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- カテゴリ:一般
- 発売日:2011/09/22
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/506p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-217252-3
紙の本
おまえさん 上
著者 宮部 みゆき (著)
痒み止め薬「王疹膏」を売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の“ぼんくら”同心・井筒平四郎は、将来を期待される同心・間島信之輔(残念ながら醜男)と調べに乗...
おまえさん 上
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商品説明
痒み止め薬「王疹膏」を売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の“ぼんくら”同心・井筒平四郎は、将来を期待される同心・間島信之輔(残念ながら醜男)と調べに乗り出す。その斬り口は、少し前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ、隠され続けた二十年前の罪。さらなる亡骸…。瓶屋に遺された美しすぎる母娘は事件の鍵を握るのか。大人気“ぼんくら”シリーズ第三弾。あの愉快な仲間たちを存分に使い、前代未聞の構成で著者が挑む新境地。【「BOOK」データベースの商品解説】
瓶屋の主人が斬り殺され、“ぼんくら”同心・井筒平四郎は調べに乗り出す。その斬り口は、前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ隠され続けた20年前の罪とは。シリーズ第3弾。講談社文庫版と同時刊行。【「TRC MARC」の商品解説】
大人気“ぼんくら”シリーズ第三弾
あの愉快な仲間たちを存分に使い、前代未聞の構成で著者が挑む新境地。
断ち切らない因縁が、さらなる悲劇を呼び寄せる。
出会えてよかった?
日本人の強さと優しさがぎゅっと詰まった贅沢な大長編
痒み止め薬「王疹膏」を売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の“ぼんくら”同心・井筒平四郎は、将来を期待される同心・間島信之輔(残念ながら醜男)と調べに乗り出す。その斬り口は、少し前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ、隠され続けた二十年前の罪。さらなる亡骸……。瓶屋に遣された美しすぎる母娘は事件の鍵を握るのか。【商品解説】
目次
著者紹介
宮部 みゆき
- 略歴
- 〈宮部みゆき〉1960年生まれ。東京都出身。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。99年「理由」で直木賞、2007年「名もなき毒」で吉川英治文学賞を受賞。
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紙の本
情味豊かな捕り物帖
2011/10/10 10:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代小説が好き。
面白かった時代小説を読むと、すぐにそう思ってしまう。
時代小説にもいろいろあるというのに、この直截な感想は困ったものだ。
しかし、本書は思わずそう思ってしまったものの一冊だ。
「ぼんくら」「日暮らし」に続くシリーズ3冊目。
本所深川の同心・井筒平四郎とその甥・弓之助が活躍する捕り物帖だ。
生薬屋・瓶屋の主、新兵衛が何ものかに斬り殺された。
新兵衛の死は少し前に発見された身元不明の亡骸とつながりがあり、さらに、二十年も前の事件が浮き上がっていく。
あまりの美貌に、平四郎の妻に行く末を心配される弓之助と、太平楽な平四郎。
おでこの三太郎に岡っ引きの政五郎、お菜屋のお徳など、いつもの面々に加えて、将来を嘱望される同心の間島信之輔やその祖父、源右衛門、三太郎の母、おきえなど、新たな登場人物も目白押しだ。
その誰もが個性豊かで、物語に厚味と彩りを添えているが、なかでも出色だったのが、弓之助の兄、淳三郎だ。
誰もがため息をつく美貌を持ち、年に似合わぬ明晰な頭脳をもつ弓之助。
おねしょという、意外な弱点はあるが、家族の話題もあまりなく、どこか作り物めいて感じられていた人物である。
今回は、弓之助の家、藍玉問屋の家内騒動に加え、五人兄弟、すなわち弓之助の四人の兄のうち、はじめて一人が登場した。
しかもこの淳三郎、弓之助ほどではないがいい男で、世慣れていて女あしらいにも長け、主役を張ってもおかしくないようなかっこよさである。
実際、弓之助よりも淳三郎の方が人間味があっていいなあ、なんて思ったりもする。
物語には長編に見合った重厚さと複雑さがあるけれど、平四郎のとぼけたキャラクターと同様の語り口で、長い長い物語をさしたる苦労なく、最後まで読んでいける。
というより、面白くてやめられない。
瓶屋に関わる女たちと、三太郎の母親。
女たちのそれぞれの生き様。 間島信之輔の成長物語。
二十年前の事件にかかわる糸。
様々な案件が、どこかで絡み合い、一つになったり収束したり、影を落としたり。
事件としては、最初から最後まで嫌な事件である。
後味の悪いはずの事件を、弓之助の知恵を縦糸に、周囲の大人の世知と情味を横糸に、しっとりと余韻の残る物語に仕立て上げた筆力はさすがである。
しかし前作から本書までの間が3年。
次作はもう少し早い発売を期待したい。
もういまから、待ちきれなくて仕方がないのだから。
紙の本
二つの殺人を軸に小さな事件が頻発。派手な捕物も読みどころ。
2011/12/12 16:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ぼんくら』『日暮し』に続く平四郎シリーズ。
南辻橋のたもとで辻斬りにあった貧相な男。
寝ている間に斬られた生薬屋瓶屋の主人新兵衛。
一見、何の繋がりもないこのふたつの殺人事件が繋がる。
その一方、岡引の親分政五郎の養子で、記憶力抜群のおでこの
生みの親のおきえが、裕福な空樽問屋の女将になっていたり、
八百屋の嫁を人質に騒動を起こす男がいたり。
細かく事件が起こる。
瓶屋には後添えの美しい後家、なさぬ仲のやはり美しい娘に
美しい女差配人と、波乱のありそうな遺族がいる。
さらに、頭は切れ、人柄は爽やかで好青年なのに
見た目で9割損している同心・間島信之輔が登場し
捕物の動きがいつになく派手。
後半には弓之助の兄で、河合屋の三男淳三郎が登場。
遊びも仕事もそつなくこなす、飄々とした
(でも器用貧乏っぽい)キャラ。
いつもは連作短編を重ねて長編で締めくくるが
今回は長編に連作短編4編で
事件や人びとの心のうちを収める。
収めるところに収まるのが人間というものなのか。
美しい人は美しく、しかし心の歪んだ人は歪んだように
その道は続いていく。
いや、その歪みさえ、ほんのわずかな人との出会いの順番にも
よるのかもしれない。
物語を楽しませてくれるのと同時に
人の行き交いに奇妙な連鎖を見た。
紙の本
ないがしろにしていい人などいない
2011/11/23 09:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は、なかなか消えない身元不明の死体の跡だった。丁寧に弔ったのに、清めの塩もまいたのに、なかなか死体の跡が消えない。まるで何かを訴えたいかのように。そんな風に、ぼんくら同心・井筒平四郎の前に、事件は現れた。
死体は元ザク、現在で言うところの調剤師だ。続いて生薬屋の瓶屋の主人、新兵衛が殺されるにあたり、平四郎と若手の同心・間島信之輔が事件の捜査にあたる。彼等は行動部隊、年若くして頭脳明晰の平四郎の甥っ子、弓之助とおでこが主に頭脳部門を受け持つ。今回は、平四郎より更に上の世代として、信之輔の大叔父・源右衛門が加わり、異なる世代の考え方、感じ方が描かれることによって、作品に重厚感が加わった。男性ばかりではない。名脇役のお徳や、おでこの母親も登場し、バラエティ豊かな女性キャラクターも楽しめる。
誰かは、誰かのことを「おまえさん」とさも愛しそうに呼ぶ。例えその人がどんなことをしていても、自分にとっては大事だから。しかし、他の人からみれば、「おまえさん」と呼ばれる人は、誤った考えに取り憑かれた危ない存在でしかない。正解などないのだ、人の判断なんて。人の見方は人それぞれで、それぞれの人生から得てきた経験でものを見て、ものを言うから。年を取れば、そういうものなんだな、と見えてくるが、若いうちは、その考え方の違いが許せない。今回の哀しむべき事件の発端も、そもそもは、考え方、見方の違いである。そしてそれは、現代で起こっている哀しい事件でも、決して無縁ではないのである。
ひとつだけ言えることは、誰ひとりとして、ないがしろにしていい人などいないということだ。平四郎たちが代表する法の番人も、まずはそこをベースにする。そして人々の機微に入り込み、おさまりをつける。
本作は上下巻となっており、『おまえさん』自体は下巻の途中で終わっている。加速をつけて終わらせるならば、『おまえさん』だけでお終わらせることも可能な展開であったが、作者はあえてそうしない。メインストーリーに脇役として登場させた人々の身辺を描きながら、それぞれの人柄を描き、メインの事件との関連性を繋いでいく。もしかしたら、彼等の中に、今読んでいるあなたが見つかるかもしれない。
世の中の理不尽な見方に憤る人も、我関せずと我が道を貫く人も、いっとき、江戸にいるもう一人のあなたに会いに来ませんか?
紙の本
期待を裏切らない面白さ♪
2011/12/11 14:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人気の痒み止めの薬「王珍膏」を扱う瓶屋のあるじ新兵衛が殺された。
その斬り口は、少し前に殺された身元不明の男のものと同じだった。
ふたりのつながりをたどるうちに、封印されていたはずの過去のでき
ごとがしだいに浮かび上がってきた・・・。ぼんくらシリーズ第3弾!
よくこれだけたくさんの人を登場させたものだと感心する。単行本には
付録として人物相関図がついていたので、本当に助かった。
身元不明の男の事件と瓶屋のあるじの事件。複雑な人間関係やすれ違う
人の心が、これらの事件を引き起こしたのかもしれない。その辺の事情を、
作者は巧みに描いている。人は、相手を思いやる温かい心を持っている。
だがそれと同時に、人は心の中に暗く冷たい闇も抱えている。闇が心を
支配したときに、人は鬼になる・・・。
かなりボリュームのある作品だが、作者はよくまとめたと思う。構成力は
抜群!それに描写も巧みで、読んでいると自分も登場人物のひとりとして
この作品の中に入り込んでしまったような錯覚に襲われる。また、たくさん
の登場人物のひとりひとりがとてもていねいに、そして個性的に描かれて
いて、しぐさ、表情、動作などがリアルに浮かび上がってくる。弓之助、
三太郎、平四郎、間島信之輔、お徳、政五郎・・・どの人物も、本当に魅力
的だ。話の展開の仕方もよかった。ラストへの収束の仕方もお見事!
面白く、ほろ苦く、そして切なく。読後も満足感が残る、すばらしい作品
だった。
紙の本
再読感想。
2016/12/17 18:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
再読ということで、なんとなく人物設定は覚えていたが、やはりここはシリーズ一作目から読み直せばよかったなと後悔。
なぜなら絶対その方がたっぷり楽しめるから!
美形で出来物なぼっちゃん弓之助もおでこの三ちゃんもあいかわらずのいいコンビ。
そして複数の話が寄り合わされて大きな流れを形作っていく。