紙の本
再読感想。
2016/12/17 18:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間はそれぞれの生涯という物語の主役をはっているのだなと思わせられる。
その話の端役にも、それぞれの人生があり、それぞれの人生で主役をはっているなんてことには目がいかない。
書割同様同じ役を果たす存在であれば、まさにその人間でなくてもいいのだから。
ならば、自分自身の役をどう果たすべきかを考えるべきなんだろう。
そんなことを感じる。
投稿元:
レビューを見る
二十年前から続く因縁は、思わぬかたちで今に繋がり、人を誤らせていく。男は男の嘘をつき、女は女の道をゆく。こんがらがった人間関係を、“ぼんくら”同心・井筒平四郎の甥っ子、弓之助は解き明かせるのか。事件の真相が語られた後に四つの短篇で明かされる、さらに深く切ない男女の真実(「BOOK」データベースより)
下巻は上巻から続く「おまえさん」、「残り柿」、「転び神」、「磯の鮑」、「犬おどし」による構成。
上巻を読むうちに相関図が頭に入り込んだので、下巻はもう少しスムーズに読了。
大きく広がった事件の収束がどのようになされるのか、結構ドキドキしながらページをめくることができました。
やむなく人をあやめてしまった者の、心乱されてしまった過程が哀しく描かれていましたね。
そんな部分も読ませてくれました。
特に印象に残った話は「残り柿」。
「政五郎が口を閉じると、小ぎれいな座敷に、小ぎれいな沈黙が落ちた。連子窓の白い障子に、川面に映る陽の光が照り返している。弱々しく優しい冬の陽だ。その照り返しがわさわさと乱れ、かすかな水音がした。舟が通って行ったのだろう」
政五郎とおきえが静かに対峙するこのシーンが心に残りました。
次はうまく柿をもいでやるのだと言うおきえに、女の哀しさと強かさを感じました。
あとご隠居先生・本宮源右衛門、間島を命の恩人だとまっさらな好意を現してくれた八百源のおひで、けなげで優しい三太郎なんかがよかったかな。
なにせ登場人物が何十人も出てくるので、その中で必ず自分の心に何かを響かせる人物がいること請け合いです。
私ももうちょっと彼らのことが知りたいので、前作『ぼんくら』と『日暮らし』をちゃんと読んでみようと思いました。
投稿元:
レビューを見る
金壺眼だけど、若くて真面目な 間島様 先が楽しみなお役人様です
お徳さん 人柄もその言葉も 大好きです
淳三郎さん こういう人っているけど、ちょっぴり苦手かな
本宮源右衛門様 この先生に何を教えて頂けるのかわくわくします
この世界に住む人々が、幸せだったり 悩んだり 辛かったり 哀しかったり 色々な感情と共に 生き生きと紙の上に表れる
どっぷりと浸からせていただきました
次男 三男の皆様 この時代に生まれなくてよかったですねぇ
”離魂病”という言葉が「鷺と雪」にも出てきておおっ!!と思いました。
上巻は「おまえさん」
下巻は「おまえさん(承前)」のあとに
それぞれのその後が描かれて、(承前)の題に納得。
投稿元:
レビューを見る
またまた新しいキャラクター淳ちゃんが登場します。
色男で賢くて金持ちで…
私は、オールマイティーな淳ちゃんキャラより、金壺眼の信さんに共感しました。
投稿元:
レビューを見る
せつない。それにしても人情物は、うまいなぁ。
容姿が良かったら人生バラ色で、悪かったら真っ暗ということではもちろんないけど、どうしても無い物ねだりしてしまう。それで人生を踏み外す人、しぶとく自分だけが頼りとしゃにむに頑張って福を得ようとする人。踏み外そうな人を、叱り飛ばしてくれる人。イイなぁ。
今回登場した大叔父様と丸助がとても良かった。いいことばかりの人生じゃなかったけど、ちゃんと生きてればいいこともあるよねって思える本です。
今回登場した人たちのその後が読みたいです。
投稿元:
レビューを見る
長編の後半と短編4本という構成ではあるが、最後までひっくるめてこその大団円。
「転び神」が特に好き。
ご隠居様と淳三郎君の先の物語が早く読みたい。
【図書館・初読・10/24読了】
投稿元:
レビューを見る
楽しみにしていたシリーズ。
単行本・文庫本同時発売なんて、粋な計らいだわ、と手に取る。
とにかく長い。
長過ぎる。
ノルマみたいに読み進めた。
それでも、魅力的な登場人物さんたちにわくわくさせられたり、痺れちゃったりはするのだけれど。
という訳で、やっぱり好きだ。
投稿元:
レビューを見る
三作目ともなると、ぼんくら同心平四郎、甥っ子の弓之助などおなじみの登場人物がすっかり近しい存在になって、事件の解決もさりながら、彼らが悩んだり喜んだりそういうふうな生き様が、とても面白かった。弓之助の三番目の兄淳三郎がこれまたひょうひょうとして、これからの活躍に期待したいです。
投稿元:
レビューを見る
ぼんくらシリーズ第三弾。
残り柿
女の仕立て直しが道楽の夫に別れを言い渡されたおでこの母、おきえの物語。
転び神
富くじによって身を持ち崩し、罪を犯した仙太郎。
それを何とか助けたい丸助、おていたち。
平四郎は、ある一策をこうじる。
磯の鮑
磯の鮑の片思い。
史乃をみすみす逃がしてしまった信之輔。
玄徳医師を密かに思ってきたおしん。
その思い。恥。罪悪感。
それを救うのはー。
本編の間に↑の短編が挿まれる。
最初は、大嫌いだったおきえの覚悟と強さ(弱さ)を知り、「あれはあれで邪なことではございませんような気がいたします」という老番頭の言葉がスッと入ってきた。
幸せを手に入れた者たち。
その側では泣いている誰かがいる。
落ちてしまうと、そこから抜けるのは容易ではなくて、信之輔やおしんのことを見てるのは本当に辛かった。
なんであんな莫迦なことを。
恥ずかしい。
身の程知らず。
でも捨てきれない。
苦しむ彼らにかけるお徳さんの言葉は厳しいけれど優しい。
源右衛門の学びなさいという言葉も。
好きなシーンは丸助のところに淳三郎と弓之助が集うところ。
騒がしくて、楽しそうで、こっちまで嬉しくて涙が出てくる。
やっぱり、このシリーズ好きです。
どんどん登場人物増えてきて、でもどの人も大切。
いつになるかわからないけれど、彼らにまた会えるのが楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
長かったー。
でも、下巻になって、
各編ごとに視点が変わっていくと、
勢いづいてきましたよ。
ラストは爽やかなようで、
完璧なハッピーエンドでもないのかな。
恋心というものはなかなか厄介なようです。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ3作目ながら初めて読みましたが、違和感なく読め楽しめました。
どの人物の心情も細かく描かれ、そこまで書き込まなくてもと思ったものの、その気持ちひとつひとつが繋がって物語の深い味わいになっています。
『ぼんくら』『日暮らし』も、ぜひ読みたいです。
投稿元:
レビューを見る
これはまいった。江戸の人情噺としては俺が今まで読んだ中でも出色のできです。出てくる人物の全てが悪役までも愛おしい。「人が描けていない」という言葉は今ひとつ好きではないのですが、逆にここまで人が描ける作家も稀なのではないかと思います。気持ちよぉく泣かされました。それにしても、1000ページ分語っても行く末が気になる人物少なからず。さらなる続編が楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
長かったけれど、ずっと読んでいたくて、読み終わるととても寂しい気持ちになりました。
ほろ苦い味わいだけど、あたたかみの感じられる物語です。
この作品、とても登場人物の数が多いです。おまけとして登場人物の相関図がついていたのですが、ざっと数えて90人。(名前だけしか出てきていない人も含んでいますが。)
でも実際読んでいるとそんなに多い感じはしません。この人誰だっけ?って状態になることもほとんどありませんでした。よくぞまあ、これだけ多くの人物を動かせるなぁ、と本当に感心してしまいます。
そして物語もこれがまた結構複雑。
主軸として描かれているのは、怨恨と思われる連続殺人事件なのですが、このほかにも、「おとく屋」の近所で起こった刃傷沙汰の話や、その犯人の事情や、「おでこ」の母親の再婚先の奇妙な風習などなど、同時にいくつもの話が進行していきます。
普通のミステリー小説とかだったら、これらの出来事が実は互いに絡み合っていて徐々に連続殺人事件の真実が導き出される・・・みたいな展開になりそうなものですが、この作品では、これら複数の事情は重なり合うことはなく、それぞれ独立して物語が進みます。
多分、この作品では「事件」ではなく、それに関わる「人」に重きを置いて描いているのではないかな、と思います。なので、複数の物語が同時進行しても、不自然とか助長だとか、そんな感じはせず、すんなりと受け入れることができたような気がしました。
というか、こういう描き方をして破綻なく一つの物語にまとめることができる宮部さんの力量にただただ感服!
長い物語なので一概に言うことはできないのですが、この物語のテーマは「男女の縁」なのかなぁ、と思います。
「恋情」というものは、どこか神聖で美しいものである一方で、醜くもろい面や愚かな面をも備えているものなんだということを感じました。広くとらえると、「恋情」は良くも悪くも人間の本質が表れるものであるとも思えます。
この物語ではそんな、人間の弱かったりもろかったりする部分を丁寧に描き出しているように思えました。そしてそういう部分を否定していないところに、この物語のあたたかみを感じます。
タイトルの『おまえさん』、これは本当に深いですね・・・!
平四郎ら、物語の中心となる個性的なメンバーたちの生き生きとした描写も魅力的。
個人的には、弓之助が兄に対して案外子どもっぽい振る舞いをするところが、なんだか意外な一面って感じがして好きです。
このシリーズまだまだ続いてほしいなぁ、と思います。せめて、弓之助が平四郎の跡取りになるかどうかはっきりするまで続いてほしいです。
投稿元:
レビューを見る
河合屋の坊ちゃんの兄、淳三郎が面白いですわー。
映像化するなら、誰にやってほしいかなぁって想像しちゃいます。
若いって悲しいっていう、平四郎の言葉が身にしみます。
時間がたてば、平気になることも、鈍くなることも、図々しくなれることも、全部怒ってしまったり、感じてしまう。結末は、やっぱり哀しいですが、富くじのほうは、いい終わり方。
おでこの母親のほうも謎が、解けてスッキリ。
投稿元:
レビューを見る
「おまえさん」と、語りかける。
女性たちのお話でした。
アタシの目指す女性像も想像しつつ。
やっぱし。
いいなぁ。
長屋の暮らしぶり。
八丁堀の皆さま方。
弓乃助くんと三太郎ちゃん。
居場所を見つける意味。
弓乃助のお兄ちゃんも初登場!
淳三郎くんもいい味出しておりましたぁ。
次、早く読みたいですわ。
前回からずいぶんたったよね・・・。