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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.11
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/276p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-217337-7
紙の本
恋する原発
著者 高橋 源一郎 (著)
大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する男たちの愛と冒険と魂の物語。【「BOOK」データベースの商品解説】世界の非情を前に無力な人間ができるのは、唯一、笑うことだ−。大震...
恋する原発
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商品説明
大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する男たちの愛と冒険と魂の物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
世界の非情を前に無力な人間ができるのは、唯一、笑うことだ−。大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する男たちの愛と冒険と魂の物語。『群像』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
高橋 源一郎
- 略歴
- 〈高橋源一郎〉1951年広島県生まれ。横浜国立大学経済学部中退。小説家。81年「さようなら、ギャングたち」で群像新人長篇小説賞優秀作、2002年「日本文学盛衰史」で伊藤整文学賞を受賞。
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紙の本
笑う、そして考える。
2012/02/10 00:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ギンギラギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この間、著者である高橋源一郎さんのお話を身近で聞く機会がありました。そのときこの本について、「何かを主張するとき、どうせなら面白いほうがいいでしょ」と言っておられました。確かに!
この本、読んでいるとどうしても笑いをこらえられなくなるフレーズがあったり、そもそも話自体が相当ぶっ飛んでいたり、とても面白い!
でもタイトルがちょっと不謹慎だし、読み始めてもチ○コ・マ○コだらけだし、「なんだこりゃわけわからん!読むのやめた!」となってしまう人もいるでしょう。
そうしたら、著者の意図するところではないかもしれませんが、真ん中より少し後ろにある「震災文学論」というところを、まず読んでほしいのです(大丈夫です、本筋とは関係のない形で「注」のような役割を果たしている部分だから、先に読んでもネタバレしません)。
そこには、震災・原発事故を目の前にして、著者がどういう態度でものを考え、何を考えたか、そして私たちがこれから何を考えていくべきかが、力強く分かりやすい形で書かれています。おそらく今、大多数の人が見落としているであろうことが、そこにあります。
そして、また最初に戻ってください。一見「あるAV監督のドタバタ」に見える物語は様変わりし、今の日本にひそむ問題点をいろんな形で提起していることに気付くはずです。そして私たちはその問題について考え、立ち向かわなければならない。
紙の本
遠い震災文学
2012/02/08 00:43
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋源一郎は1988年、「優雅で感傷的な日本野球」で三島由紀夫賞を受賞している。この小説は野球とは関係ないことを書いていくことで、野球を書くという特異な小説だ。
今回のこの小説も、東日本大震災とまったくかけ離れたAV制作の場面が、延々と語られる。あまりに不謹慎と、感じる読者もいるかもしれない。しかし、3.11直後の、過剰な自粛・節電・「絆」の連呼は、表現の自由を侵害してしまうこともあるのだろう。物語終盤に、突如スーザン・ソンタグ(9.11直後に過剰な愛国心に反対した)がでてくるのは、これからの文学に対する作者の危機感の表れかもしれない。
紙の本
あのあり得ない状況に対しては、きっとこういう「不謹慎」をぶつけて行くメソッドしかない。
2012/03/07 20:57
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
まあ、なんなんだろべ、これは? なんですかね、一体?
タイトルからしてテーマは原発告発かと思ったら、まるでできそこないのポルノじゃないですか! なんですかね、「大震災チャリティAV」って?
んで、ふざけた文体。ポップと言うか、スカスカのレイアウト。進んでるのか進んでないのか、同じ所をぐるぐる回っているだけなのか、よく分からないストーリー。
まさか舞城王太郎の真似をしようとして失敗に終わった小説というわけでもないでしょう(まあ、文中に引用があったので、多少は舞城を意識してるのかもしれませんが)。そう、これは明らかにわざとなのです。作者が何を言いたかったのかを整然と述べるのは不可能ですが、あの地震と原発事故を目の当たりにして、こういうものを書かずにいられなかった衝動だけはひしひしと伝わってきます。そう、あのあり得ない状況に対しては、きっとこういう「不謹慎」をぶつけて行くメソッドしかないのです。
あんまり筋を説明しても仕方がないでしょう。冒頭に書いたように、この小説は大震災チャリティAVの監督の一人称で語られます。どこからが監督の語りで、どこまでが作ったビデオの内容なのかも判然としません。だらだらと、「この話一体どうやって終わるの?」と心配になるような記述が続きます。電車の中などで読んでいると、太字で印刷された「おまんこ」等々の文字が山ほどあって、周囲から覗かれていないか気になってしまいます。
かと思うと、終盤に入って突然「震災文学論」と題したクソ真面目な論文になります。これがものすごいギャップであるとともに、内容的にもものすごいのです。スーザン・ソンタグと川上弘美の『神様(2011)』とナウシカと水俣病のルポルタージュを統合して震災を語っています。この論理展開を前にして、我々は呆然と立ち尽くすのです。
すると、またクソみたいな小説に戻って行きます。
何度も書きますが、そう、これはわざとなんです。ヤケクソでもなく失敗作でもなく、この如何ともしがたい岸辺に立って、作家はこういうものを吐き出すしか仕方がなかったのです。正直それ以外のことはよく解りません。ただ、そのことだけがびしびしと伝わってきます。
あの地震は、あの事故は、それほどのものでした。なんなんですかね、一体これは?
紙の本
勇気ある壮大な意図だが不完全燃焼で終わってしまった
2012/01/04 13:36
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんでもそうだが、大事件のあとで国全体、国民全体が白一色、赤一色に染まるのはよくない。それは闇世界の平成大政翼賛会が推進する精神の自由と民主主義の危機の姿であるともいえよう。
しかし9・11のNYでは「これまで見た最も美しい光景だ」と正直な感想を洩らした建築家がいたし、今度の大震災では「ぼくはこの日が来るのをずっと待っていたんだ」と語った有名人もいるそうで、世間の顰蹙や指弾をものともせずに心中に抱懐した存念を大胆かつ率直に公開するのはとても大事な民衆的行為だと思う。
それを著者も本書でやった。福島原発の大爆発と放射能汚染が帝国とその人民を瀕死の瀬戸際に追いやっているというのに、この小説の主人公の頭にあるのは売れるアダルトビデオのアイデアだけ。来る日も来る日も腐れ○○とお○○○と最新型ダッチワイフをめぐる下らない性愛の下半身ネタがダダの漫画のようにただただ書き連ねてある。
ここに対比され交錯し衝突しているのは絶望と希望、悲劇と笑劇、知性と痴性、大脳前頭葉と末梢神経、聖と俗、形而上と形而下の世界であり、著者がここで期待したのは相反する要素の弁証法的な調和であったが、その勇気ある壮大な意図が所期の成果を収めることなく不完全燃焼で終わってしまったのは、あらかじめ予想されたこととはいえ、いささか残念なことだった。
紙の本
こうじゃなくちゃ
2016/05/29 12:44
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災文学論は読む価値があると思う。こういう本があったっていいと思う。というか、こういう小説があるべきだと思う。
紙の本
明治学院大学教授 高橋源一郎
2014/06/18 13:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月 光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
単純に明治学院という大学を考えるに自分のように卒業高校を統廃校なんて形で無くした人間にとっては超名門校なんだろうね。でもこれはあくまで高卒でしかない自分
にとってはという注がはいる。だがこの大学が東大・京大・東工大と国立系の前には歯が立たない。その程度のたとえ高卒頭でもそのくらい知識はある。源さんは処女作を「ジョンレノンVS火星人」を群像新人賞へ投稿したら瀬戸内晴美以外の選考委員は否定。藤枝静男にいたったては「こんな物を読むのは残り少ない余生がもったいない」とここまで言われてしまつた。しかるに藤枝さんの学歴は千葉医科大(現・千葉大医学部)