紙の本
再読でもう一度読書の世界へ。
2020/06/19 17:20
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の読書歴にある「繰り返し読んだ」本の紹介。書評集という感じが強いエッセイである。私が文章を書くようになった時」などの記述がところどころにあり、「書く」ことを志す人の読書とはこういうものなのか、を感じながら読んだ。
書評というと「推薦文」か「宣伝」のような感じのするものも多いのだが、本書はかなり直截な感想が多く、辛口なところも少なくない。いわゆる「文学作品」にはあまり好感を持ったことがなかったので「初めて読んだときはわからなかった」などと書かれているとちょっとホッとしたりもした。まあ、結局著者は何度も読んで価値を見出しているわけだが。
『カラマーゾフの兄弟』で「これからも様々な読み方」をされるだろう、と著者は書いている。様々な読み方ができる作品こそ、読者の変化にも対応して読み継がれる、同じ読者が何度読み返そうと思える作品だと思う。それはもしかして、どこかに「未完成の部分」を残している、ということなのかもしれない。
読み終えて「ふうん(こういう見方もあるのか)」で終わった作品も多いが「ほお(読んでみようか)」と思えた作品もいくつかあった。書評集と考えればそういうものでもいいのだろう。私のような「文学作品はちょっと」な者でも参考になる。
本書の中で「出版不況の中では、出版側は再読・再再読よりも新しいものを読んでと言いたいかも」という表現があった。だが再読することでもう一度「読書の世界」へ戻ることもあるだろう。繰り返しても読みたい本があるからこそ、新しいものも読まれる。そうあってほしい。
紙の本
『竜馬がゆく』をもう一度、読んでみよう!
2023/11/02 11:26
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
掲載している小説、ノンフィクションで私が既読なのは『月と六ペンス』『それから』『ガリヴァー旅行記』『山月記』『カラマーゾフの兄弟』『細雪』『竜馬がゆく』『スローカーブを、もう一球』、10代、20代のころに読んだきりの作品もあるので、今、読んでみて違う快感を味わうことができるのなら幸せだ、もう一度、読んでみよう
紙の本
何度読んでも新鮮
2020/04/23 20:51
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃に読んだ本を、大人になって手に取った時の違った感動が湧いてきます。児童向けの抄訳で満足していた作品も、完訳にチャレンジしてみたいです。
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ジョーカーシリーズで著名な筆者による書評集。もとより、筆者は古典をテーマにした著作も多数あり、違和感はない。カラマーゾフ家の兄弟や、イギリス人の患者など、恥ずかしながら未読のものも多く紹介されており、いつか読まなければと認識を新たにした。
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戦時中のスパイ組織の暗躍を描いた『ジョーカー・ゲーム』シリーズで知られる柳広司氏による再読・三読のすすめ。「かつて貪るように読んだ本を,もう一度,読んでみては…以前と同じ感動を読み取るもよし,年齢を重ねたことで以前読んだときとは異なる,新しい世界が広がっているかもしれません」。他人の本をあまり(ほとんど)読まないと称する作家もいる中,柳広司氏はかなり熱心に本を読んで勉強してきたことがわかる。『象は忘れない』に顕著な今現在の日本の政治に対する批判も激烈。岩波の雑誌『波』に連載されたもの。
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【収録作品】『月と六ペンス』サマセット・モーム/『それから』夏目漱石/『怪談』小泉八雲/『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル/『ガリヴァー旅行記』ジョナサン・スウィフト/『山月記』中島敦/『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー/『細雪』谷崎潤一郎/『紙屋町さくらホテル』井上ひさし/『夜間飛行』サン=テグジュペリ/『動物農場』ジョージ・オーウェル/『ろまん燈籠』太宰治/『竜馬がゆく』司馬遼太郎/『スローカーブを、もう一球』山際淳司/『ソクラテスの弁明』プラトン/『兎の眼』灰谷健次郎/『キング・リア』W・シェイクスピア/『イギリス人の患者』M・オンダーチェ
純粋な書評、というより、著者の考え方が見えてくる点で買い。
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ジョーカーシリーズの柳先生による読書ガイドだ。タイトル通り古今の名作を取り上げ、かつ30歳前に読んだ作品は読者の心に残りやすいと、若者のための読書案内になっている。
漱石、ドストエフスキー、司馬遼太郎、シェークスピアと扱う作家も大家ばかり。どの作品を取り上げたのかは読んでのお楽しみだけど、作家の目利きによる書評がオモシロい。特にシェークスピアの件りはすごい。感心しちゃった。
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「本の紹介本」は、小説とは違うカテゴリー。教科書や参考書とも似ているけれど、やっぱり違うな…レファレンス本とも違うし…
この手の本を書く作者は、当然著者の膨大な読書経験を持っている訳(ハズ)だから、取り上げられた本は、はかなりの確率で読むに値するものだろう。
ただ私が本の紹介本に求めているのは、選定本の内容ではなくて、著者の熱い思いとか、感動体験についてだ。ツッコミでもよい。主観的な思いがあればあるほど面白い。
そういう意味では、この本は著者の思いがストレートに伝わって来る。やっぱり凄い数の本を読んでるな〜と感心させられる。小学生の頃から読書感想文は本の要約程度にしか思ってなかった自分としては、この様に発展してゆく文書が書ける著者に憧れを感じてしまう。
読んでない本は是非読んでみたくなるし、既読本は、やはり2度3度と読んでみたくなる気にさせる。
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書評でありながら、端々から編集者、出版社などへの苦言が呈されていて、反骨精神にニヤリとしてしまった。
あと、漱石の「それから」の文中、”寸鉄する”という言葉があり、初めてみるけど文脈からすると糾弾すると同じような感じかな?あとで詳しく調べようとメモをしたその1ページ後に柳さんの造語であることが種明かしされていて、思わずツッコミを入れてしまった。
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月と六ペンス、それから、怪談、シャーロック・ホームズの冒険、ガリヴァー旅行記、山月記、カラマーゾフの兄弟、細雪、紙屋町さくらホテル、夜間飛行、動物農場、ろまん燈籠、竜馬がゆく、スローカーブを、もう一球、ソクラテスの弁明、兎の眼、キング・リア、イギリス人の患者
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読売新聞の書評欄に載っていて、図書館ですぐに借りられたので読みました。
岩波書店の月刊誌『図書』に取り上げたものに「書下ろし」を加えた、18作品の読書案内です。
あとがきより
二度読んだ本は少ないが、三度読んだ本は意外に多い。本を二度読むのは、それが自分にとって二度読むに値する本だと思ったからだ。世の中にはたくさんの本が溢れていて、たいていの本は、一度読んで「ああ、面白かった」と言ってそれきりになる。もしくは「つまらない」と言って途中で読むのを止めてしまう。二度読むに値する本に出会う確率は極めて低い。だから、二度読んだ本は必ず三度読む。
取り上げられている作品は、
『月と六ペンス』サマセット・モーム/『それから』夏目漱石/『怪談』小泉八雲/『シャーロックホームズの冒険』コナン・ドイル/『ガリヴァー旅行記』ジョナサン・スウィフト/『山月記』中島敦/『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー/『細雪』谷崎潤一郎/『紙屋町さくらホテル』井上ひさし/『夜間飛行』サン=テグジュペリ/『動物農場』ジョージ・オーウェル/『ろまん燈籠』太宰治/『竜馬がゆく』司馬遼太郎/『ソクラテスの弁明』プラトン/『兎の眼』灰谷健次郎/『キング・リア』W・シェイクスピア/『イギリス人の患者』M・オンダーチュ
私は既読のものがとても少なく『月と六ペンス』、『シャーロックホームズの冒険』、『山月記』、『カラマーゾフの兄弟』のみ。
『怪談』、『ガリヴァー旅行記』は子供向きにアレンジされたものを、子供の時に読んだ気がします。
私が途中まで読んで、何度も挫折している、夏目漱石の『それから』論、「私の好きな日本の小説コンテスト」1位の『こころ』とどこが違うのか、太宰治論。などは他でも何度も読みましたが、何度読んでも、切り口が少しずつ違っていて面白いです。
スウィフトは英文学史、第一流の文学者という話や、『動物農場』が『聖書』の次に売れた部数が多いという話は全然知りませんでした。
未読の作品は本当に時間があったら読みたいものばかりですが、何年か前に、やはり途中まで読んで挫折した『細雪』、あと『ろまん燈籠』は絶対読もうと思いました。初めて聞いた作家さんの『イギリス人の患者』も第二次大戦下の砂漠を舞台にしたスパイ小説だそうで、面白そうでした。
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納得の選書。
思わず、あの本があった、と膝を打ってしまう。忘れていたが、これを読んでまた読みたくなったものもある。何度読んでも良いし、読むたびに違った感慨を持つ本もある。とにかく必読の書が載っており、自分も3回は読んでるわ、と思うものがほとんどだった。さらに言えば、著者の柳氏の解説も面白く、社会に鋭く切り込むところもあり、思わずニヤリとしてしまう。
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18冊の本が取り上げられている読書案内。一番古いのは『ソクラテスの弁明』(他は小説か戯曲なのに、なぜ哲学書?とおもったが、その理由はちゃんと書いてあるので読んでください。)、新しいのは『イギリス人の患者』で、殆どは「名作」と評価されている作品です。私が読んだことがあるのは半分。
文章がとても読みやすいので頭にストレートに入ってくる。これ、ジュニア新書でも良かったのでは、と思う。中高生に読んでほしいから。『ジョーカーゲーム』は若い人に人気だし。
私もyahooを知ったとき、えっ?あの?自虐か?と思いましたし、日本の戦争で死んだ一般人を「無辜の民」と書いてあると反感(少なくとも選挙権のあった成人男性には確実に責任があるし、軍需景気を喜んだ女性にも責任はあると思う。子どもにはないけど。)を感じましたから、共感するところも多々ありました。
「ヒロシマもナガサキも東京大空襲も満州引揚げも沖縄地上戦の悲劇も、すべて戦争の結果である。戦争は人間が始め、人間が終わらせるものだ。誰かが間違ったから悲惨な情況が生まれた。非戦闘員の女こどもが見境なく殺される地獄が、この地上に顕現した。
誰が間違ったのか?一部の政治家と軍部が悪かった?彼らに騙されたから日本はひどいことになったのか?
そんなことは有り得ない。
日本の庶民はあの戦争を支持したのだ。戦争は儲かる商売だと思ったから。戦争に勝てば賠償金が入ってくる、韓国を併合し、満州を植民地にすれば金回りが良くなる、そう思ったからこそ、彼らは国家に徴兵されて戦地に赴く若い人たちを激励したのだ。「お国の為に死んでこい」そう言って送り出した。死ぬのは兵隊だけだと思っていたから。自分たちは安全だと思っていたから。気づいた時には(金も人も)コストがかかりすぎていた。引き返すとなれば誰かが責任を取らなければならない。だから戦争を終わらせることができなかった。誰も責任を取りたくないから。」(P90~91)
「オーウェル曰く「サーカスの犬は調教師が鞭をふるうと跳びはねる。しかし本当によく訓練された犬は鞭がなくても宙返りをする。これが我が国の出版業界が到達した状態である」。昨今の日本と、どこか違うところがあるだろうか?」(P115)
こういう所を引用すると、書評じゃなくて政治批判じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、文学も芸術も批判を含むものなんだから、何の問題もない。むしろ反対意見の人こそ読むべきじゃないか。きちんと反論できるならしたらいいと思う。(「権力者は己に都合の悪い歴史的事実を見ようとしない。自分自身の言葉に真っ先に騙されるのである。」ともあるよ。P116)
もちろん宮沢賢治とサン・テグジュペリの共通点、シャーロック・ホームズが愛される理由、司馬遼太郎の魅力などもちゃんと書いてあるので、楽しめます。読んだ本はもう一度、読んでない本は読んでみたくなります。
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「泣ける小説」という宣伝文句はやめてほしい。・・・・激しく同意。伊集院光だか太田光だかが言っていたが「泣ける小説がいい小説ではない」。そのとおり。
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こういう読書の本がでるとどうしても読みたくなる.
そして,この本はその期待を裏切らない.
著者の柳氏は作家だそうが,申し訳ないが私は知らない.
若い頃から繰り返し読んだ本を18冊とりあげ,なぜ再読,再々読に耐えるのかを論ずる.岩波「図書」連載.さすがに私のような素人と違ってプロの視点はするどく,なんども関心させられた.
取り上げられているのは次の18冊.
モーム「月と六ペンス」
夏目漱石「それから」
小泉八雲「怪談」
ドイル「シャーロックホームズの冒険」
スウィフト「ガリヴァー旅行記」
中島敦「山月記」
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
谷崎潤一郎「細雪」
井上ひさし「紙屋町さくらホテル」
サンデグジュペリ「夜間飛行」
オーウェル「動物農場」
太宰治「ろまん灯籠」
司馬遼太郎「竜馬がゆく」
山際淳司「スローカーブを,もう一球」
プラトン「ソクラテスの弁明」
灰谷健次郎「兎の眼」
シェイクスピア「キングリア」
オンダーチェ「イギリス人の患者」
このなかで私が読んだものは12冊.読んだものをまた読みたくなることはもちろん,未読のものも読みたいリストに入れたくなる.