に、諦めきれない夫、お金は出すという姑がいて、ヒロインは契約を受け入れる。
しかしそこからは想像を越えた経験の連続となる。
妊娠出産を機械的に考えてもらいたくないのは誰でもうなずくが、当の妊婦以外は体に負担が少ない。
ヒロインは双子を授かり、己の体の変化とやがて起きる胎動に、それまでとは違ったことを思うようになる。
紙の本
「子供」は誰のものか?
2022/05/13 05:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方から夢を見て上京したものの、日々の生活に追われ「金」の心配ばかりの毎日
生活に疲れたリキが選んだのは「生殖ビジネス」だった
難しいテーマを読みやすく仕上げた力量はさすがだと思った。
ラストのリキの選択には賛否がわかれると思う。
「子供」は誰のもので、「子供」の幸せは何なのかと考えてしまった。
紙の本
サロゲートマザー
2023/09/15 09:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物それぞれの思いは理解出来ますが、サロゲートマザーになる決意は相当な覚悟が必要になり、現実は想像よりも過酷で、思ってもいなかった感情にためらったり、どこにも答えがないと思いました。
紙の本
子を産むことを考える
2022/05/01 12:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供が欲しいけど出来ない人たちとお金がなくて底辺の生活から抜け出せない人たちを結びつけるビジネス。
お互いが納得して始めたプロジェクトのはずだったが・・・
代理母は子供を産む機械なのか。
子供を産むことに参加出来ない妻の心は。
自分の遺伝子を残したい気持ちで代理出産を望んだ夫は正常なのか。
それぞれの心が揺れ動く。
そんな複雑な心理に、この作家はもう一つスパイスを加え不安を煽る。代理母リキの不安が読む側は恐ろしいほど理解でき、ページを捲る手が止まらない。
紙の本
人間って欲張り
2023/02/16 17:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもができないことのつらさからも、貧困から抜け出せないつらさからもお互いに抜け出せるメリットがあるように思える代理母システム。でも、人間はそんなに簡単に割り切れるものじゃない。結末には少し驚いたけれど、このあとみんながどうなったのか本当に知りたいと思う。