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投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
オカルトに関する重大事件について、その成り立ちと背景を歴史研究家の視点から解説したもの。
オカルト関連の事件・遺物・文献などは、その時代を反映したものばかりだという。
例えば、UFO目撃談は、米ソ冷戦下の不安感が反映されているといった具合。
ただ、本書ではオカルトの代表的なジャンルとその歴史の解説に力点が置かれている。
それぞれの時代背景や、その位置付けといった「分析」は最後の章で出てくるのみ。
オカルトを通して、それが流行った時代背景を探る、といった事を期待していると少し拍子抜け感がある。
が、そもそも「入門」と題しているので、「入り口」としては、これで十分なのかもしれない。
それにしても驚かされるのは、オカルトでは同じ事が何度も繰り返される、という点。
・主張する内容をよく調べると、以前、流行った事が少し装いを変えているだけ。
・検証のためと称して、科学者が引っ張り出されるが役に立たない。(同時にマジシャンが呼ばれることはほとんどない)
などなど・・・。
まじめに対応するとバカバカしくなってくるが、一種のファッションと捉えて、その時代を映し出す「鏡」と考えると、面白いものが見えてくる。
別の本で紹介されていた例だが、「宇宙人の故郷の変遷」がある。
地球にやってくる宇宙人は当初「月」「火星」「金星」から来ていたのだが、今は何十光年の彼方から来るようになっている。
その背後にあるものは「探査機が飛んでいって観測が進んだ」という事実。
どうでもいいような事の中に「神」は宿っているのかもしれない。
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「入門」という名の通り、UFO、超能力、陰謀論などよく知られたオカルトネタがたっぷり。その部分を眺めているだけでも愉しいけど、単なるカタログ的な網羅に終わらず、それらを歴史的に俯瞰しようとする著者のスタンスが好感度大。オカルト的な言説の誕生や流行が、その時代背景や政治状況、人々の思想等を反映しているという考察が興味深い。
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教養としてのオカルトはいかが?
単に正しい/正しくないで語る「と学会的」態度は無粋で不毛ではないだろうか。
曰く、オカルトには時々の世相、時代背景、人びとの心理が反映されているという。
なるほどなあ。
好きだからこそまずは疑う、という筆者の姿勢はオカルトの性格上至極まっとうで、そこから下される真偽の判定はどこか愛情のようなものが込められていさえする。
オカルト雑誌で当たり前のように使われる用語の解説書としても使えるコスパの高い一冊です。
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UFOやUMA、陰謀論などのオカルトを検証し真偽を明らかにしつつ、なぜそのようなオカルトが流布することになったのかを時代背景などに照らしあわせて解説している面白い本だった。一方的に糾弾するのではなく、まずはその事象が報告されたという事実を受け入れ、その上で問題点を検証している。たいていの物は捏造という結論になっているのだが、フォーティアン現象のうち「ファフロツキーズ」(空からカエルや魚などが大量に降ってくる現象)、「人間消失事件」のうち幾つかは説明がつかないものとして肯定している。
面白い事例としては創造説(「進化論は間違いでこの世界は聖書に書かれた通りに神によって創造された」と主張する)に対するカブレラ・ストーンの存在がある。カブレラ・ストーンは古代人と恐竜共存している様子を描いたものいわれているが、創造説論者にとっては世界ができてから数千年しか立っていないことを示す証拠となるため支持せざるを得ないという。また簡単ではあるがオカルト嫌いが却ってオカルトの信奉者となるという指摘も興味深い。なまじ自分の知識に自信があるがゆえに、オカルト的な事象を経験してしまうと否定出来なくなってしまいオカルト信奉者に転向してしまうという。オカルトをオカルトとして楽しみ、過度にのめりこまないためには頑なな態度ではなく肩の力を抜いたほうが良いのかもしれない。
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オカルトを考察することを通して、当時の社会的背景や人々の考え方・文化を学ぶ。そういう本だと序文に書いてありました。この主旨自体はなかなかに面白いと思います。オカルトという軽視されがちな文化を真面目に捉えて考察している本なのだと、期待していました。
しかし、序文と実際の本の内容は全く異なったものでした。社会背景などに触れることもごくたまにあるのですが、知的欲求を満たしてくれるほど踏み込んだものはありません。
ひどいのは、この本のオカルトに対するスタンスがいわゆる一般的なオカルトに対する見方と全く同じということです。つまり、上から目線で皮肉を込めた見方しかしていないのです。
多くの章は【不可思議な現象→オカルト的見解→科学的見解】という構成になっています。これだと、「不可思議な現象があって、オカルト的見解ではこのようなことを言っている。でも、実際は科学的にこのように説明できるものである。」という文の組み立てにしかなりません。科学的な見解を最終的な拠り所としているので、その前に提示されたオカルト的見解を完全なる道化としてしか扱っていないのです。それって、今までさんざん行われてきたオカルトをバカにする見方と一緒ですよね。
この本の取るべき構成は、【不可思議な現象→科学的見解→オカルト的見解→オカルト的見解の背景】というものではないでしょうか。つまり、「ある不可思議な現象は科学的にはこのように説明できる。しかし、オカルト的にはこのように説明されてきた。ではなぜこのようなオカルト的見解が発生したのか。そこには当時の社会状況が反映されている。」とすれば、序文にあったようなオカルトを文化として捉える見方が反映できると思うのです。
ジャンルをまたいで多くの事例・事象を提示したのはとても良かったのですが、それぞれの例の締めが皮肉で終わっているのでは納得できません。「オカルトを軽く扱わない」ということは、もちろん頭ごなしにオカルトを信じることとは違います。でも、それはオカルト考察の結論として皮肉に逃げることでもありません。それは、それぞれのジャンルにおけるオカルト的見解をもっと掘り下げて考えることではないでしょうか。
テーマが面白そうだっただけに、内容が残念でした。
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オカルトに関する重大事件について、その成り立ちと背景を歴史研究家の視点から解説したもの。
オカルト関連の事件・遺物・文献などは、その時代を反映したものばかりだという。
例えば、UFO目撃談は、米ソ冷戦下の不安感が反映されているといった具合。
ただ、本書ではオカルトの代表的なジャンルとその歴史の解説に力点が置かれている。
それぞれの時代背景や、その位置付けといった「分析」は最後の章で出てくるのみ。
オカルトを通して、それが流行った時代背景を探る、といった事を期待していると少し拍子抜け感がある。
が、そもそも「入門」と題しているので、「入り口」としては、これで十分なのかもしれない。
それにしても驚かされるのは、オカルトでは同じ事が何度も繰り返される、という点。
・主張する内容をよく調べると、以前、流行った事が少し装いを変えているだけ。
・検証のためと称して、科学者が引っ張り出されるが役に立たない。(同時にマジシャンが呼ばれることはほとんどない)
などなど・・・。
まじめに対応するとバカバカしくなってくるが、一種のファッションと捉えて、その時代を映し出す「鏡」と考えると、面白いものが見えてくる。
別の本で紹介されていた例だが、「宇宙人の故郷の変遷」がある。
地球にやってくる宇宙人は当初「月」「火星」「金星」から来ていたのだが、今は何十光年の彼方から来るようになっている。
その背後にあるものは「探査機が飛んでいって観測が進んだ」という事実。
どうでもいいような事の中に「神」は宿っているのかもしれない。
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さまざまなオカルトについて、なぜそのオカルトは信じられていったのか?どのような社会情勢のもとに作られた話なのか?ということを紐解く本。と、序文では書かれているが、実際はさまざまなオカルトを紹介しただけの本。まあ、文章も読みやすく、図もあるので内容は悪くない。
震災後に再び流行った地震兵器やEM菌など、オカルトは何度も何度も復活するものであるが、それらが悪質なデマとなっているケースは許しがたい。
笑って許せるものならいいが、自分がかかわる領域まで侵入してきたオカルトへの対処はどうすればいいのだろう?
長年オカルトに付き合っている著者ならば、いやな点も多く経験しているだろうから、そこまで踏み込んで書いてほしかった。
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超常現象が時代背景をうつしているものだとは考えたこともなかった。興味深い内容だった。
有名な事件をざっと羅列しているだけの本文はすこしものたりなかったけど、この本は「超」入門なのだし、オカルトを知ることによってひとの歴史を知るための最初の材料をまず示してくれたような気がする。
教養としてのオカルトに、すごく興味をもった。
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UFO、超能力、オーパーツ、UMA、心霊……オカルトは教養だ!
本書は、オカルト史を形作った“オカ ルト重大事件”について、その成り立ちと背景を歴史研究家の視点から解説したものだ。オカルトは好き者の道楽や雑学だと思われがちだが、歴史家の視点で見 ると全く違った顔を見せる。実はオカルト世界の事件や遺物・文献などは、その時代を反映したものばかりなのだ。例えば1950年代以降に発生したUFO目 撃現象には、冷戦下での米国民の不安が色濃く影を落としている。そう、オカルトとは単純に「信じる・信じない」の不思議な現象ではなく、その時代の社会背 景をも取り込んだ「時代の産物」なのだ。そして、オカルトの世界を覗き見ることで、この世界を「異なる視点」で読み解くことができるようになる。さあ、教 養としてのオカルトの世界へ旅立とう。
■試し読みはこちらです。
http://ji-sedai.jp/book/publication/okaruto.html
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カタログの位置付。
興味がある項目はそこから検索すればいい。
新書のボリュームでは、どうしても浅い内容になるのは仕方ないと思います。
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UFO、雪男、ネッシーなど面白いね。
アメリカは冷戦時からUFOの研究をやっていたそうだ。
仮想敵国からの軍用機やミサイルに備えて、空軍はレーダーや偵察飛行によって空の守りを固めている。
オカルトはその人が属する社会、文化によって理解、認識がかなり異なる。社会、文化によって規定される文化的営為といえる。
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有名どころからマイナーなのまで取り揃えた各論も良いけど,最後の二章の総論が特に読ませる。さすが歴史研究者。
オカルトが誕生して受け継がれ,拡がったり鳴りを潜めたりする様を歴史的・文化的文脈で捉えること。それはオカルティストの主張そのものよりずっと魅力的なテーマだ。オカルトを本当に愉しむというのは,こうやってメタに愉しむことなのかも知れない。オカルトをただ信奉したり,逆にバカにするだけというのでは,オカルティズムの魅力を充分堪能したことにはならないのだ。なんてね。
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オカルトを根拠のないミステリーやホラー現象だと考えていましたが、ちゃんとその時代の歴史的背景があるとは知りませんでした。UFO、超能力、超古代文明、陰謀論など、聞いたことはあるが実態を知らなかったたくさんの事例が載っているので、それらを知ることができただけで面白かったです。ほとんどの事例は著者によって反証されていてデマだったことが分かりますが、感情的に否定するのではなく、粛々と証拠を挙げていく形だったので、何かに反対する際のやり方も少し学べました。「超」入門となっていますが、確かに前知識なしで読めます。
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オカルト「超」入門 (星海社新書 )2012/5/25
著:原田 実
著者は元市民の古代研究会代表。と学会会員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)メンバー。日本でも数少ない偽史・偽書の専門家であり、古代史に関しても造詣が深い。
「オカルト」はラテン語occulta(隠されたもの)を語源とする語である。したかってオカルティズムとは「隠されたものへの探求」を意味する。
つまり、世界の本質、人間の本質といったものは、通常の知識や感覚ではとらえられない「隠されたもの」であり、それを探るためには特殊な叡智が必要である。その叡智を探求し、継承し、後に続く者へと伝授する人こそオカルティストである。
本書の構成は以下の9章から成る。
①UFOと宇宙人
②心霊と死後生存
③超能力・超心理学
④UMAと超地球人
⑤超古代文明とオーパーツ
⑥フォーティアン現象
⑦超科学
⑧予言
⑨陰謀論
宇宙人がいようがいまいが関係ない。
ただ、夜空を眺め月のもっと奥には私たちが知らない生命体がいるであろう。こんなにも宇宙は広いのだから・・。とぼーっとしながら年末の超常現象の特集のテレビを見ながら毎年同じビッグフットの映像とチュパカブラの映像を飽きずに見る。そんなスタンスでオカルトと付き合うのが気楽でよい。
オカルトを追求する人はもちろんするべきであるが、真実が嘘かまでは探る必要はないのかもしれない。全て真実でもあり、全てが嘘なのかもしれない。
夢を見せてくれさえすればそれで良いのかもしれない。
そんな私はまだ一度もUFOの類を見たことはない。
でも信じたい。
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有名なオカルトが受け入れられていった社会的背景などが述べられているのが面白い。
毎朝トイレに籠ってちまちま読み進めるには最適の本だった。