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武装解除とは、紛争が終わったあと、兵士たちが、兵士たちから武器を回収して、これからは一般市民として生活していけるように職業訓練などを施し、社会復帰させる仕事…
著者は、一枚の写真から、この職業についたそうです。
日本にいると、紛争地での出来事は、意識して知ろうとしない限り、知りえない情報です。文章からは、日本では想像できない現実があります。
著者は、こんな中で、紛争地の集結、和平の為に取り組んでられます。
著書の中で、著者のことばには、重みがあります。
『自分の身ひとつで、現場に変化を生む』
『人生の岐路に立ったときには、大変でもより実力がつく選択肢を選んでおこう』
『代替案のない批判はただの愚痴だ』
ほんと同年代とは思えず、尊敬するばかりです。
情熱大陸を見てからずっと興味をもって、追いかけている人…
紛争とは、それまでの日常が失われると同時に、それまで非日常だったことが日常に変わるプロセスでもある。
そして、非日常が始まったと実感する頃には、その流れは、個人の力ではどうしようもないものになる。
ルワンダの虐殺被害者は、八十万人から百万人と言われている。世界にとって二十万人は『誤差』なのだ。
そこに生きていた一人ひとりが認識されることはない。
著者は、『紛争地の人々に生きる選択肢を増やす』『命を落としてしまった人々が、また生まれてきたいと思うような社会に紛争地を変えていくこと』を目的とされています。
そんな著者が仕事をする上で、大事にしていることは、
①想像力、イマジネーションを最大限活用すること。
②限界まで、精神的にへとへとになったときでも、あと一歩だけ進んでみるということ。
③人生の分岐点や、難しい決断をくださなければならないときに、俯瞰して考えるようにしていること。
『紛争地と日本をつなぐ役割を果たせるようななりたい。』
紛争について意識することは、日本人にとって重要なことである。
なぜなら、著者は、
①近年の紛争の形が変わり、テロのように、拠点を持たないネットワーク型の紛争が増えてきているからで、何処でも起こりうる可能性があるということ。
②日本のもつ中立性と大戦後の復興の経験が、世界各地の紛争地に大きな影響を与えている事実があるということ。
であるという。
多くのことを考えさせられました。
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「武装解除」というと大変ハードで危険な仕事と思いますが、瀬谷さんが行ってきたことは、内戦などによって傷ついた人々の自立を助けるためお仕事です。でもそれだけでなく、実際に軍人から武器を回収する仕事もされてきましたし、なかなかそれに応じない軍閥との交渉にもあたってきました。私は、2009年4月21日放送のNHKプロフェッショナル「銃よ、憎しみよ、さようなら」で瀬谷さんの活躍を知り、感動しました。平和憲法をもつ日本がすべき国際貢献は、こういうことなのではないかと共感しました。
本書では、実際のお仕事だけでなく、瀬谷さんの生い立ちや、困難に立ち向かっていったときの想いが書かれています。是非多くの人、特に若い人に読んでいただきたい1冊です。
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本の帯から~紛争地には「兵士」以外の職業がない。それが残酷な事実。生き方を自由に選べる環境を届けるために、私は兵士を除隊させ、武器を回収するプロになった~瀬谷ルミ子
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紛争地区に赴き武装解除を行う専門家、またNPO日本紛争予防センター事務局長の瀬谷ルミ子氏の自伝。
何故彼女がこのような職業を選んだのか、そしてどのようにそのキャリアを築き上げてきたのか知ることができる。
まさに自らのキャリアを自らの意志の強さで切り開いている。
紛争というのは、まさに事後処理が重要である。いかに復興させていくのか。「紛争地の人々に生きる選択肢を増やす」
一番強く感じたことが日本の存在のユニークさ。国際的に日本は尊敬され、また利害関係が少なく、紛争への仲介役に適していること。
このような立ち居地を利用して、このような分野で活躍する日本人がもっと増えて欲しい。
自ら紛争地に出向くわけにはいかないが、現在の生活の中で、どのような貢献ができるのか、考えてみたい。
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職業は武装解除。普段、聞き慣れない言葉だ。武装解除とは、紛争地に出向き、武装解除(D)、動員解除(D)、社会復帰(R)を行う。
平和構築のためにDDR。しかし、DDRを行えば、すべて解決するわけではない。著者がシエラレオネで武装解除を行なっている時に、一部の元兵士が元兵士という立場を使い、誰かから支援を受ける当たり前になってしまう現実があった。
そのことに対して著者は、『加害者が優遇され、もてはやされる風潮が長引くと、「無罪になって恩恵がもらえるなら、加害者になったほうが得だ」という価値観が根付いてしまう』と危惧している。そうなったら、秩序が乱れまた紛争の可能性が高まるだろう。
支援が長引くと自立心が無くなる。沖縄に住んでいて経験からそう感じる。しかも、自立心を持つのは難しい。
そこで著者は、ソマリアでの支援では、できるだけ現地の人に活動してもらって、自立心を失わせない取り組みを行なっている。
日本に住んでいたら知る機会が少ない国の問題が知ることができる一冊。オススメです。
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日経で瀬谷さんのことが紹介されていたのを読んで、この本のことを知り、図書館を検索したらあったので借りた。
語学学校で同じクラスだった国連に勤めたいと言っていた当時大学生の人、海外青年協力隊に参加するために休職したことがある同僚、それぞれに志があったんだろうけど特にその理由を聞いたことはなかった。「そうなんだぁ」と話を聞き、「がんばってね」と声をかけただけだ。自分も海外で働いてみるきっかけとしてそういう道もあるなぁと少し思った。
瀬谷さんは高3のときに自分とルワンダの難民の違いに「なぜ?」という感情が芽生え、それが今の「職業は武装解除」につながっているそうだ。
世界で日本がどう見られているか、国籍とは、平和とは、日本の役割とは、2050年の日本、、、そういった社会的な面を知るだけでなく、瀬谷さんの考え方、思い、経験談に刺激を受けた。
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111019on朝日 日本紛争予防センター 央芝阿
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紛争地には兵士以外の職業がない。生き方を選べる環境を届けるために、私は武器を回収するプロになった…。30代の若さで『Newsweek日本版』の「世界が尊敬する日本人25人」に選出された著者が、自らの軌跡を綴る。
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僕は、瀬谷さんのファン。
何年か前に新聞で見かけて「すごい!」「かっこいい!」と、ほとんどミーハー的にファンになりました。
その後、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て「やっぱりすごい!、かっこいい!」と思いました(^^)。
彼女の書いた『地球を救う仕事 1 - 14歳になったら考える』(汐文社)、『国際協力の現場から』(岩波ジュニア新書)も読みました。
ただ、これらの本はどちらも共著。
今回出版された『仕事は武装解除』が彼女の初めての単書です。
彼女の生い立ちや国際協力の現場、武装解除の実際について書かれています。
自分とまったく異なる世界で生きている彼女の「やらない後悔はしたくない」という信念を貫くその生き様がかっこいい。
なぜ、女性が武装解除の仕事?
そんな疑問を僕は持っていました。彼女曰く「女性であることのメリット多い」とのこと(詳細は本書を一読下さい)。
日本人であることが国際協力の現場ではアドバンテージになるということも書かれていました。
紛争の加害者や被害者たちと直接会い、交渉や説得を続ける彼女の言葉には重みがあります。
新聞では分からない平和活動のようすを垣間見ることができます。
「良い本をありがとう」という気持ちで読み終えました(^^)
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何か始めるときは退路を断つ、選択に迷ったら大変でもより実力がつく道を。人生は一度切きりだし、一番やりたいことができる20代は直感の赴くままに行こう
瀬谷さんが仕事で大事にしていること
①想像力、イマジネーションを最大限活用する
②限界まで精神的にへとへとになったときでも、「あと一歩」がんばってみる
③人生の大きな分岐点においては、俯瞰的に考える
ぜんぜん選択のスケールは違うけど、すごく背中を押された気がした。とりあえず週活の選択は間違っていないと思う。
大事なのはこれからで、、自分がどんなことをできるようになるか。どんな人間になれるか。それによってより直感の赴く人生を歩んでいける
。
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彼女の仕事は紛争地にて武装解除を行うこと。けれども武装解除をしたといって、平和が訪れるわけではない。武器が捨てられてからも、加害者も被害者も、生きていかなければならない。彼らが再び争うことなく自分たちの手で生活していけるためにどうすればよいのかを考え、実行していく。
面白かった。そしてかっこいい!「代替案のない批判はただの愚痴」といってのける彼女がものすごくかっこいい!痴漢のところなんかおかしくて、電車の中なのに笑ってしまった。こんな素敵な日本人がいるなんて。
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何故そこまでするのかの答えは、もはや死ぬまで私にはわからないのかもしれない。
どんな理由があったって、する人はするし、しない人はしない。
そして、そんなことはどうでもよくて、どこにいようが、どんな職業についていようが、国際情勢を肌で感じ、想像力を持って、自分のことと考える事が大切だと伝えたところにこの本の意味はあると思う。
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何かを教えるのは難しい。その人が自分の力で掴むためには、ただこちらが唯々諾々と教え込むんじゃだめで、その人が気づくための仕掛けを施さなきゃならない。本当はね、何もかもやってあげる方が楽なんだよ。でも、それじゃ相手は何もできないまま。だから、やり方を教える。どんな考え方があるのか、どんな行動の仕方があるのか提示する。自分で考え、選び、行動するやり方を学んでいってもらう。自分のためでなく、相手のために動くって、そういうことなんだと思う。
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「紛争解決」という荒野に、ルワンダ・ソマリア・南スーダンといったアフリカ諸国での武装解除の奮闘記を縦軸に、そして自らのNGO職員としてのキャリアの変遷を横軸に、ゼロから道を切り開いていった女性の一代記。その頼もしさと痛快さといったらなく、近年読んだ本の中で一番元気になれた。
国際貢献といっても、何をしたらよいのか分からない。国の外に飛び出すのがこわくてひるんでしまう。かつての自分もそんな感じだったが、その「一歩」を踏み出す前に逡巡してしまう若い人たちに、読んでもらいたい。大震災を経て、またゼロから物事を作らなければならなくなった人たちにとっても、示唆に富む本かなと思う。国連シエラレオネ巡遣団(UNAMSIL)参加時、自分にセクハラした武官を探す羽目になったくだりとかは、読者サービスの感も無くはないけれど。
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世界にもほとんどいなかった武装解除の専門家という道を自ら切り拓き、世界中の紛争地に赴き、武装解除を行う団体の代表 瀬谷ルミ子氏のこれまでの活動をまとめた1冊。
私たちは様々な事を選択ができる権利を持っているが、紛争地の人々はそれすら持たない。私たちはこの権利を最大限に使える可能性を試されている。
生まれ変わってもこの国に生まれたいと思える国をつくりたい
というメッセージが繰り返し出てくる
著者の力強い覚悟や判断力に随所で鳥肌。
読みながら、時期的なものもありますが大阪のことを思ってしまった。
一人の考えや力は途方も無く小さい。年を重ねる程にそれを痛感し、あきらめ、もはや誰かに委ねる心持ちに陥ってしまう。これはとてつもなう危うい。誰かの言葉に感化されやすく、泥酔しやすい。わかっているような事をいいながら後から、こんなはずじゃなかったと憤慨しがちだ。強烈なメッセージを発する人には、受け取る側もそれなりの強さや深さがなくては真意が読めない。
本文中に
自分の気持ちに迷いがあるときほど、誰かに対しての罪悪感が大きい
とあった。その通りだと思う。誰かに悪いからという言い訳は判断材料としては弱い。改めて今の自分に置き換えて汗が出た。
身の回りの問題すら解決できないのに、世界の問題を解決できるはずがない
ともあった
これもその通りだ。自分の仕事や生活に置き換えて、すごく気合いの入る言葉だ
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瀬谷さんの行動力にはただただ感心するばかり。
やっぱり何かを成し遂げる人は違うなあ。私も見習わないと。。。
普段はあまり知ることのできない紛争地での出来事も興味深い。
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取り柄があまりなかったので、誰もやってないことをまず探し、その限られたフィールドで自分が最大限、何ができるかを問い続けながら進んできた…強い人柄を感じますが、紛争解決の仕事といっても効果てきめんの手段があるわけではない。土地の習慣を尊重すると公平な裁きが難しい、武装解除することに特典を与えると被害者より加害者をより救済する結果となったりで試行錯誤。それでも、住まい・仕事含め生き方に選択肢がある暮らしを実現しようとする方針は間違っていないのだと思います。