紙の本
読者として一番インパクトが大きいのは、中学生の親かもしれない
2015/08/31 20:43
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投稿者:うおざ - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすが、「名手」名木田恵子というべきか。
頭のすみでは「ちょっと尖りすぎかなあ。。。」と思いつつ、
読みだしたら、止まらない。
主人公は「ラ・プッツン・エル」。
おとぎ話のお姫様じゃなくて、現代日本の女子中学生だ。
お父さん自慢のかわいい娘だったんだけど、
なまじ頭がいいから、思春期になって
お父さんが自分のことしか愛せない(つまり家族のことを愛していない)と気づいちゃう。
それで、お父さんに反抗を始め、
家庭内で暴れて(つまり「プッツンして」)
精神病院に強制入院させられそうになったところを、
マンションの6階に閉じこもって一人で暮すことになる。
ただしご近所には「家族で海外赴任したから部屋は無人」と思わせるため、
窓は内側から打ち付けられ、明りがもれないよう目張りしてある。
(どんだけ世間体が大事な父親なのか、ってことだ)
この少女と、
もう一人、不潔恐怖症の中学生男子が、
ほぼ交互に一人称で語って物語がすすんでいく。
この男の子も、いろいろギリギリな感じで、
でも、クラスにきっと一人か二人はいるんじゃないか、という子。
この二人が、
どうやって自分を受け入れ、他人に気持ちを向け、
切れてしまった周囲とのつながりを取り戻すのか、というお話。
とっても面白かった。
さすが「キャンディ・キャンディ」の原作者。
ただ、あまりにうますぎて、
きっと渦中の子ども、つまり現実に引きこもっている不登校の子は
読めるんだろうか? 辛すぎないかしら? と心配になっちゃう。
いろいろ葛藤をかかえながら、なんとか普通の生活をしている子の中には、
ジャストフィットする子もいるかもしれない。
そういう子が読んでくれたら、すごくいいと思う。
でも、現実に学校生活にそれなりに適応している中学生にとっては、
「は?」「で?」みたいな感じなんじゃなかろうか、と危惧する。
実は、
読者として一番インパクトが大きいのは、中学生の親かもしれないなあ。
この本にヒットした親世代は、
ぜひ「スカーレット わるいのはいつもわたし?」もお読みください。
紙の本
少女と少年
2016/05/13 09:58
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
プッツンしてしまい、引きこもりとなった少女と潔癖症の少年のお話。
プッツン姫の親がひどいな…。
まわりのことがわからない、自分のことしか見えていないって人は多いと思う。
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読者モニターにて。
なんという緊張感とカタルシス。一瞬で読みきれるのに感激がおさまらない。二人の世界がついにつながった瞬間は、ここがどこかも忘れて涙がとまらなかった。
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タイトルは、ラプンツェルではなく、ラ「プッツン」 エル。
最近はプッツンするとかいう言い方も、あまりしなくなった気もするけど。
家庭内暴力が原因で家に閉じ込められた少女と不潔恐怖症の少年が、6階からたらされる一本のロープで交流し共に成長していく物語。
現代版ラプンツェル変化形バージョンってところかな。淡い恋というよりは、それぞれの心の葛藤に比重がおかれている。
なかなか面白いけど、え、ここで終わり?っていう感じのラストが気になる。
あとどうしても少年が少女を「姫」と呼ぶのに抵抗が・・・かゆい、なんかかゆいよ。
まあ本人がそう名乗ってるんだから、仕方ないのかもしれないけど。若さゆえかなぁ。
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引きこもりのプッツン姫と強迫神経症のじゃの話。カラス男爵などの登場人物の名前も良かった。主人公の独り言が好き。
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自らの意志でひきこもった中学2年の涼は、父親を「魔王」と呼び、自分のことを塔に閉じ込められたラプンツェルになぞらえて「プッツン姫」と呼んで、クローゼットの奥で自分だけの物語をつむいでいる。
不潔恐怖症の「ジャク」、どうやらネグレクトされている「ガキチョロ」、放射能汚染におびえるクラスメイト。思春期の少年少女は、ただでさえ自分のことしか考えられないのに、彼らをとりまく現実はいろいろ暗い要素ばかり、本当に大変だと思う。
中学生の少女ひとりをマンションの一室に残し、家族は移住してしまうという状況は異常だが、世間に見えない虐待が増えている昨今、ありえないことではないのかもしれないと感じた。
涼やジャクの思考は大人には違和感あるかもしれないが、交換日記やポエムをつむぐように、この年代の子たちにはこういう空想や妄想があってもいいと思う。また、周囲に、家族とは違う見守る大人の存在、心の救いとなる存在(この話ではコンビニの店長やカラス男爵)があったのがほっとした。
このボリュームでこれだけの要素を面白く構成するのはさすがです。
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キレやすい自分自身を「ラ・プッツン・エル」と名付け、ラプンツェルの主人公に重ね合わせる主人公。ラプンツェルのようにマンションの6階の部屋に閉じこもっている彼女は、マンションの窓から目撃した少年に興味を引かれ「ジャク」と名付ける。そのジャクは極度の潔癖症で、左手を常にポケットに入れ、家族とも接触を避けていた。
ラ・プッツン・エルとジャクのふたりの視点から、それぞれの家族の歪さが少しずつ明らかになっていきます。ふたりはお互いの境遇を語り合う内に惹かれあっていきますが、その境遇の真実を知り打ちのめされます。この作品ではそこに、現代の家族にもまだ希望が残っているかのような感じが見出せますが、そこをどう捉えるかが難しいところです。子どもが読んだ時に、果たして自身の未熟さを知るか、頭ごなしに未熟さを押し付けられるように感じるのか。
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キレやすく、暴れて家族がバラバラになってしまった涼。悪魔(父親)にマンションの6階の1室に閉じ込められたラ・プッツン・エルとして、窓の隙間から双眼鏡で外を見る。そこで潔癖症で学校になじめない弱虫ジャックを見つける。
心に病を抱え、現実の社会に適合できない二人が、現代のラプンツェルさながらに生き延びてゆく。
現実に同じような悩みを抱えている人たちがどう感じるかは想像できないけれど、読んでいて思わず「がんばれ!」と言ってしまいたくなった。
ラストも劇的で荒療治だけれど、将来の明るさが見えて良かった。
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素晴らしい物語だった。
主人公の少女・涼は父親と不和で家庭は崩壊状態、マンションの6Fに一人で住んでいる。
携帯などの通信機器など外界との接触を一切絶ち、涼は
殻に閉じこもっている。
マンションの窓から通りを双眼鏡で覗いていると、強迫観念症の少年ジャクの存在を知る。
少年を観察する日々がはじまるが…。
涼とジャクの心情がきめ細やかに描かれていて、読んでいて痛くなるほど。
閉じ込められた室内から感じる外の世界の変化、
時間・季節・温度の描写も細やかで、書き留めて
おきたい表現が沢山あった。
名木田恵子さんの作品は「ころじかる・むにゅ・ぱ」というとても古い作品しか読んだことがなかったけれど、
もっと読みたいと思った。
作家として、(漫画原作者としても)大ベテランの方なので当然かもしれないけれど、他のYA作家とのレベルの違いを感じた。
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``昔々、あるところに、たいへん凶暴なお姫さまがおりました。プッツンしてキレると手がつけられなくなるので、「ラ・プッツン・エル」と呼ばれていました。城の者たちは姫を怖れ、とうとう塔に閉じ込めてしまったのです。``
高倉涼は自らをプッツン姫と呼び、親に反抗して暴力をふるい、物を壊し、マンション(塔)に引きこもる。このマンションの最上階は、涼の家の他は、老夫婦が住む2軒だけ。幼い時には仲が良かった父親(魔王)は、仕事で海外へ。気が弱く、父の言いなりだった母と弟も、近所には引越しだと言ってでて行く。姫の話を聞いてくれた肥満椙世(ひまんすぎよ・やさしき魔女)が、定期的に食料や日用品などを買って差し入れてくれる。
姫はマンションで一人。双眼鏡で街を眺めるうちに、一人の中学生(蓮見怜央・ジャック)が気になりはじめる。神経質で、いつも左手をポケットに入れて、小学生にもバカにされたりして・・・。
でも、ある時ジャックを助けてあげたことをきっかけに、ジャックも姫の事を知りたいと思う。
そして、それぞれに悩んでいた二人は、もっとお互いのことを知り、助けたいと思うようになっていく。
悩み多き中学生に読んで欲しい。
ラプンツェルを、ラ・プッツン・エルにするのは面白い!と思いましたが、キレることをプッツンした、という言い方はちょっと古いような。
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冒頭部分は、自分の世界にこもった思春期の女の子感に拒絶反応を示しかけたけれど、だんだん面白くなってきて、最後まで一気に読んだ。
「こういう終わり方なのか…」と思う結末だった。
ラ・プッツン・エルがどうして引きこもったのかは語られない。
でも、外に出た姫と勇者レオの“これから”が輝くものでありますようにと願わずにはいられないラストだった。
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外の世界へ
Once upon a time.....むかーしむかし....
ある日突然、暴力に走ってしまったお姫様。
彼女は「魔王」によって閉じ込められている、否、自らそこで一人で生きることにした。
誰にも存在を悟られないように。
一方「ジャク」は手をポケットに突っ込んで、汚い世界から逃れるように生きている。
誰にも自分だけの世界に入られないように、触れられないように。
そんな自分だけの小さな世界で生きていた二人は、ある日出会うこととなる。
恐る恐る近づく二人。
世界が広がるその間際、姫は恐ろしくなって逃げ出してしまう。
また一人だけの世界に戻ろうとしていた二人は振り返った瞬間に気付いたのだ。
彼らの生きる世界が、誰によって守られていたのかを。
たった一人で自分と向き合う時間も大切だ。
なぜ自分がそう考えて、こう行動するのか......
しかし、その思案に暮れ考え込んで結論を出したとしても、自分本位の考えになっていないかを振り返らなければならない。
振り返った瞬間にこそ、見えなかったもの、見ようとしなかったものに気づけるのかもしれない。
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プッツンしてキレると手がつけられなくなるので、塔に閉じこめられてしまったプッツン姫。
ある日、潔癖症で最弱のジャクと出会う。
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ずっと読みたいなーと思って忘れてた本
えーーーーーー
なんか想像とちがった。ナナメ上だった
お父さんに反発して(だよね?くわしく発端がかいてない)家庭内暴力に走った小6女子が家族に見捨てられて(ありえない~~)家に引きこもり、外にも出ず(出られず)
潔癖症で家も大変で学校もきらいでまいってる男の子とロープを使って交流してなかよく?なって
それをきっかけ?にちょっとずつお互い前を向くようになるって話だった
中学生じゃひきこもってても親の援助があるわけだし
誰にも理解されない閉塞感でつらい日常もあるわけだけど
だれかへの好意とか興味とか自分もがんばろうとかそういう気持ちが前へ向く力になるんだね~~~
って話でいいかな
ちょっとなんだかうーんだった
まあさらっと読めたけど
りんごの話が大分前だけど読んで好きだったから期待してしまった
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素敵なお話やった。
姫もレオもカラス男爵もガキもみんっな素敵やった。
なんでもわかってると思っても見えてないことたくさんあって、それを受け入れれるかは自分次第。
素敵な物語に出会えてよかった。
私も、生きて確かめようと思う。