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〈使い勝手〉のデザイン学 (朝日選書)
電卓とケータイの数字配列はなぜ逆なのか? レジ袋、懐中電灯、歯ブラシからスーパーの店舗設計、家の増改築まで身のまわりの材料をとりあげ、その開発の歴史をひもときながら楽しく...
〈使い勝手〉のデザイン学 (朝日選書)
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商品説明
電卓とケータイの数字配列はなぜ逆なのか? レジ袋、懐中電灯、歯ブラシからスーパーの店舗設計、家の増改築まで身のまわりの材料をとりあげ、その開発の歴史をひもときながら楽しく語るデザイン論。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ヘンリー・ペトロスキー
- 略歴
- 〈ヘンリー・ペトロスキー〉1942年生まれ。イリノイ大学で博士号取得。デューク大学土木環境工学・建築土木史教授。著書に「鉛筆と人間」「フォークの歯はなぜ四本になったか」「橋はなぜ落ちたのか」など。
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完璧なデザインはない
2008/08/12 19:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつものペトロスキーの語り口――日常身の回りにある何気ない品物をとりあげて、その作り上げられた過程――設計(デザイン)の着眼点をあからさまにする。取り上げる視点のユニークさに感心する。
今回俎上に並べられているのは次のようなものである。円筒形のグラス、懐中電灯、車のカップホルダー、スーパーの買い物客の通路、それにスーパーのレジ袋(紙袋)、などなど。
例えば、かつてはどこのスーパーでも見られた、紙袋。あのレジ袋に、完成されたスタイルに近づくまでに、これほどまでに設計や製造のアイデアが注ぎ込まれているとは、初めて気づかされた――いかに効率よく紙を切り出して接着し袋状に仕上げるか、レジでスムーズに拡げることができ、自分で直立しなければならないとか。
この紙袋に最初に取り組んだのは、19世紀のアメリカで最も有名な女性発明家と言われる、マーガレット・ナイトとのことだ。
1970年代なかばにアメリカのスーパーで、ポリエチレンのレジ袋が登場すると、この紙袋も一夜にしてあっという間に席巻され、スーパーから消え去ってしまったのである。レジ袋の特徴――軽い、かさばらない、かなりの重量の引き延ばしに耐える、防水性、持ち運びに便利な手が着く。それに経済性が、紙袋に取って代わった何よりもの理由であった。
本書で繰り返されるテーマは、デザインとは何かということ。
ペトロスキーによればこうだ。
・複数の相反する目的を満たすこと。折衷しないわけにはいかない
・良いデザインというものは、目で見ただけではわからない。自分の手で持ち、そこに座り、あるいはそれに飛び乗ったり、飛び降りたり、したときに納得できる
・実用品の発明家や設計者は、科学の法則と経済の法則の枠内――重力と予算の現実を受け入れて、価格にも注意を払わざるをえない
・デザインされたものの多くは「万人向け」だから、誰かに完璧にマッチするとしても、それは統計上の偶然にすぎない
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