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紙の本
ラジ&ピース (講談社文庫)
著者 絲山 秋子 (著)
自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝は、実家を出て群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。誰からも干渉されない自由に閉じ篭もる野枝だが、その心の隙に気さ...
ラジ&ピース (講談社文庫)
ラジ&ピース
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商品説明
自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝は、実家を出て群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。誰からも干渉されない自由に閉じ篭もる野枝だが、その心の隙に気さくな方言で話す女医の沢音が入り込み…。横浜と会津出身の二人の女性の呼び合う心を描く「うつくすま ふぐすま」を併録。【「BOOK」データベースの商品解説】
自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝(のえ)は、実家を出て群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。誰からも干渉されない自由に閉じ籠もる野枝だが、その心の隙に気さくな方言で話す女医の沢音(さわね)が入り込み……。横浜と会津出身の二人の女性の呼び合う心を描く「うつくすま ふぐすま」を併録。(講談社文庫)
自分は醜いというコンプレックスを抱く野枝は、実家を出て群馬県のローカルFM局で人気番組を担当するようになる。誰からも干渉されない自由に閉じ籠もる野枝だが、その心の隙に気さくな方言で話す女医の沢音が入り込み……。横浜と会津出身の二人の女性の呼び合う心を描く「うつくすま ふぐすま」を併録。【商品解説】
目次
- ラジ&ピース
- うつくすま ふぐすま
収録作品一覧
ラジ&ピース | 7−143 | |
---|---|---|
うつくすまふぐすま | 145−169 |
著者紹介
絲山 秋子
- 略歴
- 1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メーカーに入社、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。03年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、04年に「袋小路の男」で川端康成文学賞、05年に『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年に「沖で待つ」で芥川賞をそれぞれ受賞。他の著書に『逃亡くそたわけ』『エスケイプ/アブセント』『ダーティ・ワーク』『ばかもの』『妻の超然』『末裔』『不愉快な本の続編』、エッセイ集『北緯14度』『絲的メイソウ』『絲的炊事紀 豚キムチにジンクスはあるのか』『絲的サバイバル』などがある。
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紙の本
一気読みさせられました。
2017/12/26 22:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラジ&ピースは、ラジオのパーソナリティの野枝の物語だ。
仙台のFM局から群馬のFM局に転職し、物語が始まる。
野枝は自分が醜いと思っている。
外見もそうだし、服装もそう。性格だっていつも不機嫌。
それを、歪んだ自己愛と考えている。
その反動で、自分のことを厭になる分だけ、他人を警戒している。
ラジ&ピースとは、野枝の加入で始まった二時間のラジオの
新番組だ。月から木の、十三時から十五時。
月曜日が悩み相談、火曜日が方言ネタ、水曜日が
子どもオピニオン、木曜日が愚痴ネタ。
野枝は週四回の二時間を、軽快に演じきることに腐心している。
この物語で、何よりも心の孤独を強く感じた。
群馬に初めて来たのに、周りのスタッフに打ち解けようと
しない野枝。昔の妹を嫌う野枝。昔つき合った男を、
亡霊のように妄想する野枝。
絲山さんが、文中に悲しみや痛みを直接書かないものだから、
痛々しさがじわりと心に広がる。
そして、野枝の孤独に心がふるえる。
でも、そんな野枝にも、押し売りのような友達ができる。
女医の沢音だ。そして心がちょっと揺らいだ時、
常連投稿者の恐妻センター前橋とも。
ちょっとずつ、人とのつき合いを織り重ね、野枝は心を
溶かしていく。
ラジオのトークシーンがとても軽快で、野枝の性格との
ギャップがたまらない。絲山さんも、週に一回、群馬のFMで
二時間のパーソナリティを務めているから、こんなにも
描けるのだろう。番組はまだ続いているのだろうか。
野枝の見せるコンプレックスがリアルすぎる。
「野枝にとっては他人がいともたやすく、自分のフタをぱかっと
開けてみせるのが不思議でたまらなかった」
あまりにも深い言葉だ。
こんなに平易な表現で、なんでこんなにも心に沁みるのだろう。
ゆっくりと、亀のようにゆっくりと変わっていく野枝の心に打たれる。
そのリズムとうねりを体いっぱい感じたくて、知らず知らずのうちに、
二度目は一気読みにこだわったのだと思う。これはいい。
「うつくすま ふぐすま」が併録されている。
3.11の後だけに一瞬勘ぐったが、本の終わりに、この作品は
二00八年七月に刊行とあったので、関係ないことが判明した。
タイトルだけで気負って読むと失敗するので、そこだけはご注意を。
こちらは、あまりぴんと来なかった。
紙の本
ビルディングス・ロマンのようなものを感じた
2023/12/21 18:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きにくさを感じる一人の女性が主人公だ。短い小説だが、ビルディングス・ロマンのようなものを感じた。ちょっとした違いなのだが、確かに一人の人間が成長しているという感じだ。
紙の本
いやなやつだなぁ…でもみんな多かれ少なかれ野枝ちゃんなのだと思う。やさしい物語。
2012/01/06 16:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絲山さん文庫最新刊。
やさしい物語だった。
それも泣きたくなるくらいに。
コンプレックスの塊である野枝は
群馬のローカルFM番組「ラジ&ピース」の人気DJ。
外見を気にせず、声だけで勝負ができるこの仕事が大好きな32歳。
しかし仕事仲間とも打ち解けることはなく、
野江はコンプレックスを免罪符のように
ひとり自分の殻に閉じこもる。
そんな野江の心の内側にずかずかと入ってくる女医、沢音。
焼鳥屋で近くに座っただけなのに、野枝を友だちだと言う。
戸惑い、鬱陶しがる野枝。
でも沢音との友人関係は意外なほどに心地よく、
野枝は他の人間とも接触をするようになっていく…。
三十路の閉じこもり。
内に籠る理由はひとつ――自分が傷つきたくないから…。
「思春期かよっ!!!」
って突っ込みたくなるひともいるかもしれない。
でもいつだって誰だって、出来れば傷つきたくないと思うもの。
過去に受けた傷が深ければ深いほど、
その傷を引きずっていればいるほど、
殻の深いところに閉じこもる。
そこだけが安全な場所だから。
自分が自由でいられる、誰からも否定されない場所。
でも同時に、誰かに求められたいとも思っている。
それはエゴイズム?
でも、そんなの、みんな、だと思う。
みんな、多かれ少なかれ「野江」なのだと思う。
他人と関わる、他人を求めるということは、
そこから受ける痛みもあるけれど
それと同時に喜びや楽しさもある。
これは野枝の成長の物語。
人間、いくつになっても成長ってできるんだよね。
ほんの些細なきっかけさえあれば。
絲山作品は、自分の嫌なところと向き合わせてくれる。
決して無理強いすることなく、自然に。
平易な文章で淡々と綴られるのに、
色々考えさせられる。
そしてやさしい気持ちになれる。
こんなにいろいろ感じさせてくれるひとって
他にぱっと思いつかない。
オチなし話って苦手なのにな。
不思議だ。
ほんと、やさしい物語だった。
泣いちゃうくらいに。
『ラジ&ピース』収録作品
・ラジ&ピース
・うつくすま ふぐすま