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紙の本
福島 原発と人びと (岩波新書 新赤版)
著者 広河 隆一 (著)
福島第一原発のメルトダウン事故の発生直後から現地取材を重ねてきた著者が、地元住民、事故処理に携わる作業員、避難した人びと、放射能の不安のなかで暮らす子どもたちの声を克明に...
福島 原発と人びと (岩波新書 新赤版)
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商品説明
福島第一原発のメルトダウン事故の発生直後から現地取材を重ねてきた著者が、地元住民、事故処理に携わる作業員、避難した人びと、放射能の不安のなかで暮らす子どもたちの声を克明に報告する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
広河 隆一
- 略歴
- 〈広河隆一〉1943年中国生まれ。早稲田大学教育学部卒業。フォトジャーナリスト。チェルノブイリとスリーマイル島原発事故の報告で、講談社出版文化賞受賞。『DAYS JAPAN』編集長。
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怖れていた核破局が他ならぬ日本で起こってしまった
2015/09/30 01:11
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投稿者:garuhi - この投稿者のレビュー一覧を見る
優れたルポルタージュであることに間違いはない。3.11直後に現地入りをしてそこで苦悩し煩悶している市民・漁民.農民を写真入りで発信している希有の書である。地震・津波の破壊力のすさまじさもさることながら、福島第1原発の大爆発がもたらした災厄が生々しくリポートされている。しかし本書は『DAYSJAPAN』の編集長として多忙を極めているにもかかわらず、「チェルノブイリ子ども基金」のメンバーとして多年にわたってチェルノブイリを報道しまたその子どもたちとの交流を通じて、原子力発電所事故の取り返しのつかない壊滅性・残虐性を身をもって体験した筆者ならではの危機感と焦燥感と怒りが随所に散りばめられている。かくして本書は「二つの世界を描こうと試みてきた。一方には土地を守り続けてきた人びと、生命につながる作物を作ってきた人びと、土地や森や海の恵みを大切にしてきた人びとがいる。その人びとは今、その地から引きはがされ追放されていく。そして子どもたちをどのように守ればいいのか何を食べればいいのかうろたえている。/もう一方には原発事故後が放射能という牙をむいてあらわにした、この世界を支配する原子力産業という巨大な構造がある。その力に操られる医学者たち、メディア、政治家たちがいる。特に医学者たちの罪は大きい。彼らは自分たちがこれまで行ってきた医学調査が、多くの限界を持つことや、また異論を持つ多くの医学者たちがいることを無視し、限られた経験と知識とを絶対の真実であるかのように振りかざし、安全と危険の線引きをしている。そしてまだ結果が現れていない領域を、無理に『安全の領域』に組み入れようとする。」p210あとがきより。福島第1原発の大惨事は広島級原子爆弾の死の灰の三〇発分を一挙にまき散らした物であり、その災厄は将に計り知れない。チェルノブイリの今日が福島の明日である。このことを彼は渾身の怒りを込めて暴露し、既成ジャーナリズムの腐敗を弾劾する。
そしてついには、「放射能から自分を守るということは、何を意味するのであろうか。それは、放射線医学の権威者から身を守ること、原子力産業の発展を目指すIAEAから身を守ること、原子力推進施策をとる政治から身を守ること。推進ではないけれども結果的に妥協を繰り返そうとする政治家やメディアから身を守ること、放射能は安全だという学者から自分たちを守ること、そうした機関によって封じられた『事実とデータへのアクセスする権利』を得る手段をなんとかして手に入れること。そして、それを妨害しようとして『風評、デマに窓わかされるな、安全だ、ただちに健康への影響はない。』などの言葉を用いる人間たちから身を守ることである」p189という驚くべき?!!結論に到達したのであった。
おそらく、どちらが正しいかは歴史が明らかにするであろう。けれども、人間はモルモットではない。歴史がそれを明らかにるまで待ってはいられない。世紀の核惨事を透徹した理性で見通しているジャーナリスト広河隆一の身を投げ打った警鐘に我々もまた、真摯に向き合うのでなければならない。