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原書を半分で投げてしまったので(私の英語力では無理!!)、待望の邦訳でてよかったです。自店での配本1とかいうわけわからん数だったので他のお店にかけこみました。
いや…これ洋書読み始めて一年じゃむりだよ。なるほどこいう翻訳か!!翻訳家ってすげーな!!とか思いながらもとにかくハラハラドキドキの展開、そして後半は…なんか…色々考えてしまいますよね。
これ電車で読みながらふと家の窓を見ると、色んなドラマがあるんだよなぁってぞっとしてしまいました。
ともすれば設定のおぞましさに拒否反応示す人いるでしょうが、読んで損はありません。お勧めです!!
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ママと二人きりで部屋に暮らす5才の男の子の視点で語られる物語。
ある男が訪ねてくるとクローゼットの中に入らなくてはいけなかったり、しょっぱなから色々とおかしな点があり、男の子を巡る環境が次第に明かされるんだけど、何しろ5才の視点なので文体がすごく読みづらく、慣れるまで時間がかかる。しかし中盤からの展開にはいろんな意味で驚く。
フィクションだということだが、モデルにした実在の事件がいくつもあるから恐ろしい。(※ホラーではありません)
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今日はジャックの5歳の誕生日。ジャックはママと部屋に住んでいます。鍵付きのドアに天窓のある部屋。テレビを見るのが大好きで、アニメの主人公が友だちです。でもジャックは知っています。テレビに映るモノはホントのことではないことを。自分とママと部屋だけがホントのことです―ママが外の世界があることを教えてくれるまでは。誘拐され、監禁された少女に、子供ができてしまったら…。
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かわいい5歳の子のモノローグは、ママとの会話で始まる。
ごくごく普通の仲のよい親子に見える2人が、実は非常に特殊な状況に置かれていることに気がつくのに、さほど時間は掛からない。
幼児の語りは、つたなく、時に背伸びした表現が混じり、微笑ましい。
ある意味、たどたどしいその語り口から、親子の置かれた状況や、母親の苛立ち・焦りがあぶり出されていくさまは、ただ驚嘆するしかなく、作者の卓抜した力量を感じさせて余りある。
やがて最初の閉塞した状況は打破され、物語は次の舞台に移る。
第2幕は、おとぎ話のその後を読むようでもある。
囚われの身であったお姫さまは、助け出されたのだが、そのまま幸せに暮らす(happily ever after)わけではないのである。
おとぎ話の中ならば、善は善、悪は悪と割り切れる。が、現実はそれほどわかりやすくない。そもそもが、この物語の姫(=母親)の王子様(=幼子)は、訣別したはずの怪物にゆかりのものなのだ。
物語の発端は、やや特異な、誰もが経験するわけではない犯罪なのだが、徐々に浮き彫りにされていくのは、立場を異にする者同士の行き違いである。始まりが何であれ、人と人がどのようにすれ違うのか、どのようにそれぞれの思惑に齟齬をきたすのかが、普遍的に描かれていると言ってもよい。
それらの顛末が、純粋培養の幼子の目を通して、残酷なまでに鮮やかにすくい取られていく。
誰の思いも無理はない。誰も悪意があるわけでもない。それが確かにすれ違っていく。
それを描き出していくのは、作者の恐ろしいほどの技の冴えだ。
480ページのボリュームは、なんとも重く、長い。この苦く、痛ましい物語の中盤は、読者にも苦痛を強いる。おそらくは、作者の技量がぬきんでているだけに、余計。個人的には、正直、読み通せないかと思った。
しかし、ゴールしてみれば、これは希望と再生の物語でもあったことに気付く。
希望とは、魔法のように、夢のように、何の曇りもなく一瞬で訪れるものではない。困難でも、一歩ずつ進み続けたその先に、希望はある。いや、困難の中、一歩ずつ進み続けること自体が、希望そのものなのだ。
5歳の幼子の前にも、26歳の若い母の前にも、50代の祖母の前にも、その連れ合いの前にも、何も描かれていない未来は、ある。互いを思う気持ちも、確かにある。
しんどいが、読み通す価値のある傑作である。
*訳者さんにも敬意を払いたい。
*<ぎりじい>がよかった。
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監禁された女性が子供を産んだら…
母と子供の"部屋"での生活、脱出、その後社会に適応できるのか…
すべて5歳の子供の視点で書かれているので言葉が子供言葉のままなのでそれに慣れるまで読みにくかった。でも子供言葉のままだから閉鎖的な空間での生活の異常さなどにリアリティがあったと思う。
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恐ろしい話ですよ
何の罪もない子がさらわれて、人生の何年間を監禁されて
生かされるとか
逃げ出すシーンは本当に手に汗握った…
あとはまあグダグダと続いてしまって。
フィクションですよねこれ
ジャックとお母さんが健やかに育ってくれますように
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5歳の男の子が語る日常。たどたどしく語られるそれは、母と密着した生活に満ち足りていることがうかがえるのに、読んでいる私は所々で、何か不穏を感じる。その理由がだんだん判っていくほどに、満ち足りた生活の、恐ろしい背景に背筋が寒くなる。
異常な生活であっても、それしか知らないのであれば、幸せを感じられるのだ。母にとってはおぞましい暮らしであっても。
幸せを感じていたその生活から、人が本来の日常と感じる生活に変わっても、彼はなかなかそれを幸せとは感じられない。変化は不安を呼ぶから。
人は「部屋」での生活を哀れむかもしれないけれど、そこで感じていた幸せは揺るがない。ただ、もっと大きい幸せがあるだけだ。
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■日本の作品ではこういうストーリーになかなか出会えない。洋書ならではの作品。
■長い時間を抑圧された環境で過ごしてきた母親と男の子がその環境から脱出して再生していくストーリー。抑圧による影響と周囲の(余計な)外乱。きっと現実世界でもこうなんだろうなぁ。
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5才になったジャックは、ママと二人部屋の中で陸上競技をしたり、ゲームをしたり仲良く暮している…、と思いきや、なんだか変!
読み進めていくうちに、ママは男に拉致され部屋の中に閉じ込められ、そこでジャックを産み育てていることが分かってくる。
そして、ジャックの脱出とママの救出。中盤からは、閉鎖された世界からTVの中でしか知らなかった世界へ出られたジャックの戸惑いと、ママの現実との衝突。
似たような事件は日本にもあったし、世界のあちこちで本当に起きている。この小説は、そこに部屋の中とママと拉致した男しか知らずに育った子どもの存在がポイント。
ママは、閉鎖された世界の中でジャックのために賢く生きてきた。そんなママが、世間の興味の的となり、精神のバランスを崩していく過程は、現実的であり哀しい。
ジャックは生まれて初めて会った祖母と祖母の新しいパートナー「ぎりじい」とともに、ママの回復を待つ。
無責任な世間の興味の眼に耐えながら、ママとジャックは再生の道を歩みだします。
なかなかヘビーな内容だけれど、賢いジャックを応援しながら、ぐいぐい読ませる。語り手をジャックにした事で、5才児らしい言い方や疑問で書き進む手法が成功している。
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最高で大好きなママと一緒に5歳の誕生日を迎えたジャック。
彼の毎日は、幸せでドキドキで充実していたのだけど、
世界はソコが全てじゃなかった・・・・
5歳のジャックの視点で語られる物語。
普通というのは、どういうことで、何をもって幸せというのか?
色々と考えさせられてしまった。
新聞の書評で設定を知って興味を持った本だったけれど、
なんの予備知識もなく読んだ方が、更に面白かったと思う。
しばらくジャックの世界について考えてしまいそう。
ショッキングで辛い部分も多いのだけど、本当に面白かった。
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5歳の誕生日を迎えたジャックとその母親。
監禁。
でも怖いのはその後。
あたしたちは自分の価値観で生きている。それを他人に押し付けて。
苦しかった。
辛かった。
怖かった。
アメリカの幼児向け番組のキャラクターなど実在する物がリアルさを更に感じさせる。
小説なのに、彼らの今後の前向きで着実な一歩一歩を願わずにはいられない。
訳者さんも素晴らしい。
ワイルドスワンも訳された方で。
原書ではどんなふうに5歳児が表されているんだろう。
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目次が子どもの筆跡であること、ひらがなの多さ等、この物語が子どもの目線から語られるのだということが窺えました。
監禁事件は日本でも、またよその国でも実際におこった事です。痛ましく思いながら読み始めたのですが、語りがジャックいとう5才になったばかりの男の子だからか深刻さが無く、むしろママと二人の生活を「普通」に楽しく送っている様子でした。
読み手が「異常」に気づくのはテレビのこと。ジャックはテレビの中のことは現実ではないと思っていて、ジャックにとっては「部屋」の中にしか現実がないのです。その普通でないことを知らないままジャックは成長してきて、母親もこのままではいけないと思いつつ、どうにも出来ないまま今まできている、ということがジャックを通して伝わってくるのです。
母子は無事に脱出するのですが、だからといってそれで終わるはずもなく、彼らはさまざまなことに対処していかなくてはならなくなります。むしろ脱出後の方が母子にとっては大変なのかも…。 母子のこれからの幸せを祈らずにはいられません。
そして、この物語にここまで入り込めたのは訳者さんのおかげもあるということを、訳者あとがきを読んで 感じました。 印象に残る本です。
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架空の拉致監禁事件の中で、その監禁されていた女性が子供を産み、一人で育てていたらと言う話。中盤で脱出してからの、外の世界と部屋の中の二人での暮らしとの違いに戸惑う様子がメインでした。明るい終わり方で良かったです。五歳児の視点で文章も文法間違いや表記の揺らぎ(漢字、ひらがな混在)が最初は読みにくいけど、入り込むとあっという間でした。
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誘拐監禁されていた母子の物語。
語り手は5歳の男の子。
ただ息苦しいと思うのは、それはわたしたちが「外」の世界にいるから。
実際に起きた事件や、今後のこと、色んなことを考えるとやっぱり唸っちゃうけど答えは出ない。感想はとても、むずかしい。
ただ読んだ後は、ジャックに「じょうだんじゃないわよ〜」って思われないように、頑張って生きなくては、と思った。
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一体どんな感想を述べていいのか上手く文章にできず、読了してから大分時間が経ってしまったが、本の内容を忘れることなくたまに思い出す。
それだけ心に残ったものがあるようだ。
小さな男の子の頑張り、少女だった男の子の母の苦悩。
5歳の子供視点でずっと語られている本は始めて。難しい言葉を並べた文章よりも何とダイレクトに伝わることか。