紙の本
強く生きる
2016/03/30 23:28
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投稿者:ぺろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
心が折れたときや辛い時におすすめの本の紹介のところに載っていたので購入してみました。生きていくためには食べていかなければいけないこと。人のやさしさのありがたみなど・・・心に入ってくる1冊です。
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そんなうまくいく訳がない、と、鼻白むけれど。
自分だったら意固地な部分や変なプライドが邪魔になるだろなとか、偶然って自分にとって必要な事柄だったら必然ってことになるのかなとか、考えてたら読み終えてた。
ただ自分にできるできないに関係なく、惜しまず手を差し伸べられる人でありたい。
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今年読んだ本で一番です、間違いなく。梨木香歩さんの西の魔女が死んだが好きなひとは絶対に好き。この空気感、なんか分からないけど涙腺が弱くなる言葉たち。
母親に愛情を一切もらうことなく若くしてシングルマザーとなった珊瑚と離乳食を食べ始めたばかりの娘、雪。
頼るところもない珊瑚が赤ちゃん預かりますのチラシをみて知り合ったくらら。
パン屋で働きながらくららの作る美味しい優しい食事、その他諸々に感化されて美味しくて優しい野菜のたっぷり使われた、惣菜も売るカフェを作る。
まぁそんなトントン拍子に物事はうまくいかないだろ、と捻くれた気持ちも生まれるが、珊瑚があまりにも一生懸命だから応援したくなる。そう言ったらきっと珊瑚は同情ととって嫌な気分になるのかもしれないが。その辺も作者の意図だろう。珊瑚の周りもとにかく素敵で、いじわるなパートのおばさんや、元連れ合いである元旦那、元旦那の家族、そして食べ物すら与えず育児放棄した珊瑚の母親でさえ憎むことができないどこかしら愛すべきところがあるのだからまた不思議。
最初から、なんか泣きたくなる空気がびんびん。哀しいとかではなくて愛があふれすぎてて。温かいのもあるが、必死な感じが。でも美しくて。
娘の雪を育てるためにパン屋に出向くとき、珊瑚が雪に放つ言葉
p82 「今日もくららさんのところへいくのよ。おかあさんがいてあげられなくてごめん」
おかあさんがいてあげられなくてごめん、ともう一度心で呟く。あなたも私にこう言うべきではなかったのか。
おかあさんがいてあげられなくてごめん。
今度は、小さかった自分自身に呟いた。
カフェをオープンする際に保証人が必要で、行方知らずの母親を見つけ出し、わけの分からない宗教に染まり切った母親に保証人になってくれるよう頼んだ珊瑚に母親が言った
p248 「あんたの保証ならできる」
雪がはじめて珊瑚をママと呼んだあの日、そしてそれから最後の頁まで涙が止まらなかった。
宝石姫の口からこぼれた、宝石のように「ごはん、おいちいね、ああ、ちゃーちぇねえ」と雪が放つ言葉。食事を味わって、喜びながらご飯、美味しいね。ああ、幸せだね、と言う雪が愛おしい。珊瑚がくららが、みんなが。
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登録してから半年以上待って、ようやく読んだのですが
なんとなく癒された気がしました。
出てきた野菜料理もおかずパウンドケーキも
作ってみたいな、と。
21歳の主人公と比べて、私ったら、どうなんだろ?
と、思うけど、プライドの話はウンウンと、うなずけて。
合わない人っているんだよね、って話もうなずけて、
いろいろ癒された時間になりました。
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読了後、好きな話だけれど、何かモヤモヤしている感じがあって、それは何だろうと考えていました。
珊瑚は苦労しながらも試行錯誤しながら一生懸命生きていると思うのですが、どうも話が綺麗にまとまりすぎていると私には感じられました。
多分、それがモヤモヤの原因だと思います。
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「生きていくこと」を考えさせられる話。
梨木さんの物語は、いつも植物の息吹が感じられます。
淡々としていますが、芯がしっかりとしている文章が良いです。
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若いシングルマザーの女の子が食堂をひらく話、というととてもありふれている感じがするけれど、軽い気持ちで読むと手ごわい話だと思う。
施しとプライド、家庭に恵まれなかった女が、自分の子どもを思いやるとき、自分の人生をやり直している気持ちにならないか、など、読み終わった後に胸の奥に残るものがある気がする。
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シングルマザーの珊瑚が偶然に通りかかった道で見つけた、「赤ちゃん預かります」という素朴な貼り紙を掲げた家。その主の女性、くららはベビーシッターとして、そして頼れる近しい人として、珊瑚に欠かせない人となる。その出会いを経て珊瑚は、自分のやりたいことを見つけていく。それはカフェを開くことだった・・・・・・
という筋書きだけだと、まさか梨木さんの作品だとはなかなか思えませんが、確かにほかの人にはこの味は出せないという仕上がりでした。
ほかの作品では自然や超自然に近いいきものにあたたかく添えられていた視線が、今回は珊瑚と雪たち登場人物にひとしく降りかかっています。それはけれど甘やかす視点ではなく、悲劇的に書こうとすればいくらでも書けそうな珊瑚の孤独な境遇を、どこか淡々と「ただそこにあるもの」として描いていきます。けれどけして突き放しているのではなく、遠くから見守っている、そして成長を促しているような視線なのです。つまりそれはまるで、子を見守る母のような視線です。
だから読むほうも珊瑚を可哀想に思うことやがんばれと励まそうという直情的な感傷を抱くことなく、ただ、彼女の生きざまを見守るだけなのです。なにものも彼女の背中を押すことはできない。迷い間違いながら踏みしめる一歩一歩を一緒に感じ取っていくだけです。だからこそ、その一歩をいとおしく感じてやみません。その想いもまた、雪の成長を見守る珊瑚の想いとだぶるのでしょう。
物語としては細かい事情に踏み込まず、トントン拍子に物事も運んでいくので、物足りなく感じる人もいるでしょう。けれども、ひとつひとつのささやかなエピソードの繊細さが自分の琴線と共鳴する人なら、とてもこの物語をいとしく感じられるのではないかと思うのです。
くららの作り出す料理のおいしそうなことも食いしん坊としては大きなポイントです。詳細なレシピを希望します・・・!
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★自分の中でいろいろ分裂していることがある気がして。散らかった自分の想いを整理したいなと思って、再読。きっと珊瑚のように機が熟すとき、つまりよいタイミングがご縁があればあるような気がする。それまでは焦らずにいようと思う。それにしても、くららさんがいいなぁ。まいのおばあちゃんと重なる。押しつけがましくなく、でも、迷う人の進む道をまっすぐに示す。そんな人になりたいな。(2014/05/05)
★再読。最近、梨木さんの本ばかり読んでいる。自分が思っている以上に切羽詰まっているのかもしれない。『不思議な羅針盤』を読んだばかりなので、あぁ、梨木さんは自分が体験したこと、それを通して感じたことをするりと物語に反映されているんだなぁとしみじみと感じた。身の丈にあった生活。きっと私自身の許容範囲をこえたことばかりに囲まれていて、落ち着かないのだと思う。スケールを小さく、密に。そのことを心に留めながら、日々を見つめていたい。(2013/03/07)
★この物語の主人公(のひとり?)の珊瑚は、マーガレットに似ているなぁと思いながら、ページを重ねていった。
様々なことに葛藤しながら、でも、その時がきたらしっかり向き合う。言葉にも誠実。そんな珊瑚と珊瑚のまわりでそんな珊瑚にふんわり寄り添っている人たちが好きだなと思った。
今、きっと私たちは個人レベル、それからもっと大きなレベルで生き方を社会の在り方を、価値観の見直しを迫られているのだと思う。この物語はそれに対するエールのような気がしている。ゆっくりゆっくり、でも忘れずに、そして確実に。
それにしても、自分の住まいの近くに「雪と珊瑚」のようなカフェとそのカフェがあるような空間があったらいいのになぁとしみじみと思った。(2012/04/29)
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梨木 香歩先生、新横浜三省堂書店(@sinyok_sanseido)さま、ありがとうございました。
なんか不思議な感じ。すごく突き放している、徹底的に第三者目線な冷静な雰囲気。
で、私は「すととんの神様」と呼んでいるものがあるのだけど、そういう「機」みたいな、タイミングみたいな。すととんの神様が降りてくると、本当に物事が自分の意に関わらずとんとんとーーーんと進んでいくところ。珊瑚がお店を開こうと思い立ったところから本当に開店しちゃうまでのその怒涛感にもう本当にうんうんと頷いてしまいました。
母目線としては雪ちゃんの成長が我が子と重なって娘をかいぐりしたくなったり(今ではガチで嫌がられる)、えっ、×ヶ月検診行かないの~?とか
このあと、美智恵さんとはどうなるんだろう。リアルなら、まずそんな手紙書かないよね。それともそれだけ何か彼女を突き動かすものがあったんだろうか。
でも実際、そういう行動を直にとったのは彼女だけで、珊瑚の周りには珊瑚を支える人もいっぱいいるわけで、人の見方感じ方は本当に様々だしそれもまた真実だよねとか。
うん。でも雪ちゃんがいる。すくすく育ってる。大丈夫だ。うん。
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★4にちかいかな。
幼いときの母親の存在って絶対必要なのに、食事さえも気にかけてもらえなかった珊瑚。
そんな彼女が意思を持って母親になろうとする。
『どうしたって子供のことをなんとも思えない母親だってこの世の中にはいるんだ』っていうことと、罪滅ぼしなのか何なのかわからないけど、宗教施設でつましい暮らしをしている母親の気持ちをどう読めばよいのか、そこが難しかった。
きっと母親本人、珊瑚にもはっきりとは理解はできないのかもしれない。
内容(「BOOK」データベースより)
珊瑚、21歳。生まれたばかりの子ども。明日生きていくのに必要なお金。追い詰められた状況で、一人の女性と出逢い、滋味ある言葉、温かいスープに、生きる力が息を吹きかえしてゆく―。シングルマザー、背水の陣のビルドゥング・ストーリー。
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少し読書を鬱陶しいと感じる時期に入っていたのに、気がついたらうっかり一日で読了していて自分でもびっくりした。やっぱり梨木さんの文章が好きなのだなあと再認識。
珊瑚が一瞬でも母の愛を感じることの出来ればいいのになと思っていたので、最後までそれがなくて寂しかった。でも、その代わり「信じている」って言葉には救われた。人と人、一対一で対峙してる感じがこの言葉から感じ取れてはじめて、わたしは母と娘という構図に拘っていたんだなと気付かされた。
わたしと珊瑚の境遇は全然違うけれど、それでも共通点があるとすれば、年齢が近いってところ。
わたしの居る環境が、たまたま年上ばかりに囲まれているせいだと思うのだけれど、たとえばわたしが自分の年齢を言うと、周りからは若いねって反応を返される。そんなときにわたしは、若いって言葉に純粋に子どもを可愛がる気持ちとか、羨ましいって気持ちが込められているのを感じるけれど、いつも曖昧に笑って誤魔化してしまう。心の中では、未熟なだけです、って恥ずかしく思いながら。
いろいろな意味で未熟な珊瑚が、周囲の協力を得てカフェを開くというこの展開に、違和感を感じるひともいるのだろうと思う。世の中そんなに甘くないとか、ご都合主義だとか。確かにその通りだとわたしも思う。でもだからこそ、つくり話を語る魅力を感じるような気がする。
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あいかわらず、
この人の世界は好きです。
いろいろなことを
表も裏も斜めからもみて
本当のことを見せてくれる気がします。
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淡々とした主人公とそれを取り巻く人々のほっこりするストーリー。
出てくる食べ物がとにかく美味しそう。
「からくりからくさ」や「沼地の~」と同じ系統。
凄く好き系の話しなのに途中まで話に引き込まれなかったのは
「赤ちゃん」と「仕事が出来ない」という2つが自分の中で違和感があり
ひっかかりが解けなかったせいか。
その2つが苦手な人間でなければ、とても落ち着いて読める話。
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この手の、自分でカフェをやってみたいという夢物語は、大体事業計画がなってなくて、それでもなんとなく生活できます的なものが多くて、読んでられないのですが、これはまあまあ読めました。
でもこれで生活するのは、難しいと思う。
甘えてるようなあ、いろんな人に。
でも、私自立してます風なのが、ちょっと気に入らない。