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随分前に買って、積ん読になっていたのをようやく読了。
何年か前から森達也の著書やドキュメンタリー作品に触れるようになったのだけど、本作も相変わらず著者自身が逡巡しているのがありありと描かれている。
そういえば、私が子どもの頃には超能力や心霊現象を取り扱う番組が多かったけど、いまはほとんど見なくなった気がする。
科学で解明できないけど、なんとなく”ある”気がするもの。
それは単に集団心理が働いているだけなのか、本当にあるのか。
否定でも肯定でもなく、その現状(己の心情も含む)を伝えるというのに物足りなさを感じる人もいるだろう。
ただ、そういうことってなかなかできないことだと思っているので(必ずどちらかに寄った意見になると思う)、やっぱり彼の著書は興味深い。
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あの清田(元少年)からDaiGoまで、超常現象にかかわりのある人を取り上げたノンフィクション。
あくまで中立であろうとするジャーナリズムと、取材対象だけでなく取材する側の話もちりばめることで、より臨場感を持って読むことができました。
せっかくなので、youtubeの動画をさがしてみようかな。
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私はすっごい怖がりだし、基本的に自分の目で見たもの以外は信じないという頑固者だし、ということで、超能力という世界はSF的面白さを抜きにすると、ほとんどご縁がないものだったのに…。
それが「職業欄はエスパー」で、胡散臭さをも含めた存在価値、というか、自称・エスパーたちのよくも悪くも落ち着きぶりにやられてしまって。
たぶん、ホントのインチキ(って変な言い方だけど)も多々あるんだろうし、失礼ながら御病気の方もおられるのでしょう。
でも、自分には理解できない世界だからと言って、のっけから全否定、っていうのもなんか違うんじゃないか、うん、それって人生損してる・・・・んじゃない?なんて思い始めたのは、森さんの結論を出さずに、公平に公平にと多角的に考察するといういつもの手腕に、いつものように転がされちゃった、っていうことなんでしょうね。(*^_^*)
私が森達也という人を好きなのは、個々の人間として生きていきたい、大きな力や集団の論理に巻き込まれることなく、自分の頭で考えて、自分の言葉で語りたい、という根っこのところが、実は私が一番大事に思っているところだから、だと思うんですよ。
そしてそれは、伊坂幸太郎さんの小説にも多々感じることで、だからこそ、のお2人の仲のよさなんでしょうね。この「オカルト」の帯を伊坂さんが書かれていて、
「(前略)しかも フェア でありたい、という思いが伝わってくるからか、読んでいるこちらも 頼む! 超能力、成功して! と祈らずにはいられませんでした。青春小説のように、もしくはホームズの冒険のようにも読めて、とにかく面白いのです」
なんて、最高の惹句だよね。(*^_^*)
今回の目玉は、なんと言っても、オカルトそのものの意思、というか、あえて擬人化してみせ、またその危うさをも自ら指摘する、という、おいおい、森さん、やりすぎでしょうよ、と言いたくもなる、オカルトの「隠れたがり&出たがり」性についての“常識”。
ここ一番!という時に、カメラが別のところを向いていたり、機材にトラブルが起こったり、というのは、学者にしろ、ジャーナリストにしろ、あまりにもよくあることでわざわざ言うまでもないこと、だったらしいのだけど、(だからこそ、インチキ、とか、言いわけだ、とかの罵倒をも受けてきたわけなんだね)そこをあえて前面にだして、それはなぜなのか、という考察を淡々と書き連ねる、という面白さ。
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昔、貴乃花が立ち会う前に横綱の風格・気だけ相手を倒せるようになりたと言い、整体師にはまっていくわけだけど、僕もレビューで言葉を使わずとも本当の面白さを伝えられるようになりたい。とかなりたくないとか。
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Aの森達也の最新作。
この人は人と違う視点で物事を見たいのか、とにかく変わった題材を扱うイメージ。
今作はいわゆる超能力の話。
ただこれも信じる信じないじゃなく、こういう不思議な事が起こった。ただそれだけ。
それを丁寧に記すだけ。
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この人の「職業欄はエスパー」も読んでいるが、
今作はそれの続編に位置づけられる。
超能力やUFO、幽霊等、オカルトと呼ばれるものに携わる人に
取材している過程をまとめたものであるが、著者のスタンスは
「あるのかないのか、よく分からない」というもので、
社会一般の人たちのほとんどが思っているスタンスで取材に望む。
その中で、明らかに不思議な現象に遭遇する。
ただし、オカルトは現れるが隠れてしまう、
だからこそ見たいものでもあるし、見たいものなのだ。
実際にあるのかないのか。
結局は「よく分からない」。
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"超能力や心霊現象などといわれるもののほとんどはインチキや錯誤やトリックであるが、ごく稀にそれでは説明がつかないものがある。しかし、それがなんなのかは分からない”
おそらく森達也氏の主張を乱暴にまとめると上記のようになろうかと思う。
これはこれで私自身も強く共感できるし、極めて客観的な言い分だとは思うのだが、しかし。
既作を見ても、ジャーナリストとしての森氏の目線は概ねこういった感じで、今作に表れている主義主張もそういう意味では非常に森氏らしい。
あえて、だけどプロフェッショナルの創作家として、商業作品を世に送り出す書き手としてはどうなのか、という疑義を呈したいと思う。
誤解を恐れずにいうならば、このような森氏の作風は、ちょっとずるい。
実際に数々の当事者に取材を敢行し、様々な話を聞き、時に現象を体験しながら、著作内では随所に韜晦めいた表現を多用しつつ、そういった経験をありのままに述べ連ねるに留まり、そこに森氏の主観はそれと分かる形では示されていない。
あくまで客観的に、どこにも片足を突っ込むことなくルポタージュを報告するのが個性だ、と反論されればそれまでなのだが、私がそこに見るのはプロフェッショナルとしての矜持ではなく、アマチュアリズムにしか過ぎない。
「職業欄はエスパー」にしても、「下山事件」にしても、結局は「これで終わりかい!」という肩透かしのような読後感を読者に残すわけで。
書いてある内容はとてもまともなんだけど、職業作家としては今一歩、踏み込んでほしかったと強く思う。
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あいまいなものをあいまいのまま丁寧に見る、聞く、つきあう、考える。
森さんはやはり面白い人だと思った。超能力や臨死体験、見えないものを見る力を持っているなど信じられるようなられないような・・・それでも知ろう、考えようとせずにはいられない。
恐山のイタコの話、霊は怖いというイメージが少なくとも私にはあるのだけれど、よく考えれば、人間がいろいろな人がいるように、霊=恐ろしい、怖いというのは違うのではというような話が特に印象に残っている。
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どの作品にも流れている森さんならではの感覚がとても好きだ。本書の六章七章で、森さんの前世を透視した「霊能者」が、森さんという人の方向性として「だめなものを良くしたいというような願望。でも森さんの場合は、そのだめなものの中に自分も入れている」と言っていて、そうだよねえ、当たってるじゃん!と思ってしまった。
きっと賢明な人はこういう分野には近づかないんだろう。少し危なくて、たっぷり胡散臭くて。出来るかぎりの取材をしよう、でもきっと何もわからないんだろう、という著者の苛立ちやら諦めやらもどかしさやらが行間から立ち上る。
読みながらずっと、立花隆氏が書いた「臨死体験」を思い浮かべていたら、第16章でそのものが出てきた。立花氏も結論としては森さんと同じだ。「十分信頼に足る証拠は何故か出てこないが、否定することの出来ない現象があることは間違いない」。でも、文章から受ける印象はかなり違う。立花氏ははっきりと面白がっている。興味津々という感じだ。森さんは…、困惑している?半ばうんざりしている?
うまく言葉に出来ないが、他でもない自分の問題として苦悩しているところが、森さんの真骨頂だろう。この人は立花氏のような正統派ルポライターにはきっとなれないんだろう。そこが好きだ。
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霊能者、超能力者、占い師、のようなオカルト分野の人との
対話やふれあいを通して、
著者が、オカルトについて理解しようとする。
科学的に、ありえないことはわかってる。
でも、やっぱり不思議なんだ。
ホントかウソか、ありかなしか、という二元論ではなく、
グレーゾーンにポジションを置く。
そのスタンスが、私の考え方と近い。
間近で接して、その人となりも知って、
マスコミ的なごまかしやインチキも排除して、
それでも判断を下すのが難しい分野。
全面的に信じもしないが、否定もしない。できない。
わからないからおもしろい。
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とても面白く読みました。
個人的には、森達也さんがオカルトに戻ってくるとは
かなり意外だったなあ…
「職業欄はエスパー」も以前読んで
とても面白かったんだけど、
その後「A」や「A2」「メディアリテラシー」
の方向に行かれたので、
今後はもっと社会的なテーマや哲学系
に発展されるのかなと勝手に考えていた。
でも森さんの底には脈々と、オカルトと社会の
接点への興味は続いていたのですね。
田口ランディさんもそうであるように。
いや、人間ってそういうものなのかもしれない。
人間社会という生真面目で、頭でっかちで四角い、
杓子定規な方向に針が揺れても、
必ず「目に見えないもの」のほうに揺り戻って
くるというか。
いろんなものを内包して、森達也さんという一人の人間が
ドキュメンタリーを書く。だから面白い。
森さんがこの年でもう一回オカルトをテーマに
選んだこと含めて、とても興味深く拝読しました。
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「職業欄はエスパー」の続編と地続きにある本。
様々な「オカルト」と呼ばれる現象に、迫っていく。
見ようとすると姿をくらまして、ふとした時にちらりと姿を現す。
そんな「オカルト」現象のじれったさに、じれにじれる。
でも、不思議と惹きつけられる。
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マスコミの異常な持ち上げ方と科学者のいい加減な検証実験の結果この分野は本当に闇に入り込んでしまったような気がする。
結局この分野は著者が感じているように
「信じたい人には信じるに足る材料を与えてくれ疑う人にまで信じるに足る証拠はない。」そして、目の前から消えていくようで消えないつかず離れずの状態が続いていく
だから真実をとらえるのは難しい。決してあるものはある。ないものではない。というものではない事を信じて疑わない自分がいる。
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スプーン曲げにUFOにダウジング。そんなもんあるわけないよ、とも、きっとあるよとも言えない私はこの本が大好き。『職業欄はエスパー』以来、いつか続編を!と待っていてよかった。
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清田益章からDaiGoまで森達也のインタビュードキュメンタリー。森達也の視線は、固定化された僕たちの常識や世界観というものに風穴を空ける可能性を持つものに真摯にゆっくりと迫っていく。
「説明できないことや不思議なことはいくらでもある。確かにそのほとんどは、錯誤かトリックか統計の誤りだ。でも絶対にすべてではない。淡い領域がある。曖昧な部分がある。そこから目を逸らしたくない。見つめ続けたい。」
福島原発事故で科学が安全性を説明してきたということが錯誤でありトリックだったことが明白となった現在、森達也のこの言葉は重い。おすすめ!