紙の本
玉石混淆だが,おおくの文章はまえむきな提案
2011/07/16 01:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
さまざまな立場の 30 人をこえるひとが東日本大震災のなかでなにができるかについて書いている. それぞれ自分ができることを中心に書いているし,そのなかには対立あるいは矛盾している部分もある. しかし,そのおおくは震災をのりこえるための真摯な提案であり,読むに値する.
だが,この本の冒頭付近には,かつてはおおきな影響力をもっていたが,震災後,思考停止してしまっている評論家の文章があったりする. そんな,読んでもなにひとつえるところがない文章があると,読むのをやめたくなる.
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著名人の震災後の見解が網羅的に書かれている。あまりに多くの「起こったこと」や「為すべきこと」があって、わずかな書面では書ききれなかった・・・という思いが伝わってくる。
今後は「チェルノブイリの祈り」のような、被災された一般の方々の思いや言葉が本になるといいのですが・・・。
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【読書】震災関係の読書シリーズ。この本は柄谷行人氏、湯浅誠氏、清水康之氏等の33人の著名人の震災に関する論文を集めた本。様々な世界でそれぞれ震災に対する取組を行っている方々ばかりで本当に頭が下がる。やはり、抽象論ではなく、自らの活動を通じた言葉・文章は重い。改めて自分で何をすべきかを考える。仕事だけにとらわれず、何か些細なことでもちょっとずつ。震災のがれき撤去等、直接ボランティアをすることだけが復興に貢献するわけではない。
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『大震災のなかで』/岩波新書/東日本大震災を受けて様々な人が様々な角度から提言や報告をしているが、本書は幅広い観点から32人の人の短い提言、報告を集めたもの。ほとんどの筆者が現地を訪れていると思うのですが、やはり各分野の最前線で活躍をし、また現地を見た上で物を書いてるから、どれも心に響く。支援や復興の在り方、方法を巡ってはいろんな方法や考え方があるんですね。本書を読んで、行政ができることって小さいんじゃないかって思いました。
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薄いエッセイの集積的なもので、内容がなさ過ぎる。借りた本だからまだいいがこれに金を出すのはかなりつらい。
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あの大震災をテレビで観た時、「自分はなにをすべきか?」と強く思った。でも、そんな思いも東京での日常生活のなかに埋もれ、薄れていった。所詮その程度のものだった。だけど、このあいだ東北を旅行した際、やはり自分の眼で一度見てみたくて、被災地の一つを訪れた。その時にこの本を読み、今は、
被災者にとって被災地は「生活」の場だが、それ以外の者にとって、被災地は「事件」の場だ。「事件」は次の新たな「事件」に取って代られる。被災地と被災地以外とのさまざまなギャップは、ここに起因する。(湯浅誠)
被災しなかった人たちが、これからすべきことはなんだろう。それは、震災をすぐに過去のものとせず、自分たちにできるかたちで応援し続けることである。(玄田有史)
という文に深く共感した。これからも被災地・被災者のことを忘れず、興味を持ち続け、やれる範囲でやれることをやっていきたい。『復興論』としても面白く読めると思います。
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様々な人々が大震災に対してその思いを綴っています。玉石混淆だとの評があり、そう感じることもありますが、でも、今回の大震災からどのように立ち上がっていくのか、前向きに書かれているではないかと思います。
33篇の中から一番心に残ったのが、派遣村で有名な湯浅誠氏の小論です。「被災地には生活が続いている」と題して、彼の思うところを述べておられますが、それは、当事者でない者が陥る点を指摘していると思います。
http://glorytogod.blog136.fc2.com/blog-entry-966.html
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人によって震災からの距離が違う。
戦時中のことにせよ、原発の推進にせよ、国策として進められるものには碌なものがない。ほんとうに得なら、民間が参入しているはずだから。
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20111016 どうしたらいいか?わからなくなったので買って見た。自分で決めるしか無いということなのだろう。
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推薦理由:
東日本大震災直後に、様々な立場で震災に関わった人々が、被災地、そして日本の復興に向けて、これから私達は何をするべきか、行政はどう進むべきかを語ったものである。それぞれの文章からは、復興に対するとても強い意志が感じられる。
内容の紹介、感想など:
本書は、編者を含む33人の有識者が、2011年3月11日に東日本を襲った大震災についての見解と震災後の支援や復興についての提言を、震災後2か月余りの時点で綴ったものである。
「序のことば」で、編者の内橋克人(経済評論家・作家)は、下記のように語っている。
災害に打たれた被災者への救済の在り方、人権意識、復興の進め方は、私達がどのような国と社会に生きているのかをさらけ出す。巨大地震、津波により多くの人を呑み込んだ「突然の死」の悲しみは尽きる事が無いが、それに続く原発事故は「ゆっくりと訪れる死」をもたらす。「合意無き国策」で原発推進を強権的に進めてきた自民党は、その責任を語ることなく現政権の攻撃に躍起になっている。これではこの国は救われない。
「一定の環境条件を満たした住居に住む権利は、人間として最も基本的な生存権」と定めた国連人権規約の精神も、条約も、日本では遵守されることが無く、阪神・淡路大震災の教訓は生かされないままに弱者切り捨ての政治と経済の原理が闊歩してきた。被災弱者の支援、救済に、政府、行政は全力を挙げるべきだ。そして一人ひとりが「生き抜く」と心に叫び、気力を呼び戻して欲しい。
序文に続く本文は、4つの章に分かれている。
「第1章、3.11は何を問うているのか」
作家、哲学者、精神科医、経済学者などが震災に対する見解と日本がこれから進むべき道への提言を述べている。
「第2章、命をつなぐ」
複数のNPO代表、看護師、ケーブルTV局の製作者、僧侶、障碍者や高齢者に関わる人々などが、実際に行った救援活動と、それぞれの立場からの訴えを綴っている。
「第3章、暮らしをささえる」
地質学、都市計画、水産経済、教育などの専門家が、今後被災地の人々の生活を支えていくにはどうするべきかを語っている。
「第4章、復興のかたち」
反貧困ネットワーク事務局長、財政学、社会福祉論の専門家、弁護士などが、被災地で被災した人々が生活を取り戻せるような復興を目指すべきだと提言している。
本書を読んで、今回の大震災についての様々な視点からの意見、提言を知る事で、これからの日本の進むべき道について考えて欲しい。
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未曾有の惨禍を残した3.11の関東・東北大震災。作家や学者ら三三名が震災の意味や今後どうして行けばいいのかをつづった手記です。新書のサイズによくこれをまとめたなと思いました。
3月11日。あの日のことはいまだによく覚えています。僕は出先に行った帰りで町の本屋に立ち寄った際に震災に遭いました。少し長いゆれだなぁ、としかそのときは感じませんでしたが、東北の太平洋沿岸では直後に起こった津波により、たくさんの尊い命と生活のすべてを奪われ、さらに福島県では原子力発電所の『チェルノブイリ級』ともいわれる人類史上最悪の原発事故により「ディアスポラ」を髣髴とさせるような故郷を失った人たちで右往左往するという悲惨な現在がございます。
この本は作家や学者ら三三名の方による、2011年の3月13日に東日本を襲った大震災は、私達日本人に何を問いかけているのか?そして家や故郷や愛するものを喪うという大きな悲しみや喪失感のなかで新しい歩みをいやがうえにでも始めてゆかねばならない被災者・被災地に、これから私たちはどう向き合い、どんな支援をしていけばいいのか?ということが真摯につづられております。
よく新書のサイズでこれだけのものを詰め込んだなぁ、というのが読み終えたときの第一に感じたことでした。そして、被災者達の中でそういう過酷な干渉に追いやられていても
『人に迷惑をかけてはいけない』
と戦後の玉音放送ではありませんが
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでいるという現地の被災者のことが読んでいるうちに浮き彫りになるにつけ、胸がつぶれる思いがいたしました。まだまだこれから何年、また何十年とかかる復興への長い道のり。私達はそのスタートラインにすらたっていないということを改めて認識させられる本でございました。
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私は恥ずかしながら東日本大震災の復興のために具体的に何か行動した人間ではありません。でもこの本に出てくるさまざまな立場の人間は、全員違う方向から大震災と向き合っていました。具体的な策はそれぞれまったく異なるけど、言ってることは一緒。「ふんばれ」そんな言葉です。
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ゼミの課題図書。どの立場の人の話も参考になったし、電車で読みながら泣きそうになることも多かった。個人的に、印象に強く残ったのは前々から興味を持っていたコミュニティの話、仏教の話、法律の話。読めてよかった。
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遅まきながら,読みました。再び,いろいろと考えさせられます。津久井先生の玉稿に接することができます(後半の方)。
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100体ものご遺体を前にした瞬間、私の死を視た体験は崩れ去っていった。いままでの死とはボリュームがまったく違う、すさまじい死がそこにはあった。柩の中の一人ひとりが、津波に襲われ、のみ込まれる瞬間、何を思ったのだろう、苦しかっただろう、痛かっただろうと、そんな思いが交錯した。それは強烈な痛みとなって私の内面を襲った。・・高橋卓志(住職)(p.109)
人間は誰でも、「物語る力」「回復する力」を持っている。それぞれが、それぞれの人生物語を紡ぎ、他者との関係性の中に自己を位置付け、位置付けし直しながら生きている。大切な人のことやその人と過ごしたときのことなど思い返しては、解釈を加えて、それを物語に昇華させて、「こうだったのかな」「いやああだったのか」と、そうした作業を重ねながら、故人との関係性の物語を自分の納得のいく形に少しずつ紡ぎ直していくのである。「過去を乗り越える」のではなく、まさに「過去を受容する」わけだ。・・清水康之(p.118)
個人に責任の無い負担は分かち合わなければならないという単純な理念である。地球人皆が公平に負うべき被害を特定御地域の一部の人々だけが負わされてしまった現実に対して、その人々をして滅ぶに任せるのはあまりに原始的・・加瀬和俊(p.187)