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「中世のシチリア島の歴史ついて書かれた本」と簡単に書いてみましたが、古代から中世にかけてのシチリア島の歴史はヨーロッパ(主にローマ帝国)・ビザンツ帝国・イスラムの支配を受けるうちに3つの文化が混在した地域になっていきました。そこにノルマンディー(フランス西岸部)からやってきたノルマン人が進入し、やがてロゲリウス2世(ルッジェーロ2世)の時代になるとシチリア王国を建国し、王国は3つの文化圏をうまく融合していくようになります。(ノルマン人の文化水準が低かったから3つの文化に依存せざるを得なかったような気もするが…)
管理人的には3つの文化の融合はこの本を読む限りだとものすごくスムーズに進んでいるというのに疑問を感じるのですが…
いずれにせよ、読んでていろいろシチリア島に対し興味を抱かせる本で、管理人も機会があればこの筆者が書かれた他の本を読んでみたいと思っています。
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あまり知られていないシチリア王国についての入門書かと思ったら、結構難しい。エンタメばっかり読みすぎて、私の頭がついていけていないのかも
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●構成
プロローグ:もう一つの中世ヨーロッパ
1章 地中海の万華鏡シチリア:錯綜する歴史
2章 ノルマン人の到来:地中海とノルマン人
3章 王国への道:シチリア伯領からシチリア王国へ
4章 地中海帝国の夢:ロゲリウス二世の新王国
5章 強大な官僚国家へ:ウィレルムス一世悪王と宰相マイオ
6章 動乱から安寧へ:ウィレルムス二世善王の時代
7章 南国の楽園:めずらしい果物の島、美しい建物の島
8章 異文化接触の果実:イスラム、ギリシャ、ラテン文化の出会い
エピローグ:混迷の時代へ
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地中海世界でも普段取り立てて言及されることが少ない、イタリア半島の「つま先」にあるシチリア島。実際は異文化の接点としてとても重要な存在であった。
本書は11~12世紀、ノルマン人によって成立したシチリア島と南イタリアに広がるシチリア王国について、特にその統治システムの概観を中心に、古代~中世にかけてのシチリア島を巡る政体の変遷について記す。
シチリア島全土に加え南イタリアも支配下に治めたシチリア王国は、西欧が東欧文化を受け入れる場所として、12世紀ルネサンスに大きく影響を及ぼしたことが、従来の研究が指摘してきた。著者はそのことに加えて、文化だけでなく、シチリア王国の王権政治それ自体が異文化を持つ人々に支えられており、その要職の多くに異国出身者が就いていたことを指摘する。そこから、シチリア王国はヨーロッパ史という限定された文脈にとどまらず、世界史全体という文脈においてラテン・キリスト教文化圏、ギリシャ・ビザンツ文化圏、アラブ・イスラム文化圏の三文化圏の結節点であり、文化移転、異文化との接触及び交流の重要な事例であると提唱する。
王権の統治システム面からの叙述がメインであり、文化面の記述は少ないため、世界史の上で政治面におけるシチリア王国を理解したい人向けの本である。
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[ 内容 ]
ヨーロッパ、ビザンツ、イスラムという全く異なる三つの文化が共存し、繁栄を誇った神秘の地中海王国。
その実像に迫り、中世史を読み直す。
[ 目次 ]
プロローグ もう一つの中世ヨーロッパ
1章 地中海の万華鏡シチリア―錯綜する歴史
2章 ノルマン人の到来―地中海とノルマン人
3章 王国への道―シチリア伯領からシチリア王国へ
4章 地中海帝国の夢―ロゲリウス二世の新王国
5章 強大な官僚国家へ―ウィレルムス一世悪王と宰相マイオ
6章 動乱から安寧へ―ウィレルムス二世善王の時代
7章 南国の楽園―めずらしい果物の島、美しい建物の町
8章 異文化接触の果実―イスラム、ギリシャ、ラテン文化の出会い
エピローグ 混迷の時代へ
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[ 参考となる書評 ]
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西洋史学習者ではないと足を踏み入れる機会の少ないシチリア王国に関して平易に書きあげている。
当時の時代背景や他民族・多文化が混在しながら王国としてまとめ上げる事が出来た理由を簡潔に書きながら地中海世界の興亡を書き上げているのはさすが。
…本当はフェデーリコ目当てに買ったので、シチリア王国の最期の輝きとして最期の方にチョロっと出たのみであったのが残念でした。
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シチリアに向かう飛行機のなかで読んだ2冊のうちの1冊。著者は歴史学者で、中世シチリア研究の第一人者であるようだ。本書は、サントリー学芸賞受賞作の『中世地中海世界とシチリア王国』(東京大学出版会)のダイジェスト版といった位置づけだろうが、シチリアを立体的に把握する為の肝をつかんでいる(と僕は思った)、とてもよい本だった。シチリアを訪れる際の事前学習としては、絶対的にお薦めしたい。欲を言えば、本書で扱っているのは主に11〜12世紀で、それまでの流れについてはある程度は追っているのだけれど、新書という特性を鑑みると、以後についてももう少し触れておいてほしかった。僕らが実際に対面するシチリアは抽象的で直線的な歴史ではなく、それら歴史のすべてを経てきた「場所」としての現在のシチリアなのだから。
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オリーブとオレンジの島。イタリア最大の州であるシチリア島は、
穏やかな南の島のイメージがある。そして、映画「ゴッド・ファー
ザー」の故郷の島。
そこはイタリア・ナポリが辿った歴史と同様に、ギリシャ・ローマ、
ビザンツ、イスラムの3つの文化と宗教が入り込んでいる。
そして誕生したシチリア王国は、フランスの片田舎から傭兵として
ひと旗挙げようとしたノルマン人によって確立される。
人種も宗教も異なる人々が、それぞれの専門分野で力を発揮出来る
ような行政システムはかなり優れているのではないか。
歴史的背景からの必然とはいえ、中世のシチリア王国が宗教的寛容を
実現していたのになんで現代では他宗教を憎むことしか出来ないのだ
ろうねぇ。
やっぱり行きたいシチリア島。パレルモにある大劇場テアトロ・マッシ
モは「ゴッド・ファーザー3」のラスト・シーンが撮影されたところなん
だよねぇ。
シチリア島で地中海を眺め、地中海の風を浴びながらマリオ・プーゾォ
『ゴッド・ファーザー』のページをめくる。
あぁ、時間とお金があったらやってみたいっ!その為にはせっせと働か
なくては…。汗。
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シチリア島といえば、正直イタリアの南の方の田舎かな、と今では思いがちである。しかし中世においては、フランク王国や神聖ローマ帝国に比べれば、明らかに自由で文化度の高いところであった・・ということだ。それもそのはず、ローマ帝国が東西に分裂し、紆余曲折のあとシャルルマーニュがフランク王国の皇帝として戴冠すると、話の本筋はずっと北西~中部ヨーロッパにうつる。そしてルネサンス期になると、話はいきなり南ヨーロッパにうつる。そこで中世南ヨーロッパで何があったのか、それが語られている。
もちろん「ビザンチン文化」「ヨーロッパ文化」「イスラム文化」が混在し、優れたイスラムの文化が入り、その知識人が(イスラム教徒でもある)王国の顧問を務めるなど、独特の風潮があった。古代ギリシアの文献をラテン語に訳すなど、学術的にも進んでいた。また絶対王政の端緒も南ヨーロッパにあるし、政治的にも進んでいた。
ただし、14世紀になると次第に繁栄は過去のものとなる。ローマ法王が介入してきたり、互いの宗教に対する猜疑心もなきにしもあらずであるし、イスラムの君主が介入してきたり、その場所であるがゆえ―当初はその場所であるがゆえ、交易の要衝で、独特の混在さが近郊を保っていたのだが―、分裂と対立を招いてしまう。
極めて重要な地域なのだが、あまり有名ではない、そんな気もする。
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シチリア王国の成立辺りから、神聖ローマ帝国の支配下に置かれる前までの200年間ぐらいを扱った本だったと思います。古代ギリシア、アラブ、ノルマン、スペインなど、多種多様な民族と文化、交易の十字路となった独特なシチリアの歴史を垣間見られます。創作活動のためにシチリアを調べていて出会った本。
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神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世がシチリア出身だったなーと思い、読んでみた。
ノルマンシチリア王国最盛期には北アフリカやイタリア半島南部まで支配し、さらにビザンツ帝国にまで攻撃してたとは知らなかった。
いくつか興味深かったことをピックアップ。
ノルマンディーの小さな村から出発したオートヴィル家の兄弟たちによってシチリア王国は作られた。
イスラム教徒とキリスト教徒が共存してた。
ラテンキリスト文化圏、ビザンツ文化圏、アラブイスラム文化圏の共存。
アラブ人を役人として大量雇用。
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12世紀ごろ、シチリアに成立したノルマン・シチリア王国についての本。平易で読みやすく、大変面白かった。
ノルマンディのノルマン人によって建国されたこの王国は、カトリック圏ヨーロッパ、東方教会(ビザンツ帝国)の世界、アラブ・イスラム世界が入り混じった、多彩な国家であった。
ノルマン・シチリア王国が形成されるまでの流れをさらっと紹介した後、建国~13世紀初頭のフレデリクス3世の時代までが、各王の生涯を追う形で描かれている。
中世ヨーロッパといえば、神聖ローマ帝国などの西方のキリスト教世界を中心に捉えがちだった。
地中海にこのような世界があったのだと、目を開かれる思いがした。
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読了。
中世シチリア王国 / 高山博
世界史の知識不足人としてはこの中世シチリア王国と両シチリア王国とは違うん?と思ってたわけです。
端的にいえば時代が違ったわけですが...
両シチリアは19世紀でした。
こちらは11世紀頃です。
フランス ノルマンディ地方の田舎ノルマン人騎士兄弟が傭兵として南イタリアに渡り、シチリア(南イタリア含む)に王国を誕生させる物語。
成り上がり物語ですね。
ロマンあふれる展開ですね。
塩野女史のローマ亡き後の地中海世界で触れてた部分なのでそのうち読もうと買って積んでありました。
塩野女史もこちらの作者もルネッサンスはシチリア島から始まった(きっかけ)と言ってましたので、ルネッサンス=フィレンツェというイメージは間違ってはいないがそれだけではなかったといった感じですかね。
アラブ人、ギリシア人、ラテン系が住み文化が交わる場所だから始まりのきっかけのルネッサンスのようですね。
たいへん面白かったです。
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塩野七生さんの「フェルディナンド2世」を読んでから中世シチリア史に興味がありますが、こちらは彼の前の時代について、さらっと書いてあり,楽しめました。関連本読みたいです。
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NDC 237
ヨーロッパ、ビザンツ、イスラムという全く異なる三つの文化が共存し、繁栄を誇った神秘の地中海王国。その実像に迫り、中世史を読み直す。
「古来シチリア島と南イタリアは、地中海の中心部に位置している関係から、民俗・宗教・文化の十字路となってきました。宗教的にもキリスト教・ギリシア正教・イスラームが同時に共存し、それぞれの文化が融合するという世界史上でも稀有な場所なのです。ー現代のぼくたちが積極的に考えてゆくべき「異文化交流」を先取りしてきた「両シチリア王国」の歴史について、ぜひ読んでみてください。」
(『世界史読書案内』津野田興一著 より紹介)
目次
プロローグ もう一つの中世ヨーロッパ
1章 地中海の万華鏡シチリア―錯綜する歴史
2章 ノルマン人の到来―地中海とノルマン人
3章 王国への道―シチリア伯領からシチリア王国へ
4章 地中海帝国の夢―ロゲリウス二世の新王国
5章 強大な官僚国家へ―ウィレルムス一世悪王と宰相マイオ
6章 動乱から安寧へ―ウィレルムス二世善王の時代
7章 南国の楽園―めずらしい果物の島、美しい建物の町
8章 異文化接触の果実―イスラム、ギリシャ、ラテン文化の出会い
エピローグ 混迷の時代へ
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pp.146-7
ロゲリウス二世二使えた地理学書イドリーシーは、『世界各対を深く知ることを望む者の慰みの書』の中でこの町(パレルモ)を次のように描写している。数ある町の中で、パレルモは最も大きく最も美しい町であり、滞在としてもすばらしい町であった。この町には、尽きることのない栄光が存在し、有り余る優雅さがあった。そして、歴代の王が住まう町であった。この町は会がいい沿いにあり、その西側には高くて大きな山がある。海寄りには、日当たりのよい居住区がある。この町は美しい建物で満ちあふれ、旅人達は、これらの建物や洗練された工芸品の評判にひかれて、町を歩き出すのだった。
pp.168-172
(「十二世紀ルネサンス」とは)千九百二十七年にチャールズ・ハスキンズという中世史家が『十二世紀ルネサンス』という書物を著して以後、多くの人々の間で知られるようになった言葉である。この書物は、十二世紀の西ヨーロッパがそれまで考えられていたような「暗黒時代」ではなく、ルネサンスと同じように文化活動が盛んな時代であったことを明らかにし、西欧中世に対する人々の見方を大きく転換させた。
……
ところで、このハスキンズの十二世紀ルネサンス論において重要な位置を占めるのは、スペインとシチリア、北イタリアにおける翻訳活動である。
……
このような視点から、シチリア王国は西欧が東方文化を受け入れる場所とみなされてきた。そして、王国における翻訳活動や王国を訪れた西欧の知識人たちがとりわけ注目を浴びてきた。
……
シチリア王国が西欧の東方文化を受け入れる場所であったことに間違いはない。……シチリア王国がヨーロッパに対して果たした役割は、いくら強調しても強調しすぎることはないであろう。
……
しかし、私たちは、そのようなヨーロッパにとっての意味だけにこだわる必要もない。時間枠と空間枠を少し広げてみれば、この現象が複数の文化圏の間で生じる文化移転の一部であることが用意に理解されるはずである。
……
さらに広く時間枠と空間枠を広げてみるならば、この王国は、人類の経験としての文化交流と異文化接触に関して、豊富な実例を提供している。異文化接触や交流が恒常化しつつある現代世界にあってみれば、シチリア王国で生じた現象は、私たち自身の世界を理解するための重要な示唆を与えてくれるはずである。